社内公募制度とは?応募するメリットとデメリット、優秀な人が注意すべき点を解説

社内公募制度とは?応募制度のメリットとデメリット、優秀な人を守る上で注意すべき点を解説

人事ノウハウ

社員の採用が難しくなっている昨今、社内の人材を活用できる社内公募制度への注目度が高まっています。本記事では、社内公募制度の意味や異動との違い、メリットとデメリットから公募を実施する際のポイント、面接で確認すべき質問など詳しく解説しています。

1.社内公募制度とは

社内公募制度とは「社内公募制度」とは、人材を必要とする部署が社内に募集をかけて、社員が自らの意思で応募する仕組みのことです。「ジョブ・ポスティング」と呼ばれることもある制度で、定期的に行われる場合と、必要に応じて不定期で行われる場合があります。

一般的には、新規プロジェクトの立ち上げに際しての実施など、不定期で行われるものを社内公募と呼びます。

1-1.社内公募制度の意味

社内公募制度が注目される背景には、日本の人口構成の変化があります。若い働き手が多くいたかつての時代とは異なり、生産年齢人口(15歳から65歳までの人口)は減少しつつあり、今後も減り続ける見通しです。

新卒、中途を問わず、社外からの人材の調達は難しくなる一方の情勢であるため、すでに社内にいる人材を活用できる社内公募制度にスポットライトが当たってきているのは、むしろ当然と言えるでしょう。

参照元:内閣府「人口減少と少子高齢化」


1-1-1.社内公募と異動の違い

社内公募制度は、人事部が社員の異動先を決めるのではなく、社員自身が希望の部署に異動できる制度です。社内公募には、要件を満たしていれば誰でも応募できます。従業員が自主的な選択で異動できるため、モチベーションの向上や優秀な人材の活用につながるでしょう。

社内公募と似た、「社内FA制度」を導入している企業もあります。部署が人材を募集する社内公募に対して、こちらは社員が希望の異動先に自分を売り込む形です。

社内公募が求人であるのに対し、社内FAは求職の色彩が強いといえます。どちらも、勤続年数や一定以上のスキルなど、条件をクリアする必要がある場合がほとんどです。

2.社員の意思で異動できる社内公募制度を導入するメリット

社内公募制度を導入するメリット

社内公募制度6つのメリット

  • 社員のモチベーションが向上する
  • 管理職の緊張感が上がる
  • 職場の環境が良くなる
  • 組織のパフォーマンスが上がる
  • 優秀な人材の流出を防げる(離職率を下げられる)
  • 採用コストを抑えられる

会社から命じられるままに異動するのではなく、社員が自らの意思で異動できる社内公募制度には、多くのメリットがあります。

代表的なものは、自身の希望がかなえられることによるモチベーションの向上をはじめ、採用コストの抑制や離職率の低減などです。この項では、社内公募制度を導入する6つのメリットについて詳述します。

2-1.社員のモチベーションが向上する

社内公募制度を導入するメリットとして最大のものが、社員のモチベーション向上です。モチベーションが高まれば、仕事に意欲的に取り組むことができ、本人のスキルアップやより良い成果にもつながることが期待できます。

従来型の人事異動では、優秀な人材ほど上司が手放さず、より大きな活躍の場が与えられないという弊害が指摘されていました。社内公募制度であれば、優秀な人材が希望の職場を選べることになり、副次的な効果として社内人材の流動化がもたらされる効果も生まれます。

2-2.管理職の緊張感が上がる

社内公募制度が導入されている場合、上司や管理職は部下の社員とのコミュニケーションを密にするなど、良いマネジメントを心がける必要があります。

社内公募制度への応募には、原則として上司の許可は不要です。部下の育成に関心を払わないような上司では、部下に逃げられてしまうかもしれないため、緊張感を持って社員と関わるようになります。

社内公募をかけている部署の管理職も、マネジメントに対して緊張感を高めることになります。上司の評判が悪く、公募しているのに応募者がいないということになっては面目が立たなくなるためです。

2-3.職場の環境が良くなる

社内公募に募集する社員が重視する点の一つに、どの上司の下で働けるかがあります。パワハラやセクハラは論外としても、マネジメント能力を疑問視されているような管理職がいる部署であれば、社内公募への応募を検討している優秀な社員に敬遠されてしまうでしょう。

前項と関連しますが、社内公募制度の導入によって管理職が部下の扱いに緊張感を持つようになれば、職場の雰囲気が良くなり、業績も上がることが期待されます。

2-4.組織のパフォーマンスが上がる

社内公募制度の導入には、社員のモチベーション向上という効果が見込まれます。このことは社員本人の成長を促すのみならず、組織としてのパフォーマンス向上にも貢献するでしょう。

意欲的に業務に取り組む姿勢が周囲にも波及し、部署全体として業績を上げていくことができれば、企業全体の活性化にもつながると期待されます。

2-5.優秀な人材の流出を防げる(離職率を下げられる)

社内公募制度には、チャレンジする気概を持った優秀な社員の社外流出を防ぎ、離職率を下げるメリットもあります。新しい職種に挑戦したい希望を持つ社員は、一般的には転職を検討する傾向があります。

しかし、社内で新たな職種に就ける可能性があれば、転職活動に時間をかけることもありません。社員にとっては、慣れ親しんだ会社の中でのキャリアチェンジであるため、社風や経営方針になじめるかなどの心配も無用です。社内公募は、企業と社員の双方にとってメリットのある制度といえます。

 

 

2-6.採用コストを抑えられる

新卒でも中途採用でも、新たな人材を社外から獲得するには、求人広告の作成や人材紹介業者への対応依頼などが必要となり、費用的にも時間的にも多くのコストがかかります。社内公募であれば、社外に求人を出すことはないため、外部に支払う費用はありません。

同じ社内から人材を確保することから、スキルの不足や社風とのミスマッチを心配する必要もなく、低コストで人材の調達ができます。

3.3.社内公募制度を導入する注意点(デメリット)

社内公募制度を導入するデメリット

社内公募制度の6つのデメリット(注意点)

  • 適材適所が行われない可能性がある
  • 社内の人間関係に悪影響が出る可能性がある
  • 人事部に負担がかかる
  • 不合格の際に社員のモチベーションが低下する
  • 前の部署での評価・評判がついてくる
  • 前の部署環境から逃げる手段となる可能性がある

社内公募制度の導入には、多くのメリットがある反面、デメリットや注意点もあります。

一般的な人事異動では、全社的な最適解を探して人事配置が考えられるのに対して、社内公募では公募を行う部署だけの部分最適を求めることになり、必ずしも適材適所とならない可能性があることがデメリットの代表例です。

ここでは、社内公募制度で注意すべき6つのデメリットについて解説します。

3-1.適材適所が行われない可能性がある

社内公募制度は、要件を満たした社員であれば自由に応募することができますが、それがデメリットにつながることもあります。営業部門のエースとして育成してきた優秀な社員が、企画部門の社内公募に応募し、合格して異動してしまうなどのケースです。営業部門からすれば突然の引き抜きであり、戦力ダウンにも直結します。

社内公募では、本人の希望は満たされたが、全社的に見れば最適とはいえない人事異動になる可能性が常にあります。

3-2.社内の人間関係に悪影響が出る可能性がある

エース級の社員が社内公募で他部署に異動した場合、元の部署では要員が不足し、残った社員の仕事量が増加してしまうなどの悪影響も考えられます。そのような事例では、残った社員たちと異動した社員の間にわだかまりが生まれ、人間関係を悪化させる可能性があります。

社内公募に応募したとわかった時点で上司や同僚から、現在の部署に不満があるのかと勘ぐられるなどし、関係がぎくしゃくすることもあり得ます。応募した社員にはその気はまったくなくても、悪印象を持たれてしまう危険性は拭えません。こうした事態を防ぐため、人事部門は応募者の情報などについて、厳重に取り扱う必要があります。

3-3.人事部に負担がかかる

社内公募は、人事部の通常業務の合間に組み込まれるイレギュラーな業務であり、複雑な調整を必要とするため、人事部に負担がかかってしまいます。社内公募は中途採用と同様に面接を行い、採否が決定されるのが一般的です。人事部の業務は増えこそすれ、減ることはありません。

社内公募に応募した社員のいる部署に補充を行わなければならないとなれば、どこか別の部署から適した人材を持ってこなければならず、その人材が抜ける部署にも補充が必要になります。社内公募は、人事部にとって頭を悩ませる要素が多いといえます。

3-4.不合格の際に社員のモチベーションが低下する

社内公募制度のメリットとして、社員のモチベーション向上を挙げましたが、それは公募に合格して希望の部署に異動できた場合の話です。1人の公募に対して複数人が応募する可能性もあります。そのケースでは不合格者が出ることになるのです。

社内公募に手を上げる意欲を持った社員が、不合格になることでモチベーションを低下させてしまったら、会社としては大きな損失です。不合格となった社員に対して、次回の公募に備えた能力開発やキャリア形成を支援するなどのケアを用意する必要があります。

3-5.前の部署での評価・評判がついてくる

社内公募とはいえ同じ会社の中での異動であり、前の部署での評価や評判はどうしてもついて回ることになります。応募した本人はポジティブ志向で、ゼロから新しいキャリアを始めようと思っていても、周囲はそのように見てくれない可能性が高いのです。

異動前の部署での評価や評判は、異動先でも把握しやすいものだということは、本人はもちろん、人事部でも認識しておく必要があるでしょう。

3-6.前の部署環境から逃げる手段となる可能性がある

社内公募に応募する社員のすべてが、やる気にあふれた意欲的な人材だとは限りません。上司との折り合いが悪かったり、成績が上がらなかったりするため、現在の部署からの逃避の手段として社内公募を利用している可能性もあるためです。

異動先で努力し、高い業績を上げる社員となることもありますが、社内公募は逃げの手段として使われ得るというデメリットも持っています。

4.社内公募を行う際に気をつけるポイント

社内公募を行う際のポイント前項で、社内公募制度のメリットとデメリットについて解説してきました。社内公募のメリットを生かし、デメリットを顕在化させないためには、いくつかのポイントを押さえて実施することが重要です。

ここでは、以下の気をつけるポイント3点について説明します。

  • 社員の理解を得る
  • 応募条件を詳細に設定する
  • 異動後のサポートを欠かさない

4-1.社員の理解を得る

社内公募を実施する際には、説明会を開くなどして社内に周知することを心がけましょう。社内公募を行う理由、公募の期間や条件などについて説明し、社員の理解を得ることが必要です。

社内公募が知られていないと、今の部署から逃げるのかと思われて人間関係を悪化させることにつながります。社員の理解を得ることができれば、社内公募制度はポジティブに受け入れられ、メリットを十分に発揮できるでしょう。

4-2.応募条件を詳細に設定する

応募条件の設定も、社内公募を行う際のポイントとなる事項です。社内公募は社員のモチベーション向上や、組織の活性化などを目的としていますが、応募条件があいまいでは目的が達成されない可能性があります。

必要とするスキル、在籍年数、職位など、応募できる社員の条件は詳細に決めましょう。誰でも応募できるようにすると、現在の職場に不満がある社員などの「逃げ」の手段として使われてしまう懸念が出てきます。

4-3.異動後のサポートを欠かさない

社内公募は、合格者が決まって新しい部署に異動したらそれで終わりではありません。異動後の支援も欠かさずに行うことが大切です。

異動後の仕事内容や部署内の人間関係など、異動先で問題になりそうなことを、本人や上司とのコミュニケーションを通じて、丁寧にフォローできる支援体制を構築します。異動前の部署でやり残した仕事がある場合も、フォローが必要です。やり取りは密に行い、円滑な異動につなげましょう。

社内公募で使えるフォーマットと記入例文イメージ

社内公募で使えるフォーマットと記入例文イメージです。
お持ちでない方は参考までにお使いください。

                              ○○年○○月○○日
各位
                              ○○○○○部 ○○○○○
 
          〇〇スタッフ増員に伴う社内公募の実施について
 
このたび○○○事業拡大に伴い、スタッフの増員を行うことになりました。つきましては、下記のとおりスタッフの社内公募を行ないますので、皆さんからの積極的な応募をお待ちしております。
 
 
                     記
 
1.  応募職務 
①   ○○○部門のディレクター 1名
②   コンテンツ企画チェックスタッフ 2名
③   マーケティングスタッフ 2名
2.  応募資格   
    ①プロジェクトマネージャー以上の経験者でオウンドメディア立ち上げに興味がある方
    ②2年以上 コンテンツ制作関連の知識 UI・UXのデザイン全般への知識がある者
    ③マーケティング等の経験を有する者、メディアマーケティングは未経験でも可
3.  必要書類
    ①職務経歴書
    ②応募理由(形式は自由)
4.  提出期限
    ①令和○○年○月○○日まで
5.  選考方法 
    ①②③書類審査後に○○○事業部のメンバーとの面談を想定

※選考に関する詳細については、人事部○○○○○までお問い合わせください。
 
                              以上

 

 

5.社内公募の面接で確認しておきたい質問例

社内公募の面接で確認しておきたい質問例社内公募の採否にあたっては、中途採用と同様に面接を行うことが一般的です。面接で確認すべきポイントとしては、以下の3点が不可欠です。

  • 志望動機
  • 自己PR
  • 今後のキャリアプラン

この項では、面接で確認しておきたい3点について、その理由や注意点をまとめています。

5-1.志望動機

社内公募の面接では、志望動機の確認が最重要項目の一つです。どれだけの熱意を持って応募してきたのか、なぜその部署に異動したいのかなどについて、明確に話せるかどうかをチェックしましょう。

志望動機を話す際に、自らの経験を踏まえて語っているかどうかを見るのも一つの方法です。経験を踏まえた話はその人にしかできません。そのため、誰にでも話ができる表面的な理屈に比べ、その部署を志望する気持ちの強さが現れると考えられます。今の部署から変わりたいだけの、逃げの気持ちで応募してきたのではないかを見極めましょう。

5-2.自己PR

自己PRの確認事項としては、公募によって求める人材にどれだけ近いかの見極めです。募集要項をしっかり把握し、その部署で働こうという強い意欲のある社員であれば、求められる人材に寄せた形での自己PRができると考えられます。

自己PRに盛り込まれた自身の強みが、公募部署でも強みとなるのかどうかを測ることも必要です。自己PRの内容が企業として求めることから外れているような場合は、いかに熱く語られたとしても合格ラインには届かないでしょう。

5-3.今後のキャリアプラン

自発的に新しい部署での仕事を希望して、社内公募に応募する社員は、新しい部署での今後のキャリアプランを具体的な形で持っていて当然です。具体的なキャリアプランを持っていなければ、社内公募という機会を有効活用できていない社員だと言わざるを得ません。

今後のキャリアプランを確認することで、社員の意欲や上昇志向であるかどうかがわかります。5年後や10年後など、年次を追ってキャリアプランを尋ねていくと、社員の持つ将来構想が明確化されるでしょう。

6.社内公募で企業と社員を活性化させよう

社内公募で企業と社員を活性化させよう本記事ではここまで、社内公募制度の意味やメリットとデメリット、実施の際に踏まえるべきポイントなどについて解説してきました。社員のモチベーションを上げ、離職率を下げることが期待できる社内公募制度は、企業全体の活性化にもつながり得る人事制度です。 

人事部の負担が増したり、適材適所ではない配置となったりするデメリットはありますが、上手に調整して使えば自社のさらなる発展に役立つでしょう。

 

 

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