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OJTに向いてない人の特徴6選!余裕がない指導者は新人教育に向いてない?指導者の条件も解説

作成者: スタンバイ制作チーム|2022/08/10
 

1.OJTに向いてない指導者の6つの特徴


「OJT(On-The-Job Training)」とは社員育成方法の一つで、経験豊富な上司や先輩などが指導者となり、実際に業務を進めながら実務を教えていくことを指します。業務内容を座学で学ぶことも大切ですが、OJTを実施することでより実践的に学ぶことが可能になります。また、即戦力も身につくため、短期間で現場に対応できるようになることもOJTの特徴です。

OJTの指導者は、業務における経験が豊富であることが求められますが、経験さえ豊富であれば誰でも良いというわけではありません。特に次の特徴を備えている場合には、OJTの指導者には向いていないと考えられるでしょう。

・まず否定から入る人
・仕事は盗めという精神の人
・我流の仕事の仕方を押しつける人
・後輩に対する愛情がない人
・自分の仕事を優先する人
・OJTの意味や目標を理解していない人

それぞれの特徴を持っている人がなぜOJTの指導者に向かないのか、詳しく解説します。

 

 

1-1.まず否定から入る人

OJTの指導者には、新入社員を業務に慣れさせ、即戦力として働けるようにサポートすることが求められています。しかし、まず何でも否定することから入る人がOJTの指導者になると、新入社員は萎縮し、心が折れ、仕事に対するやる気を失くしてしまう恐れがあります。

新入社員が大きな間違いをしたときでも、「こんなことだからダメなんだ」と否定するのではなく、根気よく教えることが必要です。前回と比べて成長した部分を見つけ、「この部分はマスターしているから、次はここに注意してみよう」と丁寧に分析して成長を促すことができます。

新入社員が何度も同じ間違いをするときでも、新入社員自身を否定するのではなく、間違った部分を改善する方法について話し合うなど、建設的な対応ができるでしょう。また、否定的な発言をしなくてはいけないときも、新入社員の人格を否定してはいけません。あくまでも性格や人格ではなく、間違った部分に目を向け、成長を促すようにサポートしていきましょう。

1-2.仕事は盗めという精神の人

仕事は見て覚えるものだという人も、OJTの指導者には向かないでしょう。OJTは見て学ぶための場ではなく、実践を通して業務を教える場であるからです。

また、「仕事は見て盗め」と新入社員が気づくのを待っていると、OJTの期間が長引き、業務に支障を与えるかもしれません。積極的に業務のコツを教え、効率よく実務を行えるように指導していきましょう。

1-3.我流の仕事の仕方を押しつける人

OJTの際に、指導者自身が体得した業務のコツについて教えることには問題はありません。新入社員の参考になり、より効率良く業務を進めていけるようになるでしょう。

しかし、我流の仕事の仕方を新入社員に押しつけると、教えられる方は不安になり、それで良いのかと悩むことになりかねません。業務を効率良く覚えるためのOJTが、業務に対する不安をかき立てることになっては本末転倒です。規定どおりに業務を教えることができる人が、OJTの指導者に向いているといえるでしょう。

1-4.後輩に対する愛情がない人

OJTでは、指導者と新入社員は一定期間密接に過ごすことになります。一緒に過ごす時間が長くなることで、新入社員は指導者の人間性についても知るようになるでしょう。例えば、指導者が表面的な優しさで接しているのか、それとも根底に愛情があるのかを判断するようになるかもしれません。

新入社員が「この指導者は後輩に対する愛情を持っていない」と判断すると、指導者の言葉が響かないようになる可能性があります。指導者が新入社員のためを思ってアドバイスしても、素直に受け入れることができず、OJTの成果も上がりにくくなってしまうでしょう。

新入社員の業務スキルを適切に伸ばすためにも、OJTの指導者には、後輩に対する愛情を持ち、親身に寄り添い、成長を願う人物であることが求められます。

1-5.自分の仕事を優先する人

OJTでは、指導者は自分の業務をこなしながら新入社員の教育を行うことが一般的です。そのため、指導者によっては、新入社員が自分の仕事を邪魔しているかのように感じることがあるかもしれません。

自分の仕事を優先し、新入社員への教育をサブ業務として捉えている場合は、指導に身が入らず、新入社員が多くを学べなくなる可能性があります。OJTの目的を正確に理解し、新入社員への教育を優先できる人材が、指導者に向いているといえるでしょう。

ただし、指導者自身は新入社員への教育に注力したくとも、会社側が通常以上に成果を期待するために思うような指導ができない可能性もあります。指導者が新入社員の教育に専念できるよう、会社側も適切に配慮することが必要です。

1-6.OJTの意味や目標を理解していない人

OJTの意味や目標を正しく理解していない人が指導者に指名されると、新入社員を邪魔扱いしたり、我流の仕事の仕方を教えたりする可能性があります。新入社員が実践を通して業務を正確に学ぶためにも、OJTの意味と目標を正しく理解している人を指導者に任命することが必要です。

2.OJTに向いている指導者の条件


OJTの指導者には、紹介した6つの要素を持たないことが望まれます。つまり、新入社員の仕事に対して頭ごなしに否定せず、丁寧に業務を教え、我流を押しつけず、愛情を持って育てることができる人が、OJTの指導者に向いているといえるでしょう。

これらの条件を満たすことに加え、次のような条件を備えているなら、より理想的なOJTの指導者といえます。

・企業のビジョンや戦略をよく理解して、全社目線で指導する人
・褒め上手・叱り上手
・新人育成に主体的に取り組む人
・自分の経験を活かすリフレクションスキルがある人
・自分の日常業務を卒なくこなせる人

それぞれの条件について、詳しくみていきましょう。

2-1.企業のビジョンや戦略をよく理解して、全社目線で指導する人

OJTには新入社員に当面の業務を教える目的だけでなく、新入社員を企業人として育成する目的も含まれます。そのため、単に「この業務はこのように行う」という実践的手法を指導するのではなく、その業務の立ち位置やその業務でどのような成果が得られるのかなど、全社目線で指導することが必要です。

また、全社目線で指導する指導者から学ぶと、新入社員も全社目線を持てるようになります。将来的に一人で業務を遂行するときも、「どのような行動が会社に利益をもたらすか」という視点で物事を判断できるようになるでしょう。

2-2.褒め上手・𠮟り上手

良い部分は積極的に褒め、新入社員のやる気を引き出すようにしましょう。

ただし、「とても良かったです」「今日は頑張りましたね」のように漠然と褒めるのでは、新入社員は嬉しく感じても、業務における学びは得られません。「クライアントを気遣う言葉がとても良かったです」「作業の順番が完璧に頭に入っていますね」のように、どの部分が良かったのか明確に分かるように褒めましょう。

また、褒められて嫌な気分になる人は少ないですが、叱られると不快に感じる人は多くいます。𠮟り方一つで新入社員のやる気がなくなることもあるため、言葉や態度、シチュエーションなどに配慮して叱ることが必要です。

例えば、「あのお見送りの仕方は失礼でしょう!」と頭ごなしに叱るのでは、新入社員に響きません。「他の部分はとても良くできていましたが、お客様のお見送りの部分だけ少し残念でした。次はもう少し長くお見送りしましょう」のように、改善したほうがよい部分がわかるように伝えるようにしましょう。

2-3.新人育成に主体的に取り組む人

OJTの指導者に任命されたから仕方なく担当するのでは、きちんとした教育を実施できません。新入社員の教育に関心を持ち、問題が生じたときは主体的に工夫して解決策を講じる人物がOJTの指導者に適しています。

新人育成に主体的に取り組むためには、後輩を育成したいという想いも大切ですが、会社に対して愛着を持っていることも必要になるでしょう。会社の成長を純粋に願えばこそ、その原動力となる人材育成に関心を持ち、主体的に取り組むようになります。

2-4.自分の経験を活かすリフレクションスキルがある人

最初から優れた指導者はいません。OJTの指導者も、新入社員の教育を行いながら、自分自身の指導法を改善し、より良い指導を目指して努力することが必要です。

このように事実に基づいて振り返り、経験をスキルアップにつなげる能力を「リフレクションスキル」といいますが、リフレクションスキルのある指導者は、新人にもリフレクションを促すことができるでしょう。経験から学ぶこと、そして学ぶだけでなく実践してスキルアップすることを身をもって教え、新入社員をより良い企業人に育てていきます。

2-5.自分の日常業務を卒なくこなせる人

普段の業務だけで手一杯の人は、OJTの指導者には向きません。時間だけでなく気持ちにも余裕がなく、新人教育を並行して行うことは難しいと考えられるからです。

日常業務を卒なくこなせる人であれば、OJTの指導者として新入社員を教育する余裕もあるでしょう。また、日常業務を滞りなくこなすコツも教えることができるため、新入社員にとっても大きなプラスになります。

3.OJTの意味と日本企業での実施状況


OJTの意味を正確に理解することで、良き指導者になることができます。OJTの意味とOFF-JTとの違い、国内企業のOJT実施状況についてみていきましょう。

3-1.OJTとOFF-JTの違い

OJTは現場での業務を通して行う新入社員の育成教育ですが、「OFF-JT(Off-The-Job Training)」は現場を離れて実施する育成教育を指します。例えば、外部講師による研修や外部のセミナーに参加すること、通信教育を利用することなどは、OFF-JTです。

OJTとは異なり、OFF-JTは教育内容を標準化しやすいという特徴があります。また、学ぶポイントをあらかじめ決めておくことができるため、OJTのように指導者によって学ぶ内容が異なるといった状況にはなりにくいでしょう。

OFF-JTでは、外部講師やセミナーなどを利用して学ぶことが一般的です。そのため、社員の業務には支障が生じにくいと考えられます。

 

 

3-2.国内では59.8%の事業所が計画的にOJTを実施

厚生労働省が実施した「令和2年度 能力開発基本調査」によれば、常用労働者30人以上を雇用している事業所のうち59.8%の事業所において、計画的なOJTが実施されていました。企業規模が大きくなるほど実施率が高く、従業員数1,000人以上の事業所のうち77.2%の事業所では、正社員に向けたOJTが計画的に実施されていたと報告されています。

 

企業規模

正社員に計画的なOJTを実施

正社員以外に計画的なOJTを実施

30~49人

35.9%

14.0%

50~99人

50.4%

14.2%

100~299人

58.5%

16.7%

300~999人

68.5%

31.5%

1,000人以上

77.2%

36.4%

 

参照元:厚生労働省「令和2年度 能力開発基本調査 調査結果の概要」

4.OJTのメリット


OJTを実施することには、次のメリットがあります。

・実務を通じて効率的に育成できる
・個人の能力に合わせて育成できる
・人間関係を築ける
・教える側にとってもプラスになる
・低コストで実施できる

OJTでは実務を通じて教えることが基本です。そのため、業務に必要なことを端的に伝えられます。また、一対一で教えるため、教わる側の能力に合わせたペース、教え方を選択することが可能です。

一緒に長く過ごすことで、指導者と新入社員の間に人間関係が構築できるのもOJTのメリットといえるでしょう。また、リフレクションスキルのある指導者であれば、指導しつつ自分自身をブラッシュアップすることができます。外部講師や外部セミナーを利用しないため、コストがかかりにくいのもOJTのメリットです。

5.OJTのデメリット・課題


メリットの多いOJTですが、デメリットや課題もあります。特に次の2点には注意が必要です。

・ただの放置になってしまう恐れがある
・指導者に負担がかかり、業務効率が落ちる

OJTでは業務を通して実務を学びます。学び取る力が弱い新入社員、あるいは自分の業務にばかり気を取られる指導者であれば、ただの放置になってしまう恐れがあるでしょう。

また、指導者は自分自身の業務をしながら、新入社員の教育も行います。負担が大きくなることで、業務効率が低下する可能性もあるでしょう。

6.OJTを成功させるためのポイント


OJTにより新入社員の教育を効率良く進めていくためには、次の3つのポイントに留意する必要があります。

・会社ぐるみ、職場ぐるみで育成する
・世代による価値観の変化に配慮する
・育成理論を学ぶ

それぞれのポイントについて、詳しくみていきましょう。

6-1.会社ぐるみ、職場ぐるみで育成する

指導者に任せきりにすると、指導者にかかる負担が大きくなるだけでなく、新入社員の学びの機会が狭められてしまいます。指導者支援を含めて、OJTに対して全社的に取り組むことが必要です。

例えば、新入社員が指導者以外にも気軽に質問できるようにしたり、指導者の業務をOJTを担当していない社員が一部請け負ったりすることもできるでしょう。

6-2.世代による価値観の変化に配慮する

指導者と新入社員の世代が違いすぎると価値観が大きく異なり、それぞれが「指導しづらい」「教わりづらい」と感じるかもしれません。デジタルネイティブの価値観や学びの流儀に配慮し、世代が近い人材を指導者として任命することも検討してみましょう。

6-3.育成理論を学ぶ

OJTでは指導者が仕事をやって見せ、実際に新入社員にやらせてみることで学んでいく手法です。しかし、それだけでは効率よく教育することはできません。指導者に人材育成理論の基礎を学ぶ機会を与え、理論に基づいて指導できるようにしておきましょう。

7.OJTの指導者が身に着けたい理論とスキル


OJTの指導者は、より良い指導を実施するためにも、OJTの前に次の2つの理論とスキルを学んでおくことができるでしょう。

・ティーチング
・コーチング

それぞれについて解説します。

7-1.ティーチング

「ティーチング」とは、必要な情報や知識を共有することで、新入社員が指導者と同じことができるようにサポートすることです。具体的なアドバイスをするだけでなく、気づきを与えることもティーチングに含まれます。

ティーチングには、教わる側との信頼関係の構築が不可欠です。また、教わる側のモチベーションを上げる声掛けや伝え方も求められます。

7-2.コーチング

「コーチング」とは、教わる側の言葉に耳を傾け、質問や提案などを投げかけつつ、教わる側が抱く答えを引き出す方法のことです。自発的な成長を促すことができるため、OJTの際にも実施できます。

コーチングはティーチングとは異なり上下関係のない教え方です。指導されることを苦手とする新入社員に対しても有効といえるでしょう。

8.OJTの実施プロセス


OJTは、以下のプロセスを踏んで実施します。

・OJT研修の目標を設定
・OJT指導者の選出
・OJT指導者の教育と打ち合わせ
・中間面談と計画の修正
・目標達成度の評価とフィードバック

それぞれのプロセスについて、詳しくみていきましょう。

8-1.OJT研修の目標を設定

OJTの目標を設定します。例えば、早期戦力化やモチベーションアップ、帰属意識の醸成などを目標に設定できるでしょう。

8-2.OJT指導者の選出

目標に合った指導者を選出します。例えば、帰属意識の醸成であれば、会社に対する愛着があり、会社の方針やビジョンを正確に理解している人物が指導者にふさわしいでしょう。

8-3.OJT指導者の教育と打ち合わせ

OJT研修をスタートする前に、指導者と今期のOJTのポイントについて打ち合わせをします。必要な場合は、人材育成理論などの教育も実施します。

8-4.中間面談と計画の修正

OJT開始後、部門長、指導者、新入社員の三者で面談やヒアリングを行います。OJTの目標到達に近づいていないと判断される場合は、課題を洗い出し、計画を修正します。

8-5.目標達成度の評価とフィードバック

OJT終了後、新入社員や指導者、同僚、上司にヒアリングを行い、達成度を評価します。その結果を職場の関係者にフィードバックし、現場での人材育成や業務工程の見直しに活用できるようにします。

9.OJTに向いてない人を見極めて適切な人選を


OJTを実施するときは、誰を指導者にするかで目標に到達できるかどうかが左右されます。より良い結果を生み出すためにも指導者に向いてない人を見極め、適切な人材を選ぶようにしましょう。