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目標管理シートの書き方や記入例文|事務職・技術職などの職種別に解説!テンプレート付

作成者: スタンバイ制作チーム|2022/08/10

1.目標管理シートとは?

目標管理シートとは、個人やチームが達成したい目標を明確に定義し、進捗状況を追跡するための効果的なツールです。目標管理シートを作成するには2つの重要な手順があります。

  1. 目標の明確化:最初に、上司と担当者で達成したい目標を明確に定義することが大切です。目標は、できるだけ具体的で、測定可能であり、実現可能な目標を設定しましょう。いつまでにどんな状態にするのか時間軸を意識して設定する事が重要です。

  2. 目標の分解:目標を達成するために必要なタスクを洗い出し、目標を小さなタスクに分解します。各タスクには、期限、責任者を明確にし進めていく必要があります。

2.目標管理シートの書き方とテンプレート


目標管理シートはテンプレートを作成したうえで、個人シートを作成するようにしましょう。テンプレートを作成することで、書く時間や管理の時間の削減につながります。

また、必要な項目を忘れずに反映することも大切です。ここでは、目標管理シートの作り方と必要な項目について解説します。

 

2-1.目標管理シートのテンプレート

目標管理シートを作るときは、まずテンプレートを作成しましょう。テンプレートがない状態で目標管理をした場合、項目や書き方がバラバラになるため、管理が難しくなります。部下もどうやって書いたらいいのかわからず、目標管理シートを作ることに時間を費やしてしまうでしょう。

テンプレートを作ることで、目標管理シートを書く時間や管理の時間が削減できるというわけです。テンプレートの形式は紙でもExcelでもPowerPointでも構いません。Webツールを導入する方法もあります。項目や書き方を揃えることが重要です。

 

2-2.目標管理シートを書き方と必要項目

目標管理シートには押さえておくべき項目があります。目標とその達成度はもちろん、目標達成するための行動計画や評価基準を記載することも大切です。行動計画や評価基準を記載することで、目標達成シートを確認するだけで、何がどうなったら目標達成になるのかが理解できます。

次では、目標管理を効率的にするために必要な項目について解説します。

2-2-1.目標

目標管理シートに、目標の項目は欠かせません。目標を前提として、行動計画や評価基準が決まります。目標は、会社や部署の方針に沿うような内容にしましょう。会社や部署の目標に沿っていない場合、たとえ目標を達成したとしても、会社や部署の成長にはつながっていない場合があります。

それでは会社として目標を管理する意味はなくなります。個人の裁量の範囲内で、会社や部署の方針に沿った目標を設定することで、はじめて組織と個人の成長がつながるのです。

また、年間目標だけでは、目標への進捗が把握できません。進捗がわかるように、一定期間ごとの小目標としてKPIを設定することも大切です。

また、年間目標だけでは、目標への進捗が把握できません。進捗がわかるように、一定期間ごとの小目標としてKPIを設定することも大切です。

2-2-2.達成計画

設定した目標をどうやって達成するのかといった行動計画も、目標管理シートには必要です。達成計画がなければ、試行錯誤しながら行動することになり、目標達成から外れるような行動をしてしまう事態にもなりかねません。

一定期間ごとに設定したKPIに対し、どうやって行動するのかを決めることで、目標達成への筋道が明確になります。スケジュール感を把握するためにも、達成計画の項目が必要というわけです。

2-2-3.評価基準

評価基準も目標達成シートに必要な項目です。評価基準がなければ、何をもって評価すればいいのかわかりません。上司の主観で評価をしていては、評価にバラツキが出てしまい、部下からも信用を失う可能性があります。

たとえ目標未達の場合でも、評価できる部分はあるはずです。評価基準が明確であれば、未達であった場合でもプロセスに対する評価を下せます。評価基準には、数値や具体的行動といった定量的な基準を設けましょう。

定量的な評価基準を設定することで、主観的な評価をすることがないため、部下も納得できるはずです。人事評価は「業績基準・能力基準・情意基準」の3つの要素から成り立っています。評価基準もこの要素を意識した項目にすることで、人事評価との連動性も高まるでしょう。

2-2-4.評価欄

評価欄も目標管理シートに必要な項目です。評価欄は上司から部下へのフィードバックとして活用でき、またこの項目があることで、目標管理と人材育成が連動します。評価欄は目標ごとに記載しましょう。

評価欄が1つの場合、目標が複数あると、評価内容が曖昧になるケースがあります。目標ごとに評価することで、目標一つひとつに対する評価がわかりやすくなるでしょう。

 

 

3.職種別の目標管理シート記入例文|事務職・技術職・営業職・管理職など


目標管理シートは、社内でテンプレートを作成するため、職種や部署が異なっても基本項目は共通です。しかし、職種によっては、具体的な数値目標値を設定しづらいのも事実です。

とくにバックオフィス職やクリエイティブ職はわかりやすい成果がないため、適切な目標値を設定するには工夫する必要があります。ここでは、職種別の目標管理シートの記入例を紹介します。

3-1.営業職

営業職は具体的な数値目標を設定しやすい職種です。「販売数〇〇件」「受注金額〇〇円」「新規取引先〇〇件獲得」といった、具体的な数値目標を設定すると良いでしょう。目標達成のための行動計画としても、「取引先への訪問件数〇〇件」「テレアポ件数〇〇件」といった数値目標が設定できます。

以下のような目標を設定しましょう。

例1.)  目標:2,000万円を受注する。
  取り組み:見込み顧客を月に20件訪問する。 

例2.)  目標:リピーターを20件増やす。
     取り組み:週刊メルマガを発行する。

 

3-2.バックオフィス職(事務職・人事など)

事務職や人事といったバックオフィス職は、具体的な数値目標を設定しにくい職種です。営業職であれば、受注件数や受注金額がわかりやすい成果となります。しかし、バックオフィス職の業務は、制度改正やシステム導入といった職場環境や業務効率の改善がメインの業務です。

売上と直結するわけではないため、目標の数値化が困難といえます。目標とする項目は、日々の業務に対する改善度にすると良いでしょう。社内の満足度や作業効率が、目標達成度を測る基準になるからです。

「どうなっていたら改善といえるのか」「満足度はどうやって測定するのか」「現状はどのような数値なのか」を明確にしておくことで、目標達成度が明確になります。

以下のような目標を設定しましょう。

例1.) 目標:人事評価制度の満足度を15%向上させる。   
  取り組み:人事考課制度へのアンケートを実施する。

例2.) 目標:受発注業務のミスや漏れをゼロにする。
  取り組み:システムの運用方法を見直す。マニュアルを作成する。

 

3-3.企画・マーケティング職

企画・マーケティング職も、営業職と同様に数値目標を設定しやすい職種です。「商品やサービスがどれだけ売れたのか」「問い合わせが何件あったのか」といった売上や反応率を目標にすると良いでしょう。

KPIとして、企画数や採用率を設定するのも一つの方法です。

以下のような目標を設定しましょう。

例1.) 目標:チーム目標の達成率を30%向上させる。 
  取り組み:週1で1on1ミーティングを実施する。

例2.) 目標:部門の粗利目標5,000万円を達成する。 
  取り組み:残業制限をかけ、作業工数を20%削減する。

 

3-4.エンジニア職

エンジニア職は、売上や受注額のような数値目標が設定しにくい職種です。スキル向上やプロジェクトへの貢献度、コスト削減への対応を目標として設定すると良いでしょう。工数も目標設定の項目にできます。その場合、どういう計算で工数が減ったのかを明確にしておくことがポイントです。

以下のような目標を設定しましょう。

例1.) 目標:チーム目標の達成率を30%向上させる。
  取り組み:週1で1on1ミーティングを実施する。

例2.) 目標:部門の粗利目標5,000万円を達成する。 
  取り組み:残業制限をかけ、作業工数を20%削減する。

 
 

3-5.クリエイティブ職

クリエイティブ職も目標の数値化が難しい職種です。プロジェクトでの貢献度や作業効率を目標とすることもできます。バックオフィス職やエンジニア職と同様に、業務改善やコスト削減への対応を目標にするのも良いでしょう。

以下のような目標を設定しましょう。

例1.) 目標:原稿の不備によるクレーム件数をゼロにする。 

  取り組み:校正マニュアルや原稿チェックリストを作成する。

例2.) 目標:コストを10%削減する。

  取り組み:現在使っている素材や備品の代替品を探す。

 

 

3-6.サービス職

サービス職は、営業職と同様に数値目標を設定しやすい職種です。商品の売上や来店数が具体的な目標数値にできるでしょう。顧客満足度やクレーム件数といった項目を、目標にすることもできます。

ほかの職種と異なり、毎日の数値状況がリアルタイムで把握できるのも考慮するポイントです。ほかの職種よりも短いスパンで目標を設定し、課題を把握しながら目標を設定していくのも効果的でしょう。

以下のような目標を設定しましょう。

例1.) 目標:原稿の不備によるクレーム件数をゼロにする。 
  取り組み:校正マニュアルや原稿チェックリストを作成する。

例2.) 目標:コストを10%削減する。
  取り組み:現在使っている素材や備品の代替品を探す。

 

 

3-7.管理職

管理職は、部下を動かして組織目標を達成することが与えられた役割です。そのため、個人ではなく、部署の目標に直結する内容が目標になります。部署の目標が、そのまま管理職自身の目標とするケースもあります。

「会社の方針をどうやって部下に伝えるのか」「どうやって売上を達成させるのか」を取り組みとして設定しましょう。

以下のような目標を設定しましょう。

例1.) 目標:原稿の不備によるクレーム件数をゼロにする。 
  取り組み:校正マニュアルや原稿チェックリストを作成する。

例2.) 目標:コストを10%削減する。
  取り組み:現在使っている素材や備品の代替品を探す。

 

 

 

4.目標管理シートの目的


目標管理シートは、生産性向上や人材育成のため、上司が部下をマネジメントすることが目的です。上司は、部下の目標設定が会社の方向性に沿うようにサポートすることで、目標達成に向けたプロセスや達成度を評価します。

目標達成へのプロセスや達成度を管理するだけでなく、その先の会社や個人の成長のために、目標管理シートを使用しているというわけです。目標管理シートを適切に使用すれば、人事評価だけでなく、会社の風土形成や社員のモチベーション向上にも効果があります。

会社や部下の成長にとって大きな役割を担っているのが目標管理シートというわけです。

5.目標管理シートの失敗例


目標管理シートは、適切に使用しなければその効果は半減します。設定した目標が多すぎた場合、それぞれの目標に対する取り組みが中途半端になり、どの目標も未達になるケースは少なくありません。目安としては、目標は3つまでが望ましいでしょう。

設定した目標に対する責任能力が低い場合も、目標達成は困難です。部下が所属しているチームの目標を部下個人の目標に設定した場合、部下の裁量を超えているため、どんなに頑張っても目標が達成できない場合があります。

それでは部下も、責任をもって取り組めません。部下本人の裁量の範囲内で、目標設定する必要があります。

また、目標が大きすぎるのも問題です。目標はあるものの、具体的にどう取り組めばいいのかわからない目標では、目標達成は難しいでしょう。具体的に取り組めるような目標を設定することが大切です。

 

6.目標を立てる際に気をつけるポイント


目標を立てる際は、適切な目標値を設定することがポイントです。高すぎる目標値や低すぎる目標値は、社員のモチベーションを下げることにつながりかねません。適度な難易度で、組織の目標に沿った目標を定量的に設定すれば、目標達成度は向上します。

また、人事評価制度を整備し、目標管理シートと連動させれば、日々の行動が組織の成長と人事評価に連動するでしょう。ここでは、目標を立てる際に気をつけるポイントについて解説していきます。

6-1.適切な目標値設定をする

目標を立てる際に気をつけるポイントとして、適切な目標値を設定することが挙げられます。本人の能力では達成できないような目標を設定した場合、目標に対して行動するどころか、モチベーションが下がる場合があるからです。最悪の場合、退職まで至るケースもあるでしょう。

逆に、能力に対して目標が低すぎる場合もモチベーションが下がるケースがあります。この場合、レベルを落としても目標達成できてしまうことで、本人の能力までも落ちてしまうケースがあるので注意が必要です。

そのため、本人の能力を考慮したうえで、頑張れば現実的に達成できるような目標を設定するようにしましょう。

目標設定の際は、不確定な要素を排除することも大切です。不確定な要素があった場合、達成度がその要素に影響されてしまうかもしれません。

それでは本人の頑張りが無駄になり、モチベーションを下げる原因になるからです。不確定な要素をできるだけ排除し、本人の裁量の範囲で収まる目標を設定しましょう。

目標は、会社や部署といった組織の目標と個人の目標を連動させることが必要です。個人の目標は、人材育成だけでなく、会社の成長のためでもあります。個人の評価を優先した目標では、会社の成長につながりません。個人の目標を達成することで、組織の目標達成につながるのかも意識しましょう。

また、定量的な目標にすることも大切です。「〇〇を改善する」のような目標を設定した場合、どうなったら目標達成といえるのかわかりません。「〇〇を10%向上させる」「〇〇の改善を10個実施する」といった定量的な目標にすることで、具体的な行動計画が立てられます。

目標設定方法がその後の行動に大きく影響することを認識したうえで、適切な目標を設定しましょう。

6-2.適切な人事評価制度も整備する

適切な人事評価制度を整備することもポイントです。目標管理シートの目的は生産性向上や人材育成であり、人事評価にも影響します。人事評価に影響しない目標管理シートの場合、なんのために目標を評価されているのかわからず、モチベーションが下がる原因になりかねません。

そのためにも、目標管理シートの整備とともに人事評価制度の整備も必要です。目標管理シートを活用して、人事評価をするような制度ができれば、目標管理シートを使う意味が大きくなります。

例えば、人事評価制度の取り組みとして、目標への進捗管理面談を月1回開催することを定めれば、上司が部下のサポートをする仕組みが出来上がるでしょう。部下にとっても、目標達成に対する問題や課題に対してのアドバイスを上司から定期的にもらえることで、目標達成率が向上するはずです。

そのための手段として、人事評価ツールを導入するのもおすすめです。自社に適した人事評価ツールを導入すれば、日々の行動が組織の目標や人事評価に連動されます。人事評価業務の効率化にもつながるでしょう。

 

 

 

7.目標管理シートは運用開始後が本番


目標管理シートは、作成すれば上手くいくわけではありません。運用開始後が本番といえます。目標管理シートの目的は、目標に向かって取り組み、生産性を向上や人材育成につなげることです。

そのため最終結果だけを確認するのではなく、定期的にプロセスを確認することが大切です。また、目標管理シートの目的や内容についての認識を上司と部下で合わせておくことも大切です。

ここでは、目標管理シートの運用時のポイントについて解説します。

7-1.進捗と達成率を定期的に確認する

目標管理シートを効果的に運用するためには、進捗状況と達成率を定期的に確認することが大切です。適切な目標を立てていても、最終結果だけ確認していては、目標管理シートを作った意味が半減します。

目標管理シートは、目標の達成度を見るものではありません。目標に向かって取り組むことで、生産性の向上や人材育成につなげるためのものです。上司が定期的に部下の状況を確認し、プロセスの修正や相談に乗りながら、目標達成に導くことが大切といえます。

最終的に目標未達に終わった場合でも、定期的にプロセスを確認していれば部下の成長にはつながっているはずです。最終結果だけ確認した場合とプロセスも確認していた場合とでは、人事評価も違ったものになるでしょう。

あくまで生産性向上と人材育成が、目標管理シートの目的です。なんのために目標管理シートを運用するのかを理解していれば、定期的に進捗状況を確認する動きになるでしょう。

7-2.上司と部下で認識を合わせる

上司と部下で認識を合わせることも、目標管理シートを効果的に運用するポイントです。目標管理シートには目標だけでなく、達成計画や評価基準といった項目が存在します。

これらの項目がなぜ必要なのかを上司と部下の双方が理解していなければ、どんなに定期的に進捗を確認しても、目標達成の可能性は下がります。「なぜこんなことをやる必要があるのか」といったトラブルに発展する可能性もあるでしょう。

そうならないためにも、上司と部下でコミュニケーションを取ることで、目標管理シートを運用する目的や記載内容についての認識を合わせておくことが大切です。認識を合わせやすくするためにも、目標管理シートに記載する内容はできるだけわかりやすい表現で記載しましょう。

 

 

8.目標管理シートの目的を理解、正しく運用し目標を達成しよう

目標管理シートは、目標に向かって取り組み、生産性の向上や人材育成につなげることが目的です。目標管理シートは、適切に使用しなければその効果は半減します。高すぎる目標値や低すぎる目標値は、社員のモチベーションを下げることにつながりかねません。

適切な量と適切な難易度で、組織の目標に沿った目標を定量的に設定すれば、目標達成度は向上します。人事評価制度を整備し、目標管理シートと連動させれば、日々の取り組みが組織の成長と人事評価に連動するでしょう。

また、目標管理シートは作成すれば上手くいくわけではありません。運用開始後が本番です。最終結果だけを確認するのではなく、定期的にプロセスを確認することで効果が上がります。上司と部下で、目標管理シートの目的や内容についての認識を合わせておくことも大切です。

目標管理シートの目的を理解し、正しく運用することで、生産性を向上や人材育成につなげましょう。