アルバイトの募集で不採用の通知をする際、断り方には注意が必要です。不適切な対応は企業イメージに影響します。不採用についてきちんと連絡することはもちろんですが、通知の内容にも配慮しなければなりません。
本記事ではアルバイト採用の断り方について、方法別に例文や注意点をご紹介します。不採用の連絡が初めてという方は、ぜひ参考にしてください。
1.採用側がアルバイトを断る際に知っておきたいこと
初めてアルバイトの求人を募集した際、不採用の応募者へはどのように伝えたらよいか迷うことがあるかと思います。伝え方を誤るとトラブルになる可能性があり、企業のイメージに影響しかねません。
ここでは、不採用の連絡を入れる際に把握しておきたいことを解説します。
1-1.企業側のイメージに影響する
アルバイトの応募者に不採用の連絡を入れる場合、断り方によっては企業イメージに影響する可能性もあります。
また、不採用の場合に連絡をしないのもNGです。応募者は応募の結果について一刻も早く知りたいと思っており、採用か否かわからないうちは次の行動に出づらくなります。
貴重な時間と費用をかけて応募してきた応募者に対し、たとえ不採用でも通知をするのはビジネスのマナーです。
連絡をしないのは企業の印象を悪くし、いい加減な企業と思われる可能性があります。SNSでネガティブな内容が広まれば、応募が集まりにくくなることにもなりかねません。求人難の今日、そのような事態は避けたいものです。
1-2.応募者が今後お客様になる可能性があることを理解する
アルバイトに応募してくる人は、そのお店もしくは企業をよく知っている可能性があります。普段から顧客として利用していて好感をもっていたからこそ、そこで働きたいと応募してきたとも考えられるでしょう。しかし、不採用の際の対応が悪ければ、今後顧客としての利用はなくなることも考えられます。
そもそも、誰もが自社のお客さまになる可能性はあるもので、応募者も例外ではありません。今後のことを考え、お客様と変わらない対応をすることが大切です。
応募してくれたことや面接に出向いてくれたことへの感謝を伝え、残念な結果になったことをお詫びしてください。
2.アルバイト採用の断り方
アルバイト採用の断り方は、メール・電話・郵送の3とおりです。それぞれの方法には注意したい点があり、必ず伝えるべき項目があります。
ここでは、アルバイト採用の断り方について、それぞれの方法を説明します。
2-1.メール
従来、不採用通知は郵送か電話を利用するのが一般的でしたが、近年はメールで送る企業も増えています。メールは郵送のような手間やコストがかからず、すぐに通知できるため便利です。
郵送よりも早く結果を伝えられ、電話と違って不採用の理由を直接聞かれる心配もありません。連絡をもらっていないという問い合わせにも、送信記録を提出して対応できます。
ただし、メールはほかのメールに埋もれてしまう可能性があり、送り方に配慮が必要です。また、テンプレートをそのまま使用すると相手は事務的に断られたと感じ、印象が良くありません。テンプレートを使用する場合でも、オリジナル性が出るようアレンジが必要です。
2-2.電話
電話は結果を早く伝えたい場合に使われる方法です。本人が電話に出れば、相手に直接、確実に伝えられます。
ただし、電話は相手が不在時には再度電話しなければならないなど、手間がかかります。応募者が多い場合に1件1件電話するのも大変です。
そのため、面接選考まで進んだ応募者への連絡だけを電話にするといった方法もあります。面接選考まで進んだ応募者は人数が絞られ、かける件数も少ないため負担がありません。応募者と直接対面して話をしているため、電話でも話しやすいと考えられます。
なお、電話はあとで「言った・言わない」のトラブルが起こる可能性があります。対策として、別途メールや郵送も送ることを検討してください。
2-3.郵送
郵送は、履歴書など応募書類を返送する場合に一緒に送れるため便利です。急がないのであれば、郵送で通知した方が丁寧な印象になります。手間のかかる郵送で不採用の通知を送ることで、最後まで誠意をもって対応してくれたという良いイメージを与えることができるでしょう。
電話の場合は不在で本人が出ない場合も多く、メールはダイレクトメールなどに埋もれてチェックが遅れる可能性があります。郵送であれば本人の元に届き、不採用の事実を確実に伝えられるのもメリットです。
3.アルバイト採用をメールで断る際の注意点
ここからは、アルバイト採用の断り方について方法別に注意点や必要項目、例文をご紹介します。
まずは、メールで断る際の注意点について解説します。
3-1.注意点
アルバイト採用を断るメールに記載する項目は、以下のとおりです。
- タイトル(選考結果のご連絡)
- 会社名
- 応募者の氏名(フルネーム)
- 挨拶文(感謝)
- 結果を連絡
- 書類の取り扱いについて
- 締めの言葉
結果の連絡は、「不採用」「不合格」という直接的な言葉は避けてください。「今回は採用を見送らせていただきました」「ご希望に沿いかねる結果となりました」など、配慮した言葉を使用します。
件名で内容がわかるようにする
ほかのメールに埋もれないよう、どのようなメールかが一目でわかるタイトルにすることが大切です。「【選考結果のご連絡】〇〇株式会社」など、内容と差出人がわかるようにしてください。
メールに不採用の理由を記載する必要はありません。わざわざ不採用の理由を記載してしまうと、トラブルの原因になる可能性もあります。納得できない応募者からの問い合わせがきて、業務の負担が増えることにもなりかねません。
一言添えたい場合は、「応募者多数につき」など差し障りのない理由を入れることをおすすめします。
氏名を省略しない
宛名を姓だけにせず、求職者のフルネームに置き換える配慮が必要です。フルネームにすることで、丁寧に扱われていると感じられます。当然ながら、誤字には注意してください。
また、呼びかけるところで「貴殿」などを使うのはいかにもテンプレートを使っていると思われます。こちらもフルネームに置き換えてください。
誤送信に注意すること
メールで注意したいのが、誤送信です。万が一「別人の名前で不採用通知が届いた」といったことがあると、企業の信頼を失います。SNSで発信されることになれば、大きなダメージになります。
送付先は複数人でチェックするようなど、間違いを起こさない体制を整えてください。
メールの文章は長くなりすぎないよう、わかりやすく簡潔に書くことがポイントです。初めて作成した断りのメールは、必ずほかの人がチェックするようにしてください。
断りのメールで大切なのが、感謝を伝えることです。不採用という内容は残念ですが、感謝の言葉があることで辛い気持ちも和らぎます。全体に丁寧な表現になることを心がけ、応募者の気持ちに配慮したメールを作成してください。
3-2.メールの例文
アルバイト採用を断るメールは、書類選考で断る場合と面接まで進んで不採用となった場合とで内容が異なります。それぞれの例文をご紹介します。
(書類選考で不採用になった場合のメール)
件名 【選考結果のご連絡】 〇〇株式会社 〇〇様(応募者の氏名・フルネームで記載) 〇〇株式会社、人事担当の△△と申します。 この度は、数多くの企業の中から弊社へご応募いただき、誠にありがとうございます。 厳正なる書類選考の結果、誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただく結果となりました。大変恐縮ではございますが、ご了承いただけますようお願い申し上げます。 ご期待に沿えず恐縮ですが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。 お預かりしている応募書類につきましては、履歴記載の住所へ返送いたしますのでご査収ください。 末筆ながら、〇〇様が今後より一層のご活躍されることを心よりお祈り申し上げます。 〇〇株式会社 人事担当 △△ |
(面接を行ったあと不採用になった場合のメール)
件名 【選考結果について】〇〇株式会社 〇〇 〇〇様(応募者氏名・フルネーム) 〇〇株式会社、人事担当の△△と申します。 この度は、弊社のアルバイト募集へご応募いただき、誠にありがとうございます。 また先日は、弊社までご足労いただきましたこと、重ねて御礼申し上げます。 さて、社内で慎重に検討しました結果、誠に残念ながら今回は採用を見送らせていただく結果となりました。せっかく応募いただいたにもかかわらず、誠に申し訳ございません。 今回は予想を上回る多数のご応募をいただき、弊社といたしましても大変苦慮した上での決定であることをお伝えいたします。 何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。 お預かりしている応募書類につきましては、弊社にて責任を持って処分いたします。 〇〇様の今後ますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。 〇〇株式会社 人事担当 △△ |
いかにも定型文で送ってきたと思われないためには、個々人に向けた文章を追加するのもおすすめです。例えば、以下のような一言を添えます。
「◯◯様のお人柄やこれまでの経験は大変魅力的ではございましたが、限られた採用人数ということで、今回は誠に残念ながらこのような結果になってしまいました」
面接まで残って最終選考で迷ったなどの事情がある場合は、担当者から直筆のメッセージを入れるのも好印象です。
4.アルバイト採用を電話で断る際の注意点
連絡を急ぐ場合や特段の連絡事項がある場合など、電話で断る際にも注意事項があります。
ここでは電話で断る際の注意点や、話す内容のスクリプト例をご紹介します。
4-1.注意点
アルバイト採用を電話で断る場合、まずは店名・企業名と自分の名前を告げ、話ができる状況かを確認してください。
電話で話す内容は、主に以下の4つです。
- 挨拶
- 感謝
- 不採用の結果
- 書類の取り扱い
- まとめの挨拶
メールと同じく、まずは時間とコストをかけて応募してくれたことへの感謝を述べます。そのあと、不採用という結果になったことを伝えてください。一方的に話すのではなく、相手の反応を確かめながら丁寧に話すことがポイントです。
電話は文書と異なり、言葉に感情を込められるというメリットがあります。丁寧な言葉遣いとともに、断ることを心から残念に思っているという気持ちを込めて伝えてください。
ほかの方法と同じく、不採用の理由を伝える必要はありません。電話の場合は尋ねられる可能性がありますが、具体的な理由やほかの応募者との比較を伝えるのではなく、応募者が多かったなどの説明にとどめるようにしてください。
電話の場合、不採用が納得できない相手から理由について問い詰められるなど、想定外のことが起こるケースもあります。準備していた内容以外のことが起こる可能性があることも念頭に入れておかなければなりません。
基本的に電話では長く話さず、合否結果など必要事項を簡潔に伝えるだけにすることが大切です。
スクリプトを用意する
電話をする前に、対応時の会話をまとめたスクリプトを用意してください。メールや郵送と異なり、電話の会話は修正することができません。準備をせずにトラブルが起こらないよう、話す内容は文章でまとめておくことをおすすめします。
また、電話でのやり取りは形として残らないため、「言った・言わない」のトラブルを避けるためには、メールや郵送も併用した方が安心です。
不在の場合は後日連絡する
不在で留守電のメッセージになった場合、不採用の内容をメッセージに入れることはNGです。改めて電話するとだけ伝えてください。メッセージで不採用を伝えるのは丁寧ではない印象を与え、誠意が感じられません。トラブルの原因にもなるため、必ず本人に直接伝えるようにしてください。
連絡先が固定電話の場合で家族が電話に出たとき、本人が不在であれば帰宅時間を聞いてかけ直します。不採用の内容を本人以外に伝えるのは避けてください。
4-2.スクリプト例
アルバイト採用を電話で断る場合のスクリプト例文について、本人に伝える場合と留守電のメッセージに入れる場合とに分けてご紹介します。
(電話で本人に不採用を伝える場合)
〇〇株式会社の採用担当△△です。 〇〇様のお電話で間違いありませんか。 ただいまお時間よろしいですか。 このたびは、弊社へご応募いただき誠にありがとうございました。 厳正な審査の結果、今回は残念ながら採用を見合わせていただくこととなりました。 ご希望に添えず、大変申し訳ございません。 お送りいただいた書類は、後日返送させていただきますので、ご確認ください。 〇〇様の今後のご活躍をお祈りしております。 |
面接で来社している場合は、「先日はお忙しいなか、弊社までご足労頂きありがとうございました」という内容を加えます。
書類を自社で破棄する場合は「ご提出いただいた書類は、弊社の方で責任を持って破棄いたします」と伝えてください。
(留守電のメッセージに入れる場合)
〇〇株式会社の採用担当△△です。 〇〇様のお電話でお間違いありませんか。 アルバイトにご応募いただいた件でお伝えしたいことがあり、お電話いたしました。 また改めてご連絡させていただきます。 |
5.アルバイト採用を郵送で断る際の注意点
郵送の不採用通知は丁寧な印象を与え、確実に届けられるのがメリットです。通知をする人数が多くない、連絡を急がないといった状況であれば、おすすめの方法といえます。
郵送で断る際の注意点と例文をご紹介します。
5-1.注意点
郵送で送る文書の項目は基本的にメールと同じです。頭語・結語を入れてビジネス文書としての体裁を整えてください。
送る際は、応募書類(返却する場合)と不採用通知は折らないことをおすすめします。提出の際に折られていた場合にも、返却する際は折らずに済む封筒に入れてください。A4サイズの書類には、角2封筒を使います。
書類はクリアファイルに入れましょう。水濡れや汚れを防いできれいな状態で届けられ、丁寧に扱っていることが相手に伝わります。
封筒は不採用通知の内容が透けないようにすることも大切です。不採用の内容や応募の事実を家族に知られたくない人もいるため、厚めの封筒を使用するか、送付状をつけるなどの対策を行ってください。
また、封筒の表に「不採用通知在中」の記載は避け、「親展」にする配慮も必要です。
郵送手段は相手が不在の場合でも受け取れるよう、ポストに投函される方法を選んでください。
ポスト投函されるのは、以下の方法です。
特定記録であれば、郵便物を差し出した記録を残せます。
個人情報が含まれることを考慮したい場合は、直接手渡す簡易書留などで送る選択もあります。
5-2.例文
郵送で不採用通知を送る際の例文をご紹介します。記載する項目は基本的にメールと同じです。ビジネス文書のマナーに沿って作成してください。時候の挨拶は特に入れる必要はありません。
令和◯年◯月◯日 〇〇 〇〇様 選考結果のご通知 拝啓 この度は、数多くの企業の中から弊社にご応募頂き、誠にありがとうございます。 厳正なる選考の結果、誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただく結果となりました。大変恐縮ではございますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。 なお、ご応募時に提出いただいた書類を同封しておりますので、ご査収ください。 末筆になりますが、〇〇様の今後のご活躍、ご健勝を心よりお祈りいたしております。 敬具 〇〇株式会社 〒123-0000 東京都◯◯区1丁目10番 TEL:00-0000-0000 人事部採用グループ:△△ |
面接で来社した場合、書類を自社で破棄する場合など、状況に合わせて適宜アレンジしてください。
- 面接で来社している場合:「先日はお忙しいなか、弊社までご足労頂きありがとうございました」
- 書類を自社で破棄する場合:「ご提出いただいた応募書類は、傾斜で責任をもって廃棄いたしますので、ご了承ください」
6.採用側がアルバイト採用を断るときの5つのポイント
アルバイト採用を断るときには、以下の5点に注意が必要です。
- 早めに連絡する
- 連絡のタイミングに気をつける
- 感謝の気持ちを伝える
- 言葉を選ぶ
- 応募書類の取り扱いについて伝える
それぞれの内容について、詳しくご紹介します。
6-1.早めに連絡をする
不採用の連絡は、できるだけ早めにすることが必要です。応募者は不採用の場合、次の求人をすぐに探したいと考えています。遅くとも1週間以内には連絡するようにしてください。
募集要項に「応募から1週間以内」など選考結果を送るタイミングを記載したり、面接の際に「選考にかかる時間」や「結果を連絡する予定日時」を伝えたりすることもおすすめです。応募者も安心して連絡を待つことができます。
予定より遅れた場合は遅れた理由を伝え、迷惑をかけたことを謝罪するようにしてください。
6-2.タイミングに気をつける
電話で不採用通知を行う場合は、迷惑にならない時間帯を選ぶことも大切です。早朝や深夜を避けることはもちろん、昼ごろや夕方の時間帯など、比較的余裕をもって会話できそうな時間帯を選んでください。
昼前の早い時間に連絡をすることもおすすめです。電話に出られなかった場合でも午後や昼休みのタイミングで折り返しの電話がかかってくる可能性が高く、早めに不採用の事実を伝えることができます。
6-3.応募への感謝を伝える
不採用の連絡で企業イメージを損なう事例は少なくありません。自社のイメージダウンを避けるためにも、応募してくれたことへの感謝を伝えることは重要です。
応募者は貴重な時間やコストをかけて応募しており、その点に関してしっかりと感謝の気持ちを示します。結果として残念な結果になってしまったことを丁寧に伝えてください。
企業としても真摯に選考を行い、十分に検討を重ねた上で結論を出したという内容が伝わることが大切です。
6-4.言葉選びに気をつける
言葉ひとつで企業に対するイメージが変わるため、言葉選びには十分気をつけてください。無機質で冷たい、傲慢だと感じられる文章にならないよう注意が必要です。
メールや郵送の文面は、丁寧すぎる程度がちょうど良い場合もあります。電話の場合は会話の流れから適切でない言葉選びになってしまう可能性もあるため、相手に感謝し、思いやる気持ちを忘れずに対応してください。
6-5.応募書類などの取り扱いに注意する
応募者から預かった履歴書や職務経歴書などの応募書類は、個人情報が記載されている重要な書類です。取り扱いには十分注意し、できるだけ事前に「応募書類は返却する」もしくは「破棄する」ということを伝えておきましょう。
不採用になった場合、応募者は応募書類の扱いに不安になるものです。通知する際、「応募書類を返却しない場合は適切に破棄する」ことを必ず伝えてください。
7.採用側がアルバイト採用を断る際は丁寧に断ろう!
アルバイトの応募者に不採用を通知する際は、丁寧に断ることが大切です。応募への感謝の言葉は忘れないようにしてください。不採用通知は企業イメージを保つために重要であり、内容には十分注意しなければなりません。
また、応募者は結果の連絡を待って次の行動に出ようとするため、早めの連絡が必要です。記事の例文も参考に、トラブルのない断り方を把握しておきましょう。