ワークエンゲージメントとは?構成する要素を高めるポイントも紹介

人事ノウハウ

ワークエンゲージメントは、仕事に対する熱意や満足度といった心理状態を示す指標です。ワークエンゲージメントを高めることで、離職率低下や生産性向上に効果があります。本記事ではワークエンゲージメントを構成する要素や図り方、向上させる方法について解説していきます。

1.ワークエンゲージメントとは仕事に対する心理状態

人事担当承認

「ワークエンゲージメント」とは、仕事に取り組んでいるときの心理状態を示す指標です。特定の出来事や対象に対する一時的な感情ではなく、持続的で全般的な感情を指しています。少子高齢化による労働人口減少と、多様性の浸透による人材の流動化を背景として注目されはじめました。

ここでは、ワークエンゲージメントの定義や構成される要素、関連する用語について解説します。

1-1.ワークエンゲージメントの定義

ワークエンゲージメントとは、仕事に取り組んでいるときのポジティブで充実した心理状態を示す指標で「熱意・没頭・活力」3つの要素で構成されています。オランダのユトレヒト大学のウィルマ―・B・シャウフェリ教授が提唱したことで広まった概念です。

ワークエンゲージメントにはエンゲージメントという言葉があるように、持続的で全般的な感情を指しています。特定の出来事や対象に対する一時的な感情ではないことを理解しておきましょう。

参照元:厚生労働省「平成30年度版労働経済の分析 コラム2-5ワーク・エンゲイジメントが労働者の健康・仕事のパフォーマンス等へ与える影響」

 

 

1-2.ワークエンゲージメントが注目されはじめた背景

ワークエンゲージメントが注目されはじめた背景には、少子高齢化による労働人口減少と多様性の浸透による人材の流動化が挙げられます。人手不足により、一人ひとりに高い生産性が求められるようになりました。

副業を解禁する企業も増えはじめ、労働者と企業のつながりを維持することが簡単ではなくなっています。それにより、従業員の働きがいやモチベーション低下により、品質低下や健康への悪影響を及ぼす可能性も出てきています。

優秀な人材を定着させるためにも、従業員の健康や生産性向上につながるワークエンゲージメントに注目する企業が増加しているというわけです。

1-3.ワークエンゲージメントを構成する3つの要素

ワークエンゲージメントを構成する要素は「熱意・没頭・活力」の3つとされています。

熱意は仕事にやりがいや誇りを持っている状態です。熱意があることで仕事への関心度が上がり、意欲的に取り組むことができます。

没頭は、仕事にのめり込んでいる状態です。没頭することで仕事への執着度が上がり、業務の品質や作業スピードの向上につながります。

活力は、ポジティブで生き生きとしている状態です。活力があることでストレスへの耐性が強まり、楽しみを感じながら仕事に熱中します。

この3つの要素を高めることで、ワークエンゲージメント向上につながります。

1-4.ワークエンゲージメントと関連する用語

ワークエンゲージメントと関連する用語として以下の4つが挙げられます。

  • ワーカホリズム
  • バーンアウト
  • 職務満足感
  • 従業員満足度

「ワーカホリック」は仕事に対し過度に熱心になっている状態を指します。熱心に働く部分では、ワークエンゲージメントと同じです。ワーカホリックは仕事に対して「やらなければならない」というネガティブな感情を持っていることがワークエンゲージメントとの違いです。

「バーンアウト」は燃え尽き症候群ともいわれ、仕事に対して過度なエネルギーを費やした結果、意欲や関心を失ってしまった状態を指します。ワークエンゲージメントとは対極の状態といえるでしょう。

「職務満足感」は仕事に対する満足度を指します。職務満足感が高ければポジティブな感情を持っているといえますが、仕事に対する意欲や関心度を測るものではありません。ワークエンゲージメントと比べ、ポジティブな感情を持っている点では同じですが、意欲や関心度を測る指標がない点が異なります。

「従業員満足度」は業務内容や職場環境、人間関係といった会社に対する満足度を示す指標です。ワークエンゲージメントは仕事に取り組んでいるときの心理状態を示しているため、満足度を図る対象が異なるといえるでしょう。

 

 

2.ワークエンゲージメントを向上させる効果

人事チームディスカッション

ワークエンゲージメントの向上により、生産性や顧客満足度が向上します。仕事に対し意欲的に取り組むことで業務の品質が向上することがその理由です。

活気と意欲のある従業員が増えることで、働きやすい環境構築にもつながります。それにより、離職率の抑制にもつながるのです。ここでは、ワークエンゲージメントを向上させる効果について解説します。

2-1.生産性の向上

ワークエンゲージメント向上により、生産性が向上します。ワークエンゲージメントが高いことは、従業員が自分のパフォーマンスを発揮するために積極的に業務に取り組んでいる状態を意味します。知識やスキル向上に対する意欲も高いため、成長速度も上がるでしょう。

そのような従業員が増えれば、お互いを刺激しあう環境になるはずです。結果的に生産性向上につながります。

2-2.顧客満足度の向上

ワークエンゲージメント向上は、顧客満足度の向上にもつながります。高い意欲をもって業務に取り組めば、業務やサービスの品質は向上するでしょう。顧客満足度はサービスの品質だけでなく、従業員の対応にも影響します。

意欲をもって業務に取り組めば、顧客からの信用度は上がるはずです。品質だけでなく信用度も上がり、結果的に顧客満足度が向上するでしょう。

2-3.ストレス耐性の向上

ストレス耐性の向上もワークエンゲージメント向上による効果です。近年では従業員のストレスマネジメントを実施する企業が増えてきています。しかしストレスマネジメントはあくまでストレスが発生することを前提とした取り組みです。

ワークエンゲージメントが高ければ、従業員は活気に満ちあふれているため、仕事に対するストレスを感じにくくなります。ストレスを感じにくくなることで、健康状態もいい状態を保てるでしょう。ワークエンゲージメントの向上は、心身の健康にも効果があるのです。

2-4.離職率の抑制

離職率の抑制もワークエンゲージメント向上による効果の一つです。活発で意欲的に取り組む従業員が増えれば、職場の雰囲気は良くなるでしょう。雰囲気がいい職場は働きやすさにもつながります。働きやすい職場になることで帰属意識が高まり、従業員の離職率も下がるでしょう。

従業員の離職率が下がれば、採用活動のコストも抑制できるはずです。ワークエンゲージメント向上は、離職率抑制だけでなく、採用活動のコスト抑制にもつながるのです。

 

 

3.ワークエンゲージメントの測り方

人事分析

ワークエンゲージメント測定時の注意点は、傾向が国や文化によって異なることです。日本人の傾向として、他の国よりも低い結果が出ることがわかっています。日本人は自分に対して厳しさや謙遜の意識があるため低い結果が出る傾向にあります

一方、欧米の文化には自己評価を高くする意識があるため、おのずとして高い結果になるのです。日本人の測定結果が特異的であることを理解したうえで測定する必要があるでしょう。ここでは、ワークエンゲージメントの測定方法について解説します。

3-1.UWES

「UWES」(Utrecht Work Engagement Scales)は「熱意・没頭・活力」の3つの要素を測る特定の質問群で測定します。ワークエンゲージメントの測定方法として、広く使用されている方法です。

日本では日本人労働者に合わせた「日本版UWES」を使用する企業もあります。日本版UWESはUWESよりも質問数が少なく、簡易的に使用するケースもあるようです。

3-2.OLBI

「OLBI」(Oldenburg Burnout Inventory)は「疲労と離脱」といったネガティブな要素により構成された質問で測定します。OLBIはワークエンゲージメントと対極の概念であるバーンアウトの値を測定することで、逆説的にワークエンゲージメントを測定します。

結果が低ければ、ワークエンゲージメントの値が高いと考えられるということです。

3-3.MBI-GS

「MBI-GS」(Maslach Burnout Inventory-General Survey)は「疲労感・シニシズム・職務効力感」に関する特定の質問群で測定します。OLBIと同様に、バーンアウトの値を測定することでワークエンゲージメントを測定します。

4.ワークエンゲージメントを向上させる方法

改善相談

ワークエンゲージメントを向上させる方法として、仕事の資源と個人の資源へのアプローチがあります。仕事の資源とは、上司や同僚からの支援や裁量権の範囲を指します。個人の資源とは、自己効力感、自尊心といった個人が有する心理的資源のことです。

この2つの資源は関連性があり、個人の資源が大きくなれば、仕事の資源も大きくなるといわれています。ここでは、それぞれの方法について解説します。

4-1.仕事の資源へのアプローチ

仕事の資源へのアプローチとして、仕事量の削減や仕事の振り分けを工夫することが挙げられます。仕事の負担を減らすことでストレスから解放し、ワークエンゲージメントを向上させるのです。

負荷を減らす方法だけでなく、成長につながる仕事や機会を増やすことでワークエンゲージメントが向上することもわかっています。仕事の裁量権の増加やミッションの多様化、トレーニングにより成長を感じられれば、従業員は自分の成長を実感でき、ワークエンゲージメントが向上するのです。

4-2.個人の資源へのアプローチ

個人の資源へのアプローチには、心理的なストレス軽減やモチベーション向上につながる従業員個人の内的な要因が挙げられます。個人の資源のなかでも、自分自身が目の前の課題を達成できるという認識をもつ指標である「自己効力感」があります。自己効力感は自分への信頼や自信ともいえるでしょう。

この自己効力感をはじめとした個人の資源が大きくなれば、仕事の資源も大きくなるといわれています。個人の資源と仕事の資源を結びつけるのがフィードバックです。1on1の実施でポジティブなフィードバックをし、具体的な成長イメージを与えることで、自己効力感を高めることにつながるでしょう。

 

 

5.ワークエンゲージメントを向上させ、定着率を上げよう

人事相談風景

ワークエンゲージメントとは、仕事に取り組んでいるときの心理状態を示す指標です。少子高齢化による労働人口減少と、多様性の浸透による人材の流動化を背景として注目されはじめました。ワークエンゲージメントの向上により、生産性や顧客満足度、ストレス耐性が向上します。

ワークエンゲージメント測定結果の傾向として、日本人は自分に対して厳しさや謙遜の意識があるため、他の国よりも低い結果になる傾向にあります。日本人の測定結果が特異的であることを理解したうえでワークエンゲージメントを測定する必要があるでしょう。

ワークエンゲージメントを向上させる方法として、仕事の資源と個人の資源へのアプローチがあります。仕事の資源へのアプローチは仕事量をコントロールする方法です。個人の資源へのアプローチは、自己効力感を上げることで心理的なストレス軽減やモチベーション向上につなげる方法です。

この2つは関連性があり、個人の資源が大きくなれば、仕事の資源も大きくなるといわれています。ワークエンゲージメントを理解し、正しくアプローチをすることで、従業員の定着率を向上させましょう。

 

 

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