人手不足が深刻化する状況で、基本的なマナーを身につけ、長期間安定した勤務が期待できる主婦(夫)を採用したいと考える会社が増えています。
ここでは、主婦(夫)を採用することでどのようなメリットがあるのか解説します。
主婦(夫)の多くは結婚前に会社勤めの経験があり、基本的なビジネスマナーを身につけています。そのため、学生のように社会人のマナーを教育する必要がなく、教育にかける手間やコストを省ける点がメリットです。仕事にも比較的早く馴染んでもらいやすいでしょう。
安定した生活基盤があるため、長期的に働いてもらえるケースが多いというメリットもあります。
主婦(夫)は日々、家事や育児などで忙しく、限られた時間を有効に使うために自然と効率的な動きが身についています。そのような習慣は仕事でも活かされ、効率的な働き方をしてくれる点がメリットです。
時間の大切さを理解しているため、仕事でもできるだけ効率的に行うためにさまざまな工夫をしてくれます。指示されなくても、機転をきかせた立ち振る舞いが期待できるでしょう。与えられた時間の中で状況を判断し、時間内で少しでも多くの作業をしてくれることで高いコストパフォーマンスを発揮します。
主婦(夫)は比較的コミュニケーション能力の高い人が多いため、主に接客の仕事で高いスキルが期待できます。
特に子育ての経験がある主婦(夫)は幼稚園や学校などのさまざまなコミュニティで人と関わり、交流しています。それらの場所で培われたコミュニケーション力は仕事でも活かされ、社内での人間関係を良好に保てることもメリットです。
主婦(夫)の採用では、家庭の事情で欠勤や遅刻などが起こりやすく、働ける時間も限られていという点を把握しておくことが必要です。
ここでは、主婦(夫)を採用する際に知っておきたい点を解説します。
主婦(夫)は家事や育児と両立して働く人が多く、学校の行事や家庭の事情で欠勤・遅刻・早退をしなければならないケースも少なくありません。
子どもの病気などで急や欠勤なども起こりやすくなります。あらかじめそのような事態を想定し、人員を多めに配置して備えるなど、臨機応変に対応できる体制を整えておく必要があります。
育児を行いながら働く主婦(夫)は、幼稚園や小学校など子どもがいない時間帯以外は働けないことも多く、勤務できる時間が限られます。
夕方以降や土日祝日を避けたシフトを組むなど、主婦(夫)が働きやすい環境を作らなければなりません。シフトの作成で時間帯に配慮せず無理を強いると、離職の原因にもなるため注意が必要です。
求人で主婦(夫)の応募を増やすためには、働きやすい勤務条件を提示すること、募集に適した時期に求人広告を出すことがコツです。
ここでは、主婦(夫)の応募を増やすコツを解説します。
主婦(夫)の応募を増やすには、働きやすい時間帯など、人気の勤務条件を提示することがコツです。子どもがいる場合は送り出したあとの朝9時ごろから出勤し、子どもが帰り家事を行う必要がある16~17時ごろまでに帰宅するというシフトが望まれます。休日は子どもやパートナーが休みの土日祝日を希望する人が多いと予想されます。
そのため、週3~4日・9:00~16:00(17:00)といった勤務条件で募集すると、主婦(夫)の応募を増やすことが可能です。
主婦(夫)を採用しやすい時期があります。次のような時期を押さえて求人をかけると、採用しやすくなるでしょう。
4月上旬は子どもの進学や新学期で慌ただしい時期ですが、入園式や入学式が終わるころは時間に余裕ができ、仕事探しが活発になります。
夏休みの時期は子どもと一緒に過ごす時間が多いため、求職活動をする主婦(主夫)は少なめです。しかし、8月下旬ごろになると夏休みの時期に働けなかった分も働く意欲が高まり、求人を探す主婦(主夫)が増えてきます。
主婦(主夫)の仕事探しについて、1年間の動向は以下のとおりです。
1月:子どもの冬休みが終わり、年末年始に散財した分をカバーするために、仕事探しをする時期
2月:特に大きなイベントがなく、ゆっくりと仕事を探す時期
3月:子どもの進学や卒業の準備夫の転勤などで忙しくなることが多い時期
4月:半ば以降は仕事探しが活発になる時期
5月:ゴールデンウィーク明けに仕事を探し始める時期
6月:子どものイベントがなく、休日も少ないため仕事探しが比較的多い時期
7月:子どもが夏休みに入る前に、夏以降の仕事を決めておこうとする時期
8月:9月ごろから働けるよう、仕事を探し始める時期
9月:子どもの夏休みが終わって手が空き、本格的に仕事を探す時期
10月〜11月:子どものイベントが少なく、仕事探しをする人が多い時期
12月:忙しい年末が控え、主婦(主夫)のお仕事探しは落ち着く時期
採用しやすい時期に合わせて求人を行うことで、効率の良い採用活動ができます。
主婦(夫)の採用に成功するためには、媒体選びや求人広告の内容など、いくつか押さえたいポイントがあります。
採用を成功させるポイントを、詳しく解説します。
主婦(夫)の求人をする際、媒体選びが大切です。求人媒体の種類は多く、各媒体ごとに業種・職種・年代など、得意分野が分かれています。主婦(夫)があまり利用しない媒体に求人広告を掲載しても思うように応募は集まりません。
近年は主婦(夫)の採用に特化した求人媒体も増えており、そのような媒体を選べば効率的に応募を増やせます。
主婦(夫)の応募を増やすには、求人広告の内容を工夫しなければなりません。まず、少しでも希望に合う人材に応募してもらうために、ペルソナの設定が必要です。
年齢や性別など大まかな条件を示す「ターゲット」に対し、ペルソナはよりリアルな人物像を想定します。
ペルソナの一例は、以下のとおりです。
このようなペルソナを設定し、ペルソナにアピールするにはどのような求人広告が効果的か、どのような勤務条件にすれば応募を検討してくれるかを考えながら求人広告を作ります。その結果、ペルソナに設定した「採用したい人材」からの応募が期待できます。
ペルソナ設定した人物像に近い従業員が社内にいる場合は、応募した動機や働いていることで感じたことなどをヒアリングし、求人広告に掲載するのも効果的です。
その従業員の仕事と家事を両立させている1日のタイムスケジュールなどを掲載することも、応募者の関心を引く方法です。「自分と環境が似ている」と思い、応募するきっかけになるかもしれません。
主婦(夫)を採用する際の求人広告は、勤務時間を細かく書くなど、書き方にポイントがあります。
ここでは、求人広告を書く際のポイントをご紹介します。
求人広告は、主婦(夫)が働くイメージが持てるように「9:00~16:00、10:00~17:00」など、勤務時間を詳しく記載することがポイントです。
また、次のようなアピールポイントがあれば、より安心して応募できます。
勤務時間を記載する際の文章例をいくつかご紹介します。
お子様の見送りができるよう、10時くらいからの勤務も可能です。お迎えにもきちんといけるように、16時には終業します。 |
当社のスタッフは小さな子どもがいる方が多く、急な用事があるときは家庭を優先してもらえるよう、全員で協力しあいながら仕事をしています。参観日や発表会などのイベントにも参加してもらえるように、希望に沿ったシフトを組んでいるため安心です。 |
勤務時間や勤務日数は、ご希望に応じて決定します。先輩スタッフの中には、週に2日、1日3時間のシフトで働いている方もいます。 |
仕事を探すときは、どのような仕事なのか、自分でもできることか気になるものです。仕事内容をわかりやすく記載すれば、「実際に自分でも働けそう」という安心感を持ち、応募が増えることが期待できます。
いくつか文例をご紹介します。
施設内の日常清掃やカーペットの定期清掃・フロアのワックスがけなどを行う仕事です。時間帯ごとに作業分担を決めています。機械による掃除に関してはマニュアルがあるため安心です。 |
総務部での事務を担当します。主な仕事は、社内文書の作成や管理・保管、郵便物の発送・受付業務です。電話応対や、簡単な接客もあります。残業はなく、定時に帰宅できます。 |
求人広告には主婦(夫)をイメージする写真を使い、安心感をもたせることも大切です。写真を掲載することで目を惹き、応募を増やすことができます。
ペルソナに設定した人物像に近い人物の写真を掲載すれば、親近感が湧き、応募へのハードルも下がります。
写真を撮影する時間帯やモデルとなる人の表情も重要です。写真が暗く、笑顔のない写真では働く意欲が湧きません。明るい時間帯で、笑顔の写真を掲載してください。
主婦(夫)を採用する際は、いくつか気をつけたいことがあります。一般の採用とは異なる注意点があるため、採用前に把握しておいてください。
ここでは、主婦(夫)を採用するときに注意したい点を解説します。
パートナーの収入をメインにしている家庭では、主婦(夫)の収入を扶養控除内勤務にしたいと考えるのが一般的です。扶養控除とは、養っている親族がいる納税者が受けられる所得控除を指します。
扶養控除内勤務とは、税金や社会保険のルール上「被扶養者」として働くことであり、収入を一定以内に収めて扶養内勤務をすることで、税金や社会保険料の負担を抑えることができます。
ここで、扶養控除内勤務の概要を確認しておきましょう。
税金上のルールでは、配偶者を扶養している場合は「配偶者控除」または「配偶者特別控除」が対象です。これにより、扶養している人の課税対象となる所得を減らし納税金額が下がります。この場合、年収のボーダーラインは103万円です。
一方、社会保険上で被扶養者は、扶養者の健康保険や厚生年金保険などの社会保険の扶養に入ります。そのため、扶養控除内勤務により、社会保険料の支払いが免除されます。年収のボーダーラインは130万円未満で、被保険者の年収を上回らないことが条件です。
主婦(夫)を採用する際は、募集する労働時間がこれら扶養控除の範囲内にできるのか、確認しておいてください。できるだけ扶養控除内になるよう工夫することで、応募を増やすことができます。
多くの主婦(夫)は家事・育児と仕事を両立させることを希望しているため、勤務時間はできるだけ固定せず、柔軟な対応が必要です。
家事・育児をする主婦(夫)は、基本的に平日の9時から夕方の16~17時ごろまでの勤務を希望します。休日は「土日祝日」を希望する場合が多いと予想されます。
この時間を基本に、⽇々の始業・終業時刻や労働時間を⾃ら決めることのできるフレックス制度や在宅勤務など、仕事内容に合わせて可能な方法を取り入れてみるのもおすすめです。柔軟な働き方を導入することでより働きやすくなり、応募が増えると同時に定着率も高まります。
主婦(夫)は子どもの年齢や学年で働き方が変わります。いくつかのタイプに分かれ、それぞれの求める条件を把握することが大切です。
家庭の状況は年代により異なり、主に次のような3つのタイプに分かれます。
20代後半〜30代は子どもがまだ小さく、子育てが中心の年齢層です。働ける時間帯は限定され、子どもの体調不良で急な休みや遅刻・早退も多くなりやすいでしょう。幼稚園などは行事が多く、週に働ける日も限られてきます。この年代の主婦(夫)を採用するときは、特に勤務日・勤務時間の配慮が必要です。
子どもが少し大きくなると、子育てと両立して働ける主婦(夫)が増えてきます。30代〜40代の年齢層です。子どもが小学校から中学校に入ると部活などで帰宅が少し遅めになり、働ける時間帯や日にちの幅が広がります。扶養枠を外れて働く人も多くなり、子どもの事情による欠勤や遅刻・早退も減る時期です。安定的に稼働できる年齢層といえます。
40歳代以降になると、子どもが高校や大学などを卒業し、ある程度子育てを卒業しています。働ける時間や日数が増え、フルタイム勤務も可能です。正社員を希望する人も増えるでしょう。長年の家事や人付き合いを経て、仕事の効率性やコミュニケーション力の点でも期待でき、安定した戦力となりえます。
さらに上の年齢層になると、パートナーが定年退職になり、家計を支えるためにフルタイム勤務を希望する人が増える傾向です。
職場では、主婦(夫)が働きやすい環境を考えることが大切です。特に同じように働く主婦(夫)がいない職場は、自分だけ欠勤や遅刻・早退が多いことに気まずさを感じることもあります。
終業後はすぐ帰らなければならない場合、飲み会などのレクレーションに参加できず、疎外感を覚えるかもしれません。
主婦(夫)が孤立しないよう、同じような立場の従業員を複数名雇用することが理想的です。同じ立場の仲間がいれば悩みを共有し、コミュニケーションをとることでモチベーションアップにつながります。働きやすくなり、定着率の向上につながります。
人件費などの関係で複数名の雇用が難しい場合、主婦(夫)が働きやすい環境づくりに努めることが大切です。社内には主婦(夫)を雇用することを周知し、仕事では助け合うことなど協力を求めてください。
主婦(夫)は基本的なマナーが身についていることが多く、効率的な働きが期待できます。子育てにより多くのコミュニティと関わっていることで、高いコミュニケーション力が期待できるのも特徴です。人材不足の時代に、主婦(夫)の採用は多くのメリットがあります。
主婦(夫)の採用を成功させるには、募集に適した時期を選び、人気の勤務条件を提示するなどの工夫が必要です。
求人広告を出す際は主婦(夫)の採用に強い媒体を選び、勤務時間を細かく記載するなどの工夫も欠かせません。柔軟な働き方に対応し、.主婦(夫)が働きやすい環境を考えることも大切です。
主婦(夫)のポイントを押さえ、採用活動を成功させてください。