近年は有料の募集広告でも、掲載時に料金を払うスタイルではなく、応募や採用に結びついた段階で料金が発生する「応募課金型」「採用課金型」などの、成果報酬タイプの広告も増えています。求人を告知する方法としては、人材紹介会社を経由、転職フェアへの出展などもありますが、求職者を手軽に集められ、母集団形成が容易なのは募集広告です。
インターネットを利用した募集広告では、ページの上位に表示されるオプションなど、採用の成功率を高められる施策も用意されています。どのような人を採用したいのかによって、適切な募集広告の媒体は変わるため、採用を成功させるためには、求人媒体の選択が重要です。
インターネット上に募集広告を掲載し、求職者に応募してもらうスタイルがWeb媒体です。Web上には多数の求人サイトが展開されています。求人サイトだけではなく、自社サイトやSNSなどに出稿する募集広告もあります。
インターネットが普及し、多くの人がスマホを日常的に使うようになった現在では、Web媒体が主流の出稿方法です。
紙媒体での募集広告には、新聞本紙の広告や折込チラシ、フリーペーパー、ポスティングのチラシなど多くの種類があります。インターネットが登場する以前は、募集広告の主流は紙媒体でしたが、現在では脇役的存在になったといえるでしょう。
媒体によっては、紙とWebの両方で展開している場合もあります。フリーペーパーに掲載された情報が、そのままWeb上にも転載されるといった媒体もあるため、求人の種類によっては活用するのも一案です。
Web媒体による募集広告のメリットは、紙媒体と比較して早さや手軽さ、リーチの広範さなどを持つ点です。インターネット経由であるため、情報を登録すれば、即座に反映されて公開されます。
動画でのアピールができるのも、インターネットならではです。無料で掲載できるWeb媒体も多数あります。具体的な内容を、以下で示します。
Web媒体の募集広告は、情報を早く、広く届けられるのが特徴です。紙媒体と異なり、印刷に回す手間がない分、情報の流通が早くなります。インターネットを経由するため、全国の人に、時間を問わずに見てもらえるのも利点です。
Web媒体の広告は、求職者による検索という行為を介して、目に触れることが多い性質を持ちます。情報量や検索性を工夫すれば、採用したい人材に見てもらえる可能性が高まる点もメリットです。
Web上の求人媒体によっては、無料で掲載できるものもあり、広告掲載のハードルが極めて低いといえます。とくにスマホを使いこなしている若い世代にアプローチするには、Web媒体の利用が適しています。
画像はもとより、動画を組み込んで、社内の雰囲気や仕事の内容などをアピールすることも、Web媒体なら可能です。
メリットの大きいWeb媒体の募集広告ですが、デメリットがないわけではありません。多数の情報が羅列されるWeb媒体のなかでは、いかにして求職者に見つけてもらうかが大事です。
また、求職者側は簡単に求人情報にリーチできる反面、応募も手軽にできるため、採用確度が低くなる難点もあります。以下に、Web媒体のデメリットを詳述します。
Web媒体の募集広告は、前述のとおり、検索で探されることが多いのが特徴です。検索条件にあてはまらない求人は、検索結果に表示されることがなく、求職者の目に留まらない可能性があります。
同時に掲載される求人数が膨大なため、表示されていても見逃されたり、募集条件が見劣りしたりしてしまい、応募につながらないなどの懸念があることも、デメリットです。知名度の低い企業の場合、不利になることも考えられます。
Web媒体の求人サイトは数が多く、どれを選べばよいかわかりにくいことも、難点に挙げられます。
Web媒体での求人募集は、手軽に広告を打てることがメリットですが、求職者側もクリック1つで簡単に応募できます。応募のハードルが低いのは、応募者増には良いことであるものの、その分、条件などを精査せずに応募する例が増え、直前のキャンセルなどにつながりやすいことはデメリットです。
検索に引っかからなければ応募してもらえないデメリットとあわせて、費用に見合った効果が必ず得られるとはいえない点には注意が必要です。
紙媒体による募集広告は、特定の地域にのみ配られ、小さなスペースに情報のすべてが収まっています。求人によっては、こうした特徴がメリットに働く場合があります。
コンパクトなスペースに必要事項がまとめられているため、一覧性が高く、求職者に見てもらえる可能性が高まるのも特徴です。以下で、紙媒体のメリットについて説明します。
紙媒体の募集広告は、駅やコンビニなどに置かれている無料の求人誌や、新聞の折込チラシなどが中心です。いずれも配布エリアが限られるため、地域に特化した求人に適しています。
シニア層をターゲットとした求人には、購読率が高い新聞の折込チラシなど紙媒体が効果的です。また、Web媒体では掲載期間が過ぎると広告は消えてしまいますが、紙媒体なら求職者の手元に残ることもメリットといえます。
紙媒体はパラパラとめくられることが多く、Web媒体のように検索して探すものではないため、偶然に自社の募集広告が求職者の目に留まることもあり得ます。一覧性の高さが、紙媒体の良さであり、メリットに挙げられます。
紙媒体の募集広告が抱えるデメリットは、紙媒体であることの制約にともなうものです。紙に印刷された募集広告を配るという性質上、印刷された後に修正するのが難しい点がデメリットの代表例です。物理的なサイズが決まっているため、掲載可能な情報量が制限されるという弱点もあります。
以下に、紙媒体のデメリットを解説します。
紙媒体は、紙に印刷する必要がある以上、発行後の修正は困難です。Web媒体なら、リアルタイムで情報を都度更新することも可能であり、この点は紙媒体には真似のできない点です。
メリットと裏腹の関係になりますが、採用が終了しても、紙媒体には求人が掲載され続けます。そのため、募集を終えた後も問い合わせなどが入る可能性があります。
新聞の折込チラシでも無料の求人情報誌でも、紙媒体の募集広告の掲載スペースには限りがあります。求職者に訴えかけられる情報量に制限があるため、掲載する内容は必要なものだけに絞り込まざるを得ません。
動画を活用した訴求ができないのはもちろんのこと、画像の掲載も少ない枚数にせざるを得ないなどの制約があります。
このうち、応募課金型と採用課金型は、成果報酬型広告という形式に分類されます。ここでは、4種類の料金モデルについて解説します。
募集の登録から採用まで、どの段階でも課金されないのが、完全無料型の募集広告です。完全無料型には、以下の媒体があります。
店頭ポスターは、「アルバイト募集」などと書かれて、店先に張り出されているポスターのことです。ポスターだけで求人するのではなく、求人情報サイトなどと並行して利用されることが多いとされます。
ハローワーク(公共職業安定所)は、職業紹介や雇用保険関連の業務などを一体的に行う国の機関です。ハローワークは営利企業ではないため、無料で求人の掲載ができます。掲載された求人は、全国に544か所(2022年4月1日現在)あるハローワークの施設内端末で検索できるほか、インターネットからの検索も可能です。
求人情報は、企業の所在地を管轄するハローワークに申し込めば、全国のハローワークで共有されます。難点としては、求人票が手書きであることや、掲載まで時間がかかることなどが挙げられます。
出典元:厚生労働省「公共職業安定所(ハローワーク)の主な取組と実績」
求人を掲載した期間や広告枠の大きさによって、料金が決まるのが掲載課金型です。採用人数や応募者数などに関係なく、掲載期間を基準に料金が決定されます。一部の求人情報サイトが、このタイプの課金方式を採用しています。
多人数の採用になるほど、1人あたりの採用コストが低くなる点がメリットです。その反面、採用が不調に終わった場合も料金が発生する点には、注意が必要です。採用数が少なければ、割高な採用手法となってしまう可能性もあります。
クリック課金型は、求人広告の掲載時点では費用がかからず、その広告がクリックされて初めて費用が発生するタイプです。求人特化型の検索エンジンで、このスタイルの課金方式が採用されています。
求人特化型の検索エンジンは、掲載される求人情報を自動収集している点が特徴です。インターネット上をクロールし、多数存在している求人情報を集めて一覧表示しているため、雇用形態を問わず、さまざまな求人情報が数多く掲載されます。
求人広告のクリック数に応じて課金されるため、費用対効果のバランスがよいことがメリットです。無駄なコストをかけたくない企業に向いた広告形式だと言えます。
応募課金型は、募集広告を見て、応募があった段階で料金が発生する広告タイプです。成果報酬型広告の一種で、応募があるまではコストがかかりません。
応募者数が増えると、課金も大きくなってしまいます。自社が求める人材からの応募が集まるように、「こんな人材が欲しい」という具体像を明示するなど、掲載する情報には工夫が必要です。アルバイトの募集は料金が安く、正社員なら高いというように、採用形態によって料金が変わる特徴があります。
応募ではなく、採用の段階で料金が決まる成果報酬型広告が、採用課金型に分類されます。こちらも、採用という結果が出るまでは課金が発生しません。応募者をじっくり見極めたい場合に選択するとよい方法です。
採用人数が増えるのに応じて支払う料金が増えるため、コスト増を懸念する心理的なハードルから、採用を思うように増やせない悪影響があるとも指摘されています。
この項では、効果が出やすい募集広告を作るためのポイントを、4つに分けて解説します。
新卒採用、中途採用を問わず、採用したいターゲットを明確にすることが重要です。どのような人材を採用したいのか、求める人物像(ペルソナ)を自社でしっかり設定しましょう。
ターゲットとなる人材に求めるスキルや経験、年齢、望ましい人柄などを書き出しておくと、選考にブレが生じにくくなります。ターゲットを明確にしていないと、募集の内容がありきたりなものになり、求職者に刺さりにくくなってしまいます。
ターゲットを明確に定めたら、ターゲットとなる人材が閲覧していそうな媒体を、募集広告を出す対象に選定します。媒体選びで重要なのは、その媒体でアプローチできる求職者のなかに、採用ターゲットとなる人が多数存在することです。
無料で掲載できる媒体でも、登録者数が多い大手媒体でも、そこに採用ターゲットがいなければ、採用にはつながりません。とくにWeb媒体は数多くあり、専門業種特化型や、中途採用に強みがあるなど、それぞれに特徴があります。採用成功のためには、媒体の特性を見抜き、自社の採用ニーズにマッチした媒体を選ぶことが必須です。
求人媒体に掲載する原稿は、ターゲットに合わせて書くことがおすすめです。ターゲットによって原稿の内容を変えれば、求めるターゲット像に訴求しやすくなります。具体的なターゲットを絞って原稿を書くことで、イメージがわいて応募しやすくなる効果も期待できます。
「高収入」「未経験でもOK」など、求職者の目を引きやすいキーワードだけを並べるのは危険です。意欲のない応募者が集まる可能性があります。必要な条件があるなら、「基本的なPCスキルは必要」といった補足情報も書き入れましょう。
求職者は、自社の求人募集だけを見ているわけではありません。求職者が欲しいと思う情報が、わかりやすく記載されていなければ、他社の募集広告に目を移してしまう可能性があります。
求職者が求めている情報として、代表的なものを以下に例示します。
これらの情報は、新しく、正確な内容で掲載することを意識しましょう。掲載内容と実態が異なると、トラブルになったり、早期離職を招いたりする懸念があります。
効果的な求人募集には、ターゲット人材の明確化や、適切な媒体選定が必要です。それに加えて、求人募集の広告をターゲット人材に訴求するように書くことで、採用活動が成功に近付く可能性が高まります。募集広告をうまく活用して、求める人材の獲得に役立てましょう。