新卒採用手法について、従来のスタイルのものからトレンドのものまで10つご紹介します。
1.就職サイト
2.求人検索エンジン
3.新卒求人専用の自社サイト
4.新卒向けの合同説明会
5.インターンシップ制度
6.学生課に求人情報を提供する
7. ダイレクトリクルーティング
8. ソーシャルリクルーティング
9. ミートアップ
10.Web説明会
1.従来型の新卒採用手法6選
新卒を採用する手法には多くの種類があります。その中でも比較的昔から実施されている従来型の新卒採用手法としては、次の6つが挙げられるでしょう。
- 就職サイト
- 求人検索エンジン
- 新卒求人専用の自社サイト
- 新卒向けの合同説明会
- インターンシップ制度
- 学生課に求人情報を提供する
それぞれの手法の概要をご紹介し、メリットとデメリットについて解説します。
1-1.就職サイト
大手の就職サイトに新卒採用の広告を掲載する方法があります。大手のサイトであれば閲覧数も多いため、多くの求職者にアピールすることが可能です。効率良く採用活動を進めたいときは、大手就職サイトを利用しましょう。
一定条件を満たす学生だけに求職案内を届けたいときには、閲覧数の多い大手就職サイトは不向きといえるかもしれません。求人広告に条件を分かりやすく記載し、対象外の学生が応募しないように工夫することが必要になるでしょう。
なお、大手以外の就職サイトは、新卒の求職者全体にアピールするものというよりは、専門職・業界別、あるいは高学歴層などで細かく分類されていることが一般的です。そのため、大手就職サイトとは異なるタイプの採用手法として考えることができるでしょう。
1-2.求人検索エンジン
「求人検索エンジン」とは、職種や勤務地などのキーワードを入力することで、該当する求人票が表示されるツールです。学生は気になるキーワードだけで案件を絞ることができるため、閲覧数を増やしやすい特徴があります。結果として、多くの学生に情報を届けられるのです。
1-3.新卒求人専用の自社サイト
新卒求人専用のサイトを自社で作成する方法もあります。コーポレートサイトとリンクさせておくと、企業に興味を持った方がワンクリックで求人サイトを閲覧できるため、より効率の良い採用活動を実施できるでしょう。
自社サイトであれば字数や内容に制限がないため、より詳しい情報を紹介できるというメリットがあります。ページ数にも制限はないため、社員インタビューや事業内容、福利厚生など多様な情報を系統立てて提供することが可能です。
しかし、大手の就職サイトと比べ、閲覧数が少なくなる点は注意が必要なポイントです。閲覧数が少なくなる点の解消方法として、大手の就職サイトと併用して採用活動を行う、大手の就職サイトに自社サイトのQRコードを載せる、自社サイトと求人検索エンジンを連携させるなどの方法も検討してみましょう。
1-4.新卒向けの合同説明会
新卒向けの合同説明会に参加することも、比較的長く実施されている新卒採用方法の一つです。
就職サイトや自社サイトで求人広告を掲載する場合、企業や業界に興味を持った求職者以外が閲覧する可能性は低いと考えられます。しかし合同説明会であれば、特に企業や業界に興味がない求職者の目にも触れる可能性があります。
その一方で、参加する企業が多すぎるときは、求職者の関心を惹きつけることが難しくなるかもしれません。求職者の心に響く説明を行えるよう、十分に準備してから臨むことが大切です。
1-5.インターンシップ制度
インターンシップ制度を導入することにより人材確保につなげる方法も、従来型の新卒採用手法です。学生には仕事の経験を積むことで安心して入社できるというメリットがありますが、企業側にとっても時間をかけて学生を見極めることができるというメリットがあります。
また、インターンシップの期間が長い場合は、学生が業務を体験する期間も長くなるため、即戦力ある人材に育成することが可能です。ただし、企画や運営に時間がかかること、現場の理解が必要なことはデメリットといえます。
1-6.学生課に求人情報を提供する
大学や専門学校の学生課に求人情報を提供するという手法も、従来からよく用いられてきました。学校を選べるため、ターゲットを絞った採用活動を実施できます。また、大学や専門学校から手数料を請求されることはないため、コストがかからないのもメリットです。
しかし、大学や専門学校の学生課スタッフが、採用に関してあまり知識を持ち合わせていない場合には、学生に求人情報が伝わらない可能性があります。また、大学や専門学校側と接点を作ることが難しく、手間と時間がかかるかもしれません。
2.比較的新しい新卒採用手法4選
比較的新しい新卒採用手法としては、次の4つが挙げられます。
1. ダイレクトリクルーティング
2. ソーシャルリクルーティング
3. ミートアップ
4. Web説明会
それぞれの特徴やメリット、デメリットについてみていきましょう。
2-1.ダイレクトリクルーティング
「ダイレクトリクルーティング」とは、企業側が学生を直接スカウトする採用手法です。ダイレクトリクルーティングは、主に「ダイレクト就職サイト」を使って行われます。
ダイレクト就職サイトとは就職を希望する学生が登録しているサイトで、企業側が閲覧者となり、条件に合う学生や興味を持った学生を選んでアプローチすることが可能です。
条件を指定して学生を検索できるため、効率性の高い採用活動を行うことができます。また、積極的かつ早期にアプローチすることで、優秀な人材が他の企業に流出することを回避できるというメリットもあります。
2-2.ソーシャルリクルーティング
「ソーシャルリクルーティング」とは、SNSを活用した求人活動を指します。例えば、SNS上に就職活動中の学生に向けた情報、企業広告や採用情報などを流すことで、学生の興味を惹きつけるのもソーシャルリクルーティングの一つです。
どのような学生を求めているのか、どのような事業を行う企業なのかについて紹介したり、企業説明会などのイベントの告知を行ったりします。また、説明会や採用選考の応募フォームとリンクし、企業に興味を持った学生を取りこぼさない工夫も必要になるでしょう。
より個人的な方法で行われるソーシャルリクルーティングもあります。例えば、社員が大学やサークルの後輩にSNSで直接アプローチし、採用選考に応募するように勧めることなども、効果の期待できる採用活動の一つといえるでしょう。
2-3.ミートアップ
「ミートアップ」とは、気軽な集まりから採用につなげる手法です。企業説明会では企業の事業内容や採用選考の情報など、やや固い内容の情報を提供するため、本気でその企業に就職したいと考える学生以外は参加しづらいと感じるかもしれません。その点、ミートアップはオフ会のような雰囲気で進行するため、特に就職を意識しない学生でも参加しやすいでしょう。
気軽な気持ちで参加したところ、「予想外に面白かった」「居心地が良かった」と感じた学生は、前向きに求人への応募を考えるかもしれません。単に学生を楽しませるだけでなく、「ここで働きたい」と思わせるような集まりにすることが、ミートアップの成功のポイントです。
2-4.Web説明会
Webで企業説明会を実施するケースも最近は珍しくありません。リアルタイムだけでなく録画配信にしておくと日時を問わず閲覧できるため、より多くの学生にアクセスしてもらえるでしょう。
また、Webで面接を実施するケースもあります。企業に興味はあっても居住地から離れているために行きづらいと考えている学生も、Web面接であれば参加しやすく交通費が負担にならないため、気軽に参加できるでしょう。
3.新卒採用手法のトレンド
採用手法は時代とともに変化します。近年みられる採用手法のトレンドとしては、次の2つが挙げられるでしょう。
それぞれ具体的にはどのようなトレンドなのか、わかりやすく解説します。
3-1.多様化
採用手法を1つに限定してしまうと、応募者数も限定されてしまいます。広く求人を募るためにも、複数の手法を併用することが一般的です。
例えば、SNSを活用することで日常的にSNSを利用する学生に働きかけることができますが、SNSを使わない学生は取りこぼすことになってしまいます。SNSだけでなく、大手の就職サイトやダイレクト就職サイトなども活用し、より企業に合う学生を見つけやすくしておきましょう。
3-2.説明会や面接のオンライン化
オンライン化が進んだことも、近年見られる採用活動の流れです。自宅で説明会や面接に参加できるように配慮することで、学生側の負担を軽減することができます。
企業の近くに暮らす人材だけでなく、地方にいる優秀な人材を確保することも期待できるでしょう。また、Webに対応することで、体調不良で面接・説明会の機会を逃す学生を減らすことが可能です。
4.新卒と既卒の採用方法の違い
新卒はまだ社会人として働いた経験がないため、ビジネスにおいて有能かどうかは未知数といえます。そのため、新卒採用のときには、学生が持つポテンシャルと、価値観や希望する働き方が会社の風土に合うかを重視して選考することが可能です。
一方、既卒はスキルを重視します。即戦力を確保するためにも、企業内の業務にすぐに対応できるかどうかを確認することが必要です。
しかし、近年は短期間で転職する第二新卒や、卒業後何らかの事情ですぐに就職をしなかったことで年齢的に既卒扱いになっている方に対して、ポテンシャルで採用するかどうかを決定する企業もあります。「新卒だからポテンシャルを見る、既卒だからスキルを見る」というような固定観念にとらわれず、幅広い視野で企業に必要な人材を選ぶことが大切といえるでしょう。
5.新卒採用手法の選び方
新卒採用手法は複数の手法を併用することが理想的です。さまざまな行動パターンを取る学生を取りこぼさないためにも、SNSや大手の就職サイト、自社サイトなどを併用して採用活動を進めます。
しかし、あまりにも多くの採用手法を併用すると、管理に手間と時間がかかるだけでなく、求職者が多く集まり過ぎて選考の負担が大きくなるかもしれません。次の2点に留意し、数ある採用手法から求める人材や企業に合う方法を絞り込みましょう。
- 費用対効果を計算する
- 求める人材と出会える手法か吟味する
それぞれのポイントについて解説します。
5-1.費用対効果を計算する
採用活動には費用がかかります。高い費用をかけて思うような成果を得られればよいのですが、必ずしもコストと成果は比例するものではありません。
複数の採用活動を実際に試し、費用対効果を計算してみましょう。効率性の高い方法を選択することで、より効果的な採用活動を実施することができます。
5-2.求める人材と出会える手法か吟味する
ローコストで多くの学生を集められる方法であっても、その学生の中に求める人材がいないのでは意味がありません。採用したい人材像を明確にし、その人材にアプローチできる手法なのか吟味してみましょう。
例えば就職サイトを利用する場合であれば、求める人材が登録しているサイトかどうか調べることが大切です。また、社員のなかでも優れた社員をピックアップし、どのようなルートで入社に至ったのか確認することで、有効な採用手法が何か判明しやすくなるかもしれません。
6.新卒採用手法を選んだ後の流れ
多くの採用手法がありますが、企業によって適した手法は異なります。実際に利用してみることで、費用対効果や求める人材と出会える手法なのかが判明するでしょう。
効果を期待できる採用手法を見つけた後は、いよいよ選考活動の始まりです。次の流れに沿って、共に働く人材を選考していきましょう。
それぞれの過程について、詳しく解説します。
6-1.選考
さまざまな採用手法を通して集めた人材を、適切な方法で選考します。新卒採用の場合は、複数回の面接を実施して、企業が求める人材なのか慎重に見極め、絞り込んでいくことが一般的です。採用に至るまでの道筋をストーリーとして描くと、選考方法や面接の回数を決定しやすくなるでしょう。
例えば、企業がどのような業務を行っているのかを正確に理解している学生を第一段階で絞り込み、企業から求められていることをわかっている学生を第二段階で絞り、現場や役員と話し合うことで企業とのマッチングを確かめるというストーリーを作ることができます。
このストーリーであれば、面接は最低3回必要です。現場と役員の面接を別々に実施するのであれば、最低4回の面接が必要になります。
また、第一段階では業務に必要な事務処理能力をチェックするために、市販の適性試験を利用できるかもしれません。第二段階では単なる面接ではなく、ワークショップなどの実技試験を行うことも計画できます。実際にタスクを課すことで、仕事をする際にどのような行動をするのか、リーダーシップやコミュニケーションスキルなどを有しているのかどうかもチェックできるでしょう。
丁寧に選考を行うと、会社に合う人材を確保できるだけでなく、入社後の配属にも役立てることができます。学生が有する能力を最大限に発揮するためにも、選考過程から多くの情報を得ておきましょう。
6-2.内定とフォロー
入社する人材を選考した後に、内定者を決めます。中途採用と比較して、新卒採用の場合は内定から入社までの期間が長くなるため、適切なフォローが必要です。
実際にフォローをせずに放置すると、内定者は不安に感じ、企業に対する不信感をつのらせる可能性があります。また、別企業からも内定をもらい、そちらのほうに気持ちが傾くかもしれません。いずれも内定辞退につながることがあるため、今までの採用活動が無駄になる恐れがあります。このような状態を回避するためにも、内定者のフォローに注力することは不可欠といえるでしょう。
例えば、定期的にイベントを開催すれば、内定者との交流を深められます。会社見学会やアルバイトの案内をすることで、企業や業務に対しての理解を深めてもらうのも一つの方法です。
その他にも、ビジネススキルやビジネスマナーを習得するための研修やセミナーを実施することで、内定者の不安を軽減できるかもしれません。また、企業側も即戦力を育成できるというメリットがあります。
精神的なサポートを提供することも、内定期間に必要なフォローです。例えば、担当者が定期的にメールや電話で連絡し、困っていることはないか尋ねることもできるでしょう。また、年齢が近い社員をメンター役として配属し、気軽に悩みを打ち明けられる環境を整えることも有効です。
7.新卒採用を成功させるポイント
新卒採用希望者を時間をかけて採用し、丁寧に内定フォローをし続け、入社に至ったとしても、採用活動が成功したとは判断できません。その人材が早期離職する可能性があるだけでなく、思ったような成果が上げられず、企業にとってプラスにならない可能性もあるからです。
採用した人材が「働きやすい」と感じ、また企業側も「良い人材を得られた」と感じることが、採用活動の成功を意味しているといえるでしょう。新卒採用を成功させるためにも、次の2つのポイントを押さえた採用活動を進める必要があります。
- 採用したい人材像を明確にする
- 採用スケジュールを立てる
それぞれのポイントについて、詳しくみていきましょう。
7-1.採用したい人材像を明確にする
どのような人材を採用したいのか、明確に決めておくことが採用活動の基本となります。ターゲットを明確にすることで、面接者が変わっても希望する人材を採用できるようになるでしょう。
例えば、社員の中でも特に有能な社員を観察し、どのような要素を持っているのか分析します。その要素を持っているかどうかを面接時に確認することで、より企業に合う人材を見つけられるようになります。
また、採用したい人材像は1つではありません。例えば、リーダーシップのある人材は会社に不可欠ですが、全員がリーダーシップを発揮すると、業務進行が難しくなることがあります。リーダーシップのある人材だけでなく協調性が高い人材、事務能力が優れた人材など幅広く採用することで、より良い企業に成長することが可能です。
採用したい人材を正しく見極めるためにも、評価基準をチェックシートにまとめ、スコアリング形式で評価していくことができます。スキルやビジネスマナー、人間性、仕事に対する積極性などを包括的にチェックし、人材確保につなげていきましょう。
7-2.採用スケジュールを立てる
採用スケジュールを丁寧に立てることも、採用活動の成功には欠かせないポイントです。時間をかけて新卒採用希望者を見極めることも大切ですが、あまりにも時間をかけてしまうと、採用活動以外の業務に支障が生じるかもしれません。
また、募集人員が集まらないケースや、内定辞退者が多いケースなども想定されます。既定の人数を採用できなかった場合に備えて再募集の期間を設けるなど、臨機応変にスケジュールを組めるようにプランニングしておくことが大切です。
採用スケジュールを立てる際は、内定フォローのスケジュールも合わせて立てておきます。内定から入社までの期間に内定者研修やセミナー、懇親会、企業見学会などを盛り込み、内定者が無理なく参加できる工夫が必要です。
また、採用スケジュールや内定フォローのスケジュールを適切に関係者に伝えることも大切です。例えば求人案内におおまかな採用スケジュールを記載しておくと、応募者も予定を立てやすくなります。内定フォローのスケジュールも内定者に詳しく伝えておくことで、参加率を高め、内定辞退の回避につなげられるかもしれません。
8.求める人材に合った採用手法を選ぼう
採用手法は豊富にあるため、企業に合った費用対効果の高い手法を選択することが重要です。吟味して適切な手法を選び、企業が必要とする人材を採用できるようにしておきましょう。
また、採用活動を始める前に、求める人材像を明確にすることと詳しい採用スケジュールを組むことも大切なポイントです。採用担当者だけでなく現場の管理職、経営陣などが一丸となって協力し、共に働く仲間を採用するための活動に取り組んでいきましょう。