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第二新卒を採用するメリット・デメリットとは?おさえておきたいポイントを解説

作成者: スタンバイ制作チーム|2022/36/21

1.第二新卒とは新卒で入社して3年未満の求職者のこと

「第二新卒」は、新卒から3年未満の求職者を指すことが一般的です。大卒であれば25歳までが該当します。ただし、これは明確に定められたものではありません。企業によっても、その定義は異なります。

さまざまな定義が存在する中、共通している条件としては20代であることが挙げられます。社会人経験が浅いフリーターや新卒入社後に早期退職した人材が、第二新卒に該当すると考えれば間違いありません。

1-1.新卒・中途採用との違い

ここでは、第二新卒・新卒・中途採用の違いについて解説します。第二新卒と新卒との違いは、就業経験です。新卒は卒業と同時に就業するため、一般的には就業経験がありません。

一方、第二新卒は短いながらも社会人としての経験を積んでいます。社会人としてのマナーや基礎は身についていることが多いことが、第二新卒と新卒との違いに挙げられます。

なお、第二新卒は中途採用の一つといえます。現に、第二新卒と中途採用の区別をしていない企業も存在します。あえて区別する場合、中途採用との違いは、スキルや経験です。中途採用の場合、これまでのスキルや経験を評価されて採用されるケースが多く、即戦力として期待されています。

一方、第二新卒は社会人経験こそあるものの、スキルを保有しているケースは稀です。そのため、即戦力としての採用ではなく、育成を見越した採用になるのが基本です。即戦力になれるかどうかが第二新卒と中途採用との違いといえます。

2.第二新卒に注目が集まっている背景

第二新卒に注目が集まっている背景として、新卒採用がうまくいかない企業が増えていることや、新卒者の離職が増えていることが挙げられます。ここでは、第二新卒に注目が集まっている背景について解説します。

2-1.新卒採用が困難になっている

第二新卒に注目が集まっている背景として、少子高齢化の影響があります。少子高齢化の影響により、新卒採用での人材確保が困難になっている中小企業が存在します

企業の規模や知名度で就職先を決めてしまう学生は少なくありません。そのため人材は大企業に流れ、中小企業の人材確保が困難になってしまいます。

その対策として生まれたのが第二新卒の採用です。大企業と新卒人材を取り合うのではなく、ターゲットをずらすことで、人材を確保する流れができました

2-2.新卒者の離職が増えている

新卒者の離職が増えていることも、第二新卒に注目が集まっている理由です。厚生労働省の調査によると、令和2年度における新卒から3年以内の離職状況は、平均31.2%になっています。

離職理由にはそれぞれの理由があるものの、約3人に1人が3年以内に離職しているという状況は事実です。新卒者の離職が増え、第二新卒者の数が増加したことで、第二新卒に注目せざるを得ない状況になったともいえるでしょう。

参照元:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況を公表します

2-3.人員計画に余裕がない

人員計画に余裕がない企業が増えてきたことも、第二新卒が注目される理由です。新卒採用の場合、採用活動開始から1年もの期間がかかります。余裕がない企業にとっては、採用までの期間の長さはリスクがあります

企業によっては、1年後の事業がどのような状況になっているのか読めない場合もあるでしょう。長い期間をかけて採用した人材の配属先がなくなるケースも考えられます。その対策として、人材が必要な時期に採用できる第二新卒に注目が集まったのです。

3.第二新卒のメリット

ここでは、新卒採用や中途採用と比較した場合の第二新卒のメリットについて解説します。第二新卒はすでに学校を卒業しているため、入社時期や採用枠を企業の状況に合わせて選ぶことが可能です。

すでにビジネススキルに対する教育を受けていることで、教育コストの削減や短期間での業務参画が可能といったメリットもあります。経験を積んだ中途採用者と比べて、企業文化を受け入れやすい点も、第二新卒のメリットといえます。

3-1.通年採用できる

第二新卒のメリットとして、通年採用ができることが挙げられます。近年では、新卒採用でも秋採用を導入するケースもあるものの、卒業時期に合わせた4月入社が一般的です。

一方、第二新卒はすでに学校を卒業している人材のため、卒業時期に合わせる必要はありません。企業側で入社するタイミングを決めることが可能です。中途採用と同様に、通年採用を導入している企業も多く存在しています。

企業によっては、5月や9月が決算月になっている場合もあります。決算月に合わせて採用したい場合にも、第二新卒の採用は有効です。

3-2.会社のニーズに応じて採用枠を変えられる

2つ目のメリットとして、会社のニーズに応じて採用枠を変更できることが挙げられます。第二新卒は中途採用と同様に通年での採用が可能です。そのため、新卒枠のように採用枠を決めて募集する必要はありません

自社の状況次第では、第二新卒を採用しないことに切り替えることもできます。採用枠を柔軟に変更できることで、余剰人員が発生するリスクを抑えることができるのもメリットの一つです。

3-3.入社までの期間が比較的短い

3つ目のメリットとして、入社までの期間が短いことが挙げられます。新卒の場合、4月入社が一般的なため、採用が決まっても入社までの期間が空いてしまいます。

第二新卒は通年で採用できるため、採用決定から入社までの期間が空くケースは稀です。中途採用と同様に人員を補充したいタイミングで採用できることは、第二新卒のメリットといえます。

3-4.基本的なビジネスマナーやスキルを一から教える必要がない

4つ目のメリットとして、ビジネススキルを保有していることが挙げられます。第二新卒は一度社会人経験を積んだ人材です。基本的なビジネスマナーやITリテラシーといったビジネススキルの教育を受けた人材がほとんどです

そのため、新卒採用時に実施するようなビジネスマナー研修やITに関する教育を一から実施する必要がありません。教育に対する手間やコストを削減できるのです。

3-5.柔軟性があり適応力が高い

5つ目のメリットとして、企業文化に対する柔軟性や適応力の高さが挙げられます。1つの企業での勤続年数が長い場合、その企業での慣習や考え方が当たり前となっているため、転職してもその考え方が抜けきらず、抵抗感を持ってしまうケースが存在します。

第二新卒の場合、社会人経験を積んでいるとはいえ、慣習や考え方が浸透するほどの経験は積んでいません。そのため、入社しても企業文化に対する抵抗感を持つことなく、適応することができます。企業文化を受け入れやすい点は、第二新卒のメリットといえます。

3-6.短期間で戦力になりやすい

6つ目のメリットとして、戦力になる期間が短いことが挙げられます。新卒採用の場合、ビジネススキルに対する教育を実施する必要があるため、業務に参画できるまでに数ヵ月の期間が必要です。

第二新卒の場合、ビジネススキルの教育を一から実施する必要がありません。そのため、新卒採用よりも早く業務に参画できます。早い期間で業務に参画できることは、新卒を採用する場合と比較するとメリットであるといえます。

4.第二新卒のデメリット

第二新卒にはメリットだけでなくデメリットも存在します。ここでは、第二新卒のデメリットについて解説します。

4-1.経験やスキルが期待よりも低い可能性がある

第二新卒のデメリットとして、期待していたよりも経験やスキルが低い可能性があることが挙げられます。第二新卒は中途採用のような扱いをされるケースがあり、入社後に「思ったほど戦力になっていない」と評価されるケースがあります。

第二新卒は、新卒と比べると基本的なビジネススキルに対する教育は受けているものの、社会人経験自体が3年未満です。経験を積んだ中途採用者と比較すると、即戦力になるほどのスキルを持っている可能性は高くないでしょう。

第二新卒との比較対象は中途採用者ではなく、あくまでも新卒です。比較対象を間違わないようにしましょう。

4-2.すぐに辞めてしまう可能性がある

2つ目のデメリットとして、早期退職の可能性があることが挙げられます。第二新卒は、短期間で戦力になれるというメリットがある一方、前職を早期退職しているという事実を忘れてはいけません。それは、自社に入社後も早期退職する可能性があることを意味します。

ただし、早期退職自体は決してネガティブな理由だけではありません。近年では終身雇用の概念がなくなりつつあり、スキルアップを理由とした転職を選択する人材も増えています

早期退職しているからといって「忍耐力がない」と判断するのではなく、どのような考えを持って早期退職したのかを理解し、人材の特性を見極めることが大切といえます。

4-3.前職での経験に偏った意見を持っている可能性がある

3つ目のデメリットとして、前職での経験に偏った意見を持っているケースがあることが挙げられます。メリットで解説した通り、第二新卒は社会人経験が浅いため、入社後も自社の企業文化に適応しやすいことは確かです。

しかし、中には前職の企業文化が浸透しており、入社後も前職と比較してしまうことが多い人材も存在します。あまりにも前職との比較をされると、業務にも支障をきたす可能性もあります。

どの程度、前職の企業文化が浸透しているかどうかは、第二新卒採用時に見極めるポイントの一つといえるでしょう。

5.第二新卒の採用時に注意しておきたいポイント

第二新卒の採用時には、自社への志望動機や前職の退職理由だけでなく、前職の入社理由や成功・失敗体験を確認することも大切です。

また、入社後はスキルに合わせた教育体制をとることで、短期間での戦力化につながります。ここでは、第二新卒の採用時に注意しておきたいポイントについて解説します。

5-1.自社への志望動機を確認する

第二新卒の採用時に注意するポイントとして、自社への志望動機が挙げられます。明確な志望動機やキャリアプランを持っているのであれば、自社で活躍する可能性があるでしょう。

しかし、具体的な志望動機やキャリアプランがない場合、早期退職してしまうリスクを持っていると考えられます。転職理由と志望動機が連動しているかといった視点で、自社で活躍できる人材かどうかを見極めましょう。

5-2.前職の入社理由と退職理由を確認する

2つ目のポイントは、前職の退職理由とともに入社理由を確認することです。第二新卒者は前職を早期退職しています。早期退職しているからには、何かしらの理由があると考えられます。

面接時に退職理由とともに入社理由を確認することで「前職でどのようなミスマッチがあったのか」を把握できます。ミスマッチの理由を知ることで「自社でも発生するミスマッチなのか」を見極めることもできるでしょう

5-3.前職での成功体験・失敗体験を聞く

3つ目のポイントは、前職での成功体験や失敗経験を聞くことです。就業していれば、成功体験や失敗体験を少なからず持っています。経験から得たものを聞くことで、分析力や言語化能力を見極めることができます。

エピソードだけを聞くのではなく「成功や失敗につながった理由」「工夫したポイント」「その体験から学んだこと」を確認しましょう

5-4.仕事への姿勢を確認する

4つ目のポイントは、仕事への姿勢を確認することです。第二新卒は就業経験はあっても、スキルに関しては新卒と差がないと考えられます。そのため、採用基準の中ではモチベーションや考え方といった仕事に対する姿勢が大きな比重を占めます。

「前職でどのように仕事に取り組んだのか」「発生した問題をどうやって解決したのか」を確認することで、仕事に対する姿勢が見えてくるでしょう

5-5.入社後の教育を手厚くする

5つ目のポイントは、入社後の教育を手厚くすることです。第二新卒は新卒と比べると基本的なビジネススキルに対する教育は不要です。しかし、業務に関するスキルは持ち合わせていないケースがほとんどです。

経験を積んだ中途採用者と同様の扱いをした場合、思うように戦力にならない可能性も考えられます。「教育担当をつける」「技術指導を行う」といった教育体制を準備することで、戦力になる期間を短縮できる可能性があります

6.第二新卒の注意点を理解し優秀な人材を確保しよう

第二新卒とは、新卒から3年未満の求職者を指す言葉です。ただし、これは明確に定義されたものではありません。新卒採用での人材確保が困難になっている企業が増加していることや、新卒者の離職率増加していることから、注目が集まっています。

第二新卒を採用するメリットには、入社時期や採用枠を企業の状況に合わせて選べることや、教育コストや短期間での業務参画が可能といったことが挙げられます。一方、スキルに対して中途採用者と同様の期待をしてしまい、思ったよりもスキルが低いと感じてしまうことや、早期退職の可能性があることがデメリットです。

採用時は、自社への志望動機や前職の退職理由だけでなく前職の入社理由や成功・失敗体験を確認しましょう。入社後は、スキルに合わせた教育体制をとることで、短期間での成長につながります。第二新卒の注意点を理解し、優秀な人材確保につなげましょう。