ポジティブ・アクションとは?【わかりやすく】メリット・デメリットや4つの具体事例と効果を解説

ポジティブ・アクションとは?【わかりやすく】メリット・デメリットや4つの具体事例と効果を解説

人事ノウハウ

ポジティブ・アクションとは、組織のあり方として社会的・構造的な差別をなくすことで、誰にでも活躍機会の平等な提供や多様性の確保を目指す取り組みです。近年では法人のLGBTなど多様性に向き合う姿勢が優秀人材の確保に必須になりつつあります。人材確保や売上の向上など、さまざまな良い効果をもたらします。

1.ポジティブ・アクションとは

ポジティブ・アクションとはポジティブ・アクションとは、組織のあり方として社会的・構造的な差別をなくすことで、誰にでも活躍機会の平等な提供や多様性の確保を目指す取り組みです。近年では法人のLGBTなど多様性に向き合う姿勢が優秀人材の確保に必須になりつつあります。人材確保や売上の向上など、さまざまな良い効果をもたらします。

一般的には、女性の社会進出や能力発揮を後押しする取り組みを指して使われることが多く、女性の管理職比率の低さや、特定の部署や職種に女性が配属されないといった性別による不利益の解消を目指す措置です。

1-1.ポジティブ・アクションの目的

ポジティブ・アクションの目的は主に以下の2つです。

  • 活躍機会を平等にするため
  • 多様性を確保するため

 

・活躍機会を平等にするため

日本ではいまだに性別による役割分担を行う慣習が根付いており、他の先進国と比べて女性の管理職比率が低いなど、女性の活躍機会が少ないといわれています。

ポジティブ・アクションを行うことで、女性やその他の活躍機会を与えられていない方々に平等な機会の提供を目指します。

・多様性を確保するため

同じ性別や同世代の社員のみで組織を構成すると、新しいアイデアの創出や、さまざまな顧客のニーズに対応した事業の展開が難しくなります。ポジティブ・アクションを実施して多様性を確保することにより、個々の企業が柔軟な発想で事業を成長させられれば、日本経済の活性化も見込めます。

参照元:国土交通省「国土交通白書2021」

参照元:厚生労働省「ポジティブ・アクションとは」

 

2.企業がポジティブ・アクションに取り組むメリット

企業がポジティブ・アクションに取り組むメリット企業がポジティブ・アクションに取り組むことは、女性社員の活躍の機会が増える以外にも、さまざまなメリットがあります。人材確保や企業イメージの向上といった、長期的な発展にも寄与するため、企業の将来に向けて早期に取り組むことおすすめします。

【ポジティブアクションの4つのメリット】

  • 女性のキャリア意識が上がる
  • 新規の女性社員の採用力がアップする
  • 女性社員のモチベーションが高くなる
  • 企業イメージが向上する

2-1.女性のキャリア意識が上がる

積極的に重要ポジションへ女性を登用することや、管理職候補として女性社員向けの教育カリキュラムを設けることで、女性社員が自社での将来のキャリアを描きやすくなります。

また、仕事と家庭の両立を支援する取り組みに力を入れることにより、その企業での長期的な就労のイメージを持てるため、女性社員のエンゲージメントの向上も見込めます。

 

2-2.新規の女性社員の採用力がアップする

女性が働きやすく、活躍の機会を積極的に提供している会社であるという評価が得られれば、採用においての人気が高められ、新規採用時の応募者の増加が見込めます。長く働ける環境があり、活躍の機会がある職場は多くの方が魅力に感じるポイントです。

ポジティブ・アクションに取り組むことで、人手不足の解消や優秀な人材の確保につながります。

2-3.女性社員のモチベーションが高くなる

女性が働きやすい環境を整えることで、モチベーション高く業務に取り組めるのがメリットです。

産休による長期休暇や、育児中のサポート体制などを会社として整え、継続したキャリアが形成できる仕組みを作れば、業務の生産性もアップします。

また、性別に左右されない透明性のある評価制度の導入により、会社への貢献意欲の向上も期待できます。

2-4.企業イメージが向上する

男女の格差をなくし、女性の活躍を推進している企業であれば、世間からの目も好意的になります。女性の積極的な登用による多様性の確保は、これからの企業成長に欠かせないものといわれているため、将来性を見込んだ株式市場からの投資が得られる可能性もあります。

また、BtoC企業であれば、消費者へのアピールもできるため、直接的な売上に貢献する重要な要素です。

3.ポジティブ・アクションのデメリット

ポジティブ・アクションのデメリット

【ポジティブアクションのデメリット】

  • 男性社員が不満を感じる可能性がある

ポジティブ・アクションには多くのメリットがありますが、社内に不平等感を与えてしまうといったデメリットもあります。ポジティブ・アクションに積極的に取り組む前にデメリットを把握しておくことで、取り組みを円滑に進められます。


3-1.男性社員が不満を感じる可能性がある

基本的にポジティブ・アクションは従来の男性優位の組織を改め、女性を優遇する施策を取り入れるということです。そのため、女性社員の積極的な登用や育成を不平等と感じる男性社員が出る可能性も否めません。

すべての社員が平等に活躍できる土台を作るという目的を、しっかりと伝えように努力することで、不満を感じる社員の減少に繋がります。

4.ポジティブ・アクションの取り組み方

ポジティブ・アクションの取り組み方

【ポジティブアクションの取り組みの4ステップ】

  1. 取り組み体制を作る
  2. 自社の現状分析と課題の発見
  3. 具体的な目標と取り組み計画の策定
  4. 施策の実施と振り返り

ポジティブ・アクションに取り組むにあたり重要なのは、事前の計画と分析、そして施策の効果を測定することです。計画的にポジティブ・アクションに取り組むことで、ただ単に女性を優遇する施策を行うのではなく、企業の発展や社内の活性化につなげられます。

4-1.取り組み体制を作る

ポジティブ・アクションを実施するにあたり、推進する役割を担う部門やプロジェクトを明確にすると、スムーズかつ成果につながる取り組みが行えます。会社の人事部や総務部など、職場横断的なプロジェクトを組んでポジティブ・アクションの推進を行うことのメリットは、計画から実行まで責任感を持ってやり抜けるようになる点です。

また、部署横断で専任のチームを作ることは、社内交流を深めることにもつながるため、社内の活性化も期待できます。

4-2.自社の現状分析と課題の発見

具体的な施策を決める前に、現在の課題を明確にすることで、より効果のある施策の実行が可能です。自社の現状を分析するには、女性の活躍度合いや職場環境の整備状況などの観点で採点表を作成し、経営層、管理職、女性社員が点数を付けます。

それぞれの立場での点数を出すことで、認識のずれや女性社員の不満点などをあぶり出し、課題を特定していきます。

4-3.具体的な目標と取り組み計画の策定

現状分析から特定した課題の中で、とくに優先度の高い課題への取り組み計画と、ゴールとなる目標を策定します。取り組み計画を立てるうえで重要なことは、誰がいつまでに何を行うか、という点を明確にして、しっかりと役割を決めることです。

また、目標は「1年後に女性の営業職を2名配置する」といった、数値を用いて客観的な評価ができる、具体的な内容が望ましいといえます。

4-4.施策の実施と振り返り

ポジティブ・アクションへの取り組みが、女性が働きやすい職場に近づいたかを検証することで、さらに取り組みの精度を上げることができます。

女性社員へのアンケートやインタビューを通じて、ポジティブな影響を与えられたかを確認しましょう。この時、生産性や業務の成果などの、定量的な指標も計測すると、次の施策を計画する際の検討材料が得られます。

5.ポジティブ・アクションの具体例

ポジティブ・アクションの具体例

  • 女性の積極的採用
  • 女性の職域拡大
  • 管理職登用率の向上
  • 継続就業の体制整備

ポジティブ・アクションへの取り組み方を体系的にお伝えしてきましたが、取り組みの具体例を知っておくことで、よりスムーズに一連の計画が立てられます。ここからは、ポジティブ・アクションの基本となる4つの具体的な取り組みをご紹介します。

5-1.女性の積極的採用

社員の採用にあたり、女性を積極的に採用することもポジティブ・アクションの一つです。本来は、性別を選考基準とすることは法律で禁止されていますが、募集する職種の女性比率が4割以下の場合に限り、求人内に「女性歓迎」といった文言を記載できます。

企業内の女性社員の数が増えれば、女性が働きやすい職場に近づくきっかけにもなるため、男性が多い職場は女性歓迎求人を掲載して、ポジティブ・アクションに取り組むのが有効です。

参照元:厚生労働省「男女均等な採用選考ルール」

5-2.女性の職域拡大

業務によって男女の区別をなくし、それぞれが能力を発揮できる体制や設備を整えることで、女性の能力が発揮されやすい職場を目指しましょう。

事務処理や雑務はすべて女性が行うといった旧態依然とした業務分担は、女性の活躍機会を奪うことにもつながりかねません。女性であっても男性と同様の仕事にチャレンジできる環境を整えることで、女性の活躍の機会を増やせます。

5-3.管理職登用率の向上

女性の管理職比率を上げる取り組みも、女性の活躍やキャリア形成を後押しする有効な施策です。そのためには、平等な評価制度の策定を目指し、性別を問わず成果を出せば管理職に登用されるような、透明性のある登用基準を設けることをおすすめします。

この際に重要なことは、時短勤務など、フルタイムで働けない女性社員が不利にならないような、時間当たりの生産性を意識した評価制度にすることです。

5-4.継続就業の体制整備

産休・育休などで長期休暇があっても、ポジションや給与を落とすことなく続けられる仕組みを整えれば、女性社員の長期就業が見込めます。

また、長期休暇によって抜ける穴を埋める柔軟な組織体制の構築や、育児期間中の周囲のサポートも、継続就業において大事な要素です。長く働く女性が増えれば、自ずと活躍機会の増加や、管理職比率の向上につながります。

6.ポジティブ・アクションは会社の長期的発展につながる

ポジティブ・アクションは会社の長期的発展につながるポジティブ・アクションに取り組むことで得られるメリットは、女性社員のモチベーションアップや社内の活性化です。また、女性の活躍を推進する企業はイメージが向上するため、株主や顧客といったステークホルダーとの関係性も深められます。

ポジティブ・アクションは画一的な取り組みではなく、各企業において行うべき施策が異なるため、実行の難易度は低くありません。しかし、早期にポジティブ・アクションに取り組むことで、多様性の確保につながり、長期的な会社の発展が期待できます。

 

 

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