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ブラザー・シスター制度とは?導入のステップや成功のポイントを解説

作成者: スタンバイ制作チーム|2022/08/10

1.ブラザー・シスター制度とは?

「ブラザー・シスター制度」とは新入社員の一人ひとりに先輩社員がつき、仕事の進め方などをアドバイスする人材育成の制度です。業務の指導だけでなく、仕事への不安など幅広い相談に対応します。

なんでも気軽に相談できるようにするため、同じ職場で年齢の近い先輩社員が担当となるのが一般的です。

ここでは、ブラザー・シスター制度の概要や、メンター制度などほかの手法との違いをご紹介します。

1-1.メンター制度との違い

ブラザー・シスター制度と似た人材育成の手法に、「メンター制度」があります。メンター制度とは、先輩社員が新入社員に対し、人間関係やキャリアについての悩みなど職務以外の相談に対応する制度です。

業務上の指導も行うブラザー・シスター制度とは異なり、主にメンタル面のサポートを行います。また、メンター制度は別の部署の社員が担当する点も、同じ部署で働く先輩社員が担当するブラザー・シスター制度と異なる部分です。

1-2.OJTとの違い

ブラザー・シスター制度は、職場内研修である「OJT」とも異なります。OJTは職場で働きながら先輩社員の指導を受けるという点でブラザー・シスター制度と似ていますが、ブラザー・シスター制度が業務以外に幅広い相談にも対応するのに対し、OJTは基本的に業務上の指導のみを行います。

そのため、OJTの場合、先輩社員との年齢差は特に考慮されないのが一般的です。

 

 

2.ブラザー・シスター制度のメリット

ブラザー・シスター制度は新入社員だけでなく、指導する先輩社員にもメリットがあります。新入社員は先輩社員の指導を受けることで業務を覚え、早く仕事になじめるのがメリットです。先輩社員は新入社員への指導を通じ、マネジメントスキルを習得できます。

ブラザー・シスター制度のメリットについて、新入社員と指導社員に分けてみてみましょう。

2-1.新入社員のメリット

新入社員は先輩社員の指導を受けて業務を習得し、早期に即戦力になることが期待できます。同じ職場の年齢の近い先輩社員から、業務だけでなく職場の人間関係などさまざまなアドバイスを受けられるのもメリットです。

新卒など社会に出たばかりの新入社員にとって、年の離れた上司や先輩社員に悩みを相談するのは躊躇することもあるでしょう。相手が評価に関係している場合、本音では話せないかもしれません。

しかし、年齢の近い先輩社員は新入社員と近い立場であるため不安や悩みに共感してもらいやすく、相談しやすい存在です。

悩みを相談することで仕事への不安が減り、早期離職の防止になります。また、早く職場になじむことで仕事への意欲が高まり、企業に貢献したいというエンゲージメントの向上も期待できるでしょう。

2-2.指導社員のメリット

ブラザー・シスター制度は、指導する社員にとってマネジメントスキルを高めるというメリットがあります。経験の浅い新入社員に業務を覚えてもらうにはどうしたらいいか考え、工夫するという経験により、将来管理職となって部下を指導する際に役立つスキルが身につくでしょう。

また、新入社員の相談を聞き取りアドバイスすることを通じ、問題を解決する能力も養われます。ブラザー・シスター制度により、新入社員と先輩社員双方の人材育成ができるのがメリットです。

 

 

3.ブラザー・シスター制度を実施する手順

ブラザー・シスター制度を導入する際は、手順を踏むことが大切です。まず自社の課題を洗い出し、導入する目的を定めます。

次に、制度の運用方法や対象期間を決めるとともに、指導役の社員を選定しましょう。制度の目的やゴールについて、新入社員と先輩社員の双方に説明することも大切です。

ブラザー・シスター制度を実施する手順について、詳しくご紹介します。

3-1.導入の目的を定める

事前準備として、まずは導入の目的を定めます。目的を達成できたかどうか確認するため、効果測定の手法である「KPI」の設定も行いましょう。KPIとは、目標の達成度合いを計測するための指標です。目的の達成に向かってプロセスが適切に進んでいるかが確認できます。

例えば、定着率の向上を目的とする場合は、離職率や従業員満足度などを設定するとよいでしょう。

期間の設定や制度の運用方法も必要です。先輩社員に指導を一任するのではなく、指導内容は職種によって求められるスキルに沿い、具体的に決めておかなければなりません。

3-2.指導役を決める

次に、指導される新入社員とブラザー・シスターとなる指導役の社員を決定します。指導役は通常の業務に加えて指導を行うため負担が大きく、指導役としての適性を考慮する必要もあることから、選定は慎重に行うことが大切です。

立候補制にするなど、選び方は企業により異なります。目的に合わせ、適切な選び方を検討するとよいでしょう。

選ぶ前提として、業務成績やスキルだけではなく、人格も含めて新入社員の指導役にふさわしい人物であることが必要です。仕事ができるからといって、必ずしも指導役に向いているとは限りません。また、適した社員がいても、本人の意思にかかわらず指導役に任命するのは好ましくないでしょう。

指導社員に新入社員をフォローする熱意がない場合、新入社員にも伝わります。質問や相談がしづらくなり、信頼関係を築くことは難しくなるでしょう。指導役の選任は、あくまでも本人の意思に沿うことが大切です。

3-3.目的やゴールを説明する

新入社員と先輩社員を選定したら、双方に制度の目的やゴールについてよく説明しましょう。目標を達成するために身につけたいスキルや実施する期間、どのような指導を行うかなどのすり合わせを行います。

指導内容を決めず、先輩社員の裁量に任せるのは避けましょう。サポートの内容が人によって異なることにもなり、新入社員に不満が出る可能性があります。

3-4.制度を周知する

制度は当事者だけでなく、会社全体に周知することが必要です。制度の運用は会社全体の取り組みであることを意識してもらわなければなりません。全社員に知らせることで、新入社員や指導社員への協力が期待できます。周囲のサポートを得られれば、より制度の目的を達成しやすくなるでしょう。

そのため、ただ掲示板などで告知するだけでなく、取り組みの様子を社内報で伝えるなど積極的に情報を共有していくことをおすすめします。

3-5.進捗状況の確認とフォローを行う

運用開始後は、定期的な状況の確認やフォローが必要です。新入社員の習得状況を確認し、目標のスキルに達していない場合は改善策を講じます。教育の方法を変える、復習の時間を設けるなどの対策を考えましょう。

指導役の社員には定期的にレポートの提出をしてもらい、面談を実施して良好な関係が築けているか状況を聞き取ることも大切です。自身の業務に影響はないか確認し、問題があればサポートを行うことも忘れないようにしましょう。

4.ブラザー・シスター制度の課題

ブラザー・シスター制度には課題もあります。まず、指導役の社員にも自分の業務があり、指導する仕事が増えることで負担が大きくなるという点です。

また、指導内容を事前に決めるとはいえ、実際に対応する際は指導力にある程度の差が出るのは避けられないでしょう。新入社員と先輩社員の相性が合わず、信頼関係が構築できないケースも出てくるかもしれません。

これらブラザー・シスター制度の課題について、みてみましょう。

4-1.先輩社員の負担が大きい

ブラザー・シスター制度では、指導する先輩社員の負担が大きくなるという課題があります。通常の業務に加えて指導の仕事が増え、残業が増えることもあるでしょう。

指導社員には定期的に業務の状況などを聞き取り、サポートをしていく対応が必要です。実施期間は、ほかの社員に業務の一部を移行するなどの配慮も必要になります。

また、制度は同じ職場内で実施されるため、周囲の社員が積極的に協力して負担を軽くするという対応も求められるでしょう。その点も含め、ブラザー・シスター制度の周知は重要なのです。

4-2.指導力に差が出る

先輩社員の指導力に差があると、新入社員は不公平な感覚を受けるかもしれません。ほかの新入社員はスムーズに業務を覚えて仕事をこなしているのに、指導方法が合わずにまだ仕事がよくわからないという状況は、不満を抱くことにもなるでしょう。

その結果、モチベーションを下げることにもなります。そのような状態を放置すると、離職につながる恐れもあるため注意が必要です。

進捗確認ではスキルの習得状況を確認するとともに、先輩社員の指導について新入社員の感想をヒアリングしていくことも必要になるでしょう。

また、先輩社員に指導力を求めるだけでなく、新入社員に対しても指導を受ける心構えについての教育が求められます。指導社員が熱心に指導しても新入社員に教わる姿勢が見られない場合、指導する意欲を失うことにもなりかねません。

ただ受け身で指導を受けるのではなく、メモをとってわからないことは質問をするなど、積極的に教えてもらう姿勢が大切なことを理解してもらわなければなりません。

4-3.信頼関係を構築できないと運用が困難

ブラザー・シスター制度の運用は、新入社員と先輩社員が信頼関係を構築できないと運用が難しくなります。最初に会社側で食事会などを設定し、信頼関係を築くきっかけを作ることも必要です。

ブラザー・シスター制度は業務を指導するだけでなく、不安や悩みを相談できることに制度の存在意義があります。先輩社員が悩みを理解して共感することにより悩みが解決できれば、新入社員の満足度や会社への信頼は高まるでしょう。

しかし、不安や悩みの解決につながらない場合、まったく逆の結果になる可能性もあります。信頼関係の構築には、人事部がサポートしていく体制を整えていかなければなりません。

 5.ブラザー・シスター制度を成功させるポイント

ブラザー・シスター制度の課題を克服し、成功させるにはいくつかのポイントがあります。指導を先輩社員に任せきりにするのではなく、サポート体制を充実させなければなりません。

また、制度運用を次年度に活かすため、実施の終了後はフィードバックと改善が必要です。

ブラザー・シスター制度を成功させるためのポイントをご紹介します。

5-1.サポート体制を充実させる

新入社員の指導は先輩社員に任せきりにせず、社内で協力し合いサポートする体制を整える必要があります。

先輩社員だけに負担が集中すると、ストレスが大きくなったり業務が停滞したりなどの問題が起こる可能性があるためです。制度を導入する際、サポート体制を整えて対策を講じておくことが求められるでしょう。

指導社員を選定して新入社員との組み合わせが決まったら、自己紹介できる機会を設けて円滑な人間関係の構築を支援します。運用中も気を配り、問題はないか、どちらかが負担を感じていないかを随時チェックしていく体制が必要です。

5-2.フィードバックと改善を行う

実施期間が終了したらフィードバックを行い、目標達成を確認します。目標に届かない場合、何が問題だったかの洗い出しを行いましょう。問題点は次期の運用に向けて改善を行い、マニュアル化を進めます。

改善を重ねて体制が十分に整い、詳細なマニュアルの完成により運用が可視化されることで、制度は社内に定着していくでしょう。

6.ブラザー・シスター制度はフォローが大事

ブラザー・シスター制度は職場内の年齢が近い先輩社員が新入社員に寄り添い、業務指導や悩み相談などに対応する制度です。指導により業務を早く覚えてモチベーションを高め、相談で悩みを解消することにより離職を防ぐことにつながります。

制度の導入は手順を踏むことが大切で、まずは目的を明確にすることから始めましょう。社内への制度周知、および新入社員と指導社員をフォローする体制の整備は、制度を成功させるために不可欠です。ブラザー・シスター制度の導入で、効果的な人材育成を図りましょう。