「新入社員研修」は、新卒採用を行っている企業で幅広く採用されている手法です。ビジネスマナーや業務に必要な知識・スキルを習得します。新入社員研修のカリキュラムを吟味することは、新入社員がこれから企業の一員として働くために重要です。
新入社員研修カリキュラムは仕事を遂行するうえで必要な土台を作るだけでなく、社内や社外の人と接する際に必要なコミュニケーションスキルの習得や、同期との結束を深める場としての重要な役割を果たします。
カリキュラムの手法はさまざまな種類があるため、効果的な方法を精査して、研修の目的を達成できるよう作成しなければなりません。
新入社員研修のカリキュラムを作成する際には、盛り込むべき内容があります。まず、学生から社会人に変わることで、これまでの学生気分を切り替えるマインドセットが必要です。
また、事業内容や会社理念について理解することやビジネスマナーの習得など、新卒の新入社員にとって必須項目がたくさんあります。新入社員研修のカリキュラムに必要な内容についてみていきましょう。
マインドセットは、新入社員研修の中でも特に大切な項目です。これまでの学生気分を切り替え、社会人としての心構えを身につけなければなりません。
比較的自由な生活ができた学生時代とは異なり、社会人は計画的な時間管理が大切です。多くの人と関わり、社会人として必要なマナーで適切に接していくことが求められます。
そのため、研修には社会人としての自覚を持つための心得を組み込むことを検討してください。
新入社員研修では、企業が行っている事業内容や会社理念、ビジョンなどを理解して全体像を把握することが大切です。入社する目的は人それぞれですが、社員になってからは会社が目指す目標を共有し、同じ方向性に向かって業務に取り組まなければなりません。
企業についての理解を深め、自社の成長に役立つ仕事ができるよう事業内容をカリキュラムに盛り込みましょう。
新入社員研修では、社会人として最低限のビジネスマナーやビジネスマインドの習得が必須です。身だしなみや服装、挨拶、言葉遣いなど、習得すべきビジネスマナーは多岐にわたります。
また、ビジネス文書の作成やワード・エクセルなど、仕事をするうえで必要なビジネススキルも身につけなければなりません。時間を守る、会社のルールや守秘義務を遵守する、報連相を実行するなど、社会人としての心構えも重要です。
社会人になると、社内や社外のさまざまな人と接する機会があります。特に営業や接客などの職種では、頻度が高くなるでしょう。円滑に仕事を進めるためには、コミュニケーションスキルの習得が欠かせません。
また、さまざまな人と上手に付き合い、良好な人間関係を築く学びも大切です。メンタルケアの観点からは、人付き合いで生じるストレスへの耐性を身につける研修も求められます。
キャリアに対する考え方やキャリア形成の教育も盛り込みましょう。思い描く将来の理想像を実現するためには、どのようなキャリアを形成すればよいかを学びます。
キャリアデザインが定まらないと、今後どのような行動をとるべきかわからなくなります。キャリア形成に必要のない努力をするなど、無駄な時間を過ごすことにもなるでしょう。キャリア形成をスムーズに行うために、新入社員研修でしっかり学ばなければなりません。
ITの進化は早く、企業のIT導入も加速しています。現在の業務でITを利用するかどうかにかかわらず、これからの社会を担う新入社員にはITに関する知識やスキルの習得が必須です。
また、個人情報や会社の機密情報を守るため、情報セキュリティの重要性も知っていかなければなりません。さまざまなリスクに気づき、万が一の事態に対処する方法などを学びます。
新入社員研修のカリキュラムにはさまざまな手法があります。代表的なのは通常の業務を離れて行う座学研修のOFF-JTで、実務の中で実施するOJTと併用する会社も少なくありません。
また、グループワークやロールプレイも取り入れることで、幅広い知識やスキルの習得ができます。
ここでは、新入社員研修の代表的な教育手法をご紹介しましょう。
「OFF-JT」は通常の業務を離れて行う座学の研修です。一般的には社内の会議室など1つの場所に集まり、社員が講師を務めるか外部から講師を招いて受講します。基礎となるビジネスマナーや会社理念、業務内容などを体系的に学ぶカリキュラムです。
特別な時間を設けて開催するため新入社員は学びに集中でき、全員が同じ内容を学ぶことで教育内容に差が生まれません。
OFF-JTで学んだあと、次にご紹介するOJTを実施することで効率的なスキルの習得ができます。
「OJT」は実際に働きながら知識やスキルを習得する研修です。上司や先輩社員が指導役となり、業務を通して学びます。OFF-JTが終わったあとに配属された職場でOJTを実施するのが一般的です。
より早く実践的なスキルが身につくため、即戦力を求める企業に多く採用されています。
また、OJTは会場や資料の準備、講師の派遣などの労力やコストがかからない点がメリットです。
「グループワーク」は、新入社員がグループ単位で課題に取り組む研修です。協力し合って共通の課題を解決しながら、チームワークやロジカルシンキングを身につけます。OFF-JTなどの座学研修のなかで行われることの多い手法です。
与えられたテーマに即した制作物を作る「作業型」と、テーマに沿ったディスカッションを行い、まとめた内容をプレゼンテーションする「プレゼン型」に分けられます。
「ロールプレイ」は営業役や顧客役など役割を分担をして演技を行い、実践的に学ぶカリキュラムです。電話応対や名刺交換などを繰り返し行って、実践のスキルを習得します。
接客やサービス業などで多く活用される手法です。取引先や顧客など、業務で相手とコミュニケーションをとるスキルは座学だけで習得することが難しく、実際の業務に入る前にリハーサルとして行われます。
「ケーススタディ」は具体的な事例を通して学ぶ手法です。実際の業務で起こりやすいトラブルなどの事例をあげ、対処法や解決策を考えます。過去の事例を通して疑似体験をすることで、問題の再発防止や解決方法の発見に役立ちます。
理論を学ぶだけでは習得できない、問題を解決する能力を養います。クレーム対応やプレゼンテーションの練習として役立つカリキュラムです。
「レクリエーション」は簡単なゲームなどを通し、新入社員同士の関係を構築するために行われる手法です。研修前の場を和ませるアイスブレイクとして行われる場合もあります。
OFF-JTなど座学だけのカリキュラムでは、集中力が途切れることもあるでしょう。研修の効果を高めるには、上手にレクリエーションを取り入れることも大切です。
「フォローアップ研修」は、研修後に実施して研修内容の定着を高めるカリキュラムです。新入社員の不安をフォローし、モチベーションを高めるためにも行われます。
フォローアップ研修を行うタイミングに決まりはなく、研修の復習を目的にする場合は3ヵ月後に行うのが一般的です。スキルの定着やモチベーションアップを図るなら6ヵ月後、総合的な振り返りには1年後に開催するとよいでしょう。
効率的な新入社員研修カリキュラムを作るには、事前準備が欠かせません。まず、新入社員のスキルを把握し、目標を設定します。配属先で求められるスキルやルールを確認して研修で取り入れるようにすれば、スムーズな業務を進めることができるでしょう。
カリキュラムの期限は、知識やスキルの定着度も考えながら設定することが大切です。
新入社員研修 カリキュラムの作り方をご紹介します。
新入社員研修カリキュラムの作成では、まず事前準備として目標設定を行います。新入社員が持つ現状の基礎力を確認し、どのような知識やスキルを習得するべきか考えましょう。新人研修を通し、最終的に到達するべき具体的な目標を設定します。
現状のスキルに対し、達成の難度が低すぎても高すぎても新入社員のモチベーションに影響します。設定した期限内で無理なくスキルアップできる目標を設定してください。
研修後に配属される職場で円滑な業務を行うためには、現場で必要なスキルを確認してカリキュラムに盛り込むことが必要です。
ビジネスマナーなど基礎的なことに加えて現場で必要となるスキルを取り入れれば、職場についてから業務に早くなじむことができます。
現場にヒアリングを行い、新入社員に身につけてほしいスキルを確認しておきましょう。
研修期間や研修内容は、目的に合わせて設定します。実施期間は研修目的により異なりますが、新卒の研修は中長期的に行われるのが一般的です。
短期間に行う研修は即戦力養成に役立ちますが、フィードバックの機会が少なくなり知識やスキルがうまく定着しません。中長期で複数回に分けて実施すれば、フィードバックや学び直しによりスキルも定着しやすくなります。人材育成には、十分余裕を持たせた期間の設定が望ましいでしょう。
研修には、業務のスキルについて学ぶ前に会社理念や事業内容を盛り込むことが大切です。理念や事業内容を理解することで、習得するスキルが事業にどう役立つのかを自分で考えながら学ぶことができます。
新入社員研修を社内で実施するリソースが不足する場合、社外に依頼する方法もあります。外部に依頼するメリットは、教育のプロが実施することで高い習得効果を期待できることです。
社内で熟練した社員が担当する場合、業務の知識はあっても教え方まで上手とは限りません。研修を専門とする業者は多くの研修実績を持ち、研修の実施方法から講師まで高いレベルのサービス提供が可能です。新入社員にとって、より理解しやすいカリキュラムと講義が期待できるでしょう。
また、外部に依頼することで、研修の準備に必要な手間が省かれ、社員の負担が削減されるのもメリットです。
ただし、当然ながら外部に依頼する方法はコストがかかります。また、会社理念や方向性などは、外部の研修では伝えることができません。取り入れたい場合は事前に内容を伝え、カリキュラムに盛り込んでもらう必要があります。
カリキュラムを作る際には、いくつか留意したいポイントがあります。 カリキュラムのテーマは盛り込みすぎず、必要なものに絞らなければなりません。より良い内容にするためには、前年度の新入社員にヒアリングするとよいでしょう。
研修は座学だけのカリキュラムにしないことも大切です。 カリキュラムを作るときに押さえたいポイントをご紹介します。
新入社員研修カリキュラムのテーマは明確にして、必要なものに絞り込むようにしましょう。内容を盛り込み過ぎると新入社員の理解が追いつかず、効果が上がらない恐れがあります。
日程をテーマごとにいくつかに分け、余裕を持って学べるカリキュラムを組むようにしてください。
必要な研修と不要な研修を明確にするためには、設定した目標のゴールから逆算して考えるとよいでしょう。
カリキュラムを作成する際は、前年度の新入社員にヒアリングするのもおすすめです。良かったことや課題と思われることを確認することで、より良いカリキュラムづくりができます。
実際に業務で活かすことができた研修内容があれば、新年度の研修でも取り入れてみましょう。仕事を開始してから困ったことがある場合は、今回の研修で改善できないか検討してください。
新入社員研修を座学のみにすると参加者が受け身になってしまうため、できるだけグループワークやロールプレイなど座学以外のカリキュラムも取り入れましょう。実践できる場を設け、座学で得た知識を試せる機会を作るようにしてください。
そのためにも、OFF-JTのあとにOJTでアウトプットするスケジュールを組むことは、効率的なスキルの定着に役立ちます。
新入社員研修は社会人としてのマインドセットやビジネスマナーの習得など、取得すべき内容がたくさんあります。カリキュラムも豊富にあり、目的に合わせて効果的に組み合わせることが可能です。
カリキュラムを作るときは、現場が求めるスキルに合わせて適切な内容を構築しなければなりません。
目的に沿った研修カリキュラムで、効果的な新入社員教育を行いましょう。