退職理由を聞く際に、以下の3つの目的を念頭に置けば、自社にマッチする人材かどうかの判断に役立ちます。
退職理由を確認すれば、自社の仕事への適性の有無の判断に役立ちます。前職でストレスに感じていた事象が自社でも求められる業務や仕事への姿勢である場合は、適性が無いといえるかもしれません。
たとえば、求められる適性が「積極的に仕事を取りにいく姿勢」であるのにも関わらず、前職の退職理由が「自ら仕事を見つけることが求められるため、ストレスを感じた」といったものであれば、入社しても活躍が難しいという判断ができます。
前職で退職理由となった事柄が自社でも起こり得るものの場合、入社後すぐに同様の理由で退職してしまう可能性が考えられます。
退職に至った経緯が、以前に所属していた企業特有の事情によるものなのか、それとも本人の価値観や性格によって引き起こされたものなのかを意識しながら質問するのが重要です。
後者の場合は、入社しても同様の不満を抱える可能性が考えられます。
退職理由は基本的にネガティブなものがほとんどですが、マイナスな事象に対する捉え方や、その時にとった行動を聞けば、応募者の仕事に対する考え方がわかります。
不満があるにも関わらず、特に何もせずにそのまま辞めたのであれば、仕事も受け身な姿勢かもしれません。反対に不満を解決すべく、企業や上司との交渉や、環境を変えるために周りを巻き込んで行動した等のエピソードがあれば、行動力がある人材と評価できます。
退職理由と志望動機に整合性があるかどうかは、「自社で活躍できるか」「長く働いてもらえるか」を判断するうえで重要です。
退職理由と志望動機に一貫性があるということは、前向きな目標を持って転職活動をしているということです。そのため、前職で叶えられなかったことが自社で叶えられると分かれば、長く活躍してもらえる可能性が高く、入社後に定着するかどうかの判断にも役立ちます。
退職理由があいまいだと、入社後も長く働き続けられるかの判断が難しくなります。できる限り具体的なエピソードを確認しながら、退職理由を聞くようにしてください。
具体的な退職理由が出てこない場合は、仕事への意欲の低さや課題を言語化して解決していくスキルが足りないといった判断も可能です。退職理由の良し悪しだけでなく、具体性にも注目してヒアリングを行ってください。
退職理由をネガティブに伝えすぎてしまう傾向がある方は、物事を否定的に捉えるばかりで課題を解決する意識が低いかもしれません。
退職理由を前向きな内容に変換したり、解消しようと努力したりした姿勢があれば、入社後に多少ストレスがかかるような場面でも、問題を解決しようと行動できるでしょう。退職理由の捉え方や人への伝え方を通じて、困難な事象への取り組み方を判断してください。
自分の主張を述べるばかりで会社や周りの同僚の視点が無い場合は、相手の立場になる力が弱いかもしれません。自己中心的な考え方を持つ方は、入社しても周囲と協力しての仕事が難しい場合があります。
ネガティブな退職理由を聞く際には、「自分に非は無かったのか」「周囲の人々の気持ちも考えられていたか」という視点を持って、具体的なエピソードを聞くようにしてください。
ここからは、上記の2つのポイントを見極めるための具体的な質問例をご紹介します。
職務経歴書に書かれている成果をどのように出したのかを具体的に聞けば、応募者の論理的思考力や課題解決力が測れます。
成果を出すプロセスを言語化できるということは、自分の置かれた状況を俯瞰的に捉えて整理する力があるため、入社後も前職で出した成果を再現できる可能性が高まります。
転職を決意するに至った経緯や転職を決めた動機を聞けば、応募者が不満に思うポイントや、今後のキャリア形成の考え方など、多くの情報を得られます。転職で叶えたいことが、自社への入社で得られるものであれば、応募動機との一貫性も出るため、入社後の短期離職を防ぎ、長く活躍する人材の採用に繋がります。
応募者が努力していることを聞けば、仕事への取り組み方や自分の能力を高める意欲の高さが分かります。また、「ご自身のどのような能力を伸ばしたいと思いますか?」といった質問で深堀りすれば、自分をどのように捉えているかが知れるため、人間性が把握できます。
これらの質問により、スキルと価値観のどちらも把握でき、スキルフィットとカルチャーフィットそれぞれの判断に有効です。
面接は短い時間で自社で活躍できる人材かどうかを判断する必要があるため、質問の意図を明確にし、合否の判断に必要な情報を効率的に収集するように心がけましょう。