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パルスサーベイとは?意味ない?ある?効果的な質問項目を事例をもとに解説

作成者: スタンバイ制作チーム|2022/08/10

1.パルスサーベイとは?

パルスサーベイとは、従業員の組織に対する意識調査を短い期間で繰り返し行う、従業員満足度調査の手法の一つです。従業員の意識状態を随時チェックでき、問題の早期発見やエンゲージメントの向上に役立ちます。簡単な質問を繰り返して従業員の意識をリアルタイムに把握し、組織改善に活かします。刻一刻と変化する状況を迅速に捉え、速やかに問題解決への対策ができる方法です。

ここではパルスサーベイとはどのような調査かを説明し、モラールサーベイとの違いもご紹介します。

1-1.短期反復の従業員調査

「パルスサーベイ」とは、従業員に対し簡単な質問を繰り返し行う意識調査の方法のことです。短期間に繰り返すことが特徴で、1~5分程度で回答できる質問を、週1回あるいは月に1回など定期的に行います。

従業員の変化する意識を常にリアルタイムでチェックできるのがメリットで、従業員満足度の向上に効果が期待できるとして多くの企業が実施している方法です。

1-2.モラールサーベイとはどう違う?

同じ従業員満足度調査に「モラールサーベイ」があります。モラールとは「やる気」のことで、中長期的な指標に関する質問などをして、従業員の意識をより明確にする手法です。従業員のやる気や満足度を測定し、本音を引き出して組織の改善に活かします。

パルスサーベイとは異なり年に1回〜数カ月に1度の低頻度で行う方法で、社員のパフォーマンスにどのような要素が影響しているかを確認します。

モラールサーベイは従業員が日ごろ感じる不満について伝えることで不満を解消する効果をもたらし、調査すること自体にメリットがあります。しかし、それ以上に、調査結果が組織課題の改善に反映されることに大きな意義があるといえるでしょう。

2.パルスサーベイの目的やメリット

パルスサーベイは、従業員の満足度をリアルタイムで確認することが目的です。従業員も自身を振り返る機会ができ、自己分析や自己改善を図れるというメリットがあります。

また、調査の結果を受けた業務改善により従業員エンゲージメントの向上を図れることや、低いコストで調査できることも利点です。

ここでは、パルスサーベイの目的とメリットについてご紹介します。

2-1.最新の従業員満足度を把握できる

パルスサーベイの実施は、従業員満足度をリアルタイムにチェックできるのがメリットです。常に最新の従業員満足度を把握することで、些細な問題も見逃さずチェックできます。

問題発見と改善のPDCAを短期間に回すことで、従業員満足度は向上していくでしょう。満足度が高くなれば生産性が上がり、優秀な人材の離職を防いで定着率も高くなります。

2-2.従業員エンゲージメントの向上を図れる

パルスサーベイにより従業員エンゲージメントも向上します。従業員エンゲージメントとは会社への愛着心や貢献への意欲のことです。調査結果を検証して問題点を改善していく会社の姿勢に対し、従業員は信頼を寄せるでしょう。会社への帰属意識や理念への共感を呼び起こします。

従業員エンゲージメントの向上により従業員は仕事への意欲を高め、生産性が高まって業績アップへとつながることが期待できるでしょう。

 

 

2-3.低コストで調査ができる

パルスサーベイは低コストで行えるのもメリットです。

パルスサーベイのほかに職場で行われる調査には、「ES調査」とも呼ばれる「従業員満足度調査」があります。従業員満足度調査は調査項目が数多く、手間やコストがかかるのが特徴です。

アンケート形式で年に1回〜数カ月に1回程度行われ、大規模な調査になるとアンケートを集めて分析してフィードバックを行うまでに数カ月要することもあります。社内の負担を減らすために調査会社に外注することもできますが、高額な費用がかかるのがデメリットといえるでしょう。

パルスサーベイであれば質問は簡単であり、自社で作成することも可能です。近年はパルスサーベイ用のツールも開発され、より簡単で低コストでの実施ができるようになっています。

3.パルスサーベイの行い方

パルスサーベイの実施は、以下のような手順を踏んで行います。

  • 質問項目の決定
  • 調査の実施
  • 結果の集計と分析
  • 課題の抽出と対策

質問項目の作成に際しては、従業員満足度を高めるために何を確認すべきか、自社の課題をチェックします。調査の実施では時間帯などに配慮しましょう。

パルスサーベイを行う手順について、詳しくご紹介します。

3-1.質問項目を決める

まず、パルスサーベイの質問項目を決定します。質問項目は目的により異なるため、前提として実施する目的を明らかにしなければなりません。

パルスサーベイは従業員満足度を知るという目的がありますが、さらに「離職を防止したい」「生産性を上げたい」「コミュニケーションを活性化させたい」など、具体的な目的を深掘りしてみます。明確にした自社の課題に沿った質問項目を決めましょう。

パルスサーベイは短い質問で手軽に実施できることがポイントです。必要な質問のみ厳選し、10個以内にするようにしましょう。

回答方法は「はい」か「いいえ」で答えるものか、5段階評価で簡単に答えられるものを設定します。

3-2.調査を実施する

作成した質問項目でアンケートを作り、チャットツールやメールを使って従業員に配布します。ツールを使用する場合は、回答用URLを共有してください。

回答率を高めるためには、期限を設定するのがよいでしょう。

業務に支障のないようアンケートを送る時間帯には配慮する必要があり、質問も答えやすい雰囲気を考えるなどの工夫が必要です。

3-3.調査結果を集計し分析する

回答を集計し、調査結果を分析します。良い調査結果は継続と強化を行い、悪い結果があれば改善と再発防止の対策を検討しましょう。

回答率が低い場合は客観的な判断ができないため、質問内容や質問数などで問題がなかったか検証が必要です。質問が難解であったり、質問数が多過ぎたりすると、回答が集まりづらい傾向があります。また、氏名の記載を義務にすると、答えづらくなるかもしれません。

3-4.課題を洗い出して対策する

調査結果から課題を洗い出し、適切な対策を考えます。結果は個人単位と組織単位で判断しましょう。

個人単位で前回から大きく評価が変わった場合、個人的に大きな変化があったと考え、場合によってはケアを考えなければなりません。

組織単位で大きな変化がある場合、マネジメントに課題があると考えて適切な対策が必要になるでしょう。

調査結果は良くても悪くても従業員に公表し、会社としてどう対処していくかを説明することが大切です。

 

4.パルスサーベイの活用場面

パルスサーベイを活用して高い効果が得られるのは、主に以下のような場面です。

  • オンボーディング
  • 人事施策の効果検証
  • 従業員のストレスチェック

「オンボーディング」は新入社員や異動した従業員のフォローに役立ち、新しい人事評価制度の効果検証にも活用できます。また、短期的に従業員のストレスチェックができ、メンタルヘルスのケアにも効果的でしょう。

パルスサーベイの活用場面をご紹介します。

4-1.オンボーディング

オンボーディングとは新規採用の従業員が会社に定着し、戦力となるまでのプロセスのことです。オンボーディングの進み具合は従業員ごとに異なり、適切にフォローするには短い周期で調査できるパルスサーベイが効果的です。

パルスサーベイで調査とフォローをしていくことで離職防止ができ、早期に戦力となることが期待できます。

 

 

4-2.人事評価・施策の効果検証

パルスサーベイは新しく導入した人事評価制度や管理職の研修など、人事施策の効果検証に活用できます。

パルスサーベイで従業員の声を汲み取れば課題を見つけやすく、改善につなげることが可能です。上からの一方的な運用では従業員の不満が出ることもあります。パルスサーベイを取り入れることで、従業員の納得を得られる制度の運用ができるでしょう。

4-3.ストレスチェック

パルスサーベイは、従業員のメンタルヘルスのチェックにも活用が可能です。従業員は日々の業務の中で、人間関係や業務内容などさまざまな要因でストレスを受けることがあります。

ストレスは業務のパフォーマンスに影響を与えるため、放置したままでは生産性を低下させる可能性もあるでしょう。

短いスパンのパルスサーベイでストレスの状態をチェックしていくことで、ストレスへの早期対応ができます。

5.パルスサーベイを行う際の注意点(デメリット)

パルスサーベイを実施する際は、いくつか注意したい点があります。まず、調査自体が目的とならないよう、実施の意義を従業員と共有することが大切です。

また、調査が従業員の負担にならないよう、配慮しなければなりません。個人が特定されないなど、従業員が率直に回答できるような事前説明も必要です。

パルスサーベイを行う際の注意点をみていきましょう。

5-1.調査の目的や分析結果を共有する

調査の目的や分析の結果は、従業員に共有するようにしましょう。実施の目的が十分浸透しなければ、定期的に調査すること自体が目的となり、マンネリ化する可能性があります。

目的を明確にしてデータを集計・分析し、結果に応じた改善や施策などを従業員と共有することが大切です。目的を知ることで、従業員も調査に対し積極的に取り組むことができるでしょう。

5-2.従業員の負担にならないよう配慮する

パルスサーベイは実施の頻度が多く仕事の時間を削って回答するため、従業員の負担になりやすくなります。

1回の回答時間が長すぎたり、回答方法が煩雑であったりすると、社員のモチベーションは下がるでしょう。有効な回答が得られなくなる可能性もあるため、調査方法には十分配慮しなければなりません。

また、高頻度で行うパルスサーベイは、運用担当者の負担にもなります。作業の量が多い場合、分析や施策に十分な時間がかけられなくなる可能性もあるでしょう。

業務を効率化するツールを利用するなど、運用方法の工夫も必要です。

5-3.個人が特定されないなど事前説明を行う

率直な回答ができるよう、従業員への事前説明も忘れないようにしましょう。回答した内容で人事評価に影響が出る恐れがあれば、本音を控えてしまう可能性があります。

回答により個人が特定されることはないということや、調査内容がどの範囲まで共有されるのかなどを事前にしっかり説明し、納得を得てから行うことが大切です。

6.具体的なパルスサーベイの質問例(項目)


それではパルスサーベイの質問例(項目)について具体的に解説していきます。
質問項目は大きく5つの質問軸に分けて質問を作っていくと作りやすいです。

  • 業務や職場環境に関するに対する質問
  • ビジョンや経営理念に関する質問
  • 処遇に対する質問
  • 人間関係に対する質問
  • 健康に対する質問

パレスサーベイ質問例


  • 同僚や上司には悩みを相談できる方はいますか
  • 成長をサポートする仕組みが整っている会社だと感じますか
  • 職場内で自分の意見は尊重されていると感じますか
  • 今の業務量や業務内容に対して満足していますか
  • ワークライフバランスが実現できるような組織体制が整っていると感じますか
  • 事業部のミッション、ビジョン、バリューを説明できますか
  • 健全な運営が経営理念に従って行われていると思いますか
  • 家族や友人に会社を紹介したいと思いますか
  • 会社の方針やミッション、ビジョン、バリューを理解していますか
  • 仕事を行う上で自身が認められ、尊重されていると感じますか
  • 経営層が信頼に値すると思いますか
  • 自分の働きに対して妥当な賃金をもらえていると感じますか
  • 自分のポジションに満足していますか
  • 現在の評価制度に納得感がありますか
  • 会社の人間関係には満足していますか
  • 上司や同僚は自分を一人の人間として気遣ってくれると感じてますか
  • 上司や同僚は優秀だと感じますか
  • 現在の健康状態に異常はありませんか
  • 睡眠がよく取れていますか
  • 私生活と仕事のバランスが良いと感じていますか
  • 仕事量は社員で正しく分散されていると感じますか
  • 事業部として改善すべきと感じることはありますか
  • 自分には顧客の満足度向上の為に裁量が与えられていると感じますか
  • 顧客の満足度向上の為に、正しいトレーニングを受けてきたと感じますか
  • 上司の指示がお客さまを第一に考えていなかったと感じたことがありますか

7.パルスサーベイは意味がある。正しく活用し、従業員満足度やエンゲージメントを向上につなげよう

パルスサーベイは短いスパンに繰り返し行う従業員調査であり、現時点での従業員満足度が確認できる手法です。課題を見つけて改善していくPDCAを短期間に回すことで、従業員エンゲージメントや満足度の向上に役立ちます。

オンボーディングやストレスチェックなどに活用でき、人事評価の効果検証にも有効です。パルスサーベイで従業員満足度が向上することで生産性は高まり、業績アップも期待できるでしょう。