新卒採用における会社説明会は、企業が学生に対して自社をアピールする場所です。採用活動に役立つ母集団形成や、自社への理解を深める目的で開催します。
本記事では新卒採用の会社説明会の目的や種類、事前準備などを解説します。当日の流れも説明しますので、参考にしてください。
1.会社説明会を行う目的
新卒採用の会社説明会とは、企業が学生に対して自社をアピールする採用活動のひとつです。自社をアピールし、より多くの応募につなげることができます。
会社説明会の目的は、主に母集団形成と自社への理解促進です。会社説明会を行う目的について、詳しく解説します。
1-1.母集団形成
会社説明会を行う目的のひとつは、母集団の形成です。母集団形成とは、自社の求人に興味を持つ学生を集めることを指します。ただ集めるだけではなく、自社の求める人物像に合う人材について、適切な人数を集めることが大切です。
適切な質と量の母集団形成を行うことで、効果的な採用活動ができます。
特に会社説明会は自社に興味を持つ人材が集まるため、効率的な母集団形成が可能です。
1-2.自社への理解の促進
会社説明会は、学生に自社を知ってもらい、理解を深めて選考に応募してもらうことが目的です。一般的に認知度の低い企業は、まず自社の認知を広め、理解を促進してもらわなければなりません。そのために効率的なのが会社説明会です。
説明の参加者が自社への理解を深め、働くイメージを持つことで、応募への意欲を高めてもらうことができます。
2.会社説明会の種類
会社説明会には、複数の企業が開催する合同説明会と、自社独自で行う単独説明会の2種類があります。ここでは、それぞれの特徴をご紹介します。
2-1.合同説明会
合同説明会は、複数の企業がひとつの会場に集まって開催する説明会です。就活サイトや大学、自治体などが全国各地で開催します。その規模は、数百社が集まるものから数十社が参加するものものまでさまざまです。
会場には各企業のブースが設置され、集まった学生に向けて会社説明会が行われます。
数多くの学生が集まるため、自社の認知度を高める機会になる点がメリットです。ただし、多くの会社が集まる説明会では、埋もれてしまって認知されにくいというデメリットがあります。
業界、業種ごとに開催される合同説明会もあります。その業界に興味を持つ学生が集まるため、自社の求める人材が見つかりやすいのがメリットです。
2-2.単独説明会
一社が単独で行う説明会です。自社内の会議室などを会場として開催することが多く、選考の一環としてエントリーシートの提出や筆記試験、面接などが同時に行われることも少なくありません。
参加者と個別に話す機会を設定でき、時間をかけて自社をアピールできます。質問にゆっくり答える時間があり、自社に合う人材を見つけやすいのがメリットです。
ただし、自社の知名度が低い場合には、学生・求職者が集まりにくいというデメリットがあります。また、豊富なコンテンツを用意するなど魅力のある説明会にしないと、自社に対するイメージを下げてしまう可能性があります。
3.会社説明会を開催するまでの準備
会社説明会を成功させるには、十分な事前準備が欠かせません。ここでは、会社説明会を開催するまでの手順を解説します。
3-1.自社の求める人物像を明確にする
まず、自社はどのような人材を必要としているのか、求める人物像を明確にします。人物像を明らかにすることで、何を訴求ポイントにして、どのようなコンテンツを用意すべきかがわかります。
人物像の設定は、年代や性別だけでなく、パーソナリティまで詳細に設定し、ペルソナとして具体的な人物像を設定することがポイントです。ペルソナの設定により求める人材を集めやすくなり、採用のミスマッチを防止できます。
3-2.会社説明会の日程と場所を決める
単独の会社説明会を開催する場合、説明会の日程と場所を設定します。日程は大学の授業を考慮し、夕方や土日に設定すると集まりやすくなります。
就活では1日に複数の会社説明会に出向くこともあるため、場所はできるだけ交通の便の良いところに設定してください。
自社の会議室などで開催する方法もあります。会社の雰囲気を実際に体感してもらえ、入社後のイメージができる点がメリットです。
3-3.講師の選定と依頼をする
説明会の講師を選定します。会社トップや人事担当者、現場のエース社員などが務めることが一般的です。学生の立場に近い新入社員を選定すれば、就活生の不安や疑問を理解し、親身になってアドバイスできるでしょう。
また、外部の講師を招く方法もあります。プロの講師であれば、自社の魅力を上手に伝えることが期待できます。
3-4.会社説明会の開催を告知する
自社にエントリーした学生に説明会の開催を告知するとともに、ターゲットとなる学生にDMを送るなどの集客活動を行います。
自社のホームページやSNSの利用も集客に効果的です。SNSでは、開催に向けて準備する会場の様子や、来場する学生に向けた社員のメッセージを伝えるという方法もあります。会社や社員への親近感を与え、説明会への興味を高める効果が期待できるでしょう。
3-5.当日のスケジュールとスタッフ配置を決める
当日のタイムスケジュールを設定します。学生に対する説明や休憩時間、説明の時間配分、質疑応答といったスケジュールの時間について、大体の目安を算出しておいてください。
スタッフの役割を決め、各担当者に連絡することも必要です。プログラムに合わせたスタッフの配置表を作成します。
学生の質疑応答にあたるスタッフには、担当者ごとに回答が異ならないよう、共通認識を持たせることも大切です。
3-6.当日使用する備品や配布物を準備する
パソコンやプロジェクターなど、当日使用する備品を準備します。会社案内やアンケート用紙など、参加者に配布する資料なども忘れずに用意してください。業種によっては、製品サンプルを配るのも効果的です。
また、スタッフにはバッジや腕章、筆記用具、出席者リストなどの準備も必要です。
会場内で参加者がスムーズに動けるよう、出入り口に誘導するための張り紙や看板の用意も忘れないようにしてください。
3-7.出席確認やリマインドをする
説明会への参加を希望している学生に対し、出席確認やリマインドも必要です。開催日の3日前から前日にかけてメールなどで行います。
説明会の準備と参加意欲を高めるため、参加者には事前資料の提供をするのもおすすめです。
会社の概要や事業内容、福利厚生、キャリアパスなどの情報を含めた資料を提供することで、参加者は事前知識を得ることができます。参加意欲を高め、説明会での質問を用意することもできるでしょう。意見交換にも積極的に参加できます。
4.会社説明会の当日の流れ
会社説明会の当日は、次のような流れで行います。
- 会社概要の説明
- 仕事の詳細の説明
- ビジョンの共有
- 社員と学生の交流
- 採用情報の説明
- アンケートの実施
ここでは、各段階の内容を解説します。
4-1.会社概要の説明
説明会のはじめには、自社がどのような会社であるか学生に理解してもらうため、会社概要の説明を行います。会社の歴史や事業内容、業績などをわかりやすく説明することで、自社に対する興味や関心を高めてもらいます。
会社概要は配布資料に掲載されている内容をそのまま伝えるのではなく、最新情報や興味深いエピソードなどをまじえると、さらに就活生の関心を惹くことができるでしょう。
説明の前には講師の自己紹介も忘れずに行ってください。入社時の志望動機や入社後の経験などを伝えると、就活生の興味がより高まります。
4-2.仕事の詳細の説明
業務内容は1日の流れなど、実際に働く様子がわかるような説明をすると入社後のイメージが湧きやすくなります。
まだ社会人経験がない学生にとって実際に働くイメージをすることは難しいため、より具体的に説明することが大切です。
現場社員が講師を務める場合は、自分の1日の仕事を紹介するのもおすすめです。休憩時間の過ごし方や同僚との交流などもまじえると、学生の興味を惹きやすくなります。
4-3.ビジョンの共有
新卒採用には、将来の幹部候補を育てるという目的もあります。そのためには、経営トップや経営陣から、会社のビジョンを共有することも大切です。
経営理念やビジョンを伝えることで、「ともにビジョンの実現を目指して働く」という意識の共有ができます。
会社のビジョンを共感することで、働くモチベーションを高め、長期的に自社で働くイメージをしてもらえます。
4-4.社員と学生の交流
会社説明会では、社員と学生の交流の場を設けることも大切です。説明会終了後に全体で質疑応答するには時間の制約があり、質問できない参加者も出てきます。
職種ごとにテーブルを分け、少人数の学生が質問をするという座談会形式にすれば、質問もしやすくなります。テーブルを移動することで多くの社員に質問ができ、交流も深まるでしょう。
4-5.採用情報の説明
最後に、自社の採用情報を伝えます。応募の判断に必要となる募集要項(待遇・仕事内容・求める人物像など)について説明し、参加者とすり合わせを行います。求める人物像については、採用後のミスマッチを減らすためにも、できるだけ具体的に伝えることが大切です。
合わせて、今後の選考フローなども説明してください。今後の予定がわかることで参加者はスケジューリングしやすくなり、応募を促すことができます。
4-6.アンケートの実施
アンケートの実施も必須事項です。アンケート項目が多すぎると回答に時間がかかり、未回答の項目が多くなる可能性があります。そのため、少ない項目でも次年度に活かせる内容にすることが大切です。
一例として、次のような質問があげられます。
- 説明会で良かった点・改善すべき点
- 説明会の満足度
- 疑問点は解決できたか
開催後は、参加に対するお礼メールを送ることも忘れないようにしてください。
5.近年増えているWeb会社説明会
近年は、オンラインによる会社説明会を行う企業が増えています。ここでは、Web会社説明会の内容や種類、開催する際の注意点を解説します。
5-1.Web会社説明会とは
Web会社説明会とは、PCやスマホなどを使用してオンラインで開催する説明会のことです。内容は対面の説明会と同様で、リアルタイムに開催したり、事前に録画した動画を配信したりして実施します。
インターネットにつながる環境があれば、遠隔地の学生でも参加でき、会場の準備が必要なく設営の負担が減るなどのメリットがあります。カメラをオフにして参加できるケースも多く、普段の服装のまま参加できることもメリットです。
2020年に始まったコロナ禍の影響でWeb会社説明会やWeb面接を取り入れる企業が増え、そのまま定着して実施する企業も少なくありません。
5-2.Web会社説明会の種類
Web会社説明会には、ライブ配信型・録画配信型の2種類があります。ライブ配信型は開催日時が決まっており、リアルタイムに配信を行う方法です。チャット機能など使い、学生とコミュニケーションを取ることもできます。
録画配信型は、事前に収録した動画を配信する方法です。サイト上にある動画を自由に視聴できる方法もあれば、事前申込により動画のURLを送る方法もあります。
5-3.Web会社説明会を開催する際の注意点
Web会社説明会はどこからでも気軽に参加してもらえるというメリットがありますが、内容に興味を持てない場合、途中で退室される可能性もあります。
途中で離脱せず最後まで見てもらうためには、説明会の内容を工夫しなければなりません。学生の興味を惹いて最後まで見たくなるような、魅力のある構成と内容の説明会にすることが大切です。
6.入念に準備をして会社説明会を成功させよう
採用活動における会社説明会は、母集団形成と自社への理解促進のために行われます。自社をアピールし、より多くの応募につなげる機会です。求める人材像に近い学生に自社を選んでもらうためには、説明会の内容を工夫することが求められます。
そのためにも、事前準備はしっかり行うことが大切です。実施の流れをよく把握して、会社説明会を成功させましょう。