不採用通知を出したあと、応募者から不採用理由について問い合わせを受けるケースがあります。不採用理由について告知する法的義務はなく、伝えなくても問題はありません。
採否を決定する企業には広い裁量があり、採用の判断は自由に行えます。この自由には不採用の理由を公開しないことの自由も含まれているという裁判所の判断があります。そのため、不採用理由の問い合わせに答えなくても違法ではありません。
不採用理由を伝える必要がないばかりではなく、むしろ伝えることでトラブルになる可能性があります。
問い合わせがあった場合、基本的には「当社規定により回答いたしかねます」といった回答をします。
「どうしても知りたい」と問い詰められたら、以下のような内容にとどめることをおすすめします。その際は、丁寧な返答を心がけてください。
「応募多数により選考基準が高くなり、相対的評価により止むを得ずこのような結果となりました」
「〇〇様の経歴やスキルは魅力的でしたが、弊社が求める人材の要件とは見合っていませんでした」
なお、採用する際に人材紹介会社を利用した場合、人材紹介会社の担当者には不採用理由を伝える必要がありますが、これはあくまでも例外です。人材紹介会社への対応は、あとの項目でお伝えします。
不採用理由を伝えることで、その内容に納得できない応募者とのトラブルに発展するなどのリスクがあります。不用意に伝えると、自社の選考基準が漏れることにもなりかねません。
ここでは、不採用理由を伝えるリスクを解説します。
不採用理由について具体的に説明した場合、それに納得してもらえなければトラブルに発展する可能性もあります。
詳細を説明するよりも、「応募が多かったため」「会社の方針で不採用の理由は誰にも公開していない」といった説明を丁寧にしておくのがよいでしょう。
不採用ということ自体に納得できず、理由を問い合わせてくるケースもあります。理由を説明するとさらに反論されることにもなりかねないため、「不採用となった理由は皆様にお伝えしておりません」と答えるなど、不採用の理由には触れないようにしてください。
不採用理由についての問い合わせとともに、選考過程についてのクレームが入る場合もあります。不採用通知を受け取ったことで、不満だったことが表に出てくるケースです。
面接で失礼なことを言われた、不採用通知が遅いなど、選考過程に何らかの問題があったことに対してクレームが入る可能性があります。そのような事実があったかを確認し、企業側に非がある場合は謝罪が必要です。その際は、今後同じことが起こらないよう体制の見直しも行ってください。
不採用理由を具体的に伝えた場合、自社の選考基準が社外に漏れる可能性があります。理由を聞いた応募者がTwitterなどのSNSで発信すれば、その内容は広く拡散されてしまうリスクもあるでしょう。
選考基準が簡単に漏れてしまうような会社の体制に疑問がもたれ、信頼を損ねることにもなります。
不測の事態を避けるためにも、不採用理由を聞かれたときの対応は明確にしておかなければなりません。
不採用理由を含めた応募者からの問い合わせには、マニュアルを整備しておくことも必要です。応募者からは、不採用理由だけでなくさまざまな内容の問い合わせがあるかと思います。場当たり的に対応するのではなく、対応方法や受け答えのルールを明確にしておいてください。想定できる問い合わせ内容をリスト化し、回答を文章にして答える内容を統一します。
マニュアルでは判断に困る問い合わせは、上長に引き継ぐなどの対応も必要です。
不採用理由を聞かれたときの対処法だけでなく、不採用通知を送る際は注意がしなければなりません。まず、不採用通知は応募者への感謝を伝えてください。
ただ不採用の事実を伝えるだけでは、誠意が感じられません。企業イメージを損なわないためにも、ポイントを押さえた不採用通知が必要です。
以下の点を確認しておいてください。
それぞれ、詳しく説明します。
不採用通知の方法は主にメール・郵送・電話の3種類ですが、基本的にはメールで問題ありません。メールはすぐに連絡でき、双方に履歴が残ることもメリットです。
メールは電話と異なり言葉に感情がのせられないため、文面には十分注意が必要です。誠意が伝わるよう、丁寧な表現を意識してください。
また、メールで送る場合はほかのメールに埋もれて気づくのが遅くなる可能性があるため、件名に注意しなければなりません。「【選考結果の連絡】〇〇株式会社」など、メールの内容とどこからのメールかが一目でわかるようにしてください。
特に急ぐときや連絡事項がある場合、トラブルになりそうなときなどは電話で連絡します。
電話で不採用通知をする際は、不採用である事実を簡潔に伝えることが大切です。丁寧に伝えようとして余計な言葉を挟むと、本当に伝えるべきことが伝わらない可能性あります。認識のズレが発生してトラブルにつながりかねません。
あとで「言った・言わない」のトラブルが起こらないためにも、後日メールなどで改めて通知することが必要です。
電話する場合は、かけるタイミングにも注意しなければなりません。相手の迷惑にならない時間帯を選んでください。
午前中に連絡すれば、不在の場合でも昼休みや夕方に折り返しの連絡をもらえる可能性が高く、早めの通知ができます。
不在の場合でも、留守電に不採用通知をするのはNGです。誠意のない対応と思われてしまいます。必ず改めて電話することだけをメッセージに残し、必ず本人に直接不採用の内容を伝えてください。
また、電話の場合は不採用理由について問われる可能性があるため、対応方法も事前に準備しておかなければなりません。
応募書類を返却する場合は、不採用通知と一緒に書面で送る方法もあります。書面での通知は丁寧な印象を与えられるのがメリットです。本人の元に確実に届けられるという利点もあります。
郵送の場合は、書類を折らずに済む封筒を選びます。クリアファイルに入れればより丁寧です。表には「親展」と記載してください。中身が透けない封筒を選ぶ配慮も必要です。
郵送は不在であっても届けられるためにポスト投函できるもの(普通郵便・特定記録)を選びます。普通郵便は配達の記録は残りませんが、料金を安く抑え、ポストからの投函もできて便利です。特定記録は追跡番号が付与され、郵送したことを証明できます。
個人情報の記載された履歴書や職務経歴書も一緒に返送する場合は、本人に直接手渡す簡易書留やレターパックにするとよいでしょう。
不採用通知はできるだけ早く行ってください。できれば書類を受け取った日もしくは面接の日から3日以内、遅くとも1週間以内がベストです。応募者は一刻も早く結果を知りたい状況であり、不採用であればすぐ次の行動に出たいと考えています。通知が遅くなる場合は連絡が必要です。遅れた不採用通知はクレームの原因にもなるため、注意が必要です。
また、募集要項などで結果の連絡について何時ごろになるかの目安を示しておけば、応募者も安心して応募できます。面接の際に伝えるのもおすすめです。
近年は不採用通知を送らない企業も多く、「サイレントお祈り」という言葉が広まっています。不採用通知の最後に添えられる「ますますのご活躍をお祈り申し上げます」などの言葉から、不採用通知は「お祈りメール」と呼ばれています。
このお祈りメールがこないことが「サイレントお祈り」なのです。不採用通知がくるまで応募者は採用か不採用か判断ができません。企業の信用を保つためにも、不採用通知の早い送付が必要です。
応募者から受け取った履歴書などの応募書類は、個人情報を含む重要な書類です。慎重に扱い、不採用通知の際にはどのように取り扱うかを伝えなければなりません。
対応方法は返却をするか、シュレッダーをして破棄するかの2とおりです。不採用が決まったあと、応募書類がどのように扱われるのかわからなければ応募者は不安になります。どのような方法で不採用通知をするにしても、応募書類の取り扱いについての説明は欠かせません。
管理も厳重に行ってください。返却を予定している応募書類は汚れや傷をつけないよう、クリアファイルに入れるなどして大切に保管します。処分する場合も、応募者情報へ「いつ、どのように処分したか」を記録することが大切です。
不採用通知は選考結果を早く応募者に伝えるとともに、応募してくれたことへの感謝を伝える目的があります。
応募者は自社に興味をもち、応募してくれた貴重な存在であり、今後も何らかの形でご縁がある可能性があります。不採用通知でも丁寧に対応し、良いイメージを与えることが大切です。
ここでは、メール・電話・郵送で送る不採用通知について、例文をご紹介します。
メールに記載する基本的な項目は、以下のとおりです。
応募者の氏名はフルネームで記載してください。本題に入る前は挨拶文として、応募に対する感謝の気持ちと、面接の時間確保に対する御礼を伝えます。
応募してくれたこと、面接のために来社してくれたことへの感謝を伝えることは重要です。不採用という喜ばしくない内容であっても、感謝の言葉があれば気持ちも和らぎます。
結果については「不採用」という直接的な言葉は避けて、「ご希望に沿いかねる結果となりました」など配慮のある言葉遣いにすることが大切です。
メールの文面は、書類選考・面接・最終面接と、不採用になった段階により変わります。それぞれの例文をご紹介します。
書類選考の段階で不採用とする場合、以下の文章を参考にしてください。
件名:【選考結果のご連絡】〇〇株式会社 ◆◆ ◆◆ 様 この度は数多くの企業の中から弊社にご応募頂き、誠にありがとうございます。 さて、◆◆様の応募書類をもとに社内で慎重に検討しました結果、今回は採用を見送らせていただく結果となりました。せっかくご応募いただいたにもかかわらず、誠に申し訳ございません。 メールにて大変失礼とは存じますが、何卒ご了承くださいますようお願いいたします。 お預かりしている応募書類につきましては、履歴記載の住所へ返送いたしますのでご査収ください。 末筆になりますが、◆◆様の今後ますますのご活躍をお祈り申し上げます。 〇〇株式会社 |
面接で不採用とする場合は、以下の文章を参考にしてください。
件名:【選考結果のご連絡】〇〇株式会社 ◆◆ ◆◆ 様 この度は、弊社の中途採用募集へご応募いただき、誠にありがとうございます。 さて、社内で慎重かつ厳正に検討を重ねました結果、誠に遺憾ながら今回は採用を見送らせていただく結果となりました。せっかく応募いただいたにもかかわらず、誠に申し訳ございません。 今回は予想を上回る多数のご応募をいただき、弊社といたしましても議論を重ねた上での決定であることを申し添えます。 お預かりしている応募書類につきましては、弊社にて責任を持って処分いたします。 末筆になりますが、◆◆様の今後ますますのご活躍をお祈り申し上げます。 〇〇株式会社 |
最終面接で不採用となった場合は、以下の文章を参考にしてください。
件名:【選考結果のご連絡】〇〇株式会社 ◆◆ ◆◆ 様 この度は、弊社の中途採用募集へご応募いただき、誠にありがとうございます。 ◆◆様の応募書類やこれまでの面接でのお話を踏まえ、社内にて厳正に検討した結果、 残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただく結果となりました。 ◆◆様のお人柄やこれまでのご経験は自社にとって魅力のあるものでしたが、予想外の応募で採用枠が限られてしまいました。 ご要望に添えず大変恐縮です。何卒ご了承お願い申し上げます。 なお、ご応募時に提出いただいた書類につきましては、弊社にて破棄させていただきます。 末筆になりますが、◆◆様の今後ますますのご活躍をお祈り申し上げます。 〇〇株式会社 |
最終面接の場合、担当者と応募者は何度も顔を合わせて懇意となっているケースも多いかと思われます。担当者からのメッセージも入れておくと、より好印象になるに違いありません。
また、最終結果まで残った応募者は選考基準に達していたにもかかわらず、採用枠のために不採用となるケースも多々あります。そのため、再選考の必要ができたとき不採用取り消しをする可能性があることを考慮した文面にするのも一つの方法です。不採用取り消しについては、このあとの項目でご紹介します。
電話はメールや郵送で送る書面のように修正がきかないため、事前に会話内容をまとめたスクリプトの準備が必要です。何も準備をせずに連絡をすると、トラブルが起きる可能性もあります。
会話の流れや、伝えたいことなどポイントをまとめておけば、失礼な言葉遣いや連絡ミスを防ぐことができます。
電話での会話例は、以下を参考にしてください。
〇〇株式会社の採用担当△△です。 ◆◆様のお電話でお間違いありませんか。 ただいま、お時間よろしいですか。 このたびは弊社へご応募いただき誠にありがとうございました。 (面接段階の場合)先日はお忙しいなか、弊社までご足労いただきありがとうございました 社内で慎重に検討しました結果、残念ながら今回は採用を見合わせていただくこととなりました。 ご希望に添うことができず、大変申し訳ございません。 お預かりしていた書類は弊社で責任をもって破棄いたします。 ◆◆様の今後のご活躍をお祈りしております。 |
準備していた内容を話そうとして、一方的な会話になってしまうのは避けてください。相手の反応を確かめながら、丁寧に伝えます。
次に、電話が留守番電話だった場合のメッセージもご紹介します。
〇〇株式会社の採用担当△△です。 ◆◆様のお電話でお間違いありませんか。 ご応募いただいた件でお伝えしたいことがあり、お電話いたしました。 また改めてご連絡させていただきます。 |
郵送の場合も記載する項目は基本的にメールと同じです。そのほか、文章のはじめに拝啓・前略・謹啓などの頭語を入れ、最後に頭語と対になる言葉を記載します。時候の挨拶は特に必要ありません。
応募者の氏名をフルネームで記載するのはメールと同様です。
実際に送る際はいかにもテンプレートという印象にならないよう、応募者に向けた言葉をアレンジするとよいでしょう。手書きできる書面のメリットを活かし、担当者からのメッセージを入れるのもおすすめです。
書面の例文をご紹介します。
令和◯年◯月◯日 ◆◆ ◆◆様 選考結果の通知 拝啓 この度は、弊社の求人にご応募頂きまして誠にありがとうございます。また、先日は履歴書などの必要書類をご送付頂き、重ねて御礼申し上げます。 厳正なる選考を重ねた結果、誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただく結果となりましたことをお伝えいたします。せっかくご応募いただきながらご要望にお応えできない結果になったこと、ご了承くださいますようお願い申し上げます。 なお、ご送付頂いた履歴書などの選考書類を同封いたしました。ご査収ください。 末筆になりますが、◆◆様の今後のご活躍を心よりお祈りいたしております。 敬具 〇〇株式会社 |
不採用通知を送る際は、以下の点に注意が必要です。
ここでは、不採用通知を送る際の注意点を3つご紹介します。
メールや郵送の書面で注意したいのが、同じ文面にしてしまうことです。例文でもご紹介したように、選考段階によって送るべき内容は異なります。
書類選考の段階では「弊社に興味を持ってご応募いただいたこと、感謝いたします」といった内容で、最終面接まで通過した応募者には「弊社まで何度も足を運んでくださり、ありがとうございます」というように、文章を分けることが必要です。
面接や最終面接まで通過して不採用になった応募者にも書類選考で不採用になった場合と同じ内容を送っては、いかにも定型文という印象を与えてしまいます。事務的に送っていると思われても仕方ありません。一人ひとりに送るという意識をもって作成してください。
メール送信の際は、誤送信に注意してください。別人に不採用通知を届けてしまう事態は、企業の信頼を損ねます。送付先を複数人で確認するなどの体制を整えてください。
また、宛名をフルネームではなく苗字だけ記載するのも、誤送信につながりかねません。鈴木さんや田中さんなど同じ苗字を持つ人が複数いる場合、送り間違えて採用の人に不採用通知を送る、もしくはその逆といった事態が起こる可能性があります。大きなトラブルを招く原因になるため、必ずフルネームで記載してください。
郵送の宛先にも十分注意が必要です。履歴書の氏名・住所を確認し、誤字のないよう気をつけてください。
感謝の気持ちを丁寧に伝えようとして、前置きが長くなってしまうことのないようにしてください。一番必要な情報が伝わりにくくなります。あくまでシンプルにまとめることが大切です。
伝えるべき内容がすぐにわかるよう、不採用の内容は初めの段階で記載してください。簡潔に結果を伝えたあとに、労りの言葉を続けます。
応募者には不採用理由について回答する必要はないことを説明しましたが、人材会社を介している場合は不採用の報告が必要です。
人材紹介会社を通じて採用を行う場合、企業は求める人物像や必要なスキル・経験について人材紹介会社の担当者に伝えています。その条件にかなった人材を紹介するのが人材紹介会社の仕事です。しかし、紹介された人材が企業の選考基準を満たさず採用に至らなかった場合、求める人材像についてうまく伝わっていなかった可能性があります。
そのため、不採用の理由を共有し、今後の採用活動におけるミスマッチを防ぐことが必要です。
なお、応募者への説明は人材紹介会社が行うため、問い合わせが来たら人材紹介会社に聞いてもらうよう伝えてください。
不採用通知を送付したあとで、何らかの理由で不採用を取り消したいということもあるかと思います。
欠員が出た場合に採用する可能性がある場合は、あらかじめ募集要項などに繰上げて採用になるケースがあることを記載しておくことがおすすめです。実際に不採用通知を取り消したい場合、応募者に連絡が取りやすくなります。
不採用通知の取り消しを連絡する際は、まずメールや郵送で内容を伝え、そのあと電話連絡をします。不採用通知を出したことをお詫びすることも欠かせません。
不採用通知を取り消す場合の対処法をご紹介します。
不採用通知の取り消しはイレギュラーな対応となるため、まずメールか郵送で取り消したいという内容と理由、お詫びを伝えます。そのあと、電話で連絡をしてください。
メールと電話、それぞれの例文・会話例をご紹介します。
不採用通知の取り消しをメールで送る場合の例文は、以下のとおりです。
件名:【再選考のご連絡】株式会社〇〇〇〇 〇〇 〇〇様 株式会社〇〇〇〇の採用担当△△でございます。 先日は、弊社の求人募集にご応募いただきありがとうございました。 実は、以前ご応募いただいた職種に増員が必要となりました。 〇〇様が現在もお仕事を探しておられるようでしたら、ぜひ再びお話させていただきたいと思い、大変恐縮ながらご連絡をさせていただきました。 すでに他社にてご活躍の場合は、失礼をお許しください。 お忙しいなか大変恐縮ですが、お話の機会をいただけるのであれば、ご連絡いただきたく存じます。 〇〇株式会社 |
不採用の取り消しではなく、ほかのポジションで募集をしている連絡をする場合もあります。選考基準は満たしながらも採用枠の関係で不採用とした人がいる場合、一から募集をかけるよりもそのような人に声がけする方が効率的です。
ほかのポジションで再度募集をかけたい場合の例文は以下のとおりです。
件名:【再選考のご連絡】株式会社〇〇〇〇 〇〇 〇〇様 株式会社〇〇〇〇の採用担当△△でございます。 先日は、大変申し訳ないご連絡を差し上げましたが、その後いかがお過ごしでしょうか? 実は以前ご応募いただいた職種とは別のポジションで欠員が出ましたため、ご連絡させていただきました。 もし〇〇様が今も就職活動をされているのでしたら、再選考という形になりますが、ぜひお話させていただきたいと思いご連絡いたしました。 前回は採用枠の関係で残念な結果とはなりましたが、〇〇様の高いスキルは弊社の発展のために必要であり、ご活躍いただけると考えています。 一度お断りの連絡をしたにも関わらず、このようなご相談を差し上げること、誠に申し訳ございません。 しかしながら、〇〇様と一緒に仕事ができないかと考え、ご連絡させていただきました。 お忙しいなか大変恐縮ですが、お話の機会を設けていただけるのであれば、ご連絡いただけますよう、お願い申し上げます。 〇〇株式会社 |
文書を送ったあと、電話を入れる際は、次のような会話を行います。
株式会社〇〇〇〇の採用担当△△でございます。 〇〇様の電話で間違いありませんか。 先日は弊社にご応募いただき、ありがとうございました。 その節は〇〇様に不採用という申し訳ないご連絡を差し上げましたが、実はご応募いただいた職種で増員が必要となりました。 もし、現在もお仕事を探しておられるのであれば、再びお話をさせていただきたいと思いご連絡いたしました。 弊社では事業拡大のために優秀な人材を必要としており、〇〇様のお力をお貸しいただければと考えています ご検討いただけますか? |
応募者への連絡は、一度断った非礼について丁寧にお詫びすることが大切です。真摯なお詫びの気持ちを伝え、応募者が自社にとって必要な人材であることを説明してください。
一度は不採用にしているため、取り消しと言われても応募者の気持ちは複雑です。すべての人が快く思うわけではないということを認識しておく必要があります。
お詫びとともに「なぜ、結果が変わったのか」という点を上手に伝えることも大切です。ただ「辞退者が出た」という理由だけでは、都合が良いと感じられる可能性があります。「〇〇さんの力を活かせるポジションが空いた」という説明であれば、「自分の能力が求められている」と前向きに検討してもらえるに違いありません。
なお、採用活動では、一度不採用にした人材とつながりを持つ「タレントプール」という方法を取り入れる企業も増えています。タレントプールとは、自社の採用候補となる人材の情報を蓄えるデータベースのことです。
人材の情報を蓄えることで適切なタイミングで採用候補者にアプローチでき、一から採用活動を行うコストを削減できるというメリットがあります。不採用になった応募者の中には、あともう少しで採用基準を満たす人材や、満たしているものの採用枠の関係で採用を見送った人材もいると考えられます。このような一度不採用になった応募者をタレントプールのリストに入れておけば、採用コストを減らして効率的な人材確保が可能です。
タレントプールを取り入れるためには不採用なった人材のデータベースを作り、不採用通知を出したあとも定期的にSNSやメールで情報発信を行う必要があります。タレントプールに取り組んでいる内容を伝え、採用候補者の関心を維持することがポイントです。
不採用通知を出した応募者から不採用理由について問い合わせがあった場合、回答する必要はありません。安易に不採用理由を説明してしまうと、納得できない応募者とトラブルになったり選考基準が漏れてしまったりする可能性があります。
不採用通知を出す際も、不採用理由については触れないことをおすすめします。不採用通知では自社に応募してくれたことへの感謝の気持ちを込め、丁寧に伝えてください。