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中途採用が難しい理由とは?失敗例と成功させるコツをご紹介

作成者: スタンバイ制作チーム|2023/27/27

1.中途採用が難しいのはなぜ?

中途採用が難しいのは、いくつかの理由があります。労働人口の減少により有効求人倍率が高いことが大きな理由ですが、人事に人手が足りないなど企業側に原因があることも少なくありません。

ここでは、中途採用が難しい理由を解説します。

1-1.有効求人倍率が高い

中途採用が難しいのは、有効求人倍率が上昇傾向にあることが影響しています。少子高齢化による労働人口の減少で、採用市場は競争が激化しているのが実情です。

厚生労働省が発表した2023年2月の有効求人倍率は1.34倍であり、新規求人倍率は2.32倍と高い数字となっています。2009年以降上昇を続けていた有効求人倍率はコロナ禍の影響で一時下がりはしたものの、2021年からまた上昇に転じている状況です。

今後はさらに上昇することも予想され、中途採用が難しい状況は続くと考えられます。

参照元:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年2月分)について」

1-2.市場に求める人材が少ない

中途採用では、即戦力になるだけのスキル・経験を積んだ人材が求められます。しかし、市場にはそのような自社が求める人材が少ない傾向にあります。人材不足の時代に優秀な人材は貴重な存在で、企業では待遇を良くするなど手放さない対策をしていると考えられるためです

また、優秀な人材が転職を考えても、「条件のいい職場を紹介される」「取引先など関係会社からスカウトされる」などさまざまな選択肢があり、求人媒体を通して応募してくる確率は低いといえます。

そのため、採用市場には優秀な人材が少ない傾向にあることも中途採用が難しい理由です。

1-3.人事に人手が足りない

規模の小さい会社では、人事部の社員が足りていないところもあります。人事の業務が忙しく、採用活動にしっかり取り組めないことも中途採用が難しくなる理由です

日常的な業務とともに採用活動の準備や採用広報を1人で行うケースもあり、中途採用だけに十分な時間をかけられないことも少なくありません。選考を急いで行うために人物について十分な見極めができず、入社後のミスマッチを起こす可能性もあります。

1-4.人材の見極めが難しい

中途採用は人材の見極めが難しいことも理由のひとつです。新卒の場合、選考の対象は基本的に社会人経験のない学生で、採用基準は会社への志望度や入社意欲、強みなどに絞ることができます。

しかし、中途採用の応募者はさまざまな経歴があり、スキルのレベルもそれぞれ異なります。自社に合う人材を見極めるには、相応のノウハウが必要です。単に経験が豊富でスキルが高いという基準で選んでしまうと、自社の社風に合わずミスマッチを起こす可能性もあります。

 

1-5.採用期間が短く準備ができていない

中途採用は「退職による欠員補充」や「新規事業の立ち上げに伴う人員の追加」などで不定期に人員が必要になることが多く、早急な人材確保が必要になるケースも少なくありません。

十分な採用活動の準備期間を設けられないことも多く、「応募が集まらない」「短い期間で自社に合う人材を見極められない」といった事態になることもありがちです

1-6.会社の知名度が低い

会社の知名度が低いと求職者を集めることができず、中途採用の目的を実現できません。「中途採用をしていること自体、認知されない」もしくは「どのような会社かよくわからないので応募を見送る」ということになりがちです。

採用広報で認知度を上げる、企業イメージを向上させるといった対策が必要ですが、予算が少ない場合や採用広報のノウハウをあまり持たない場合はそれも難しい傾向にあります。

2.中途採用の現状

厚生労働省の調査によると、2021度に就業した人の数は約710万人で、そのうち約470万人が転職によるものです。

このデータは6割以上の人が中途採用で就職したことを表しており、中途採用に向けて半数以上もの企業が活動していることを示しています。そのため、中途採用の市場は競争が激化しているといえます

近年は、国内市場の縮小化傾向で国内企業のグローバル展開が進み、市場での競争に勝ち抜くために、多様な経験・価値観を持つ人材を求める企業が増えていることも中途採用の競争が激しい理由です。

また、国内の市場で大きく業績を上げるのが難しいという状況で、人材を育てている時間や予算が少ない企業も増えているのが実情です。そのため、教育に手間やコストをかける必要がない、即戦力となる人材が求められています

さらに、最近では働き方が多様化し、勤務時間や勤務場所を自由に選べる制度を取り入れる企業も増えてきました。人材確保のための取り組みですが、働き方の多様化は転職へのハードルを下げることにもあり、人材が流出するリスクも高まっている状況があります。

参照元:厚生労働省「令和3年度 雇用動向調査結果の概要」

 

3.中途採用を成功させるコツ

中途採用が難しいといわれるなかで自社が求める人材を獲得するには、押さえるべきコツがあります。

以下の4点をチェックしてください。

  • ペルソナ設定によりターゲットを明確にする
  • 企業の魅力・アピールポイントを明らかにする
  • 広報活動を工夫する
  • 福利厚生を充実させる

ここでは、中途採用を成功させる4つのコツをご紹介します。

3-1.ペルソナ設定によりターゲットを明確にする

中途採用では、自社が求める人物像をペルソナとして設定することが成功のコツです。ペルソナとは求める人物像を想定した架空のモデルのことで、詳細な人物像の設定が必要です。

ペルソナと似た言葉にターゲットがありますが、年齢や性別などの属性を絞り込んだ一定の層であるターゲットに対し、ペルソナはより詳細に深堀りした具体的な人物像を指します。

ペルソナの設定により、自社が求める人物像について社員間に起こる認識のズレをなくせるのがメリットです。採用のミスマッチを防ぐこともできます。

また、ペルソナを設定することで、求める人物像に届けるべき情報を把握できるのも利点です。本当に必要な情報だけを発信でき、自社とマッチしない人材が応募してくるという事態を回避できます。

3-2.企業の魅力・アピールポイントを明らかにする

知名度が低く中途採用が難しい場合、企業の魅力・アピールポイントを明確化することが重要です。「聞いたことのない企業」に対する求職者の警戒を解くには、できるだけ多く自社の情報を届ける必要があります。

また、多くの企業が中途採用を行うなかで、他社と差別化できなければ自社の情報は他の求人情報に埋もれてしまい、自社に合う人材に情報が届かない可能性があります。

データの分析や競合他社の調査により自社の強みや他社との違いを洗い出し、積極的にアピールすることが大切です

自社の強みを分析するには、フレームワークの利用がおすすめです。代表的なフレームワークには、3C分析やSWOT分析があげられます。

3C分析とは、Customer(市場・顧客)、Company(企業)、Competitor(競合他社)という3つを分析する方法です。外部環境として「市場・顧客」「競合他社」を、内部環境として「自社」を分析します。

SWOT分析とは、自社を取り巻く外部環境と内部環境について、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの要素で分析する方法です。自社の現状や競合他社、市場の将来性など複数の要素を正しく把握し分析することができます。

3-3.広報活動を工夫する

中途採用の成功にはただ募集するだけでなく、広報活動の工夫が欠かせません。広報活動とは、自社のイメージを正しく伝えるため、企業から広く情報発信することです。

働き方や職場の雰囲気、社員の声などをコンテンツにして配信し、企業の魅力を伝えます。企業の認知と理解を促し、自社を転職先に選んでもらうことを目的とする活動です。

広報活動ではSNSも活用し、動画コンテンツや採用サイトを制作するなど、自社に興味を持ってもらうための工夫が大切です。

採用広報への取り組みは、採用のミスマッチ防止にも役立ちます。自社の魅力だけでなく現状の課題について伝えていくことで入社後のギャップをなくし、定着・活躍する人材の獲得を可能にします

 

3-4.福利厚生を充実させる

中途採用で応募が集まらないのは、待遇や福利厚生の内容に問題がある可能性もあります。近年はワークライフバランスを重視する傾向にあり、働きやすい職場が選ばれやすい状況です。

自社の福利厚生が不十分と感じられる場合は、充実を図ることを検討してください。

人材確保につながりやすい福利厚生や制度として、以下のものがあげられます。

  • 住宅手当・家賃補助
  • 社員食堂や昼食補助
  • 特別休暇制度
  • 宿泊施設・レジャー施設などの割引制度
  • サークル活動費の補助
  • 入社祝い金の支給
  • 残業手当全額支給
  • インセンティブ制度
  • リフレッシュ制度(勤続〇年で〇日の休暇など)
  • 各種資格手当

働き方改革として、在宅勤務制度やフレックスタイム制を導入するのも効果的です。どちらも育児や介護との両立を実現し、働きやすい環境を提供できます。

福利厚生の見直しは、自社にできることは何か考え、できることから取り入れていくようにしてください。

4.中途採用の失敗例

中途採用が失敗するパターンはさまざまですが、特に多いのが、「求職者が集まらない」「内定までの期間が長い」「入社後のフォローを行わない」といった事例です。

それぞれ、詳しくご紹介します。

4-1.求職者が集まらない

中途採用でよくある失敗が、募集しても求職者が集まらないという事例です。集まらない原因はさまざまで、「自社に合う人材が集まりそうな採用手法を選んでいない」「採用条件が厳しすぎる」「自社の魅力を伝えきれていない」といったことが考えられます。

採用手法を選ぶ際は、自社が求める人材が多く利用しているかを考える必要があります。また、採用条件が厳しすぎると、「自分には無理」と思われ、応募を見送られる可能性もあるでしょう。

反対に漠然としている採用条件も応募者が集まりません。自分が適合しているのか判断できず、応募を控えてしまう可能性があるためです。

また、自社が求める人材が多く利用する求人媒体を選んでも、自社の魅力がうまくアピールできなければ求職者に響かず、応募は期待できません

 

4-2.内定までの期間が長い

自社に合う人材の応募があっても、内定を出すまでの期間が長いと選考中に辞退されてしまう可能性があります。

期間が長引くのは、次のような事例が考えられます。

  • 日常の業務に追われて採用活動に注力できず、採用までの手際が悪い
  • 入念に審査するため、面接回数を増やした

内定までの時間が長引くと、求職者は不安を感じます。複数社を掛け持ちしている場合、先に内定が出た他社への入社を決めることもあるでしょう。

採用活動は事前に計画を立て、求職者と連絡をとりながら内定まで迅速に進めることが大切です。

また、面接回数が多いことも選考辞退につながりやすくなります。初めは高いモチベーションでのぞんでいた求職者も、回数を重ねるごとにモチベーションが下がることもあり、先に他社から内定をもらえばそちらに決める可能性があります。

ミスマッチを防ぐためには役員面談も設けるなど、面接を複数回行うこともあるでしょう。しかし、多すぎる面談は入社意欲を低下させる場合もあります。

内定までの期間が長引いている場合は面接回数を減らしたり、求職者にこまめに連絡を入れたりするなど、柔軟に対応することも必要です。

4-3.入社後のフォローを行わない

採用活動は入社したら成功というわけではなく、入社後のフォローも大切です。フォロー体制や教育制度が整っていない場合、人材は定着せずに早期退職してしまう可能性があります。

特に中途採用は少人数で採用されることも多く、入社後は既存社員のなかで孤立しがちです。慣れない職場環境にストレスを感じることも多いと考えられます。

スキルや経験があり、即戦力だからと期待されて十分なフォローをしない場合、プレッシャーで実力を発揮できない可能性があります。コミュニケーションもないまま職場に馴染めないと、離職につながるリスクもあるでしょう。

フォロー体制の一例として、以下のような内容があげられます。

  • 部署内、および仕事上関係する他部署のメンバーに紹介する
  • 社員や上司とのランチ会に誘う
  • できるだけ早い段階で歓迎会を実施する
  • 業務や社内の人間関係、独自の慣習を教える担当者を配置する
  • 現場から離れた人事との面談を定期的に行う

中途採用者が既存社員や上司とスムーズなコミュニケーションをとれるよう、適切な場を設定することが必要です。気軽な会話ができるランチや歓迎会の設定をすることで、職場に早く馴染めます。

また、仕事で実力を発揮していると感じられるよう、目標設定することも効果的です。中途採用の社員が今後どのようなキャリアを積んでいくかについて、人事担当と現場の管理職がキャリアプランニングを立てる方法もあります。仕事の目標を明確にでき、モチベーションアップにつながるに違いありません。

5.中途採用がうまくいかないときに見直すポイント

中途採用がうまくいかない場合、原因を突き止めて対策を立て、改善していくことが必要です。中途採用がうまくいかない原因として「採用基準が明確でない」「人事が採用業務に注力できない」「採用方法が適切でない」といったことが考えられます。

ここでは、中途採用がうまくいかないときに見直すポイントをご紹介します。

5-1.採用基準は明確か

中途採用で選んだ人材にミスマッチが起こるといった失敗は、採用基準が明確でないという原因が考えられます。採用基準が曖昧な場合は判断が面接官の主観に委ねられ、人によって採否が変わってしまいかねません。

採用基準が具体的に明文化され、誰もが客観的に判断できているかをチェックしてください。

曖昧な部分があれば、基準を見直しましょう。

採用基準を設定する手順は、以下のとおりです。

  1. 営層と各部署・部門に求める人物像についてヒアリングを行う
  2. ヒアリングをもとに採用したい人材のペルソナを設定する
  3. ペルソナとなる人材を採用するための評価項目を決める
  4. 作成した採用基準について合意を形成する

経営層と現場では求める人物像が異なるケースもあり、現場のニーズを確認することが必要です。特に業務上必要なスキル・資格などは現場担当者の判断が欠かせません。

評価項目は数値で表せる定量的な項目と、数値化できない部分に着目する定性的な項目の両方を考慮し、具体的に設定します。スキルや経験のほかに人柄に関する項目を含め、多面的な判断ができるようにしてください。

作成した採用基準は、人事部内だけでなく配属先の管理職や経営層とも合意形成を行います。

即戦力を重視する中途採用の場合、採用基準で重視するのは主に以下の点です。

  • 実務経験とスキルがあり、即戦力となるか
  • リーダーとして成果を上げた経験はあるか
  • 技術に対する向上心があり、さらなるスキルアップが期待できるか
  • 成功・失敗要因を分析し、業務改善に活かせるか

これはあくまで一例であり、自社の業務に合わせて必要な項目を設定してください。

5-2.人事に業務負担はないか

人事部が人手不足で採用担当者の業務負担が大きい場合、採用業務に注力できない可能性があります。採用課題の抽出・改善や人材の見極めなどができなくなり、目標の人数を採用できない、もしくは人材を確保できてもミスマッチが起こるといった事態になりかねません。

中途採用がうまくいかないのは業務負担が原因と考えられる場合、負担を軽減する対策が必要です。

対策として、以下の方法があげられます。

  • 採用に関わらない業務をアウトソーシングする
  • 採用代行(RPO)を利用する
  • 人材紹介サービスを活用する
  • 採用管理ツールを導入する

採用代行(RPO)とはRecruitment Process Outsourcingの略で、企業の採用プロセスを代行するサービスのことです。業務は大きく「コンサルティング」と「アウトソーシング」に分かれ、企業の必要に応じてさまざまな業務を委託できます。採用代行の業者は多くの採用活動を経験しているスペシャリストであり、企業のニーズに合わせて適した採用手法を選択してくれるのがメリットです。プロからのアドバイスをもらい、そのノウハウを自社の人事部門に取り入れることもできます。

人材紹介会社は自社の希望に沿った求職者を紹介してもらえるため、人事は採用活動の工数を削減できるのがメリットです。新規プロジェクトの案件など外部に知られたくない募集をする場合には、非公開求人にすることもできます。

採用管理ツールとは、応募から採用に至るまでのプロセスを、ひとつのシステム上で一元管理できるツールのことです。応募件数や応募者データ、面接日時などを管理でき、応募者とのやり取りなどもツール上で対応できます。

データを面接官や経営層などと共有できるなど、採用業務の効率化を実現できるため、導入を検討してみるのもおすすめです。

5-3.採用手法は適切か

採用手法が適切でないために中途採用がうまくいかない場合もあります。採用手法は数多く、利用する求職者の層も異なります。自社が求める人材があまり利用しない採用手法であれば、見直しが必要です。

同じ求人サイト、人材紹介サービスでも、幅広い業種・職種を取り扱うところ、特定の業界・職種に特化しているところなどさまざまです。自社の求める人物像を明確にし、より適切な手法を選ぶようにしてください

特に求人倍率の高い職種で募集が集まりにくい場合、企業側から直接アプローチできるダイレクト・ソーシングを活用するのもおすすめです。求める人材にアプローチすることで、効率的な採用活動ができます。

知名度が低いため求人サイトなどでは成果が出にくい企業でも、求職者とのコミュニケーションにより自社が求める優秀な人材を獲得することが可能です。

また、近年はアルムナイ採用やリファラル採用が採用手法のトレンドとして注目されており、取り入れる企業も増えています。

アルムナイ採用とは自社を一度退職した人材を再雇用する制度で、自社の企業理念や社風を理解している人材を獲得できるのがメリットです。

リファラル採用は、自社の社員から紹介を受けた人材を選考する手法です。社員から仕事内容や企業文化などの説明を受けている点で、ミスマッチが起こりにくいというメリットがあります。

同じくトレンドの採用手法として、ミートアップがあげられます。社員と求職者がリラックスした雰囲気で交流する採用方法です。カジュアルなスタイルで行われ、採用につながるというよりは、自社に興味を持ってもらうというスタンスで行われます。

6.中途採用が難しいときは対策を立てよう

少子高齢化による人材不足で、採用市場における優秀な人材の競争率は高い状況です。そのため、中途採用が難しいという企業も少なくありません。

自社に合う即戦力の人材を採用するためには、ペルソナの設定や自社の魅力・アピールポイントを明らかにするなど成功のコツを押さえる必要があります。自社の知名度を高めるためには、広報活動の工夫も大切です。

記事でご紹介した、中途採用のよくある失敗例も把握しておきましょう。自社の課題を分析して対策を立て、中途採用を成功させてください。