ここでは、不採用通知を送る必要性についてさらに詳しく解説します。
不採用通知は、自社のイメージを守るために不可欠です。不採用にした応募者は自社に興味をもって応募してくれた貴重な存在であり、今後もなんらかの縁でつながる可能性があります。
取引のある企業に就職する場合も考えられ、自社の顧客となるかもしれません。そのような応募者に対して不採用通知を送らなかったり適切なタイミングで送付しなかったりした場合、自社のイメージが損なわれることにもなります。
新卒採用の場合、ネガティブなイメージが大学の後輩や就職課に伝えられる可能性もあります。SNSに書き込まれて拡散されれば、会社は大きなダメージを受けかねません。
また、スカウト型採用では企業側から声をかけて選考を行います。不採用を伝える際の対応はとりわけ注意が必要であり、しっかりとしたフォローが求められます。
いずれの場合も、採用活動を通じた出会いをきっかけに自社のファンになってもらうという意識が大切です。
不採用通知は単に不採用の事実を伝えるのではなく、手間や時間をかけて応募してもらったことへの感謝の気持ちを伝える目的があります。貴重な時間を割いてくれたことへの感謝を表すことが、今後につなげるためにも大切です。
応募者にとって不本意な結果であっても、感謝の気持ちを伝える言葉があれば受け入れやすくなると思われます。誠意のある対応をする会社だと、ポジティブな印象を与えることができます。
応募者は不採用が決まった場合、次の就職活動を進める予定があります。不採用通知を送らなかったり遅延が生じたりすれば、次の就職活動を円滑に進められなくなるでしょう。
そのため、結果が出たら早めに通知することが大切です。送るタイミングが遅すぎると、誠意のない会社だとマイナスのイメージを抱かれる可能性もあります。
送る人数が多いときは一斉に送信できるメールが便利であり、緊急性があるときは電話がおすすめです。Web会議であれば、メールや電話などでは伝わりにくい細かいニュアンスを伝えられます。
ここでは、不採用通知を伝える4つの手段をご紹介します。
メールは会社側・応募者のどちらにも都合の良いタイミングで送信・確認ができるため、負担が少ない手段です。応募者が多く、多数の不採用通知を送らなければならないときにも適しています。
ただし、テンプレートを利用していると明らかにわかる不採用通知は印象が良くないのがデメリットです。他のメールに紛れやすく、確実に読まれるかはわからないという懸念もあります。また、宛名やメールアドレスの間違いには十分注意しなければなりません。
できるだけ早く結果を伝えたいときは、電話が便利です。電話は相手と同時にコミュニケーションできるため、確実に結果を伝えることができます。より誠意が伝わりやすい手段ですが、電話をかける採用担当者には手間と心理的な負担がかかります。
また、口頭の伝達の場合、伝え方によっては相手に誤解を与える場合もあるため注意が必要です。電話は履歴が残らないため、あとで「言った言わない」というトラブルになる可能性もあります。
近年はWeb会議システムを使って面接を行う企業が増えており、不採用を伝える手段にも使われています。お互いの顔を見ながら会話できるため、メールや電話では伝わりにくい細かいニュアンスも伝えることができます。応募への感謝の気持ちが伝えられることで、誠実な印象を与えることもできるでしょう。
ただし、電話と同じく担当者にとって負担がかかるため、人数が少ない場合に採用できる方法です。
近年の不採用通知は手紙に代えてメールを採用する企業が増えていますが、履歴書や応募書類を応募者に返送する場合は一緒に不採用通知を送る手段がとられる場合もあります。手紙での通知は、選考結果を確実に伝えられるのがメリットです。
ただし、多人数に郵送する場合、発送の手間やコストがかかるというデメリットがあります。
テンプレートを利用したような書き方をするのではなく、誠意が伝わるようにオリジナル性を意識して作成してみてください。
各項目の書き方や注意したい点をご紹介します。
件名は、ひと目で選考結果だとわかる内容にします。応募者は複数の会社にエントリーしているケースが多く、就職活動以外にも多くのメールを受け取っている場合があります。よくわからない件名の場合、他のメールに埋もれたり、重要な書類と思わず開封をあと回しにしたりしてしまうかもしれません。
「選考結果のご連絡(〇〇株式会社)」といった件名にすればすぐにわかり、早く開封してもらえます。
不採用通知には応募者名と差出人の記載が必要です。応募者名は苗字だけでなくフルネームで記載してください。誤字・脱字などのないよう、リストをよく確認しながら記載しましょう。
差出人は会社名・担当部署・住所・電話番号などを記載します。会社としての意思決定であるため、個人名ではなく部署名で送ることがポイントです。
不採用通知の場合、ビジネスメールで使う「時候の挨拶」や「季節に絡めた気遣いの言葉」などは必要ありません。
その代わり、多くの企業の中から自社を選び、応募してくれたことへの感謝の言葉を添えます。不採用通知が高圧的な印象にならないためにも、謝意を表す言葉は大切です。丁寧に感謝の気持ちを伝えるようにしてください。
本題として、選考結果を伝えます。「不採用」という直接的な表現は避け、「今回は採用を見送らせていただくこととなりました」といった表現を使ってください。
さらに応募者の気持ちに配慮し、「慎重に審査を行った結果、ご期待に添えず申し訳ございません」などの一文を添えると印象が良くなります。
特に不採用の理由を記載する必要はなく、伝えるかどうかは企業の判断に任せられます。
履歴書など応募の際に受け取った書類について、どのように取り扱うかの記載も必要です。大切な個人情報が記載された重要な書類であり、返却するのか自社で処分するのかを必ず記載しなければなりません。
書類を郵送で返却する企業もありますが、応募者が多く対応しきれない企業もあるかと思います。その場合は、「自社で責任を持って破棄する」という内容の一文を添えてください。
最後に結びの言葉を添えます。ここでも不採用通知を受け取った応募者の気持ちに配慮し、「〇〇様の今後のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます」といった言葉を入れると丁寧な印象です。
不採用となった応募者のなかには、最後まで迷ってやむをえず採用を見送ったという人もいるでしょう。そのようなケースでは、面接の担当者が「このような結果になり残念です。ご活躍をお祈り申し上げます」など、手書きで一言添えるのもおすすめです。
応募者が選考にかけた時間なども考慮し、内容を変えていきましょう。
書類選考に通過しなかった場合の例文は以下のとおりです。
件名:【選考結果のご連絡】株式会社◯◯◯◯ ◯◯ ◯◯様(応募者のフルネーム) 株式会社◯◯◯◯の◯◯(採用担当者名)と申します。 このたびは、数ある企業の中から弊社の求人にご応募いただき、誠にありがとうございます。 応募書類をもとに慎重に選考した結果、誠に残念ではございますが、今回はご期待に添えない結果となりました。大変申し訳ございません。 何卒ご了承くださいますようお願いいたします。 なお、お預かりした応募書類につきましては、弊社にて責任をもって破棄いたします。 ご応募いただいたことに御礼申し上げると共に、略式ながらメールにて通知申し上げます。 末筆になりますが、◯◯様のこれからのご活躍をお祈り申し上げます。 --------------------------------------------- |
面接試験を通過しなかった場合の例文は以下のとおりです。
件名:【選考結果のご連絡】株式会社◯◯◯◯ ◯◯ ◯◯様(応募者のフルネーム) 株式会社◯◯◯◯の◯◯(採用担当者名)と申します。 この度は、多数の企業の中から弊社にご応募いただきまして、誠にありがとうございました。 また先日はお忙しい中、面接にお越しいただきましたこと、重ねて御礼申し上げます。 厳正なる審査の結果、誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただくこととなりました。 ご希望にそえず恐縮ではございますが、ご了承くださいますようお願いいたします。 なお、こちらでお預かりした履歴書等の選考書類につきましては、履歴書に記載されておりますご住所に郵送させていただきます。 本日投函致しましたこと、ご報告いたします。 人事部一同、◯◯様の今後一層のご活躍をお祈り申し上げます。 この度は、誠にありがとうございました。 略儀ではございますが、メールにてご通知申し上げます。 --------------------------------------------- |
応募者は選考の結果を早く知りたいと考えています。そのような応募者の気持ちに配慮し、不採用通知は結果が決まり次第、迅速に送ることが大切です。素早い対応は誠意が感じられ、同じ不採用の通知であっても応募者の印象が違います。
事情により変わりますが、書類選考や面接から3日〜1週間以内に通知をするのが一般的です。通知までに1週間以上かかる場合は、いつ頃に連絡できるかを伝えておくと応募者も安心できます。
メールを送る際、送信先の確認は重要です。別の応募者と間違えていないか、必ずチェックしなければなりません。
応募者が多いなかで確認が十分に行われない場合、選考過程を通過した応募者に誤って不採用通知を送ってしまう可能性もあります。大きなトラブルに発展する場合もあり、ダブルチェックなど十分な確認が不可欠です。
また、同じ人に2度送付してしまうというミスも避けなければなりません。
件名は、メールの内容がわかるようにしてください。就職・転職活動を行なっている応募者は、他社や転職サービスなどから多くのメールを受け取っており、わかりにくい件名のメールは受信トレイで埋もれてしまう可能性があります。
例文にも記載したように、件名に社名を記載することでどこからのメールかひと目でわかります。また、【選考結果のご連絡】のようにメールの内容をカッコ書きで囲んで、目に留まりやすくすることも工夫の一つです。
メールで不採用通知を送るとトラブルになる可能性がある場合、電話と併用することをおすすめします。例えば、通知が予定していた期日より遅くなったときや、個別に謝罪しなければならない事情があるといった場合です。
電話だけでは発言内容の記録が残らないため、あわせてメールや文書でも通知しておけば間違いありません。
通知で不採用の理由を伝える義務はありませんが、人材紹介会社を経由している場合は紹介会社の担当者に詳細な理由を伝える必要があります。次回以降、ミスマッチのない人材を紹介してもらうためです。
人材紹介会社は企業が求める人材を選定するのが仕事であり、紹介した人材が不採用になった理由をしっかり確認しておかなければなりません。
メールで送る不採用通知は基本的な構成に沿って、適切な内容で作成しましょう。スタンバイでは、不採用の通知文をすぐに作成して送付できるテンプレートを提供しています。不採用通知文のフォーマットを作成したいと考えている方は、ぜひご利用ください。