企業と応募者の連絡手段としては、メール以外に電話も考えられます。しかし、面接の日程調整をする際は、メールを使用しましょう。
メールで日程調整を行うべき理由は、内容を文章に残してトラブルを回避するためです。電話で日程調整をすると、聞き間違いにより認識の齟齬が発生する可能性があります。口約束であるためにどちらが正しいのかも確認できず、「言った」「言わない」のトラブルに発展してしまうリスクがあるのです。また、万が一スケジュールを記録し忘れてしまった場合、再度電話で確認しなければなりません。
メールで行えば、文面で確認できるため認識の相違が生まれることがありません。仮にどちらかが日程を記録し忘れてしまっても、メールを見ればすぐに日程を思い出せます。
このように、応募者とのトラブルを防ぎスムーズに日程調整を行うためにも、メールを活用しましょう。
企業から面接日程メールを送る際は、以下の項目を記載しましょう。
応募者にとって必要な情報を、わかりやすくまとめることが大切です。
面接日程メールに書くべき項目について、それぞれ解説します。
ビジネスメールには、必ず件名を設定しましょう。件名がブランクのまま送信することは相手に失礼な行為であり、迷惑メールと勘違いされてしまう可能性もあります。
件名は、一目で内容がわかるようなものにしましょう。たとえば、「一次面接の日程について【株式会社〇〇】」のように、要件と送り手がわかるように記載するのがおすすめです。
長すぎる件名はわかりにくいため、20文字以内におさめてください。
また、①や㈱といった機種依存文字は使用しないようにしましょう。機種依存文字は、その名のとおり、環境によって正しく表示されない文字のことです。文字化けしたり、別の文字に置き換わったりする原因になります。
個人宛にメールを送信する場合、宛名は、新卒なら「大学名・学部/学科名・氏名・敬称」、中途なら「氏名・敬称」で記載しましょう。
大学名や学部/学科名、氏名の漢字については、特にミスがないように気をつけてください。誤字脱字は、自社のイメージを悪化させてしまいます。
複数人宛に一斉送信する場合は、「学生の皆様」「各位」「皆様」などの表現を使いましょう。「応募者様各位」という表現は、敬称が重複してしまうため使わないでください。
メールの冒頭には、必ず挨拶を記載しましょう。採用担当の名前や、応募してくれたことへの感謝の気持ちを記載すると、丁寧な印象を与えられるでしょう。
挨拶文には、以下のような文章が好ましいです。
挨拶の後、メールの要件と面接の日程を伝えます。
メールの要件は、重要なポイントを押さえてわかりやすく記載しましょう。記載例は以下のとおりです。
面接の日程候補は、後述のとおりこちらから提示するようにしましょう。以下のように箇条書きで記載すると、見やすいメールに仕上がります。
【面接候補日】
所要時間は◯分の予定です。 上記日程でご都合が合わない場合は、再度調整いたします。お手数ですがご連絡いただけると幸いです。 |
所要時間も記載すると、相手がスケジュールを調整しやすくなるでしょう。
面接の場所や面接方法も、忘れずに記載してください。
オフィスや面接会場の住所だけでなく、受付の場所や内線番号、Googleマップのリンクなど、必要な情報を盛り込むと親切です。特に、複数フロアにオフィスが存在する場合、当日応募者がどこへ行けばよいかわからならないように受付があるフロアを記載しておきましょう。
「〇〇駅〇〇口より徒歩〇分」のように、交通手段別にオフィスまでのアクセスを伝えるとさらに丁寧な印象を与えられます。
オンライン面接の場合は、使用するツールとリンク、パスワードを記載しましょう。使い方やダウンロードに関するマニュアルを添えると、さらに親切です。
面接時に用意すべきものについては、メールに明記しましょう。「応募者は当然持ってくるだろう」という思い込みはNGです。エントリーシートとは別に履歴書が必要な場合や、自己PRのためにスライド作成をお願いする場合など、企業によって持ち物は異なります。履歴書や職務経歴書など、ないと面接が進まない持ち物については、必ず記載してください。
持ち物や準備すべきものは、日程と同様に箇条書きで羅列するとわかりやすいです。
メールの最後には、採用担当者の部署名と氏名のほかに緊急連絡先も記載しましょう。当日、何らかの事情で応募者が面接時間に間に合わなかったり、面接日時の変更が必要になったりするケースがあるためです。オンライン面接の場合は、通信トラブルで接続できないというトラブルも考えられます。
緊急連絡先には、採用担当者や人事課などの電話番号やメールアドレスを記載します。
面接日程メールを送る際のポイントは、以下の6つです。
面接日程メールでは、応募者が面接方法・日時・場所などで迷わないように必要な情報を丁寧に記載することが大切です。また、一度送って終わりではなく、リマインドメールを送ってキャンセルを防ぎましょう。
ここでは、それぞれのポイントについて解説します。
面接の候補日は、企業側が提案するのが一般的です。
応募者から提示してもらう場合、都合が合わなければ再度提示してもらう必要があり、やり取りにかかる負担が大きくなってしまいます。途中で応募者から連絡がこなくなり、人材を逃してしまうリスクもあるため、注意が必要です。
1回のやり取りで日程調整できるよう、候補日程は3〜5個ほど提案しましょう。
1日で複数人の面接を設定する場合は、前後の時間を考えて候補を出す必要があります。万が一1人の面接が長引いたり、予定時刻どおりに始められなかったりした場合、その後の人のスケジュールを調整したり、面接時間を短くしたりしなければならないためです。多少時間がずれても問題ないよう、前後の時間に余裕を持って、スケジュールを設定しましょう。
前述のとおり、件名はわかりやすいものにする必要があります。
応募者のもとには、ほかにもさまざまなメールが届いているでしょう。わかりにくい件名にしてしまうと、ほかのメールに埋もれてしまったり、関係ないメールだと勘違いされたりして、開封してもらえない可能性があります。また、「株式会社〇〇からのご案内」のような曖昧な件名では、メールマガジンと捉えられて削除されてしまうかもしれません。
面接日程に関するメールであることが伝わるよう、シンプルかつわかりやすい件名の設定がおすすめです。
面接日程メールには、面接日程や場所、持ち物などの重要な事務連絡を記載します。文章ではなく、箇条書きにして見やすくなるよう工夫しましょう。
長文になってしまう場合は、こまめに改行したり、項目ごとに段落わけしたりすることも効果的です。枠線を活用すると、重要な部分を強調できます。
スマートフォンでメールを開く応募者も多いため、スマートフォンでの見え方を意識してメールを作成することも大切です。スマートフォンの場合、1行の文字数が短くなり、改行が増えます。
面接場所を記載する際は、住所や地図を添付しましょう。オフィス名だけでは、応募者がわざわざ住所や地図を調べなければなりません。スマートフォンのナビ機能で会場に向かう応募者も多いため、地図アプリのURLを記載することがおすすめです。
また、前回の面接と場所が違う場合や、同じエリアに複数のオフィスがある場合は、混乱しないようその旨を記載すると親切です。
オフィスによっては、ビルの受付でカードキーを受け取らないとエレベーターに乗れない場合があります。また、はじめに受付に寄って部屋まで移動したり、内線で担当者を呼び出したりなど、面接場所についてからやるべきことがある場合も多いです。特に、無人受付の場合はどうすればよいかがわかりにくく、当日応募者がパニックになってしまうことも考えられるでしょう。
応募者が混乱してしまわないよう、面接場所に着いてからの流れを詳しく説明してください。
面接前には、応募者が面接の予定や日時を再確認できるよう、リマインドメールを送りましょう。リマインドメールを送ることで、応募者の勘違いによるトラブルやドタキャンを防げます。
前日にリマインドメールを送るケースが多いですが、複数回にわけて送信する企業も少なくありません。
面接の機会を逃さないよう、適切にリマインドメールを送ってください。
ここからは、企業側から送る面接日程を連絡する際のメールの記載例についてみていきましょう。
まずは、面接日程を調整する際のメールです。面接日程をこちらから指定する場合と日程候補を複数提示して応募者に選んでもらう場合があるため、それぞれの例文をご紹介します。
メール作成時は、ぜひ例文を参考にしてください。
面接日程を企業側が指定する場合の、メールの記載例は以下のとおりです。
<件名> <本文> お世話になっております。 この度は、お忙しい中弊社の求人にご応募いただきまして、誠にありがとうございます。 応募書類を拝見した結果、〇〇様にはぜひ面接にお越しいただきたく、面接日程のご連絡をさせていただきました。 ———————————————————————— 【面接日時】 【面接場所】 【持ち物】 ———————————————————————— 本メールへの返信をもって、日程確定とさせていただきます。 ご不明な点やご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。 引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。 (署名) |
面接日程の候補を複数提示する場合の、メールの記載例は以下のとおりです。
<件名> <本文> お世話になっております。 この度は、数ある企業の中から弊社の選考にご応募いただきまして、誠にありがとうございます。 書類選考の結果、〇〇様にはぜひ1次面接にお越しいただきたく、面接日程のご連絡をさせていただきました。 以下のうち、ご都合の良い日程をご連絡いただけると幸いです。 ———————————————————————— 【面接候補日】
※所要時間は◯分の予定です。 【面接場所】 【持ち物】 ———————————————————————— ご不明な点やご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。 引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。 (署名) |
<件名> <本文> お世話になっております。 先日は、お忙しい中1次面接にご参加いただき、誠にありがとうございます。 厳正なる選考の結果、〇〇様にはぜひ2次面接にお越しいただきたく、面接日程のご連絡をさせていただきました。 早速ですが、以下のうち、ご都合の良い日程をご連絡いただけると幸いです。 ———————————————————————— 【面接候補日】
※所要時間は◯分の予定です。 ※上記日程でご都合が合わない場合は、お手数ですが、ご希望の日程を3つほどお知らせいただけると幸いです。 【面接方法】 面接候補日とともに、ご希望の面接方法をご連絡ください。 【オフライン面接の実施場所】 【持ち物】 ———————————————————————— ご不明な点やご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。 引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。 (署名) |
企業側から面接日程が確定した際に送るメールの記載例は、以下のとおりです。
<件名> <本文> お世話になっております。 お忙しい中、面接日程について返信していただき、誠にありがとうございました。 つきましては以下の日程で確定とさせていただきます。 ———————————————————————— 【面接日】 【面接場所】 【持ち物】 ———————————————————————— ご不明な点やご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。 それでは、当日お会いできること、心より楽しみにしております。 (署名) |
<件名> <本文> お世話になっております。 お忙しい中、面接日程について返信していただき、誠にありがとうございました。 つきましては以下の日程で確定とさせていただきます。 ———————————————————————— 【面接日】 【面接方法】 【URL】 (オンライン面接のリンク) ミーティングID:----------- ———————————————————————— 当日通信トラブルが発生した場合は、人事部 新卒採用担当の〇〇(電話番号:〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇)までご連絡ください。 ご不明な点やご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。 それでは、当日お会いできること、心より楽しみにしております。 (署名) |
企業側から面接日程のリマインドメールを送る際のメールの記載例は、以下のとおりです。
<件名> <本文> お世話になっております。 ◯月◯日の面接の日程が近づいて参りましたので、再度ご連絡させていただきました。 ———————————————————————— 【面接日時】 【事前準備】 【当日の動き】 (オンライン面接のリンク) ———————————————————————— 当日トラブルが発生した場合、人事部 新卒採用担当の〇〇(電話番号:〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇)までご連絡ください。 それでは、当日お会いできること、心より楽しみにしております。 (署名) |
面接日程に関するメールのやり取りを行う際は、以下の点に注意しましょう。
面接日程に関するメールは、ビジネスメールです。応募者に対してもビジネスルールを守り、失礼や負担がないように接しましょう。
以下では、3つの注意点について解説します。
メールのやり取りをする際は、応募者からのメールにできるだけ早く返信することを心がけましょう。受け取ったメールには、24時間以内に返信するのが基本です。
返信が遅いと、メールが問題なく届いているのか応募者は不安になってしまいます。また、返信が遅い企業には良いイメージを持ちにくいため、応募者の志望度合いも下がりかねません。さらに、返信しないと面接日程を調整できず、ほかの応募者の選考スケジュールも確定できなくなってしまいます。
可能であれば、メールを確認したらすぐに返信しましょう。
電話と異なり、メールは応募者がいつでも確認できる手段です。とはいえ、早朝や深夜にメールを送ることは控えましょう。
緊急の事案が発生した場合を除き、ビジネスメールを終業時間後に送信するのは望ましくありません。基本的に、21時以降は送らないようにしてください。
早朝や深夜のメール送信は、ビジネスマナー違反であるだけでなく、応募者に迷惑をかけてしまいます。応募者によっては、「イメージを下げないよう、すぐに返信しなければ」と、早朝や深夜にメールを返信しなければならないと考えてしまうでしょう。
さらに、「この企業はこれほど遅い時間まで仕事をしているのか」と、自社の業務環境に不安を持たれてしまう可能性があります。自社への不信感から、選考を辞退されてしまうリスクも否定できません。
応募者へのメールは、就業時間内に送信するようにしましょう。
メールのやり取りをなるべく減らせるよう、効率的に連絡をとることも大切です。メールのやり取りは、応募者と採用担当者双方に負担がかかります。
面接の候補日をこちらから複数提示する、日程調整を効率化できるツールを活用するなど、やり取りの回数を減らせるよう工夫しましょう。
特に、日程調整ツールの活用が効果的です。メールの場合、提示した候補日程では都合がつかない場合、再度提示をお願いし、調整するためのやり取りが発生します。日程調整ツールなら、カレンダーからこちらが都合のよい日程をピックアップして、相手に選択・承諾してもらえるため、スムーズに面接日程を調整できるのが魅力です。
無料で使えるツールも多く、さまざまなカレンダーアプリと連携できる便利なものもあるため、ぜひ利用してみてください。
今回は企業側から送る面接日程調整メールの書き方やポイントについて、例文とともに解説しました。面接日程メールは、ビジネスメールの一つです。応募者に失礼がないよう、丁寧に作成し、真摯に対応しましょう。
メールの書き方に迷ったり、作業効率をアップさせたりしたい場合は、テンプレートを活用するのもおすすめです。今回ご紹介した例文も参考に、面接日程メールの書き方を理解してスムーズな採用活動につなげてください。