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労働者名簿とは?記入例(履歴含む)や書き方管理時の注意点までを紹介

作成者: スタンバイ制作チーム|2022/11/09

 

1.労働者名簿とは人事や労務に必要な情報を記載したもの

労働者名簿とは、従業員の氏名や住所、雇用年月日といった情報を記載した書類です。労働者名簿の作成は、労働基準法第107条によって、厚生労働省令で定める事項を記載することを義務づけられています。

従業員が1人でもいれば作成が義務づけられているため、個人事業主の場合も作成が必要です。違反した場合、30万円以下の罰金が科されます。労働者名簿は、人事や労務の業務に必要な情報を持っているため、常に最新の情報に更新する必要があります。

例えば、通勤手当を算出する場合、通勤経路の確認に住所の情報が必要です。助成金の申請時に、労働者の情報掲示として労働者名簿の提出を要求されるケースもあります。

参照元:労働基準法

 

2.労働者名簿と従業員名簿の違い

似た言葉として、「従業員名簿」があります。実は、労働者名簿と従業員名簿は同じものを指す言葉です。ほかに同じ意味を持つ言葉として、「社員名簿」があります。会社によっては従業員名簿や社員名簿と呼んでいるため、同じ書類を指す言葉が複数生まれました。

どれが正解というものではないものの、労働基準法では労働者名簿が使用されています。そのため、労働基準法に合わせるほうが無難といえるでしょう。

3.労働者名簿の記入例と記載すべきこと

労働者名簿に記載する項目は、厚生労働省によって以下のように定められています。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 履歴
  • 性別
  • 住所
  • 従事する業務の種類
  • 雇入れの年月日
  • 退職の年月日およびその事由(解雇の場合はその理由)
  • 死亡の年月日およびその原因

厚生労働省からは参考様式が提示されていますが、その様式にする必要はありません。項目さえ満たせば、自由に作成することが認められています。

以下に記入例を示します。

 

氏名

  山田太郎

生年月日

  1982年9月21日

性別

住所

  東京都A区 B町 1-2-3

雇入れ年月日

  2011年4月1日

従事する業務の種類

  技術部

履歴

  2011年4月~2013年8月:技術部

  2012年9月~2013年10月:技術部 主任

  2013年11月~2017年10月:技術部 係長

  2017年11月~2020年3月:技術部 課長

  2020年4月~:技術部 部長

退職または死亡

年月日

  2021年3月

事由

  自己都合

備考

 

 

参照元:厚生労働省「労働者名簿の様式」

3-1.氏名・生年月日・性別・雇入の年月日

従業員の情報を記載します。漢字や日付の間違いがないように記載しましょう。結婚や離婚を理由に名字が変更された場合は、速やかに変更する必要があります。労働者名簿に記載する名前は、戸籍上の名前です。

結婚後に旧姓を使用している場合でも、労働者名簿には変更後の名字を記載します。備考欄に旧姓を使用していることを記載しておくとよいでしょう。

雇用された年月日の記入も必要です。勤続年数を把握することが目的であるため、採用が決定した日ではなく、あくまでも雇用を開始した日になります。

3-2.履歴

履歴には、異動や昇進といった社内の履歴を記載します。法律では、履歴に「なに」を「どこまで」記載するのかが定められていません。そのため、あくまでも会社の判断で履歴を記載することになります。

ただし、人事制度とも連動するのであれば、社内の履歴を細かく記載したほうが有効に活用できるでしょう。必要に応じて、学歴や保有資格、これまでの職歴を記載している会社もあります。

3-3.住所

住所については、実際に住んでいる場所の住所を記載します。転勤して手続きができていない場合や単身赴任の場合、住民票の住所と住んでいる住所が異なるケースがあります。

労働者名簿に住所を記載する目的は、通勤手当の計算や事故や病気などの緊急時に対応するためです。もし、住んでいる住所を記載していない場合、通勤手当を多く支払ってしまうケースが考えられます。

トラブルのリスクを減らすためにも、住所変更があった場合は、速やかに労働者名簿に反映することが大切です。

3-4.従事する業務の種類

従事する業務の種類についても、労働者名簿に記載する必要があります。記載する内容は、部門や役割、業務内容です。この項目は履歴とセットになっています。

異動や配置転換が発生した場合、履歴とともに内容を更新します。ただし、従業員数が30人に満たない場合、記入する必要はありません。1人の従業員が、複数の業務を兼任するケースがあることが理由です。

3-5.退職、解雇、死亡の年月日およびその理由

退職や死亡した場合についても、労働者名簿に記録する必要があります。これは、退職後5年間の保管が義務づけられているためです。いつ退職したのかを明記しておくことで、保管期限が把握できます。

退職理由については、解雇による退職の場合のみ理由を記載する必要があります。自己都合の場合は、記載する必要はありません。従業員が死亡した場合も、理由を記載する必要があります。これは、死因が労災に該当するかを確認するためです。

4.労働者名簿について人事労務担当者がやるべきこと

労働者名簿の取り扱いは、人事労務担当者の仕事です。労働者名簿の作成や保管、編集については、労働基準法で条件が定められています。業務を円滑に進めるためにも、ルールを決めたうえで取り扱うことが大切です。

ここでは、労働者名簿の取り扱い方法について解説します。

4-1.名簿の作成

人事労務担当者がやるべきこととしては、名簿の作成が挙げられます。労働基準法では、作成方法が定められていません。そのため、紙でも電子データのどちらでも作成できます。

ペーパーレス化やリモートワークへの対応、検索のしやすさを考えると、電子データでの作成が無難でしょう。

ただし、労働者名簿の電子化には「印刷できること」「労働基準監督署の調査時にコピーを提出できること」が条件として定められています。労働者名簿をファイルを開けるパソコンとつながったコピー機が事業所にあれば、心配する必要はないでしょう。

4-2.名簿の保管

名簿の保管も、人事労務担当者の仕事です。労働基準法では5年間の保管が義務づけられており、期間内に紛失した場合、罰金が科せられる可能性があります。

名簿の保管には個人情報が記載されているため、誰でも閲覧できないように保管することが求められています。紙であれは鍵のかかる場所に保管するだけでなく、鍵の取り扱いについても社内でルールを設けることが必要です。

データ管理であれば、アクセス権の管理が求められています。特定の従業員しかアクセス権を与えないことや、閲覧履歴を残すことも必要です。

4-3.名簿の編集

名簿の編集も、人事労務担当者の仕事の一つです。労働基準法では、変更時に遅滞なく訂正することが定められています。

労働者名簿には、人事や労務の業務に影響がある情報が記載されています。住所や業務内容によっては、手当に影響する内容もあるでしょう。

もし、古い情報のまま給与を支払ってしまった場合、従業員とトラブルになるケースも考えられます。法律を守ることだけでなく、業務を円滑に進めるためにも、速やかに名簿を編集しましょう。

5.労働者名簿を管理する際の注意点

管理における注意点として、事業所ごとに管理することと、個人情報を取り扱う意識を持つことが挙げられます。

事業所ごとに管理する必要があるため、それぞれの事業所でルールを定め、運用しなければなりません。ここでは、労働者名簿を管理する際に注意すべき点について解説します。

5-1.事業所ごとに作成する

労働者名簿は、事業所ごとに管理することが必要です。労働基準法で事業所ごとに作成することが定められているため、複数の事業所がある会社の場合は、事業所の数だけ作成することになります。

保管についても事業所ごとにしなければならないため、注意が必要です。事業所が一つであれば、特に気にする必要はないでしょう。

5-2.個人情報の取扱に注意する

労働者名簿を取り扱う際は、個人情報を取り扱っていることを理解する必要があります。そのため、個人情報保護法についても理解しなければなりません。

例えば、労働者名簿の情報を第三者に提供する場合は、本人の承諾が必要です。第三者に提供するケースとしては、税金や社会保険の手続きが該当します。そのため、労働者名簿を作成する時点で、労働者から承諾をもらう必要があります。

事業所ごとに、個人情報の取り扱いに関するルールを確認しておくことが大切です。

参照元:個人情報の保護に関する法律

6.労働者名簿のルールを理解して正しく運用しよう

労働者名簿とは、従業員の氏名や住所、雇用年月日といった情報を記載した書類です。労働基準法第107条によって、厚生労働省令で定める事項を記載することを義務づけられており、違反した場合、30万円以下の罰金が科されます。

記載する項目は、厚生労働省によって定められています。厚生労働省からは参考様式が提示されていますが、項目さえ満たせば自由に作成することが可能です。人事や労務の業務に必要な情報を持っているため、人事労務担当者が取り扱う必要があります。

労働者名簿の作成や保管、編集についても労働基準法で条件が定められています。業務を円滑に進めるためにも、ルールを決めたうえで取り扱うことが大切です。

労働者名簿は、事業所ごとに管理しなければなりません。また、個人情報を取り扱っている点についても注意が必要です。事業所ごとにルールを定め、求められている条件を理解したうえで運用しましょう。