応募者に対し、企業側から面接に断りを入れることは、採用活動の中でも配慮が必要な業務の一つです。伝え方によっては企業イメージを損なう可能性もあるため、ポイントを押さえたうえで結果を伝える必要があります。
本記事では、企業側から面接を断る際の断り方やそのポイント、例文について解説します。
1.企業側から面接を断る場合は企業イメージを損なう可能性もある
採用活動で多くの応募があった場合、応募者に対し次の面接には進めないことを連絡する必要があります。しかし、断り方によっては企業イメージを損なう可能性があります。
応募者をないがしろにした断り方をした場合、断られた応募者が、自社に対し悪い印象を持ったことをSNSで発信したり、友人に話したりといった行動を起こしかねません。そうなると、自社に対する悪い印象が広がり、企業イメージを損なう可能性も考えられます。
そのような事態を回避するためには、どれだけ多くの応募者に断りを入れる場合でも、一人ひとりに対し丁寧に対応することが大切です。
2.企業側から応募者への面接の断り方
企業から応募者への面接の断り方としては、以下の3つが挙げられます。
どの方法にもトラブルが発生する可能性があるため、対策を取ることが大切です。トラブルを回避する対策を取ることで、応募者に悪い印象を与えずにすみます。ここでは、3つの方法で断りを入れる場合のポイントについて解説します。
2-1.郵送で断る際のポイント
郵送で不採用通知をする場合、「応募者の手元に届かない」というトラブルだけは回避したいものです。リスク対策として、追跡番号で届いたかどうかを確認できる「レターパック」や、対面手渡しでなければ配達できない「簡易書留」の利用がおすすめです。
発送書類の「写し」をとることも忘れてはいけません。写しを取っておけば、応募者から「届いていない」と連絡があった場合でも発送したことを証明できます。
また、応募者のプライバシーに配慮し、封筒には「不採用結果の通知」といった選考結果がわかるような文言の記載は避けましょう。
2-2.電話で断る際のポイント
電話で断る場合、「言った・言わない」のトラブルは避けたいものです。急いで通知する場合、たとえ電話で不採用を伝えたとしても、郵送やメールで不採用通知を送ることが大切です。そうすることで、伝えた内容が記録として残るため、トラブルを回避できます。
また、電話は応募者と直接話すため、応募者の気持ちを考えた丁寧な対応をする必要があります。「応募者が電話に出られない時間帯を避ける」「不在時には再度連絡する」「一方的に要件を伝えず丁寧に会話する」といった対応を心がけましょう。
2-3.メールで断る際のポイント
メールで断る場合、他のメールに埋もれてしまわないようにする必要があります。ひと目でわかるように「選考結果のご連絡」「企業名」といった文言を件名に入れましょう。
定型文や長文を避けることもポイントです。たしかに、多くの応募者に不採用通知をする場合は定型文を利用するほうが効率的です。しかし、応募者からすると定型文は事務的に感じられ、悪い印象を与えてしまう可能性があります。
長文も、読み手の時間を奪うため、良い印象を与えることは考えにくいです。応募者に対する労いの文言を、簡潔に伝えられるような文章を心がけましょう。
3.企業側から面接を断る際の4つのポイント
応募者に対し、次の面接に進めないことを伝える際のポイントには、以下の4つがあります。
- 連絡は早めに行う
- 感謝を伝える
- 人柄が伝わったことを伝える
- プライドを傷つけないような言葉を選ぶ
どのポイントも、応募者の今後の活動に配慮することを目的としていますが、自社の印象にも影響する内容です。ここでは、それぞれのポイントについて解説します。
3-1.連絡は早めに行う
企業側から面接を断る場合、連絡は早めに行うことがポイントです。就職活動や転職活動をしている人は、複数の企業に応募していたり、不採用通知が来たらすぐに次の企業に応募したいと思っていたりします。
不採用の連絡が遅ければ、応募者の活動スケジュールに遅れが発生する可能性があります。活動スケジュールが遅れた挙句、不採用となれば、自社に対して良い印象を持たれることはありません。
応募者の活動スケジュールと自社の印象に影響させないためにも、選考後7日以内を目安として結果を伝えましょう。
3-2.感謝を伝える
2つ目のポイントは、感謝を伝えることです。応募者は数ある企業の中から自社を選んでくれています。その応募者に対し、不採用である旨だけを伝えた場合、応募者は自社から誠意を感じられず、悪い印象を持ってしまうことが考えられます。
自社を選んでくれたことに対する「感謝の気持ち」を伝えることを忘れないようにしましょう。
3-3.人柄が伝わったことを伝える
3つ目のポイントは、人柄が伝わったことを伝えることです。不採用となった結果を伝えただけでは、応募者は納得してくれません。能力や実績、人柄といったさまざまな要素から総合的に判断した結果であることを伝えれば、応募者も納得しやすくなります。
応募者と向き合ったという姿勢を示すためにも、選考時に「人柄が伝わっていた」ことを伝えましょう。
3-4.プライドを傷つけないような言葉を選ぶ
4つ目のポイントは、応募者のプライドを傷つけないような言葉を選ぶことです。不採用である事実は、応募者にとってネガティブな結果です。応募者の中には、プライドが高い人や傷つきやすい人もいます。
不採用の結果だけを伝えた場合、プライドが傷つき、今後の活動に影響する可能性も考えられます。不採用は、あくまでも自社の条件に合致しなかった結果であり、応募者を否定したものではありません。
応募者の精神面に配慮する意味でも、お礼と感謝の気持ちとともに、選考結果は応募者を否定したものではないことを伝えましょう。
4.面接を断る際の理由別例文
応募者に面接に進めないことを伝える際に、その理由を伝える義務はありません。聞かれた場合は「相対評価であること」「選考基準が高くなった」といったことを伝えましょう。
ここでは「募集人数が定員に達した場合」と「不採用の理由を述べない場合」の、面接を断る際の例文をご紹介します。
4-1.募集人数が定員に達した場合(応募書類の返却なしの場合)
募集人数が定員に達した場合は、その旨を以下のように簡潔に書きましょう。
件名:【選考結果のご連絡】株式会社◯◯◯◯
◯◯ ◯◯様(応募者のフルネーム) 株式会社◯◯◯◯の◯◯(採用担当者名)と申します。
このたびは、数ある企業の中から当社の求人にご応募いただき、誠にありがとうございます。
応募書類をもとに慎重に選考した結果、誠に残念ではございますがご期待に添えない結果となりました。大変申し訳ございません。
◯◯様のお人柄やご経験は大変魅力的ではございましたが、限られた採用枠ということもあり、苦渋の決断となりました。
何卒ご了承くださいますようお願いいたします。
なお、お預かりした応募書類につきましては、弊社にて責任をもって破棄いたします。
ご応募いただいたことに御礼申し上げると共に、略式ながらメールにて通知申し上げます。 多くの企業の中から弊社を選び、ご応募いただきましたことを深く感謝申し上げます。
末筆になりますが、〇〇様の今後益々のご活躍をお祈り申し上げます。
--------------------------------------------- 株式会社◯◯◯◯ 人事部 (採用担当者名) 住所:(郵便番号、会社の住所) TEL:(採用担当者の電話番号) Mail:(採用担当者のメールアドレス) ---------------------------------------------
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4-2.理由を述べない場合(応募書類の返却ありの場合)
不採用となった理由を述べない場合は、以下のように結果だけを伝えます。この場合、選考前に不採用時には理由を述べないことを伝えておくことで、トラブル回避につながります。
件名:【選考結果のご連絡】株式会社◯◯◯◯
◯◯ ◯◯様(応募者のフルネーム) 株式会社◯◯◯◯の◯◯(採用担当者名)と申します。
このたびは、数ある企業の中から弊社の求人にご応募いただき、誠にありがとうございます。
応募書類をもとに慎重に選考した結果、誠に残念ではございますが、今回はご期待に添えない結果となりました。大変申し訳ございません。
何卒ご了承くださいますようお願いいたします。
なお、こちらでお預かりした履歴書等の選考書類につきましては、履歴書に記載されておりますご住所に郵送させていただきます。
本日投函致しましたこと、ご報告いたします。
ご応募いただいたことに御礼申し上げると共に、略式ながらメールにて通知申し上げます。 多くの企業の中から弊社を選び、ご応募いただきましたことを深く感謝申し上げます。
末筆になりますが、◯◯様のこれからのご活躍をお祈り申し上げます。
--------------------------------------------- 株式会社◯◯◯◯ 人事部 (採用担当者名) 住所:(郵便番号、会社の住所) TEL:(採用担当者の電話番号) Mail:(採用担当者のメールアドレス) ---------------------------------------------
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5.企業側から面接を断る際は丁寧に対応しよう
企業から応募者への面接の断り方としては、郵送や電話、メールといった方法があります。ただし、どの方法にもトラブルが発生する可能性があるため、対策が必要です。
次の面接に進めないことを伝える際には、以下の4つのポイントを押さえましょう。
- 連絡は早めに行う
- 感謝を伝える
- 人柄が伝わったことを伝える
- プライドを傷つけないような言葉を選ぶ
どのポイントも、応募者の今後の活動に配慮するだけでなく、自社の印象にも影響する内容であることを理解する必要があります。
応募者に不採用であったことを伝える際に、その理由を伝える義務はありません。しかし、応募者をないがしろにした伝え方をした場合、断り方によっては企業イメージを損なう可能性があります。
自社に対し悪い印象を持ったことをSNSで発信されたり、友人に話したりといった行動を起こされ、自社に対する悪い印象が広がる可能性も考えられます。リスク回避のためにも、応募者一人ひとりに対し丁寧に対応しましょう。
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