優秀な人ほど早く辞めていくのはなぜ？理由や辞める兆候、対策を解説

1.優秀な人材ほど早く辞めていく2つの理由

会社としての存続が危ぶまれるとき、あるいは社内に何らかの問題があるときは、離職する社員が増えることがあります。離職を表明した社員をよく観察すると、優秀な人材が多いことに気づくかもしれません。

優秀な人材ほど早く辞める理由としては、次の2つが考えられます。

1. 判断能力が高いから
2. 成功する自信があるから

それぞれの理由について、詳しくみていきましょう。

1-1.判断能力が高いから

優秀な人材は、判断能力が優れていることが多い傾向にあります。会社の将来性、自分自身の将来性・価値などから総合的に分析し、このまま会社に留まっていてもメリットはないと判断したときは、迅速に離職へ向けての行動を開始します。

会社の経営状態に問題がないように見えるときでも、優秀な人材が辞めるときには何かトラブルの芽があるのかもしれません。反対に、会社に問題が山積みのときでも、優秀な人材が辞めないのであれば、将来的に課題が解決されて会社が成長する可能性も想定されます。優秀な人材の去就に注目することも、会社の状態を見極める一つの方法になるでしょう。

1-2.成功する自信があるから

優秀な人材でなくても、会社に不満があるときや将来性がないように感じるときは離職を思い立つでしょう。しかし、「すぐに転職先が見つかるだろうか」「転職できても、今と同じ程度の給与は得られるだろうか」と不安が先に立ち、なかなか離職を決意できません。

一方、優秀な人材であれば、他の会社や業界でも自分自身の能力を活かせることを知っているため、離職に対する心理的なハードルが低いでしょう。現状に不満や不安があるときは、変化を恐れず、次のステージへと飛び立つことができます。

2.優秀な人材ほど早く辞めていく会社の6つの特徴

優秀な人材が一人辞めたとしても、会社に問題があるとは断言できません。より良い職場を見つけたり、家庭の事情などで転職を余儀なくされたりなどのケースも想定されるからです。

しかし、多くの優秀な人材が離職しているときは、会社に何らかの問題が潜んでいるのかもしれません。実際のところ、優秀な人材ほど早く辞める傾向にある会社には、次の6つの特徴が見られます。

1. 将来性が低い
2. ライフワークバランスが取れていない
3. 仕事量が多すぎる
4. 与えられている裁量が少なく仕事しづらい
5. 自分自身の成長につながらない
6. 仕事が給与や待遇に反映されない

それぞれの特徴について解説します。

2-1.将来性が低い

会社の将来が見えないとき、また、経営陣が将来的展望を持って経営判断をしているとは思えないときは、優秀な人材ほど早く辞める恐れがあります。優秀な人材は現状判断能力に優れているため、将来性が低いと判断すると、すぐに離職に向けて行動するでしょう。

2-2.ライフワークバランスが取れていない

将来性の高い会社であっても、ライフワークバランスが取れていない会社は、働きやすい会社とはいえません。優秀な人材は働きやすさにも注目するため、残業が多い、育休が取りにくいなどのライフワークバランスが取れていない会社には長居しない傾向にあります。

2-3.仕事量が多すぎる

優秀な人材であっても、あまりにも仕事量が多いときは、高いクオリティで業務を行うことが難しくなります。優秀な人材は自分自身の仕事のクオリティにこだわりを持っているため、優秀な人材にばかり過剰にタスクが集中する会社では、働きづらいと感じるでしょう。

どんなに仕事をこなしても終わりが見えないとき、優秀な人材は離職を決意するかもしれません。

2-4.与えられている裁量が少なく仕事しづらい

社員一人ひとりに与えられている裁量が少ないときは、何をするにしても上司の許可や話し合いが必要なことが多く、自由に働けません。

そのような会社は、自分で考え、自分で業務を進めていくことを得意とする優秀な人材にとっては、働きづらい職場といえます。より自由に才能を発揮できる職場を求め、転職する可能性があるでしょう。

2-5.自分自身の成長につながらない

優秀な人材は、仕事に対して「学び」を求める傾向にあります。新しい知識を得て使いこなすこと、またすでに持っているスキルを向上させることを望むため、同じことばかり繰り返す会社や、いつまでいてもスキルアップは難しそうな会社には不満を感じるでしょう。

また、日々のタスクに追われ、何も成長できない会社も、優秀な人材にとっては望ましくない環境です。学びがあり、成長できる環境を求め、転職を検討するかもしれません。

2-6.仕事が給与や待遇に反映されない

優秀な人材は、仕事にやりがいを感じ、誠実に業務を遂行します。しかし、達成感があり能力を求められる仕事さえあれば、満足できるのではありません。優秀な人材は、仕事に対して正当な評価がされているかどうかを客観的に判断します。

例えば、仕事の量や質に見合った給与を受け取れていないとき、任される責任に見合った役職に就いていないときは、優秀な人材は自分自身が正当に評価されていないと感じるでしょう。正しく評価してくれる職場を求め、転職するかもしれません。

3.優秀な人材が辞めるときに見られる兆候

優秀な人材は衝動的に辞める可能性は低く、基本的には計画的に行動を取る傾向があるため、離職する前にいくつかの兆候が見られるでしょう。優秀な人材に次の兆候が見られたときは、離職を決意している恐れがあります。

• 有給休暇を消化するようになる
• 仕事に対する積極性がなくなる

それぞれの兆候について解説します。

3-1.有給休暇を消化するようになる

優秀な人材に限られたことではありませんが、離職を決意した場合、有給休暇を消化しようとすることはしばしば見受けられます。また、離職後すぐに次の会社で働けるように、有給休暇を転職活動に充てている可能性もあります。

3-2.仕事に対する積極性がなくなる

優秀な人材は、基本的には仕事に対して積極的な姿勢を示します。つまり、優秀な人材が積極性を示さなくなったときは、仕事や会社に対して興味を失ったと考えられるでしょう。

会議で発言しなくなったとき、あるいは、業務をできるだけほかの社員に任せるようになったときは、すでに離職を決意しているのかもしれません。また、自分が辞めた後に仕事がスムーズに回るように、担当している業務を周囲の社員に説明し、引き継ぎを進めていくこともあるでしょう。

4.優秀な人材が辞めたことで起こるデメリット

優秀な人材が辞めることは、それ自体が会社にとって大きな損失です。しかし、それ以外にもさらなるデメリットが生じることもあります。主なデメリットとしては、次の2つが挙げられるでしょう。

• 仕事量が増える
• 離職する社員が増える可能性がある

それぞれについて、詳しく説明します。

4-1.仕事量が増える

社員が一人辞めると、その社員が担当していた仕事は残された社員に任されることになります。部署内の人数が多いなら、うまく分担して仕事をこなしていけるかもしれません。人数が少ない部署の場合には、業務を回すために新たに社員を補填する必要があるでしょう。

優秀な人材は平均的な業務量以上の仕事を担当しています。そのため、優秀な人材が辞めると、残された社員は多くの業務を分担してこなしていかなくてはいけません。新たに社員を一人補てんするだけでは、辞めた優秀な人材の穴は埋められない可能性があります。

4-2.離職する社員が増える可能性がある

優秀な人材が辞めると、「あの優秀な人が辞めるということは、もしかして会社が危ない？」と他の社員が考えるようになり、離職の連鎖が起こることがあります。

一度に多くの社員が辞めると、会社は大きなダメージを受けるでしょう。新たに社員を採用するとしても、すぐに通常の業務をこなせるとは限らないため、業務が停滞する恐れがあります。

また、優秀な人材が辞めたことや、一度に多くの社員が辞めたことが外部に伝わると、「あの会社は危ないのではないか？」といった評判が立つかもしれません。採用活動をしても応募者が集まりにくくなる可能性もあります。

5.優秀な人材を流出させないための3つの対策

優秀な人材が辞めることは、会社にとって大きな損失です。優秀な人材が長く働きたいと思える職場にするためにも、次の3つの対策が必要になるでしょう。

1. 公正な人事評価制度を構築する
2. スキルアップ・キャリアアップの機会を設ける
3. 社員の声を環境構築に反映する

それぞれの対策と期待できる効果について説明します。

5-1.公正な人事評価制度を構築する

優秀な人材は、自分が正しく評価されているかという点を気にする傾向にあります。正しく評価されていない場合には不満に思い、より公平に評価してくれる会社へと転職する可能性が高まるでしょう。

優秀な人材を正しく評価するためにも、公平かつ公正な人事評価制度を構築しましょう。数字で表れる成果だけでなく、仕事の正確さや効率性の高さなども評価基準に加えると、より公正かつ満足度の高い評価制度を作ることができます。

5-2.スキルアップ・キャリアアップの機会を設ける

優秀な人材の成長したいという気持ちに応えるためにも、スキルアップの機会を設けることが必要です。例えば、豊富な種類の研修やセミナーを準備し、社員各自が必要に応じて利用できるようにしておくことができるでしょう。

また、キャリアアップの機会を設けることも大切です。年齢や勤続年数だけでなく、成果も正しく評価し、適切な役職を準備しましょう。

5-3.社員の声を環境構築に反映する

裁量が少ない会社では、優秀な人材は去ってしまいます。社員に与える裁量を増やし、優秀な人材が働きやすい環境を構築しましょう。

また、社員の声を職場環境に反映することも大切です。社員のニーズを丁寧に把握し、必要に応じてフレックスタイム制や時短勤務制度なども導入して、働きやすい環境にしていきましょう。

6.優秀な人材が働きたいと思える環境を作ろう

優秀な人材が働きやすい環境を作ることは、人材流出を防ぐだけでなく、会社の成長にもつながります。会社の人事評価制度や福利厚生、研修制度を見直し、優秀な人材にとって働きやすい環境になっているか確認してみましょう。

課題が見つかったときは、社員の声も反映しつつ、適切に修正することが必要です。社員の声を反映することで、優秀な人材だけでなくすべての人材が居心地の良さを感じる職場環境になるでしょう。

すべての人にとって魅力的な会社へと成長すると、入社を希望する人も増えると考えられます。応募者が増えると、優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。このような好循環を作り出すためにも、優秀な人材が働きやすい環境の構築が急務といえるのです。