ダメな面接官によって、応募者の入社意欲が削がれてしまう可能性があります。面接官の態度やマナーが悪かったり、質問スキルに問題があったりすると応募者が抱く会社への印象も悪くなるためです。今回はダメな面接官の8つの特徴や、好感度の高い面接官の特徴を解説します。
1.採用活動は面接官の良し悪しで大きく成果が変わる
採用活動は、面接官の良し悪しで大きく成果が変わる傾向にあります。面接官は質問スキルが注目されがちですが、態度や言動が採用活動に大きな影響を与えます。
応募者にとって、通常、面接官ははじめて出会う応募先の会社の社員です。大手の会社や人気の会社であっても、実際に話をした面接官の印象が悪ければ、応募者が会社に対して抱くイメージも悪くなります。その結果、面接官の印象によって入社意欲が高まったり、逆に削がれたりするでしょう。
ダメな面接官の存在によって会社の評判が下がると、優秀な人材は他社に流れてしまいます。面接する側も、自分たちの認識以上に態度や言動をみられていると自覚することが重要です。
2.ダメな面接官の8つの特徴
ダメな面接官の特徴は、主に次の8つです。
- 態度やマナーが悪い
- 面接に遅刻する
- レスポンスがないもしくは遅い
- 連絡ミスがある
- 面接時間が短い
- 求人情報との齟齬がある
- 就職差別につながる質問をしている
- 安易に不採用とする
それぞれの特徴を解説していきます。
2-1.態度やマナーが悪い
面接官の態度やマナーが悪いと、応募者のモチベーションに悪影響を及ぼします。ふんぞり返って座っていたり、頻繁に時計を気にするなど別の仕事を優先させているのがみて取れたりするのは問題です。また、応募者のキャリアや考え方を露骨に否定する、自社の社員への文句や同業他社をおとしめる発言なども、あってはならないことです。
高圧的な態度や言動、一方的なダメ出しを目の当たりにした応募者は、このような社員のいる会社では働きたくないと考え、入社意欲を失う可能性が高いといえます。
2-2.面接に遅刻する
面接官の遅刻は、応募者に「時間に対してルーズな会社」というイメージを与えかねません。ましてや、謝罪の言葉もなく何事もなかったかのように面接を始めることは避けたいものです。
面接官が遅刻しないことは当然として、前の仕事が長引き、面接の開始時間が遅れてしまった場合は、必ずお詫びをして誠意を伝える必要があります。また、遅刻が原因で面接時間が延びてしまい終了時刻が遅くなることを、あらかじめ丁寧に説明することが重要です。
2-3.レスポンスがないもしくは遅い
応募者は、面接日程の連絡や面接後の合否の連絡を不安な気持ちで待っていることがほとんどです。そのため、事前に伝えられていた期間を過ぎても連絡がこないと、会社に対してマイナスの印象を持つ可能性が高いでしょう。
また、連絡予定の期日を大幅に過ぎてから突然選考通過の連絡をして、翌日に次の面接を設定するといったような、応募者への配慮が欠けるスケジューリングも避けたほうが賢明です。
2-4.連絡ミスがある
連絡ミスがあるのも、ダメな面接官にみられる特徴に挙げられます。たとえば面接の日時や場所の連絡にミスがあった場合、応募者を長時間待たせてしまったり、別の日にあらためて面接に来てもらわなければならなくなったりする可能性があります。
連絡ミスは応募者の入社意欲の低下を招くリスクがあるため、メール送信や電話の前に内容確認を怠らないようにしましょう。
2-5.面接時間が短い
面接時間が極端に短いのも、応募者が会社へのマイナスイメージを抱く一因です。応募者は面接に対して、移動時間も含めて多くの時間を費やします。それにもかかわらず、肝心の面接が5〜10分の短時間で終わってしまうと、自分のことを十分に理解してもらえたと思えず、不安を募らせるケースも少なくありません。
応募者にしっかりと向き合った面接は内定受諾につながるだけでなく、入社後に生じやすいギャップの防止にも寄与すると考えられます。
2-6.求人情報との齟齬がある
面接で面接官から伝えられる内容と求人情報に齟齬があると、応募者の不信感を招きやすくなります。
たとえば求人情報には有給休暇の取得率が高いと書いてあったのに実際にはほとんど取得できなかったり、研修制度があるから未経験OKとあったのに、制度自体がなかったりするケースです。求人情報には事実のみを記載し、面接での説明と齟齬が生じないように意識することが重要です。
2-7.就職差別につながる質問をしている
ダメな面接官は、就職差別につながる質問をする傾向にあります。仕事に直接関係のない、個人情報を質問するのは避けましょう。具体的には、親の職業や持ち家の有無などが挙げられます。
女性に対して結婚や妊娠の予定を聞くことも、セクシャルハラスメントに該当する可能性が高いため、注意が必要です。
2-8.安易に不採用とする
安易に不採用とすることも、ダメな面接官によくみられる特徴の1つです。面接官は、応募者を合格させるよりも不採用とするほうが簡単といえます。合格させた場合、通常は応募者のどの部分を評価したのかを次の面接官に説明する必要があるためです。
一方、不採用とした場合は、その理由を深く追及されることは少ない傾向にあります。前の選考の面接官と意見をすり合わせることはあるものの、前の選考の面接官は自分よりも職位が低いことが多いため、あまり大変ではないと考えられます。
誰がみても明らかに優秀な応募者は合格の理由も容易に説明できますが、そのような応募者はどの会社も採用したがるため、採用競合が強いとなかなか欲しい人材を確保できません。
そのため面接では、応募者のこれまでの行動や思考パターンから、潜在的な能力に注目するポテンシャル採用も行う必要があることがほとんどです。しかし、ダメな面接官は自分に業務負荷がかかることを敬遠し、なかなか次の選考に進ませないことが多いのです。
3.応募者から好感度の高い面接官の特徴
応募者から好感度の高い面接官の特徴は、主に次の3つです。
- 話しやすい雰囲気を作れる
- 正直に会社のことを話している
- 人として誠実な対応ができる
採用活動で結果を出すには、面接官がこれらの特徴を備えている必要があります。1つずつ解説していきます。
3-1.話しやすい雰囲気を作れる
好感度の高い面接官の特徴に、話しやすい雰囲気を作れることが挙げられます。良い面接官は緊張している応募者を気遣い笑顔で傾聴したり、アイスブレイクを丁寧に行ったりして緊張を解ほぐすような雰囲気作りに努める傾向にあるものです。
面接では、応募者のいつもどおりの様子を知ることも重要です。そのため、リラックスして受けられる面接は、採用側にも大きなメリットがあります。
3-2.正直に会社のことを話している
正直に会社のことを話すのも、良い面接官の特徴です。応募者の入社意欲を高めるために、面接官は自社の魅力を最大限伝えようとするのが一般的です。
しかしあえて正直に会社のリアルな実態や、抱えている課題についても言及することで、結果的に入社後に生じやすい入社後のミスマッチの防止につながります。
なお会社の課題や現状とセットで、すすめている改善策や今後の展望などを伝え、応募者の不安を軽減し信用を得ることも重要です。
3-3.人として誠実な対応ができる
応募者に対して、礼儀正しく誠実な態度を取る面接官は、それだけで好印象を得られます。応募者の目をしっかり見て話す、丁寧に挨拶する、終始笑顔で対応する、相槌を打ちながらうなずくなどがポイントです。
このように応募者に対しても人として誠実な対応を取れるのが、良い面接官の条件といえます。
4.採用活動を成功させるならまず面接官を見直そう
ダメな面接官を中心に採用活動を行うと、なかなか成果に結びつかない可能性があります。面接官の態度や言動に問題があったり、就職差別につながるような質問をしていたりする場合、応募者が会社に抱く印象が悪くなるためです。
面接官の態度や応募者への質問は、採用活動の成否を決める重要な要素であることを踏まえて、面接官を選びましょう。また、面接官に対して研修やトレーニングを実施することも有効です。