シニア採用を行うメリットは?高齢者の雇用に関する助成金なども解説

採用ノウハウ

シニア採用は、少子高齢化が進む中、人材を確保し、企業がより成長するための方法として注目されています。本記事では、シニア採用のメリットやデメリット、助成金や受け入れのポイントについて解説します。 シニア層は、長年培った経験と知識を持っており、即戦力となることが期待できるうえ、助成金制度を活用することでコスト削減も可能です。 本記事を通じてシニア採用について理解し、シニア人材が高いパフォーマンスを発揮できる企業をめざしてください。

1.シニア採用が注目される理由

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少子高齢化が進み、労働人口が減少して企業の人手不足が深刻になる中、シニア採用は人材確保の手段として注目されています。シニア層は、豊富な社会人経験で得たスキルがあるため、同じ業界や職種であれば即戦力として期待できます。

また、現在のシニア層は就労意欲が高く、肉体的にも元気な方が多いため、モチベーション高く働いてもらえる可能性が高いです。

1-1.少子高齢化が進行している

少子高齢化に伴い、働き手が減少しているため、人手不足を補うためにシニア採用が注目されています。日本の少子高齢化は深刻で、働き手である15歳~64歳の、いわゆる生産年齢人口は1995年の8,716万人をピークに減少し、2050年には5,540万人に減少すると見込まれています。

一方で、65歳以上の人口は増加し、人口のうち65歳以上の割合を示す高齢化率は、2050年には37.1%になる予想です。全人口のうち、高齢者の割合が増えており、今後も人材不足が深刻になることが予想されるなかで、企業がシニアの採用に目を向けるのも、当然の流れといえます。

参照元:内閣府「令和5年版高齢社会白書」

1-2.65歳を超えても働きたいと考えるシニアが多い

現在の高齢者の就労意欲が高いこともシニア採用が注目される理由の一つです。厚生労働省が発表した、高齢者の就労意欲と就労希望年齢のデータによると、60歳以上の男女のうち、20.6%が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答し、65歳以降も働きたいと回答している方は、半数以上です。

さらに、男性に限定すると6割以上の方が65歳以降も働きたいと回答しており、高齢者の就労意欲の高さがうかがえます。これは、高齢者の身体機能が昔と比べて若返っていることや、年金受給年齢の引き上げによって、いわゆる老後2000万円問題などに備えるための資金が必要となっている高齢者が増えていることが要因と考えられています。

参照元:厚生労働省「シニア世代の“仕事力”を引き出す」

1-3.人手不足の企業が年々増加している

シニア採用が注目される理由は、人手不足の企業が増えていることも要因です。帝国データバンクが行っている「人手不足に対する企業の動向調査」によると、2022年10月時点で、人手不足を感じている企業の割合は、正社員で51.1%、非正社員で31.0%と、いずれもコロナ禍以降では最高値を記録しています。

少子高齢化による労働力人口の減少、働き方改革による労働時間の短縮などが人手不足の原因です。人手不足が深刻化すると、企業の生産性や競争力の低下、倒産リスクの増大など、さまざまな問題が生じる可能性があります。

そのため、企業は人材確保に向けた積極的な取り組みを行うことが求められており、シニア採用はその一つとして注目されています。

参照元:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」

 

2.シニア採用を行うメリット

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シニア採用を行うことには、人材の確保以外にも企業の成長に貢献するさまざまなメリットがあります。すでに働いている従業員の成長の機会となったり、職場のダイバーシティを推進してイノベーションのきっかけになったりと、企業にプラスの影響をもたらすことも多いです。

また、助成金を受け取れる可能性があるため、コスト面での恩恵も大きいといえます。ここではシニア採用を行うメリットを4つ解説します。

2-1.高い意欲を持つ人材を採用できる

シニアの中には、社会に貢献したい、新しいことに挑戦したいなど、さまざまな理由で、高い意欲を持って仕事に取り組む方がいます。高齢であるにもかかわらず、就労を希望するシニアは、働く目的が明確であるため、モチベーション高く仕事に取り組んでくれるでしょう。

また、シニアは、豊富な経験やスキルを有しています。そのため、採用する企業側は、シニアの経験やスキルを活かせる仕事を与えるように配慮することで、シニアの働く意欲をさらに高められます。

2-2.若手社員の育成・成長につなげられる

シニアは、豊富な経験や知識を有しています。そのため、若手人材に対して指導や助言をしてもらうことで若手人材の育成や成長につながります。さらに、若手人材の悩みや相談に応じることで、若手社員のモチベーションの向上も可能です。

こうしたメリットを享受するために、企業側も若手人材の育成や成長につながる取り組みを積極的に行うことが大切です。以下にその例を挙げます。

  • シニアと若手人材をペアにして、仕事の指導や助言を受けながら業務を進める
  • シニアと若手人材の交流を促すためのイベントや研修を開催する
  • シニアと若手人材が一緒に働けるプロジェクトを立ち上げる

シニアの採用は、若手人材の育成や成長に大きなチャンスをもたらします。企業は、シニア人材の貴重な経験や知識を活用して、若手人材の育成や成長を図っていくことが重要です。

2-3.条件によっては助成金を受けることができる

シニアの雇用を促進するために、厚生労働省ではさまざまな助成金制度を設けています。シニア採用によって企業がもらえる助成金としては、以下が挙げられます。

  • 65歳超雇用推進助成金
  • 高年齢労働者処遇改善促進助成金
  • 特定求職者雇用開発助成金

助成金の詳細や受給要件については後述しますが、最大で160万円の助成金が出るため、採用コストの削減と人材確保の両方が実現可能です。

2-4.職場の多様化(ダイバーシティ)を実現できる

ダイバーシティとは、日本語で「多様性」を意味します。企業におけるダイバーシティは、性別や年齢、国籍、人種、価値観、宗教など、特定の属性に偏らず、さまざまな属性を持つ人材を採用することで、新たなイノベーションの創出や生産性の向上を図る取り組みです。

シニア採用は、年齢の多様性を高め、ダイバーシティを実現する取り組みとして有効です。シニアは、若い世代とは異なる経験や知識、視点を持っているため、企業は新たな考え方や発想を得ることが期待できます。

今後は性別や国籍などを問わず、さまざまなバックボーンを持つ人材を活かすマネジメントの枠組みが求められるため、早い段階でシニア採用に取り組み、その土台を作るのがおすすめです。

イノベーションの創出は現在のビジネスでも重要視されており、シニア採用は企業戦略の一環としても有効であるといえます。

 

3.シニア採用を行うデメリット

シニア採用を行うデメリット

シニア採用はメリットが大きい反面、若い世代の採用にはないデメリットも存在します。体力面で配慮が必要な点や、ITリテラシーの低さから新しい業務に適応できない可能性がある点など、シニア世代に高いパフォーマンスを発揮してもらう際には、配慮が必要です。

ここではシニア採用のデメリットと、それに伴い検討すべき事項について解説します。

3-1.体力や健康の面を考慮して仕事を配分する必要がある

シニアは、若い世代と比べて、体力や健康面で劣る場合があります。そのため、シニアが無理なく働けるような職場環境を整えることが大切です。具体的には、以下の点に配慮しましょう。

・残業や力仕事の削減

シニアは、若い世代と比べて、長時間の労働や肉体労働が得意でない傾向があります。そのため、適切に業務を分担し、残業や力仕事の削減を行い、シニアが無理なく働けるようにしてください。

・健康管理のためのサポート体制の整備

シニアは、若い世代と比べて、健康リスクが高まる場合があります。そのため、健康診断の実施や、健康管理のためのサポート体制の整備を行い、シニアの健康を守るよう心がけてください。

シニア採用は、企業にとって大きなメリットをもたらす取り組みです。しかし、シニアは若い世代と異なる体力や健康面の特徴を持つことを理解し、配慮するのが大切です。

3-2.配置次第では業務がスムーズに進まない可能性がある

シニアは、若い世代と比べて、ITリテラシーが低い場合があるため、配置した部署によっては業務がスムーズに進まない可能性があります。

そのため企業側は、デジタルな業務に対応できるように、教育や研修の機会を提供したり、若手社員によるサポート体制を整備したりするなどの、支援を行うことが重要です。

もちろん、中にはITリテラシーが高いシニアもいるため、シニアがデジタルな業務をできないと決めつけるのではなく、個々のスキルや経験に応じて、業務を割り振ってください。

企業がシニアのデジタルスキルを高めれば、デジタルな業務に対応できる社員が増え、企業全体の生産性が高まります。

3-3.配属先次第では職場に馴染めない可能性がある

シニアと若い世代が一緒に働く際に、世代間ギャップや価値観の違いが生じる可能性があります。これを放置すると職場の人間関係が悪化する恐れがあるため、シニアの価値観を尊重して理解を示したり、若手社員との交流を促すことで世代間ギャップを解消したりする取り組みが求められます。

また、シニア採用の際には、職場内の若手社員に対して、シニア採用の意義や期待することなどを説明するのがよいでしょう。若手社員がシニアの採用を理解し、歓迎することで、職場内の人間関係の良好化につながります。

3-4.評価制度や賃金制度の見直しが必要な場合がある

従来の賃金制度は、年功序列型を採用している企業が多いですが、年功序列の賃金制度の場合は、シニアが若手よりも高い賃金を得るケースが出てきます。

しかし、これまで働いていた社員よりも、シニアのほうが生産性が高いとは限らないため、公平性が確保されないという問題があります。これは、若手社員のモチベーション低下につながりかねません。

そのため、シニアを採用する場合は、年功序列型ではなく、役割や成果に応じた賃金制度や、経験やスキルを評価したうえでの給与決定に切り替えることが望ましいです。賃金制度を見直すことで、シニアの採用を行ううえでの公平性が担保され、若手社員のモチベーションの低下を防げます。

 

4.シニア採用に関する助成金

シニア採用に関する助成金

政府は、年齢に関係なく意欲のある人が働ける社会の実現を推進しているため、シニアに働く場を提供する事業者に対して助成金を支給しています。

新規に高年齢者を採用する場合だけでなく、定年引き上げや無期雇用への転換などにも助成金が支給されるため、対象となる事業者は助成金を受け取りましょう。

4-1.65歳超雇用推進助成金

65歳超雇用推進助成金は、高年齢者の有期契約労働者の無期雇用への転換や、65歳以上への定年引上げ等の取組みを行った事業者に対して交付される助成金です。65歳超雇用推進助成金には、以下の3つのコースがあります。

・65歳超継続雇用促進コース

「定年年齢の廃止」「定年年齢の65歳以上への引き上げ」「66歳以上の再雇用」「他社で継続して雇用できる制度の導入」これらのいずれかを実施した事業主に対して助成金が支払われます。

対象となる労働者の人数や引き上げの年齢に応じて、事業主に対して15万円から160万円の助成金が交付されます。

・高年齢者評価制度等雇用管理改善コース

高年齢者に対する評価や賃金制度の整備、働きやすい環境を作るための制度の導入など、雇用管理制度の整備等を行った事業主に対して、交付される助成金です。

雇用管理制度の整備等にかかった経費のうち、最大60%が助成金の対象となります。

・高年齢者無期雇用転換コース

50歳以上かつ、定年年齢未満の有期契約労働者を、無期雇用に転換した事業主に対して交付される助成金です。

労働者1人につき、中小企業であれば48万円、中小企業以外は38万円の助成額です。

参照元:厚生労働省「65歳超雇用推進助成金」

4-2.高年齢労働者処遇改善促進助成金

高年齢労働者処遇改善促進助成金は、60歳から64歳までの高年齢労働者の、賃金増額に努める事業者に対して支払われる助成金です。

主な支給要件としては、60歳から64歳までの従業員の賃金を、60歳時点の賃金の75%以上に増額する措置を行うことなどがあります。

支給額は、増額を図った賃金規定等の改定前後を比較し、高年齢雇用継続基本給付金の減少額に対して、中小企業であれば3分の2、中小企業以外は2分の1をかけた金額です。この助成金により、企業側はシニアの雇用がしやすくなるでしょう。

参照元:厚生労働省「高年齢労働者処遇改善促進助成金」

4-3.特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金は、60歳以上の高年齢者や障害者などの就職困難者を、ハローワークや職業紹介事業者から、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業者に対して、支給される助成金です。

60歳以上の高齢者を雇い入れた場合は、中小企業であれば60万円、中小企業以外であれば50万円の助成金が支給されます。

参照元:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金」

 

5.シニア採用を実施する3つのポイント

シニア採用を実施する3つのポイント

シニア採用を行うにあたり、若い世代の採用とは異なる観点で配慮が必要です。社会人経験が長くスキルがある反面、体力や健康面を考慮した働き方を提供するなど、シニアの方に活躍してもらうためのポイントがあります。

ここではシニアの方により高いパフォーマンスを発揮してもらうために必要な、3つのポイントをご紹介します。

5-1.配属部署や業務内容などで働きやすい環境を作る

シニアの方は、体力や健康面で若い世代と異なります。そのため、長時間労働や力仕事を避けた配属や業務内容を検討しましょう。シニア人材が対応する業務は、1人分を2人で分業するようにしてもらうなど、配慮が必要です。

また、シニアの中には、新しい技術や知識を習得することに苦労する方もいます。そのような方には、研修制度やマニュアルを用意して、無理のない範囲で丁寧に業務のスキルアップを図ってください。

5-2.勤務条件を柔軟に変更する

勤務条件を柔軟に変更することで、シニアがより意欲的に長く働ける職場を作れます。長時間労働にならないよう、残業削減や業務内容の適切な配分を行いつつ、フレックスタイム制や時短勤務の導入を検討すれば、それぞれの体力や健康面に適した働き方ができるため、パフォーマンスも高まります。

週5日、1日8時間で必ず出社をするという勤務形態にこだわらず、本人の希望や体調に合わせて、週の出勤日数を減らしたり、在宅勤務などをうまく組み合わせたりするのがよいでしょう。

また、健康管理のためのサポート体制として、健診結果やストレスチェックの結果が把握できるツールの導入なども有効です。

5-3.個人の能力に合わせて業務を割り振る

シニアの方はこれまでの社会人人生で培った、スキルや経験があるため、なるべくそれらを活かせる業務を割り振ることで、シニア世代の力が最大限に発揮できます。

新しいことに挑戦してもらうだけでなく、経験を活かせる業務に多く携わってもらったほうが、生産性の向上につながり、モチベーションもアップする可能性が高まります。

もちろん積極的に新しいことに挑戦したい方には、会社として重要であり、本人の希望にも合った業務を任せるのも有効ですので、本人の希望を汲み取れるような、話し合いの場を持つことが大切です。

 

6.シニア採用のメリットを理解して募集しよう

シニア採用のメリットを理解して募集しよう

シニアの方は経験やスキルが豊富であるため、経験を活かせる業務であれば即戦力として期待できます。さらに、企業のダイバーシティ推進にもつながるため、人手不足の企業のみならず、イノベーションの創出に取り組みたい企業も積極的にシニア採用を検討するとよいでしょう。

また、既存社員のスキルアップや、助成金の受給など、人手不足やイノベーションの創出に留まらない、さまざまなメリットがある点も大きな魅力です。

一方で、体力面や人間関係、賃金制度などの点で、配慮が必要な部分もあります。受け入れる企業側は、業務内容の割り振りや部署の配属、賃金制度の変更などを行い、体制を整備することで、シニア採用のメリットが享受できます。

 

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