OJTとは?意味や目的、メリットや進め方をご紹介

OJTとは?意味や目的、メリットや進め方をご紹介

人事ノウハウ

OJTは実務を行いながら業務を覚える研修方法です。効率的に学習でき、少しでも早く人材を即戦力に育てたいときに役立ちます。研修の実施にコストがかからないのもメリットです。本記事ではOJTの目的やメリットをご紹介するとともに、進め方や効果を出すポイントをお伝えします。

1.OJTとは?

OJTとは?
「OJT」は「On-the-Job Training」の略で、職場で働きながら業務知識を身につける研修です。経験豊富な先輩社員が、実際の業務を行いながら新入社員や中途採用の社員に知識や技術を伝えます。座学研修だけでは習得が難しい、実践につながる知識やスキルを身につけられるのがメリットです。

ここでは、OJTについて概要や目的、行う期間などを紹介します。

1-1.実務を通して行う研修

OJTは、実務を通して業務の知識やスキルを身につける研修です。指導は上司や先輩社員が担当するのが一般的で、「OJTトレーナー」とも呼ばれます。

OJTの歴史は古く、第一次世界大戦当時のアメリカにあった造船所で、新人の訓練を訓練所に頼らず、現場監督が直接訓練する手法を編み出したのが始まりです。日本には高度経済成長期に導入され、現在は社内研修の基本的な研修方法として定着しています。

1-2.OFF-JTとの組み合わせで効果を発揮

OJTと比較されることが多いのが「OFF-JT」です。OFF-JTとは「OFF-The-Job Training」の略で、職場を離れて座学で行う研修のことです。新入社員研修をはじめ、多くの研修でOFF-JTが実施されています。

OFF-JTは知識を体系的に習得するのに適した方法ですが、OFF-JTで学んだことをOJTで実践することで、より効率的な知識の定着ができます。そのため、OJTとOFF-JTをセットにした新人教育を行っている企業も少なくありません。

 

 

1-3.OJTの目的

OJTの目的は、新卒や中途採用の人材を少しでも早く即戦力にすることです。実践しながら学ぶOJTの実施で新入社員はより早く業務を覚え、職場になじむことができます。

また、OJTは集団で一律の教育を行うOFF-JTに対し、個々の特性や業務内容、習得の進捗に合わせて柔軟に対応でき、効率的な教育ができるのも特徴です。

OJTは、OFF-JTに向いていない教育のために行われることもあります。集団で一律の教育を行うOFF-JTは一般的、形式的なプログラムの教育に適していますが、状況に応じて柔軟な対応が求められる業務や勘、経験値などが重視される仕事を習得する教育には向いていません。

OFF-JTでは効率的に習得できない業務を覚えるために、OJTが利用されています。

1-4.OJTに要する期間

OJTの実施期間は業界や職種によりさまざまです。新入社員教育の場合は、入社した4月から翌年の3月末までの一年間をOJTに設定する会社が一般的です。

かつては新入社員の早期戦力化を重視し、OJTの期間も3ヵ月から半年程度と短めでした。しかし、幅広い業界で人材不足が深刻になる昨今では、貴重な人材の育成に時間をかける傾向が強いです。しっかりした計画のもとに現場でのプロセスを踏みながら、中長期的に人材を育て上げるケースが増えています。

2.OJTの実施で期待できる4つのメリット

OJTの実施で期待できる4つのメリット
OJTの実施により、いくつかのメリットが期待できます。まず、研修会場を設けて時間をとる必要がなく、実際の業務をしながら効率的に教育できるのが大きなメリットです。

また、OJTをすることで新入社員が職場に早くなじみ、社内コミュニケーションを活性化できるというメリットもあります。

ここでは、OJTを行うことで得られるメリットを4つご紹介しましょう。

2-1.効率的な教育ができる

OJTは、実際の業務をしながら効率的な教育ができるのがメリットです。実践的な知識やノウハウを学べ、わからないことはすぐに確認して修正できます。指導社員はその都度理解度を確認し、不足した知識を補えるのも利点です。

業務内容や仕事の進め方についてスムーズに理解でき、臨機応変な対応力も身につきます。早期に独り立ちできる戦力を養うことができるのです。

 

 

2-2.コストがかからない

OFF-JTの開催は会場の確保や資料の準備、講師の派遣など、多くの時間や労力がかかります。職場の生産性が下がることもあるでしょう。

これに対し、OJTは職場で実施できるため、特別な場所や時間、費用を別途計上する必要がありません。コストがかからず、仕事をしながら学べるのがメリットです。

また、新入社員が早く戦力になることで、より生産性向上に貢献できます。

2-3.社内コミュニケーションを活性化できる

OJTは、指導社員と新入社員がコミュニケーションをとりながら業務を覚える手法です。相互理解が進んで新入社員は早く職場になじむことができ、迎え入れた職場にも活気が出てきます。

また、指導社員同士、教えられる新入社員同士が情報を交換することで、社内全体にコミュニケーション活性化の効果が生まれます。OJTは全社的な人間関係の構築にも役立つのです。

2-4.教える側も成長できる

OJTで成長できるのは、新入社員だけではありません。指導する社員も、指導を通して業務への理解を深めるというメリットがあります。


指導される新入社員はさまざまな個性を持つため、それぞれの個性に合わせ、どうすれば業務を覚えるか、どのような業務に適性があるかなどを考え、試行錯誤しながら最適な方法を考えなければなりません。OJTはこのような作業を通し、指導社員も成長できるという点もメリットの一つです。

3.OJTの注意点

OJTの注意点
OJTはメリットの多い手法ですが、注意したい点もあります。業務に関する体系的な学習はできないため、新卒など業務経験のない社員はまずOFF-JTで教育を受けなければなりません。また、指導社員はほかの業務を担当していることも多く、OJTの指導が負担となる場合もあります。

また、OJTがすべて円滑に進むとは限りません。新入社員が放置されたり、指導社員によって教育の質に差が出たりすることもあります。

OJTの実施で注意したい点について、ご紹介します。

3-1.体系的な学習ができない

OJTは、さまざまな実務を行いながら学びます。集中して体系的な学習を行うOFF-JTとは異なり、個別の作業は覚えられても業務の全体像を把握しづらい状況です。

単発的な業務には対応できても、OJTだけでは長期的な視野で業務を進めるための知識やスキルは身につかない可能性があります。

そのような事態を回避するためには、OJTとOFF-JTを併用して行必要があるでしょう。

3-2.教える側の負担になる

OJTの指導社員は自分の仕事もあり、うまく調整して指導する時間を作らなければなりません。自分の都合ではなく新入社員の成長に合わせてOJTを進めなければならないため、仕事に影響がでる可能性があります。

OJTと指導社員の仕事を両立させるためには、負担を減らせるよう人事部などがサポートを行わなければなりません

3-3.放置になる可能性も

OJTを円滑に進めるためには事前に計画を立て、十分な指導体制を整えておくことが重要です。ただ現場に任せるだけでは、ほとんど指導が行われず放置されるケースもあります。

放置されるのは、OJTに関するマニュアルがなく、指導社員もやり方がよく分からない、自分の仕事が忙しいといった原因が考えられます。

OJTを導入する場合は事前に目標を設定し、具体的な計画を立ててから実施しましょう。

3-4.指導する側のスキルで成果に差が出る

OJTの成果は、指導する側のスキルに依存する側面があります。OFF-JTは専門知識をもつ外部の講師に依頼することも多く、全員が同じ教育を受けるため成果に差は生じにくいでしょう。

しかし、OJTは上司や先輩社員が担当することがほとんどであり、スキルが未熟な指導社員が担当になった場合、ほかと比べて成果に差が出てしまうこともありえます。

そのようなことのないよう、指導する側のトレーニングや研修も必要です。

3-5.OJTに向かない業務もある

OJTは業務の進め方がルール化されているなど、高度な判断を求められない業務に向いています。裏を返せば、業務のルールが確立していないため、高度な判断を要する業務やイレギュラーな事態が発生しやすい業務には向いていません。

例えばプロジェクトを組んで目標達成に向けて進めていくケースでは、進行内容が変わりやすく、マニュアル化も容易ではない可能性があります。OJTで習得するのは難しいといえるでしょう。

4.OJTの進め方

OJTの進め方
OJTの具体的な進め方は、基本的にPDCAの考え方に沿って行います。計画を立てて実行し、評価と改善を行うという流れです。

計画の段階では、まず育成の目的を設定することから始めます。指導社員の選定を行ってから計画を作成し、OJTを実施します。実施後のフィードバックも必要です。

OJTの進め方について、順にみていきましょう。

4-1.育成の目標を設定する

OJTの実施にあたっては、どのような社員に育成したいのか目標を設定します。育成後の人物像を定めることで、業務中にどのようなスキルを習得させるべきなのかも明確になります。

目標を設定したら、教育を受ける側に不足するものは何かの確認が必要です。不足を補うために必要な内容を考えてから、指導する社員を選定します。

指導社員の選定では年齢が近い社員を選ぶなど、スムーズなコミュニケーションがとれるよう配慮することも大切です。

4-2.具体的な計画を立てる

指導社員を選定したら、具体的な計画を作成します。研修内容や期間、スケジュールを決め、指導社員とすり合わせを行います。指導社員とは、研修の目標や理想とする人物像などを共有しておくことも大切です。

OJTは実施後も、設定した目的を変更したり、教わる社員の成長に合わせて計画を見直したりすることがあるかもしれません。OJTの成果について評価方法を決め、定期的に検証を行いながら継続していくことが必要です。

4-3.OJTを実施する

計画を作成したら、OJTの実施に入ります。OJTは社員に仕事の全体像を理解させるため、4段階職業指導法と呼ばれる手法で行うのが一般的です。

4段階職業指導法は、以下の4つの手順で進めます。

・Show:仕事をやってみせる
・Tell:説明する
・Do:実際にやってもらう
・Check:評価や指導をする

まず、指導社員が実際の業務を行い、新入社員にみてもらいます。さらに業務の内容を説明し、疑問点など質問があれば受けつけましょう。

その後、新入社員が業務をするのを見て、評価を行います。改善すべき点を伝え、指導を行うことも必要です。

OJTの初めは簡単な作業から開始し、段階的に難しい業務に進んでいくという流れで行います。難易度の高い業務も1人で行えるようにするのが最終目標です。

4-4.フィードバックを行う

OJTは業務中に教えて終了するのではなく、新入社員へのフィードバックが大切です。できていること、できていないことをしっかり伝えることが、新入社員の成長につながります。

OJTでは教える側と教えられる側のコミュニケーションが大切ですが、先輩社員が自分の業務に忙しいなど、新入社員がなかなか質問できないケースもあります。

また、新卒など社会生活に慣れない場合、うまく質問ができないこともあるでしょう。そのような場合も想定し、指導社員がより意識的にフィードバックの機会をもつことが大切です。

フィードバックでは改善すべき点だけを伝えるのではなく、できている部分を積極的に評価することが重要なポイントです。評価されることで、新入社員はモチベーションを高めるでしょう。

丁寧なフィードバックは、熱心にサポートしてもらえているという安心感を与える効果もあります。会社への信頼やエンゲージメントを高めるきっかけともなるでしょう。

5.OJTを効果的に行うポイント

OJTを効果的に行うポイント
OJTの効果を高めるには、期間を区切って段階的にレベルアップできるよう目標を設定することがポイントです。業務に対しての理解度などの現状を把握し、不足する部分を補うための具体的な目標について、期間ごとに細かく設定します。現状把握の作業は現場のヒアリングも行い、正確な内容を確認しましょう。

また、OJTでは指導社員により教えるスキルや熱意に差があり、成果が変わりやすいという課題があります。それを解決する方法の一つが事前研修やトレーニングです。

さらに、OJTの目的や指導方法、評価基準などをまとめたマニュアルを作るのも課題の解決に効果的です。マニュアルがあることで、人により指導方法が異なるという点を解消し、手順を統一して成果に差が出ることを防ぐことが可能です。

客観的な評価基準があることで、フィードバックでも主観のない適切なアドバイスをすることができます。

6.OJTで即戦力を育てよう

OJTで即戦力を育てよう
OJTは実際に業務を行いながら知識やスキルを習得する手法で、即戦力を育てるために効果的です。新入社員が早く職場になじめたり、全社的にコミュニケーションが活性化したりするなどのメリットもあります。新卒の人材を長期的な計画で育成したい場合にも適した方法です。

OJTを導入するには、周到な準備と万全の指導体制により計画的に進める必要があります。即戦力を求める会社の方は、OJTを上手に取り入れていきましょう。

 

 

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