リクルーターとは新卒採用において候補者と直接コンタクトを取り、採用活動を行う担当者です。早い段階から候補者と接触し、自社の理解を促します。
本記事ではリクルーターの役割や制度を設けるメリットについて説明するとともに、導入の流れについて紹介します。
1.リクルーターとは?
「リクルーター」とは、採用活動を行う担当者のことです。人材不足が深刻になる状況の中で、自社に必要な人材を確保するためにリクルーター制度を採用する企業が増えています。リクルーターは候補者に直接アプローチし、自社の理解を促す役割をします。
ここでは、リクルーターの内容や注目されている理由について、みていきましょう。
1-1.候補者と直接接触する採用担当者
リクルーターは企業の求める人材に直接接触し、採用活動を行う担当者のことです。主に新卒採用で行われ、一般的に候補者が気軽に話しやすい入社1〜5年目程度の若手社員が担当になります。
リクルーターの役割は企業により異なり、出身大学のゼミやサークルを訪問して学生と直接コンタクトを取る、OB・OG訪問を受けた際に面会するなど、採用活動の支援を行うのです。
適切な新卒の人材を確保するには、他社に先駆けて行動しなければなりません。リクルーターは人事としては動けない解禁日以前に人材の発掘や確保を行うため、メリットが大きいとして多くの企業で活用されています。
1-2.リクルーターが注目されている理由
近年、リクルーターの活用が注目されており、その背景には通年採用の増加や採用活動のオンライン化があります。採用人数の多い大手企業が相次いで通年採用を導入していることで、これまでのように同じタイミングで就職活動を行う学生が減っているためです。
そのような学生に幅広くアプローチしていくためには、各学生のタイミングに合わせて対応する、リクルーターが重要となります。
また、インターネットの普及により新卒紹介サービスが生まれ、スカウトやOB訪問などのサービスも提供されるようになってきたことも、リクルーターが注目される背景といえるでしょう。
2.リクルーターと人事の違いとは?
リクルーターは、人事部には属さない社員が担当することがほとんどです。就活生と年齢が近い方が親しみを感じやすく関係を構築しやすい傾向にあるため、その多くは若手社員が選ばれています。候補者に対して自社の魅力をアピールができるスキルが必要で、優秀な人材を見極める能力も求められます。
また、リクルーターは会社の顔として候補者と接触するため、候補者のロールモデルになる役割も果たします。「自分もこのような社員になりたい」と思われるために、自社が求める人物像に近い社員が向いているでしょう。
自社にリクルーターの適任者がいない場合、外部に依頼する方法もあります。ノウハウを持つプロのリクルーターが対応するため、的確に候補者を見極めてもらうことが期待できます。
ただしコストがかかるため、業務委託料や依頼するリクルーターのスキル・実績などから費用対効果を判断し、利用するかどうか決めてください。
3.リクルーターが果たす役割
リクルーターの役割は、主に以下の5つです。
- 企業に合う人材を集めること
- 自社の魅力を伝えること
- 候補者の人柄を見極めること
- 面接官として候補者と面談すること
- 内定後のフォローをすること
リクルーターは最初の母集団形成から内定者のフォローまで、人材獲得の一連の流れの中で重要な役割を担います。その役割について、詳しくみていきましょう。
3-1.企業に合う人材を集める
リクルーターが最初に行うことは、質の高い母集団の形成です。出身大学を訪問するなどして会社の認知度を高め、自社に興味や関心を持つ学生を集めます。
リクルーターは企業が求める人物像に合う人材を見つけて直接アプローチするなど、積極的に採用活動を行うのです。
企業は採用活動において基本的に受け身にならざるを得ませんが、学生に直接接触できるリクルーターを活用することで、効率的な採用活動ができます。
3-2.自社の理解を促す
形成した母集団とコミュニケーションを取りながら、自社の理解を促すのもリクルーターの役割です。候補者と対話し、相手の知りたい情報をしっかりと伝えて自社への志望度を高めます。
リクルーターは候補者一人ひとりに自社をアピールするため、説明会でまとめて伝えるよりも候補者ごとのニーズに沿った具体的な情報を与えられるのがメリットです。
3-3.候補者の人柄を把握する
リクルーターは候補者一人ひとりとコミュニケーションを図るため、その人柄をしっかり把握することができます。候補者への理解を深め、会社の求める人材であるかを見極めるのがリクルーターの役割です。
リクルーターは面接官よりも近い距離で話せるため、面接だけでは分からない候補者の内面を知ることもできるでしょう。採用のミスマッチをなくし、本当に自社が求める人材にアプローチできるのがリクルーターの優れた特徴です。
3-4.面談を行う
リクルーターは面談を行う場合もあります。本格的な就活が始まる前に優秀な学生とコンタクトを取り、自社をアピールするという目的のもと、一般的な就活開始時期よりも早い時期に行われることが多いでしょう。
候補者に親近感を持って接するため、カフェなどカジュアルな場所で行うのが一般的です。気軽な雰囲気で行うものの、選考における始めのステップととらえる企業も少なくありません。
そのため、リクルーターとの面談によって面接回数が減る場合もあり、面談後は最終選考に進むケースもあります。
3-5.内定者をフォローする
リクルーターの仕事は候補者の内定が決まったらそれで終わりではなく、内定辞退を防止するためのフォローも行います。
新卒採用の場合、内定から入社までの期間が長い場合が多く、内定者の気が変わって辞退する可能性もあります。
そのため、リクルーターは内定者と定期的に連絡を取り、不安や疑問を取り除くためのコミュニケーションを図ることが大切です。現場社員と交流する企画を立てるなど、さまざまなフォロー対策が求められます。
4.リクルーター面談の種類と役割
リクルーターが候補者と面談を行うことをリクルーター面談といいます。新卒採用スケジュールに先駆け、早期に優秀な人材を確保するという目的があります。
また、リクルーター面談はリラックスできる環境で候補者の本音を引き出すのも目的のひとつです。リクルーター面談には、以下の3種類があります。
ここでは、リクルーター面談の種類とそれぞれの役割について解説します。
4-1.説明会の場合
リクルーター面談は、数名の候補者を集めて説明会の形式で行う場合もあります。
リクルーターが会社について説明するとともに、候補者からの質問を受け付ける形式です。「どのような会社か」「どのような仕事をするのか」などの質問に対し、現場で働いているリクルーターだからこそできる回答により候補者が抱いている疑問や不安を解消します。
4-2.スカウトの場合
スカウトは、リクルーターから会社が求める人材に接触し、入社に向けて働きかける面談です。働きかけには、以下のようにさまざまな方法があります。
- OB・OG訪問のあった後輩にコンタクトをとる
- 会社説明会などの参加者が記入した書類をもとに連絡する
- 求人サイトのデータベースから候補者を探してスカウトする
いずれも特定の候補者に直接アプローチする方法で、自社の求める人材の母集団を形成できるのがメリットです。
4-3.面接の場合
リクルーター面談は通常の面接とは異なりますが、面接選考の趣旨で行われることもあります。カフェなどカジュアルな場所で行うことで候補者は本来の面接よりもリラックスし、本音を聞き出しやすいのがメリットです。
人材の採用では能力もさることながら人柄も重要な部分であり、「ともに仕事をしたい」と思える人柄であることが求められます。候補者の本音を聞き出すことで、通常の面接よりも候補者の人柄を見極めることができるのです。
また、選考としてのリクルーター面談は選考の効率化を図る目的もあります。多くの候補者の中から自社が求める人材を見つけるのは大変です。そのため、候補者の本音がわかりやすい面談を通じて採用基準を満たしているかを見極め、選考を効率化するという目的があります。
リクルーター面談をどのように実施するかは企業によって異なります。選考が始まる前に行って感触が良ければ1次面接以降の実施を免除するケースも少なくありません。2次面接や3次面接の間にインターバルとして行われる場合もあります。
5.リクルーター面談の進め方
リクルーター面談には候補者に自社を選んでもらうという目的があり、自社の魅力を伝えて入社意欲を高めてもらわなければなりません。
具体的な進め方は、以下のとおりです。
- 自己紹介と雑談などをしてリラックスする
- 評価に関係しない非公式な場であることを説明する
- 自社に関する簡単な説明を行う
- 学生生活のことなど、候補者の話を聞く
これは一例に過ぎず、流れは企業によりさまざまです。自社の魅力を伝えることと、リクルーターの方から質問をして候補者の本音を引き出すことがポイントになります。
6.【企業側】リクルーター制度を設けるメリット・デメリット
リクルーター制度を設けることは、企業にとってさまざまなメリットがあります。早い時期に自社に合う人材へ個別のアプローチができ、候補者に合わせたプロモーションができるのが大きなメリットです。また、リラックスした雰囲気で行う面談を通し、候補者についてよく知ることもできます。
一方で、デメリットな側面もあることも否定できません。
ここからは、リクルーター制度を設けるメリット・デメリットについてご紹介します。
6-1.【メリット1】早期に個別のアプローチができる
リクルーター制度は就活の解禁日である3月以前に候補者へのアプローチができるため、早い段階から自社に合う人材にアプローチできるのがメリットです。
労働力の減少により人材の獲得競争が激しくなる中で、できるだけ早く学生に接触することが必要になっています。
リクルーター制度を上手に運用することで、他社よりも有利に採用活動を進められるでしょう。
6-2.【メリット2】候補者をよく知ることができる
リクルーター面談を行うことで、候補者についてよく知ることができるのもメリットです。候補者に直接会って話すことにより、面接では判断しづらい候補者の人柄や価値観をより深く理解できます。
信頼関係を構築できれば会社への不安など本音を聞き取ることもでき、不安を解消するなど志望度を高めるための働きかけもできるでしょう。
6-3.【メリット3】業務の詳細を伝えられる
リクルーターは候補者とのリクルーター面談を通し、候補者の価値観や考え方を把握できます。そのため、候補者のニーズに合わせた自社のプロモーションができ、説明会などで多人数に合わせた説明よりも会社の魅力について詳細に伝えることが可能です。
早い段階から業務の詳細を伝えられれば、自社への志望度を高めて採用活動の成功を促すことができるでしょう。
6-4.【デメリット】リクルーター次第で企業のイメージダウンが起こりうる
リクルーター制度は、リクルーターの能力に左右されやすいのがデメリットです。リクルーターの人選を誤り、適した行動ができない社員を選んでしまった場合、企業のイメージダウンにつながる可能性があります。
人材の素質を見極める能力がない、あるいは自社の魅力を十分に伝えることができなければ、制度は無駄になってしまいます。
しっかりと人選を行い、事前の研修を行うことも必要です。
7.【応募側】リクルーター制度を設けるメリット・デメリット
リクルーター制度は、応募側にとってもメリット・デメリットがあります。まず、リクルーター面談の感触によっては複数回にわたる面接を減らせることは大きなメリットです。
一方でリクルーター制度は、必ずしもすべての候補者に公平な制度とはいえません。
ここでは、候補者から見たリクルーター制度のメリット・デメリットをご紹介します。
7-1.【メリット1】面接を簡略化できる
企業によっては2次面接、3次面接と複数回の面接を行いますが、その前後で行われるリクルーター面談が選考の場となるケースもあることは説明しました。面談で自社が求める人材であると見極めれば、その後の面接が免除になるケースもあります。
緊張を強いられる面接の負担を減らせることは、候補者にとってメリットといえるでしょう。
7-2.【メリット2】不安を解消しやすくなる
リクルーターは候補者である学生と年齢が近い若手社員が選ばれることが多く、候補者は気軽に接することができます。人事部の担当者と対面すると緊張してしまい、自由に質問ができないこともあるでしょう。
若手のリクルーターであれば質問しやすく、リクルーターの方でも企業の理解を促すため、候補者の質問には真摯に対応すると考えられます。疑問や不安を解消しやすいのがメリットです。
7-3.【デメリット1】不公平感につながる場合もある
リクルーター制度は候補者にとって公平ではない側面があります。企業内にOB・OGがいなければ大学にリクルーターの派遣がない可能性もあり、リクルーター面談の機会を得られません。
また、リクルーターの派遣は、一定ランク以上の大学に限られる場合も多く、大学のランクによってはリクルーター面談を受けられないことになります。
その場合は通常の選考でチャレンジするしかなく、不公平と感じる場合もあるでしょう。
7-4.【デメリット2】結果がわからないために不安を抱く可能性もある
リクルーター面談は本選考とは異なり、合否の通知はありません。そのため、候補者は結果がどうなのか不安を抱く可能性があります。結果がわからないため、そのまま連絡を待つべきか、他社の選考を受けるべきか迷う候補者もいます。
リクルーター面談で不合格の場合、そのまま連絡しないというケースは少なくありません。候補者の就職活動に配慮し、何らかの対応は必要といえます。
8.リクルーター制度を導入するステップ
リクルーター制度を導入するには、手順を踏む必要があります。まず、社内全体に制度を周知し、趣旨を理解してもらわなければなりません。
その後は業務内容や予算、ルールを定め、リクルーターが働きやすい体制を整えます。求める人材を明確にし、適切なリクルーターを選任することも大切です。
ここでは、リクルーター制度を導入するステップをご紹介します。
8-1.制度導入を社内に周知する
リクルーター制度は人事部だけで完結するものではなく、全社で取り組むものとして社内に周知させることが大切です。制度の趣旨を説明し、事業計画のために人材獲得が重要なこと、自社に合う人材を採用するためにリクルーター制度が役立つことを理解してもらいましょう。
社員の理解を得るには、経営トップをはじめとする経営層が積極的に取り組む姿勢を示すことが大切です。部署の壁を越え、制度の構築とリクルーターを選ぶための事前準備を行いましょう。
8-2.業務内容や予算を決める
制度の構築では、まず業務内容や予算を決め、適切に運用するためのルールを定めることが必要です。
リクルーターの面談では飲食しながら行う場合があり、勤務時間外や休日に実施することもあります。飲食費の扱いや、どこまでを業務内容とするのかを決めなければなりません。休日出勤手当や時間外手当、代休などの取り決めも必要です。
また、リクルーターは通常業務と同時進行で採用業務を担当するため、周囲の協力も欠かせません。働きやすい環境を整備するためルールを共有し、トラブルを未然に防止しましょう。
8-3.求める人材を明確にする
どのような人材を求めるのか、明確な基準を定めることも重要です。人物像を明確にせずに採用活動を行うと、採用要件に合わない人材にアプローチしてミスマッチを起こす可能性があります。
人物像の設定では、事業の目標達成を考慮することが不可欠です。事業計画に合わせた人物像を設定するため、経営陣からのヒアリングが欠かせません。また実際の業務でどのような人材が必要かを把握するために、現場の意見を反映させることも大切です。
8-4.リクルーター制度を適用する学校を選定する
候補者を集めるため、リクルーター制度を適用する学校を選定します。選定する基準は企業により異なりますが、主な選び方は以下のとおりです。
- 自社にOB・OGが多い学校を選ぶ
- 自社で活躍している社員の出身校を選ぶ
自社と何らかのつながりがある学校を選ぶことでリクルーター制度の導入がスムーズになります。また、活躍を見込める候補者が見つかる可能性も高くなるでしょう。
選定にあたっては、実際にリクルーターが学校に出向いて個別説明会を開催する、もしくは出身大学で関係者と面識がある場合、直接コンタクトを取って後輩学生と面談をするといった方法がとられます。
8-5.リクルーターを選ぶ
リクルーター制度では、リクルーターの選定が重要です。企業の顔となる存在であるため、基準を明確にして選定し、育成しなければなりません。
まず、リクルーターには入社1~5年目の若手社員が向いています。年齢が近いほど接触の機会を作りやすく、学生も親しみを感じて気軽に交流できるためです。面談回数が増えてきたら、業務について精通している中堅社員が対応する場合もあります。
リクルーターは学生から見てロールモデルとなるような、実力のある社員を選ぶことが大切です。選抜方法は自薦、あるいは他薦にするとよいでしょう。
学生にアプローチして自社の魅力を伝えたいという意思のある社員や、周囲から見て役割に適任と思われる社員であれば、リクルーターにふさわしいといえます。
リクルーター候補を選定したら、制度を導入する目的や行うこと、業務の内容について説明しましょう。どのような人材を見つけ、どうコミュニケーションするかの育成も必要となります。
リクルーターの役割は、学生とコミュニケーションを取りながら信頼を得て、企業に興味を持ってもらうことです。そのためには、良好な関係を築くためのスキルを習得しなければなりません。
リクルーターの育成では、個々のリクルーターに差が出ないことが大切です。同一のレベルとなり、意識を共有できる育成を目指しましょう。
9.若手社員以外はリクルーターに不向きか?
リクルーターは、一般的に5年目くらいまでの若手社員が選ばれる傾向にあります。しかし、中堅社員やベテラン社員にはまた違った役割があり、選出することのメリットは少なくありません。
ここでは、中堅社員やベテラン社員を選出するメリットについて解説します。
9-1.中堅社員から選出するメリット
入社から6~15年目程度の中堅社員は自社の業務への理解がより深く、若手社員よりも自社のビジョンや業務内容を深く説明できるというメリットがあります。
また、候補者の緊張をほぐして本音を聞き出すスキルは、若手よりも中堅社員の方が得意とも考えられます。上手にコミュニケーションをとることで、内定辞退の防止も可能です。
初期の対応は若手社員がメインに行い、面談では中堅社員も立ち会って候補者を見極めるという方法も有効です。
9-2.ベテラン社員から選出するメリット
勤続年数の長いベテラン社員であれば、企業理念など本質的な部分から自社の魅力を伝えられます。候補者からの質問にも的確に回答できるでしょう。
ベテラン社員が面談するということで、会社の本気度も伝わります。
逃したくない優秀な候補者がいる場合や、あと一押しが必要というときに大きな役割を果たします。そのため、最終的に入社の意思を固めてもらうときなどにベテラン社員を選出する会社も少なくありません。
10.リクルーターにふさわしい人物像
リクルーターを選ぶ際は、ふさわしい人物像を明確にする必要があります。まず、他者とコミュニケーションがうまくできない場合は適任とはいえないでしょう。
また成績が良いだけでは、リクルーターにふさわしいとはいえません。成績が良くても必ずしも愛社精神が高い人ばかりではなく、自社への愛着心や貢献する気持ちが低い場合、候補者に会社の魅力を十分に伝えることはできないでしょう。
リクルーターにふさわしい人物像について、ご紹介します。
10-1.コミュニケーション力が高い
リクルーターは候補者とコミュニケーションを取りながら打ち解け、良好な関係を築くことが求められます。そのため、コミュニケーションのスキルは必須です。
リクルーターと話すとき、候補者は緊張するのが一般的でしょう。緊張した状態では、本音を引き出すことはできません。リクルーターは対話をしながら、候補者をリラックスさせるコミュニケーション力が求められるのです。
コミュニケーション力の中でも、特に必要となるのは傾聴力や共感力です。まだ志望意欲が高くない候補者から上手に話を聞き取るには、話をしっかり聞くことと共感することが欠かせません。
また、誠実であることも大切です。競争の激しい市場では、学生側が企業を選ぶ立場にあります。誠実さに欠ける態度では、良好な関係を築くことはできないでしょう。
当然ながら、社会人としての立ち居振る舞いができること、身だしなみがきちんとしていること、言葉遣いが丁寧なことも大切です。
10-2.会社への理解が深い
リクルーターは自社の魅力をアピールする役割があり、会社への理解が深いことが必要です。企業文化や業務内容、実績、今後の方向性などについて精通していれば自社を上手にアピールでき、学生からの質問にも的確に回答できます。
さらに、リクルーターは「エンゲージメント」が高い人でなければなりません。エンゲージメントとは、愛社精神や会社に貢献したいという気持ちのことです。リクルーター自身が会社に愛着心を持ち、親しい人に入社を勧められるくらい思い入れがあることが求められます。
自社に満足していない社員は、リクルーターには向いていません。リクルーターを選ぶ際は、社員のエンゲージメントについても確認しておくことが必要です。
エンゲージメントが高いほど、より熱心に自社の魅力や優れているところを伝えることができるでしょう。
11.リクルーター制度を成功させるに押さえておきたいポイント
リクルーター制度を成功させるためには、候補者とリクルーターの相性を考慮することも大切です。また、入社後のキャリアをサポートするという意識も持たなければなりません。
ここでは、リクルーター制度を成功させるために押さえておきたいポイントを解説します。
11-1.候補者とリクルーターとの相性を考慮する
リクルーターを選出する際は、リクルーターとしての能力を重視するだけでなく、学生との相性を考慮することも大切です。専攻の学部や部活動などの経験に親和性があり、価値観の合う社員を選ぶようにしてください。
相性が合うだけでなく、相手の話を傾聴して受け入れるスキルもあれば理想的です。候補者の適性検査の結果を見て、リクルーターと性格が合うかを判断する方法もあります。
11-2.入社だけをゴールとせず、候補者のキャリアをサポートする意識を持つ
自社に入社させることだけ考えると、入社後のミスマッチが起こりやすくなります。入社後も候補者が最適なキャリアを積み重ねられるよう、サポートするという意識が必要です。
自社の目標や理念、方向性について十分理解してもらえるように努め、入社後の具体的イメージができるようにサポートしてください。候補者が自社について理解を深め、その上で入社意欲を高めるように導きます。
11-3.リクルーターをサポートする体制をつくる
リクルーターをサポートする体制をつくることも重要なポイントです。リクルーターにすべてを一任するのではなく、細かいフォローやマネジメントをしていかなければなりません。
定期的にミーティングを開いてこまめに情報を共有し、悩みなどの相談にも対応します。トラブルがあった際は、すぐに対応できるような体制を整えておくことが必要です。
12.リクルーターは優秀な人材確保に役立つ
リクルーターは、早い段階から候補者と直接接触してコミュニケーションを図り、人材獲得を支援する役割を果たします。母集団を形成して候補者と交流を深め、内定者のフォローも行います。
個別のアプローチにより自社への理解を深め、採用のミスマッチを防げるのがメリットです。リクルーターの選任にはエンゲージメントが高く、コミュニケーションスキルに優れていることが求められます。
人材獲得に課題がある会社は、リクルーター制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。