不採用通知メールを送る義務は、実は企業にはありません。企業には労働契約締結の自由が認められており、企業は採用人数や採用者、契約締結の有無などを自由に決められます。
不採用結果の通知についても、通知を義務付けている法律は存在せず、不採用通知メールを送るか否かは企業が自由に決められることです。つまり、不採用通知メールを送らなかったからといって、問題になるわけではありません。
しかし、実際には多くの企業が不採用通知メールを送信しています。その理由としては、応募してもらったことへの感謝を伝えるためや、結果がわからない状態で待ち続けることへの精神的負担を取り除くため、トラブルを防ぐためなどが挙げられます。
このように、不採用通知メールは必ずしも送る必要はないものの、応募者に配慮するために送ることが一般的です。
面接不採用メールは選考に落ちた応募者に対し、不採用であることを知らせるものです。ただし、単に不採用を伝えるだけでなく、応募してくれたことへの感謝を伝える目的があります。
また、応募者は将来自社の顧客になる可能性があり、今後につながる内容でなければなりません。
面接不採用メールを送る理由について、みていきましょう。
面接不採用メールを送るのは、会社として、応募してくれたことへの感謝を表すためです。多くの会社があるなかで自社に興味を持ち、時間をとって選考を受けてくれたことに対し、感謝の気持ちを伝えます。
そのため、面接不採用メールの文面ではただ不採用の事実を伝えるのではなく、丁寧な感謝の言葉を添えることが重要です。
面接不採用メールを送るのは、企業イメージの保持や今後につなげるためです。応募者は今後、自社の商品やサービスを利用する顧客になるかもしれず、あるいは取引のある企業に就職する可能性もあるでしょう。
今後につなげるためにも、企業イメージを損なわない内容の不採用通知メールを送ることが大切です。
面接不採用メールは、人とのつながりを大切にする企業であることを示すためにも重要なものといえるでしょう。
面接不採用メールを送る際は、タイミングにも注意しなければなりません。応募者は今後も就職活動を続けなければならないため、できるだけ早く送ることが大切です。
また、事前に結果を通知するタイミングはどれくらいか伝えておくと、応募者はスケジュールを立てやすいでしょう。
面接不採用メールを送るタイミングについてご紹介します。
面接不採用メールは面接日から3日以内、遅くとも1週間以内には送るようにしましょう。それより早すぎると、よく審査していないのではないかと感じるかもしれません。
遅すぎると応募者は結果を待つため行動を起こせない可能性があります。「選考が遅れている」など、遅れている理由を連絡することが必要です。
応募者が数社に応募している可能性があり、採用結果を早くもらいたいと待機している場合もあるでしょう。そのような事情を考慮し、選考にかかる時間の目安をあらかじめ伝えておくと応募者はスケジュールを立てやすくなります。
選考結果が届くまで、他社への応募や内定への返事を留保しているかもしれません。連絡が遅くなった場合には理由とお詫びが必要です。
不採用メールの書き方については、多くの担当者が悩んでいることでしょう。不採用メールの基本的な文章構成は、以下のとおりです。
採用メールと大まかな構成は変わりませんが、今後の流れや手続きの代わりに、履歴書などの応募書類の取り扱いについて記載しましょう。
不採用メールは、企業の印象を大きく左右する可能性があります。失礼がないよう、丁寧に記載してください。
ここでは、それぞれの項目について解説します。
件名は、最初に目に入る部分です。見ただけでメールの内容がわかるよう、シンプルでわかりやすい件名を設定しましょう。不採用メールの場合の件名例は、「選考結果のご連絡【〇〇株式会社】」です。
メールの冒頭に、宛名(応募者名)を記載しましょう。フルネームで正しく記載するのが望ましいです。宛名も重要な個人情報のため、取り扱いには注意が必要です。
採用・不採用にかかわらず結果の通知メールには、応募してくれたことや選考に参加してくれたことへのお礼を、忘れずに丁寧に記載しましょう。
不採用通知メールは、会社を代表して送る公式の通知です。失礼な文面は、会社のイメージを悪化させることにつながります。
結果を通知する前に、まずは挨拶とお礼をつづりましょう。
メールの本題が伝わるよう、選考結果を明記しましょう。遠回しな表現にしすぎることなく、不採用である旨はわかりやすく伝えなければなりません。
しかし、「不採用」という直接的な言葉は使わず、「慎重に検討をいたしました結果、誠に残念ながら、貴意に沿いかねる結果となりました」のように、相手に配慮した文面になるよう工夫が必要です。
不採用の場合、履歴書や職務経歴書のように、個人情報が記載された重要な書類をどのように取り扱うかについても明記しましょう。
個人情報保護法では、履歴書や職務経歴書など、応募者から受け取った書類を企業が返還する義務については規定されていません。返却するか処分するかは、企業が自由に選べます。
郵送で返却する場合もありますが、応募者数が多く、返却が難しいケースもあるでしょう。自社で処分する場合は、「自社で責任を持って破棄する」という旨を記載し、遅滞なく消去する必要があります。
参照元:個人情報保護委員会「会社の採用面接で不採用にした応募者から、当社に提出された履歴書の返却を求められていますが、個人情報取扱事業者として、返却に応じなければなりませんか。」
参照元:e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)」
最後に、結びの挨拶を入れましょう。具体例は、以下のとおりです。
面接不採用メールの書き方には、ポイントがあります。ほかのメールに埋もれないよう、件名に応募の結果だとわかるようにすることが大切です。宛名は省略せず、誤記にも注意しなければなりません。
また、応募への感謝の言葉や、不採用について応募者を気遣う言葉を添えることも忘れないようにしましょう。
面接不採用メールの書き方について、ご紹介します。
面接不採用メールを送る際は、内容がひとめでわかる件名を入れましょう。就活生や求職者は、自社以外にも複数の企業に応募しているのが一般的です。
そのため、就職活動中にはほかの応募企業からの連絡など、多くのメールが送られてきます。埋もれてしまわないよう、件名で内容がわかるようにしなければなりません。
文言としては「選考結果のご連絡」「〇次選考結果のご通知」などが適切です。わかりやすいからといって、「不採用のご連絡」といった件名は配慮に欠けるため避けてください。
メールの冒頭に記載する宛名は省略しないようにしましょう。「貴殿」などの代名詞も避けてください。宛名の省略や代名詞の使用は、テンプレートを使って機械的に送られてきた印象を与えます。
宛名は苗字だけではなく、フルネームで記載しましょう。誤記載のないよう、よく確認することが必要です。送付するときも、メールアドレスは念入りにチェックしてください。
不採用の結果を伝える際は、企業としても慎重に選考を行い、十分に検討を重ねた上で出した結論であることを示すことが大切です。
また、「不採用」「不合格」という直接的な文言は避け、「ご希望に添えず申し訳ありません」「今回はご希望のポジションを用意できませんでした」といった表現にしておくとよいでしょう。
なお、面接不採用メールは選考結果のみを伝えれば問題なく、不採用の理由を記載する必要はありません。どのような理由でも応募者が納得するとは限らず、さらに詳しく知りたい応募者から問い合わせが入る可能性があります。対応に追われることになる可能性もあるでしょう。
不採用メールはテンプレートを参考に作成すると効率的ですが、選考段階に合わせて内容を変えると丁寧です。エントリーシートの提出で不採用になった応募者と、最終面接で不採用になった応募者では、自社の選考にかけてもらった時間や熱意が大きく異なります。
選考が進んでいた応募者には手厚いフォローの文面を入れたり、より丁寧な文言で記載したりなど、選考段階に合わせて内容を工夫しましょう。
面接不採用メールは一定のパターンが決まっており、人により文面が大きく変わるものではありません。基本的なテンプレートを用意しておき、相手や選考状況などに応じて編集しながら作成するとよいでしょう。
ここでは、以下の7パターンについて、それぞれ例文をご紹介します。
作成する際の参考にしてください。
応募書類を返却しない場合は、「書類は弊社にて責任を持って破棄する」という文言を添えましょう。
書類選考で不採用とし、書類を返却しない場合の例文は、以下のとおりです。
件名「選考結果のご連絡」株式会社〇〇 〇〇様(応募者の氏名をフルネームで記載) 株式会社〇〇、採用担当の△△と申します。 このたびは、数ある企業から弊社にご応募いただきまして、誠にありがとうございます。 書類選考の結果ですが、応募書類をもとに厳正に検討した結果、今回は採用を見送らせていただくこととなりました。予想を超える多くの応募があり、弊社としても難しい判断となった次第です。 ご期待に沿えず大変申し訳ございませんが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。 お預かりした応募書類につきましては、弊社にて責任を持って破棄いたします。 〇〇様の今後のご活躍を、心よりお祈り申し上げます。 株式会社〇〇〇〇 (署名) |
応募書類を返却する場合は、「書類は履歴書に記載の住所に返送する」のような文言を添えましょう。
書類選考で不採用とし、書類を返却する場合の例文は以下のとおりです。
件名「選考結果のご連絡」株式会社〇〇 〇〇様(応募者の氏名をフルネームで記載) 株式会社〇〇、採用担当の△△と申します。 このたびは、数ある企業から弊社にご応募いただきまして、誠にありがとうございます。 応募書類をもとに慎重に検討した結果、誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただくこととなりました。 ご期待に沿えず大変申し訳ございません。お預かりした応募書類につきましては、履歴書に記載の住所に返送させていただきます。 〇〇様の今後のご活躍を、心よりお祈り申し上げます。 株式会社〇〇〇〇 (署名) |
書類選考だけでなく面接まで進んだ上で不採用となった場合は、忙しいなか面接に対応してくれたことへのお礼を記しましょう。
面接で不採用とし、書類を返却しない場合の例文は以下のとおりです。
件名「選考結果のご連絡」株式会社〇〇 〇〇様(応募者の氏名をフルネームで記載) 株式会社〇〇、採用担当の△△と申します。 このたびは、数ある企業から弊社にご応募いただき、誠にありがとうございます。 また、先日は弊社までご足労いただいたこと、重ねて御礼申し上げます。 書類選考の結果ですが、応募書類をもとに厳正なる選考の結果、誠に残念ではございますが今回は採用を見送らせていただくこととなりました。 ご期待に沿えず大変申し訳ございません。お預かりした応募書類につきましては、弊社にて責任を持って破棄いたします。 〇〇様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。 株式会社〇〇〇〇 (署名) |
面接で不採用とし、書類を返却する場合の例文は以下のとおりです。
件名「〇次選考結果のご通知」株式会社〇〇 〇〇様(応募者の氏名をフルネームで記載) 株式会社〇〇、採用担当の△△と申します。 このたびは、数ある企業から弊社にご応募いただき、誠にありがとうございます。 また、先日はお忙しいなか弊社までお越しいただき、ありがとうございました。 面接でのお話を踏まえて慎重に選考を重ねた結果、誠に残念ですが今回は採用を見送らせていただくこととなりました。 大変恐縮ではございますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。 なお、お預かりした応募書類につきましては、履歴書に記載の住所に返送させていただきます。 末筆ながら、〇〇様のより一層のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。 株式会社〇〇〇〇 (署名) |
留学生アルバイトや外国人労働者の応募に対し、英文で面接不採用メールを送る機会があるかもしれません。英文の例文もご紹介します。
subject:Application to 〇〇(会社名) We had a lot of applicants beyond our imagination. 〇〇(会社名) |
(日本語訳)
件名:株式会社〇〇へ応募の件 このたびは株式会社〇〇にご応募いただきありがとうございました。 選考結果をお知らせいたします。 我々の予想を上回る数のご応募を頂き、慎重に選考いたしましたが今回は採用を見送らせていただくこととなりましたことをお伝えいたします。 今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。 |
最終面接で不採用とした場合、これまで面接に割いてもらった時間や熱意などを考慮して、より丁寧な文章を作成するよう心がけましょう。
最終面接で不採用とし、書類を返却しない場合の例文は以下のとおりです。
件名:「選考結果のご連絡」株式会社〇〇 〇〇様(応募者の氏名をフルネームで記載) 株式会社〇〇、採用担当の△△と申します。 このたびは、数ある企業から弊社にご応募いただきまして、誠にありがとうございます。 〇〇様の応募書類や今までの面接を踏まえ、社内にて厳正に検討した結果、 誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただくこととなりました。 大変恐縮ではございますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。 お預かりした応募書類につきましては、弊社にて責任を持って破棄いたします。 末筆ながら、〇〇様のより一層のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。 略儀ではございますが、メールにてご通知申し上げます。 株式会社〇〇〇〇 (署名) |
最終面接で不採用とし、書類を返却する場合の例文は以下のとおりです。
件名:「選考結果のご連絡」株式会社〇〇 〇〇様(応募者の氏名をフルネームで記載) 株式会社〇〇、採用担当の△△と申します。 この度は、多数の企業の中から弊社にご応募いただきまして、誠にありがとうございました。 また、先日はお忙しいなか、最終面接のために弊社までご足労いただいたこと、重ねてお礼申し上げます。 〇〇様の応募書類や今までの面接を踏まえ、社内にて厳正に検討した結果、誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただくこととなりました。 ご要望に沿えず大変恐縮ではございますが、何卒ご了承お願い申し上げます。 なお、ご応募時に提出いただいた書類につきましては、履歴書に記載の住所に返送させていただきます。 末筆にはなりますが、人事部一同、〇〇様の今後のご活躍、ご健勝を心よりお祈りいたしております。 株式会社〇〇〇〇 (署名) |
不採用メールを送るときは、以下の4点に注意しましょう。
不採用メールは、ネガティブな印象を与えてしまいがちです。応募してくれたことへの感謝を伝え、今後良好な関係を築けるようにするためにも、応募者に配慮して慎重に作成しましょう。
ここでは、それぞれの注意点について解説します。
採用活動において、対応スピードは企業の印象を左右する重要なポイントです。結果を長い間待った挙句不採用になった場合、よりネガティブな印象を与えてしまう恐れがあります。
採用・不採用にかかわらず、結果がわかったらすぐにメールを送信しましょう。3日以内、遅くとも1週間以内には、連絡を入れられるようにしてください。
面接終了時に結果の通知目安を伝え、期日までに連絡をすることも効果的です。
緊急で連絡する必要がある場合は、メールではなく電話で連絡しましょう。電話は、相手と直接会話ができるため、確実に素早く内容を伝えられる手段です。
ただし、相手が電話に出られない場合も考えられます。また、聞き間違いにより、認識の齟齬が発生してしまうリスクもゼロではありません。言った・言わないのトラブルにつながる可能性もあるため、重要な連絡は文章が残るメールにも記載し、送信しましょう。
不採用通知メールを作成する際は、ネガティブなイメージをなるべく軽減できるよう、メールの文面に注意しましょう。
単に不採用の旨を伝えるだけでなく、「大変心苦しいのですが」「誠に申し上げにくいのですが」のようなクッション言葉を入れることがおすすめです。
最終面接で不採用となった場合のように選考に時間をかけてくれた応募者に対しては、面接で印象に残ったことや、応募者から聞いたエピソードなどを盛り込んで丁寧に作成することで、冷たい印象を和らげられます。
また、「応募者の能力が足りなかったから不採用となった」ではなく、「応募者が想定より多かったため」「応募者が希望するキャリアパスと自社がマッチしなかったため」のように記載し、応募者の心理的な負担を軽減できるようにしましょう。
メールを送信する際は、宛先を間違えないようダブルチェックを行いましょう。とくに応募者が多い企業では、本来採用が決まっている応募者に不採用通知を送ったり、反対に不採用の応募者に採用通知を送ったりするミスが発生する可能性が高いためです。
過去にエントリーした応募者全員に誤ってメールを送ってしまうケースもあるため、注意しましょう。
不採用通知メールには個人情報も記載されており、宛先を間違えると不信感につながるリスクもあります。最近では、インターネット上で情報が容易に拡散されるため、1回のミスで企業イメージが大幅に失墜してしまうこともあるでしょう。
不採用通知メールを送る際は、宛先をダブルチェックするほか、選考の進捗管理やメール送信に関する仕組みを整えることが重要です。
採用に際して人材紹介会社が間に入る場合、不採用の理由を伝える必要があります。担当者が応募者から理由を聞かれたとき、きちんと答えられるようにするためです。
不採用の理由を伝えておくことで、人材紹介会社の方では今後紹介する人材の参考にすることができます。より自社に合う人材を紹介してもらうことを期待できるでしょう。
不採用の通知をしたあとに内定辞退者が出たり自社の従業員に欠員が生じたりなど、採用したい事情が生じる場合もあるでしょう。
その場合はメールか文書で、「繰り上げ内定をしたい」もしくは「再選考をしたい」という趣旨を伝え、その後、お詫びもかねながらあらためて電話するようにしてください。
自社に繰り上げ内定の規定がある場合には、不採用メールに繰り上げ内定が行われる可能性があることを明記しておくとよいでしょう。
面接不採用メールは、ただ不採用について連絡するだけでなく、応募への感謝を表すことや今後も良好な関係を築けることを目的としています。
ネガティブな印象を与えやすい不採用メールだからこそ、応募者のスケジュールを考えて早めにメールを送ったり、応募者に配慮した言葉づかいや内容に気をつけたりすることが大切です。
今回ご紹介したテンプレートや書き方のポイントなどを参考に、誠意が伝わるような不採用メールを作成しましょう。