求人チラシの効果的な活用法は？他の求人媒体との違いと合わせて解説

1.求人チラシを使って募集を行うメリット・効果

求人チラシとは、人材募集のための求人情報を記載した広告であり、ポスティングや新聞折り込みなどの方法で、配布エリアに住む方々に届けられます。人材募集において求人チラシを活用するメリットは、特定のエリアの方に届けられる点や、デザインの自由度が高い点などがあります。

これらのメリットを活かせば、Web上への求人掲載と比べて、より効率的な採用活動も可能です。ここでは、求人チラシのメリットや効果を3つご紹介します。

1-1.配布エリアの指定ができる

求人チラシの大きなメリットは、配布エリアを自由に指定できることです。企業は、通勤のしやすい自社の周辺エリアの方をターゲットとすることで、応募する見込みが高い求職者に、効率的に情報を届けられます。

特にアルバイトやパートの募集では、職場と自宅が近いことは、応募の基準として重要な要素です。また、自宅が近い方を採用することで、交通費の削減にもつながる点や、配布エリアを絞ることで、募集にかかるコストを最小限に抑えられる点など、企業にとっても費用面でのメリットがあります。

1-2.デザインや文字などカスタマイズができる

求人チラシは、デザインや文字を自由にカスタマイズできる点も大きなメリットです。Web上の求人広告は、媒体やプランによって、レイアウトや文字数、掲載できる写真の数などが決まっており、デザインの自由度は高くありません。さらに、媒体ごとの掲載ポリシーなども存在するため、記載する文言などの制約を受けます。

一方で、求人チラシは企業イメージや伝えたいメッセージに合わせて、色彩やフォント、レイアウトなどを自由に変更できます。そのため、求人に個性が出しやすく、魅力的なデザインや興味を持たれるキャッチコピーなどを取り入れることで、求職者の印象に残る募集広告の作成が可能です。

1-3.より多く人へ情報を届けることができる

求人チラシは、他の募集方法と比べて、人の目に触れやすいことが特徴です。Web上の求人サイトには多くの情報が掲載されるため、自社の求人情報が埋もれてしまい、求職者が自社の広告までたどり着けない場合が多々あります。

さらに、検索条件で件数を絞ることが一般的であるため、自社の求人が条件を満たさなければ、そもそも見てもらうことすらできません。求人チラシであれば、一度は配布エリアの方々の目に触れるため、効果的なエリアに配布できれば、興味を持ってもらえる機会が増えます。

2.求人チラシ以外の募集方法との違い

人材募集の方法は、求人チラシ以外にもオンライン・オフライン含めて多岐にわたります。ここでは、求人チラシ以外の募集方法を7つ取り上げて、それぞれの特徴や費用などについてご紹介します。

2-1.求人サイト

求人サイトは求職者が自身の希望条件や、職種、経験などをもとにサイト内の求人情報を絞り込んでいき、自身で適切な求人を見つけられるサービスです。

応募の意思がなくても求人情報が見られることから、転職意欲が低い方も多く利用しており、企業側にとっては、多数のユーザーに自社の求人を閲覧してもらえるメリットがあります。

しかし、一般的な求人サイトは掲載料を事前に支払うケースが多いため、掲載期間中に応募がなかったり、採用に至らなかったりした場合は、掲載料が無駄になってしまうリスクがあります。

2-2.求人検索エンジン

求人検索エンジンは、Web上の複数の求人サイトや企業の採用サイトなどの求人情報を、一括で検索して求人を探せるサービスです。求職者はキーワードや条件を入力することで、求人サイトや企業の採用サイトにアクセスしなくても、複数の求人情報を一気に閲覧できます。

求人検索エンジンへの掲載は無料で行えることが一般的ですが、上位表示などの効果を高めるための、有料オプションも存在します。そのため、無料掲載では多くの求人情報の中で上位に表示されず、埋もれてしまう可能性がある点が、デメリットです。

2-3.ハローワーク

ハローワークは、都道府県労働局が管轄している公共の雇用サービス機関であり、基本的には無料で求人の掲載が可能です。ハローワークを利用する求職者は、若年者から高齢者まで幅広いことが特徴で、さまざまな属性の方々にアプローチできる機会があります。

しかし、無料で利用できることから求人の掲載数が多く、自社の求人情報が埋もれてしまう可能性がある点や、写真の掲載ができないため、会社の雰囲気などを伝えにくい点が、デメリットです。

2-4.SNS

SNSを求人募集で活用する企業も多く、SNS上で求職者と直接やり取りを行い、採用に至るケースもあります。SNS上で仕事の魅力や社内の様子、先輩のインタビューといった採用コンテンツを公開し、フォロワーに自社の魅力をアピールして応募を促すのが、採用活動の流れです。

また、最近ではビジネスに特化したSNSも存在しているため、人事がアカウントを作成し、ターゲットとなる方にダイレクトメッセージを送って、スカウトする手法もあります。

2-5.ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングは、企業が求職者をデータベース上で検索し、直接アプローチする採用手法です。

企業は求人情報の公開をせずとも、特定の方だけに自社の求人情報を届けられるため、今後の事業展開といった、機密情報の漏洩を防げるメリットがあります。また、アプローチする方を厳選することで、面接にかかる工数が減らせる点も魅力です。

ただし、労力や時間が必要な場合があり、企業の人事担当者は根気強く、人材の検索やスカウトメールのブラッシュアップなどを行い、採用ターゲットへのアプローチを続ける必要があります。

2-6.人材紹介エージェント

人材紹介エージェントは、求職者と企業の間に入り、面接前に面談を行うことで、その企業で活躍できる人材かどうかの一次スクリーニングを行います。

エージェントが面談したうえで企業に推薦が来るため、自社に合った人材と面接できる可能性が高く、採用活動の工数を大幅に削減できます。

採用活動におけるメリットは大きいですが、他の募集方法と比べて費用は高くなる傾向です。一般的には採用者の年収の30%～35％をエージェントに支払う必要があるため、それなりの採用コストをかける必要があります。

2-7.転職に関するイベントや説明会

合同企業説明会などの転職イベントに出展すれば、多くの求職者に短時間で自社の求人を紹介したり、面談したりできます。

企業の担当者と話すことで、求職者も企業の雰囲気や、仕事内容を詳しく知ることができ、なおかつ質問や相談ができるため、ミスマッチの抑制につながるでしょう。

参加費用は開催地やイベントの規模によって異なり、1イベントで30～100万円程度が相場です。

3.求人チラシでの募集効果を上げるポイント

求人チラシはレイアウトや文字数などの制約が少ないため、自由にデザインできることがメリットですが、一方で制限がないことによる、難易度の高さもあります。

ここでは、募集効果を上げるためのチラシの作成ポイントを3つご紹介します。いずれも取り組みやすい内容であるため、ぜひとも意識してください。

3-1.チラシのデザインやサイズを工夫する

チラシのデザインやサイズを工夫することで、求人募集の効果を高めることができます。

チラシのサイズはA4が一般的ですが、写真を多く盛り込みたいのであれば、大きめのサイズに変更するのも有効です。

チラシの効果を高める具体的な手法として視線誘導があり、これを意識することで、チラシをしっかりと、最後まで読んでもらえる可能性が高まります。

視線誘導には、チラシ全体をZを描くように、「左上→右上→左下→右下」と目線の誘導を行うZ型や、Nを描くように「右上→右下→左上→左下」と目線の誘導を行うN型などがあるため、意識してレイアウトを考えましょう。

また、「70：25：5の法則」を取り入れるのも有効です。この法則は、チラシの70%を下地となる色にし、25％を下地の色に合わせたサブカラー、5%をアクセントカラーと呼ばれる目立つ色にするものです。これらを意識することにより、キレイで見やすいチラシが作成できます。

3-2.職場の環境がわかるような写真を掲載する

求人チラシには、どのような環境でどのような人が働いているかが、一目でわかる写真を掲載することをおすすめします。

職場の雰囲気が伝わる写真があれば、ぱっと見で興味を持ってもらうきっかけになったり、良い雰囲気を感じて、求人への応募意欲が高まったりする場合があります。

例えば、職場の活気ある雰囲気や、チームワークを感じさせる写真、働いているスタッフの笑顔や、楽しそうな様子が伝わる写真などを掲載すれば、求職者に興味を持ってもらえるでしょう。

3-3.QRコードを記載しネットからも応募できるようにする

求人チラシにQRコードを記載すれば、チラシを見た求職者が、ネットからの応募をスムーズに行えます。チラシを見てから電話をかけたり、あらためて採用ページを検索したりするのは手間になるため、機会損失につながる恐れがあります。

QRコードを記載しておけば、スマートフォンやタブレットで、簡単に応募ページにアクセスできるため、応募の手続きに手間がかかりません。応募の手間をなくすことで、応募率の向上が見込めるほか、QRコードを活用すれば、応募数の集計や、応募者データの効率的な管理ができます。

QRコードのない求人チラシで採用を行うと、応募が求人チラシ経由なのか、Webで検索して応募ページに流入したのか判別できないため、効果測定と改善が難しくなってしまいます。

4.求人チラシで募集をかける際の注意点

求人チラシを作成する際は、基本的に企業側が一からデザインや文章を考えます。そのため、効果的な求人になるよう工夫したり、募集内容が法律を遵守しているかを気にかけたりすることが必要です。

ここでは、求人チラシで募集をかける際の注意点を3つご紹介します。

4-1.チラシの雛形をそのまま使わず工夫する

求人チラシを作成する際に、インターネット上にある雛形や、テンプレートを使用することで、作業効率を上げられます。しかし、そのまま使用すると他社との差別化が図れず、印象に残らない求人になってしまうのが懸念点です。

テンプレートを参考にしつつ、独自のレイアウトに変更したり、見出しやキャッチコピーを工夫したりして、差別化を図るのがおすすめです。印象に残る魅力的なチラシを作成することで、求職者に興味を持ってもらえるでしょう。

4-2.法的観点におけるNG項目に気をつける

企業が独自に作成する求人チラシであっても、男女雇用機会均等法や雇用対策法などの採用に関わる法律は、必ず守らなければなりません。

男女のどちらかを優遇するような表現や、年齢などを応募条件とすることは、原則として禁止されています。応募要件においては、経験や適性、意欲などについて記載するように心がけてください。

参照元：厚生労働省「男女均等な採用選考ルール」

参照元：厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」

4-3.最低限明示すべき項目の記載に気をつける

求人チラシに労働条件を明記する際には、労働基準法に違反していないか、条件に誤りがないかなどに注意が必要です。例えば、試用期間中の給与や休日の表記などの重要な労働条件は、正確な情報が記載されているか確認してください。

虚偽の情報や誤った内容が記載されていると、求職者との信頼関係を損ねることになりかねません。また、労働条件に関する法令や規則に適合しているかも確認しましょう。

参照元：厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」

5.求人チラシを活用して募集をかけよう

採用活動における求人チラシの活用は、特定のエリアの方にピンポイントに求人情報を届けられる点や、デザインの自由度が高く、印象的な求人広告を作成しやすい点などが、大きなメリットです。

雇用形態やエリアなど、特定の条件が揃っている場合には有効な手段とも考えられるため、記事を参考に募集方法の一つとして検討されることをおすすめします。