パーパスの意味とは?企業がパーパスを見直すメリットや効果を解説

人事ノウハウ

パーパスとは企業の存在意義や方向性を表すもので、近年注目を集めています。パーパスを社内に浸透させることで、従業員のロイヤリティ向上など得ることができるメリットは少なくありません。 今回はパーパスの概要やメリット、企業事例などをご紹介します。

1.企業の存在意義「パーパス」とは

1.企業の存在意義「パーパス」とは「パーパス」(purpose)とは目的や意図という意味で、ビジネスでは企業の存在意義や目的、全体の指針を指すものとして使われています。

ここでは、パーパスの意味やMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)との違いについてみていきましょう。

1-1.パーパスの意味

パーパスとは、社会における企業の存在意義を宣言するものです。社会とどのようにつながり、何のために存在して事業を展開するのかを示します。近年はパーパスを重視し、ただ利益を上げるだけでなく、パーパスを策定して社会のさまざまな課題に対して解決に取り組む企業も増えています。

パーパスは企業の考え方や価値観、経営者の想いといった経営理念に近く、さらに社会とのつながりを意識したものです。ただし、経営理念が時代や社会のニーズ、経営者の後退などで変わる可能性があるのに対し、パーパスは変わりづらいという特徴があります。

1-2.MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)との違い

パーパスは「MVV」(ミッション・ビジョン・バリュー)と混同される場合がありますが、両者は異なります。

MVVとは、ミッション(Mission)・ビジョン(Vision)・バリュー(Value)をまとめたもので、それぞれ使命・理念・行動指針という意味です。企業は自社の使命を達成するために理念を実現し、理念を実現するための価値基準として行動指針を定めるという意味合いがあります。

MVVは将来に向けた企業の方針であるのに対し、パーパスは現在の社会における企業の存在意義を明らかにするものという点が異なります。

2.パーパスが注目され始めた背景

2.パーパスが注目され始めた背景ビジネスにおいてパーパスが注目されるようになったのは、時代の変化により社会における企業の役割が変わってきたという背景があります。技術の進化や人々の意識の変化などいくつかの要因があり、新型コロナウイルスの感染・拡大も影響しています。

パーパスが注目され始めた背景について、みてみましょう。

2-1.DXの浸透

現代は技術の進化が著しく、企業には「DX」(デジタル・トランス・フォーメーション)の推進が急がれています。DXを成功させるためには、業務のデジタル化など物理的な側面だけでなく、企業の意識そのものを変革させることが必要です

企業の取り組みや社会における役割について全社員が納得し、共感を得なければなりません。そのために必要となるのがパーパスです。

2-2.ミレニアル世代の台頭

パーパスが注目される背景には、ミレニアル世代と呼ばれる若い層の台頭が大きく関わっています。ミレニアル世代とは1980年〜1990年代半ばごろまでに生まれた世代のことで、英語ではMillennials(ミレニアルズ)と呼ばれています。

ミレニアル世代の消費は、製品・サービスの価格だけでなく、価値観に共感できる企業かどうかを重視する傾向があります。提供する企業が消費者の健康や地球環境などに配慮しているかを見て、購入するかを判断しているのです。

また、仕事においても「社会の役に立つ仕事か」を重視し、優秀な人材はパーパスのある企業に集まる傾向があります。

そのため、パーパスを策定し、ミレニアル世代の関心や共感を得ることができるかが企業の課題となっているのです。

2-3.新型コロナウイルス感染症の拡大

2020年から始まった新型コロナウイルスの感染・拡大も、パーパスが注目される背景の一つです。コロナ禍により社会が不安定になるなかで人々の価値観は変化し、企業としてのあり方や社会へ貢献などに関心が寄せられるようなっています。

また、感染防止のためテレワークの導入が推進されたことも、パーパスが注目されるきっかけです。テレワークにより社員間のコミュニケーションが不足しがちになり、企業や仕事に対する従業員エンゲージメントが低下しているという状況があります。

エンゲージメントとは企業への愛着心や帰属意識といった意味で、テレワークにより社員同士が一緒に過ごす機会が減ることで、エンゲージメントは少なからず減少してしまいます。そのような状況の中で、新たなエンゲージメントを醸成するものとして期待されているのがパーパスです。パーパスを策定して発信し、社員の共感を得ることで新たなエンゲージメントを作り出すことが期待されています。

 

 

2-4.SDGsとサステナビリティ経営

SDGsやサステナビリティ経営に取り組む企業が増えてきたことも、パーパスに注目が集まっている要因です。

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」のことです。2030年までに、経済・環境・社会において持続可能でよりよい世界を目指しています。  

サステナビリティ(Sustainability)とは持続可能性という意味であり、サステナビリティ経営は経済・環境・社会のすべてにおいて持続可能な状態を目指す経営のことです。

どちらも環境・社会・経済の持続可能性を目指す点で共通していますが、サステナビリティはこれら3つを大きな枠組みでとらえているのに対し、SDGsは具体的に17のゴールを設定し、実際に解決しながら目標を達成しようという試みです。

SDGsやサステナビリティ経営への取り組みにパーパスの策定を連動させることで、社会とのつながりや貢献などパーパスの内容がより具体的になり、社内での浸透をスムーズにします。

2-5.戦略・組織の多様化

これまで、日本企業の活動のメインは国内市場で、終身雇用や年功序列制などが当たり前の時代がありました。企業としての価値観や方針をあえて打ち出さなくても目指す方向は定まっており、パーパスがなくても同じ行動ができたという事情があります。

しかし、近年はビジネスのグローバル化や終身雇用の崩壊、労働力不足による外国人の雇用など、戦略・組織の多様化が進行しています。企業の価値観や方向性を全社員が共有することは難しくなり、パーパスの浸透が注目されるようになったのです。

多様性を受け入れて新しい価値を創造するダイバーシティ経営が注目されるなか、パーパスの重要性もより高まるといえます。

3.パーパスを見直すメリット

3.パーパスを見直すメリットパーパスはただ策定するだけでなく、社内に浸透させることが重要です。パーパスを浸透させることで従業員のロイヤリティ向上など、さまざまなメリットが期待できます。

ここでは、パーパスを見直すメリットについて解説します。

3-1.従業員のロイヤリティや自律性が向上する

パーパスは従業員にとって働く目的となり、従業員のロイヤリティや自律性の向上につながります。パーパスが従業員に浸透することにより愛社精神などのロイヤリティが上がり、仕事に対する誇りを持つことにつながります。

仕事に取り組む意欲が高まり、自社の利益のために自発的に動くという自律性も促進されます。生産性が向上し、業績アップという結果も期待できます。

 

 

3-2.ステークホルダーからの支持を得ることができる

パーパスを明確に打ち出すことで、投資家や取引先、顧客などさまざまなステークホルダーからの支持や共感を得ることができます。

支持や共感をするステークホルダーが増えれば、それだけ企業の認知度も上がります。ブランディングや企業イメージの向上にもつながるでしょう。その結果、優秀な人材獲得の競争力が高まるのもメリットです。

3-3.ESG推進に貢献する

パーパスの策定は、「ESG」推進にも貢献します。ESGとは「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」の頭文字を取った略称です。

ESGは企業が長期的に成長し続けるために欠かせない視点であり、近年は財務情報だけでなく、ESGの要素を考慮して投資する投資家も増えています。取り組むESGの内容をパーパスで明らかにすることで、推進の原動力になるのです

3-4.より良い意思決定につながる

パーパスは、企業がより良い意思決定をするための指標になります。パーパスが社内に浸透していれば行動の軸が定まり、重要な戦略・方針を決める際も迅速でベストな意思決定が可能です

スムーズな意思決定ができることで商品・サービスの開発や経営方針の変更、業務フローの改善などを進めやすくなり、企業の成長を促しくなります。

4.パーパスブランディングの効果

4.パーパスブランディングの効果パーパスとともに、パーパスでブランド戦略をする「パーパスブランディング」も注目を集めています。パーパスブランディングとは、ブランディングの施策をパーパスに基づいて展開する手法です。社会における自社の存在意義を広く認知してもらい、共感を獲得してブランディングを図ります。

消費者が共感しやすいパーパスを策定したパーパスブランディングにより、商品やサービス、自社ブランドの認知を拡大してイメージの向上やファンの獲得などの効果が期待できます。

例えばサステナビリティ経営と連携したブランディングを行うことで、社会問題に関心の高い消費者へのアピールにつながります。

パーパスブランディングにより独自のブランド価値を形成でき、独自性の確立によって消費者が多くの競合から自社製品・サービスを選ぶことが期待できます

また、パーパスブランディングで企業の存在意義をアピールすることにより、意欲的な人材の共感を得るなど人材確保にも効果を発揮します。

5.パーパスを掲げる企業の事例

5.パーパスを掲げる企業の事例パーパスを策定し、パーパス経営を実践する企業は少なくありません。これからパーパスの策定を計画している場合、実際の事例を参考にしてみるとよいでしょう。

パーパスを掲げる代表的な2社について、ご紹介します。

5-1.ネスレ

食品メーカーのネスレのパーパスは「生活の質を高め、さらに健康な未来づくりに貢献します」です。策定したパーパスに基づき、「食の持つ力で人とペットの生活に大きな違いをもたらすこと」「環境を守って保全を強化すること」「ステークホルダーに大きな価値をもたらすこと」に、エネルギーとリソースを集中しています。

また、ネスレではSDGsの達成を支援するため、2030年に向けて3つの包括的で長期的な目標を設定しています。

5-2.ナイキ

スポーツ関連の事業を展開するナイキのパーパスは、以下のとおりです。

Our purpose is to unite the world through sport to create a healthy planet, active communities and an equal playing field for all.(私たちの目的は、世界を前進させることです。私たちは、コミュニティを構築し、地球を保護し、スポーツへのアクセスを増やすことで行動を起こします)」

パーパスの達成に向けて、ナイキは20年にわたり環境や社会への影響に関する報告・インパクトレポートを発表しています。2025年に向けて29項目の新しい目標を設定しており、女性の積極的雇用や多様性への取り組みを主軸とした目標です。

6.パーパスを見直して自社を成長させよう

6.パーパスを見直して自社を成長させようパーパスとは企業の存在意義や方向性を示すもので、DXの浸透やミレニアル世代の台頭により注目を集めています。パーパスの策定と浸透により、従業員のロイヤリティ向上やステークホルダーからの支持などのメリットがあり、パーパスブランディングにより独自のブランド価値を形成することも可能です。

変化の激しい時代に競争力をつけて企業を成長させるため、パーパスの策定を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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