求人を出しているにもかかわらず、なかなか応募が来なくて困っている方もいらっしゃるでしょう。まずは、求人募集に応募が来ない原因を理解することが大切です。以下のうち、当てはまるものはないか考えてみましょう。
ここでは、求人募集に応募が来ない原因について解説します。
求人の露出量とは、求職者に求人が見られる回数や機会のことです。そもそも求人を掲載している媒体が少ない場合、当然ですが求人の露出量は少なくなります。
求人媒体には、さまざまな種類があるため、利用する媒体を組み合わせることが大切です。また、一口に求人サイト・求人検索エンジンといっても、さまざまな種類があります。多くのサイトや求人検索エンジンを利用すれば、その分多くの求職者に見てもらうことが期待できます。
また、求人が検索結果に表示される順位も重要なポイントです。順位が上に出てくる求人ほど、露出量が多くなります。世の中には多くの求人が存在するため、何も工夫しなければ、ほかの求人に埋もれてしまいかねません。
ターゲットとなる求職者が検索するキーワードを求人原稿に積極的に含めたり、有料プランで上位に掲載してもらったりすることが効果的です。
求人情報に記載している仕事内容の情報が少ないと、仕事の具体的なイメージを持てず、応募意欲は湧きません。仕事内容は、応募するか否かを決める重要な判断材料です。
情報が少ないと、企業や仕事の魅力が伝わってこないだけでなく、求職者に不信感を持たれてしまう可能性があります。採用担当としても、求職者からのエントリーシートや履歴書に書かれている情報が不十分では、「人物像が伝わらない」「やる気がないのでは」と、採用を敬遠してしまうリスクが高いです。求人情報が不十分な場合、同じことが起こります。
また、応募時に予想していた業務とは異なる雑務も多く引き受けなければならないのでは、という憶測を呼んでしまい、応募する気がなくなってしまう可能性があります。
誰が読んでも働き方や仕事内容が具体的にイメージできるような、わかりやすい求人原稿を作成しましょう。原稿を作成したら、求職者の目線に立って読み直してみてください。
掲載している情報が古いと、「現在は募集していないのでは」と勘違いされてしまい、応募が集まりません。採用活動に力を入れていないという悪い印象を与えてしまう可能性もあります。
また、求人情報だけでなく、企業のWebサイトに掲載されている求人情報や採用ホームページの内容も更新する必要があります。
多くの求職者が、求人情報を見た後に、Webサイトや採用ホームページもチェックしています。求人情報に掲載されている内容とサイトの内容に違いがあると、求職者が混乱してしまい、応募を敬遠されてしまう原因になってしまうのです。
求人サイトや採用ホームページなどに掲載する求人情報が、常に新しいものであるかを確認しましょう。
求人タイトルは、求人情報の中でもはじめに目を通す重要な部分です。Webサイトを検索するとき、タイトルが魅力的なものは思わずクリックしてしまうものです。求人情報も同様に、求人を検索して結果が一覧で表示されたときに、魅力的なタイトルであれば多くの求職者に見てもらえます。一方、タイトルが魅力的でない求人は、そもそも開いてすらもらえない可能性が高いです。
求職者は、タイトルの全文を見るわけではありません。最初の15文字程度を特に工夫し、求人の魅力が伝わるインパクトのあるタイトルを設定しましょう。
いくら魅力的な求人情報を記載しても、求める条件が厳しすぎると、ハードルが上がってしまいなかなか応募が集まりません。厳しすぎる応募条件は、応募意欲を下げてしまいます。
もちろん、募集する仕事をこなすうえで必須の条件については、しっかりと明記することが大切です。必要以上に厳しい条件を記載していないか、見直してみましょう。
特に、人柄については実際に会ってみないと判断しきれません。応募段階で対象を限定しすぎないように気をつけましょう。
雇用条件が同業他社の募集条件に劣っている場合、自社の求人に魅力を感じてもらうことは難しいです。
給与や福利厚生といった募集条件は、仕事内容と同様に求職者が重視するポイントです。同業他社や同業界の平均的な雇用条件を調査し、極端に劣っていないかを確認しましょう。もちろん、記載する募集条件に虚偽や誇大な内容があってはなりません。
また、資格や専門知識、実務経験などについて厳しい応募条件を定めている場合、求職者に求めるレベルと雇用条件が釣り合っていないことがあります。応募がなかなか集まらず、優秀な人材を確保することが困難になります。応募条件に見合わない雇用条件になってしまっていないか、見直してみてください。
参照元:e-Gov法令検索「職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)」
求人媒体が、自社の業種や地域などとマッチしていない場合、求める人材からの応募は期待できません。
求人媒体には、それぞれサービスをよく利用する層が存在し、それぞれ属性は異なります。新卒を集めたいのならSNSを積極的に活用する、というように、自社がターゲットとする求職者がよく見ている求人媒体を選ばなければなりません。
また、同じ会社でも、募集する職種や勤務エリアによって、適切な求人媒体は変わります。「前回多くの応募があったから」「プランが安いから」などといった単純な理由で求人媒体を選ぶのではなく、自社にあった適切な媒体を選択しましょう。
ターゲットに合った求人媒体が何かわからないという方は、求人広告代理店の力を借りるのも1つの方法です。
求職者に刺さる求人原稿を作成するためには、求職者が何を重視して仕事を選んでいるかを理解しましょう。
多くの方が職探しで重視するポイントは、以下のとおりです。
特に中途採用の場合は、前職を退職しようと思った理由や、転職を検討した理由について知ることで、どのポイントを重視して求人情報を作成すればよいかが明らかになります。
ここでは、それぞれのポイントと、求人情報の記載例をご紹介します。
給与や福利厚生は、仕事選びにおいて非常に重要なポイントです。特に、給与への不満から、転職を検討する方は多いです。
職業安定法第5条の3では、給与をはじめとする労働条件の明示について、以下のように定められています。
「公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者、労働者の募集を行う者及び募集受託者並びに労働者供給事業者は、それぞれ、職業紹介、労働者の募集又は労働者供給に当たり、求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者に対し、その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」
つまり、求人情報では、賃金や労働時間などの労働条件を明確に記載することが定められているのです。
給与について記載する際は、入社後の初任給だけではなく、給与の上限・下限や、手当を含めた報酬例を示すと、より求職者にわかりやすくなります。また、固定残業代制を採用している場合は、適切な表示に注意が必要です。
給与や福利厚生例の記載例は、以下のとおりです。
給与 |
月給〇〇円(固定残業代を除く) ※試用期間も同様 <給与例> |
待遇・福利厚生 |
交通費全額支給、社会保険完備、家賃補助、残業手当、資格取得手当 |
参照元:e-Gov法令検索「職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)」
参照元:厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」
勤務地条件は、給与と同様に多くの求職者が注目するポイントです。どんなに魅力的な求人であっても、自宅から通えないほど勤務地が遠い場合は、応募できないでしょう。
通勤時間をなるべく短くしたい方や、保育園の送迎の都合でなるべく自宅から近いところで働きたい方、転勤の可能性がない仕事に就きたい方など、求職者によって勤務地条件に関するニーズはさまざまです。
勤務地条件の記載例は、以下のとおりです。
勤務地 |
東京都中央区〇〇-〇〇 |
労働環境と一口に言っても、企業風土や人間関係、裁量、休暇のとりやすさなど、さまざまな要素が存在します。
採用後にミスマッチが生じないよう、企業風土や歓迎する人柄などを明記しましょう。また、コンプライアンスが徹底された働きやすい環境であることを積極的にアピールすれば、前職でハラスメントについて悩みを抱えていた求職者にとっては魅力的な求人に映ります。
仕事内容や裁量も重要なポイントです。特に中小企業の場合、人手が足りず、1人の従業員があらゆる仕事を兼任している場合があります。求人で募集している仕事以外も任せる可能性がある場合は、その旨を記載しましょう。不満の原因になりかねません。
一方、与えられた仕事しかできない職場に不満を覚え、成長を求めて転職する求職者も存在します。社員の積極的なチャレンジを後押ししている場合は、裁量権が大きい旨をアピールすると効果的です。
さらに、全社的に子育てを支援している姿勢や社内コミュニケーションを活発化するための施策、有給休暇の取得率を上げる取り組みなど、従業員が働きやすい環境づくりを推進していることも、よいアピール材料になります。
労働環境についての記載例は、以下のとおりです。
仕事内容 |
当社が運営する医療メディアのライターとして、以下のような業務を担当していただきます。
ライティング業務以外に、Webデザインに関する業務をお任せする場合があります。 アットホームで風通しの良い職場です。 子育て中の社員も多く活躍しており、テレワークにも柔軟に対応可能です。 ぜひ私たちと一緒にメディアを成長させましょう! |
企業の将来性も、重要なポイントです。将来的に淘汰されてしまう事業のみを展開している場合や、社長のワンマン経営で成り立っている企業などは、将来性を不安に思う求職者が多く、応募を敬遠されがちです。
企業の取り組みや今後の事業展開、競合他社との差別化ポイントなどを記載し、求職者に将来性や安定性をアピールしましょう。
求人を募集している背景を、今後のビジョンとともに記載すれば、成長している魅力的な企業であることを強調でき、求職者に信頼してもらえる可能性が高いです。
記載例は、以下のとおりです。
募集背景 |
介護領域での新規事業立ち上げのため、人員拡大中 |
人材を確保する方法としては、求人情報を掲載して求職者を集めることが一般的です。
求人情報を掲載する媒体の主な種類は、以下の3つです。
それぞれにメリット・デメリットがあります。どれか1つのみを利用するのではなく、3つ同時に組み合わせることで、多くの求職者の目に留まりやすくなるよう工夫しましょう。
以下では、求人媒体の3つの種類について、メリット・デメリットを解説します。
求人サイトは、さまざまな業界・業種の求人情報が掲載されているサイトです。多くの求職者が利用しており、インターネットで求人を探すことが一般的となっている現在、非常に主流な方法といえます。
求職者が、希望する職種や条件、キーワードなどを入力して検索すると、ニーズに合った求人がヒットするという仕組みです。
求人サイトのメリットは、利用者が多い点と、簡単に情報を掲載できる点です。求人サイトに登録して、必要な情報を入力すれば簡単に掲載できます。採用ホームページを一から制作する必要がないため、気軽に利用できるのが魅力です。
一方、掲載には費用がかかり、採用に成功できなくても掲載費用を支払い続けなければならない点はデメリットです。さらに、ほかにも多くの求人情報が掲載されているため、埋もれやすいという難点もあります。
自社のホームページに求人情報を掲載したり、採用専用のサイトを作成したりする方法も考えられます。
すでにあるホームページに情報を掲載すれば、無料で求人情報を掲載できるため、なるべく費用をかけたくない場合におすすめです。また、社員インタビューやオフィス紹介動画など、求人サイトには書ききれないようなオリジナルコンテンツを掲載できます。自社の魅力や業務内容を、より詳しく伝えられるのがメリットです。自社のリアルな雰囲気をアピールできれば、求職者とのミスマッチを軽減できます。
一方、サイトを制作したり維持したりする手間がかかるのはデメリットです。また、多くの求職者に見てもらうためには、アクセス数を増やす施策が欠かせません。
最近では、TwitterやInstagram、Facebook、YouTube、Wantedly、LinkedlnといったさまざまなSNSを活用して、求人情報を多くの方に届ける方法も増えています。これをソーシャルリクルーティングといい、デジタルネイティブである若い世代をターゲットにしたい場合は、特に効果的です。
SNSを活用するメリットは、オリジナルコンテンツを自由に発信できるため、自社の魅力や仕事内容をアピールしやすい点です。多くのSNSにはシェア機能があり、魅力的なコンテンツを発信できれば、拡散されて多くの方に見てもらえる可能性があります。
また、求職者とダイレクトにコミュニケーションをとれるため、求職者の質問に対応できます。求職者の過去の投稿から、応募書類だけでは把握できない人物像を推測しやすいのもメリットです。
一方、SNSをコンスタントに運用する必要があり、そのためのリソースを確保しなければならないというデメリットがあります。また、不適切な内容を投稿してしまうと炎上して企業イメージが下がってしまうリスクにも注意が必要です。さらに、フォロワーが増えないと求人情報を見てもらえず、即効性がある施策ではありません。
最後に、求人募集に応募が来ない場合の5つの対策について解説します。
採用すべき対策は、応募状況によって異なります。
そもそも求人情報にアクセスされていないのか、アクセスはされているものの応募が来ないのか、応募は来ているものの自社が求める人材からの応募が少ないのか、課題を分析し、適切な対策を講じましょう。
ここでは、求人募集に応募が来ないときに有効な5つの対策について、ご紹介します。
まずは、求人情報の更新と見直しを行いましょう。
求人情報を定期的に更新し、常に掲載日を新しい状態にすることで、求職者に安心してもらえまます。前述のとおり、古い求人情報は「もう募集は終わっているのではないか」と勘違いされたり、「採用活動に力を入れていないのでは」と不審に思われたりするリスクが高いです。
そもそも、職業安定法では、労働条件が変更された場合は速やかに知らせるよう配慮することが求められています。
求人情報の閲覧数は多いものの、応募が集まらない場合は、内容の見直しも検討しましょう。求人情報が曖昧だったり、情報が整理されていなかったりなど、内容がわかりにくく伝わっていない可能性が考えられます。
求人情報にアクセスされているが、応募がなかなか集まらない場合は、求人条件に問題がある可能性が高いです。他社に比べて労働条件が劣っており、選ばれずに終わっていることが考えられます。大幅な変更は難しいものですが、業界や同業他社の雇用条件を調査してみましょう。
応募条件を厳しく設定しすぎている場合もあります。必須要件を緩和して歓迎要件にしたり、本当に必要な条件のみを記載したりして、条件にヒットする人材を増やすことも大切です。
求人情報になかなかアクセスされていない場合、ターゲットにあった求人媒体ではない可能性があります。適切な求人媒体を選べるよう、まずはターゲットとマッチしているかを分析しましょう。
求人媒体を選ぶ際のポイントは、業界・エリア・ターゲットの3点です。特に、採用したいターゲットが多く利用している求人媒体を選ぶ必要があります。
求人媒体の選択に問題があるわけではない場合は、思わずクリックしたくなるような魅力的なタイトルに変更したり、ターゲットが検索しそうなワードを原稿に盛り込んだりして、アクセス数を増やせるようにしましょう。
場合によっては、有料広告を利用したり、有料プランに契約したりすることも効果的です。
求人情報の掲載時期に問題がある可能性もあります。求職者の活動時期と掲載時期が一致していなければ、そもそも求職者が少ないため、せっかく作成した広告も見てもらえないでしょう。
中途採用の場合、時期ごとの求職者の動きは以下のとおりです。
上記のタイミングに求人情報を掲載すれば、多くの求職者に見てもらえる可能性が高いです。
ただし、求人サイトに掲載してもらう場合は、契約から掲載まで1ヵ月近くかかることがあります。余裕のあるスケジュールで動き出し、求職者の活動時期に合わせて広告を掲載できるようにしましょう。
求人の応募は来るものの、自社が求める人材からの応募が少ない場合は、ターゲットに刺さるコンテンツを発信し、求人情報をより具体的かつ魅力的にアピールする必要があります。
求人サイトに情報を掲載するだけでなく、自社の採用専用サイトを作成し、オリジナルコンテンツを発信して多くの求職者に訴求しましょう。
求人サイトの場合、文字数の制限や画像の使用枚数など、完全に自由には広告を掲載できません。情報量が限定されてしまうため、求人サイトのみの利用では、思うような採用活動が行えないのが難点です。
採用サイトを作成し、活躍している社員へのインタビューや1日密着動画、オフィスツアーなどを掲載すれば、自社や業務内容のリアルな情報を伝えられます。
求人サイトに採用サイトのリンクを掲載したり、SNSを併用したりして、多くの求職者に採用サイトを見てもらえるよう工夫しましょう。
今回は、求人がなかなか来ない場合の原因や、応募者が仕事選びで重視するポイント、求人媒体ごとの特徴や、応募が来ない時の対策について解説しました。
求人が集まらない場合は、まずは原因を分析しましょう。原因を理解したうえで、求職者が自社や仕事内容に魅力を感じられるような求人原稿を作成してください。
求人媒体の選択も重要です。自社にあった媒体を選び、複数活用することで、多くの求職者を集められるようにしましょう。