求人を広告するにはさまざまな方法がありますが、その1つである求人サイトには課金のしくみの違う、掲載課金型と成果報酬型があります。これらはサービスによって採用者の見込み人数や予算が異なるため、それぞれの特徴を正確に把握して選ぶことが重要です。この記事では課金形態ごとの違いや掲載課金型求人サイトのメリットとデメリット、採用を成功させるポイントについて解説します。
1.求人サイトにおける2種類の課金形態
求人サイトはサービスごとに課金形態や内容が異なるため、利用を検討するときは内容や採用人数の見込み、予算についてきちんと把握することが大切です。費用が発生するタイミングによって、大きく掲載課金型と成果報酬型に分けられます。
ここではまず、求人サイトにおける掲載課金型と成果報酬型の特徴について理解することから始めましょう。
1-1.掲載課金型の求人サイト
掲載課金型の求人サイトは、求人広告を掲載するときに費用が発生します。費用は掲載する期間や求人広告のサイズなどによって定められています。広告を通して何名採用しても、一般的に追加で費用が発生することはありません。
それだけに広告内容や掲載枠の大きさなど求職者の目に留まるかどうかが、応募の数や採用活動の成否に大きく関わります。
1-2.成果報酬型の求人サイト
成果報酬型の求人サイトで費用が発生するのは、求人の成功、つまり人材を採用したタイミングです。逆にいえば採用するまで費用が発生しないため、企業にとってはムダにコストがかからない、予算を効果的に使えるしくみといえます。
成果報酬型求人サイトに登録している求職者は、掲載課金型に比べ少ないことが一般的です。そのため、一度の掲載で大勢の応募を見込むのは難しいでしょう。また、成果報酬型の特徴として1人採用するごとに費用が発生するため、割高になってしまうこともあり得ます。大人数を採用したい場合には、あまりおすすめできない方法です。
2.掲載課金型求人サイトのメリット5つ
採用活動は規模に応じて適切な予算を定め、より確実に効率よく実行する必要があります。そのためにも、採用する課金形態のメリットとデメリットを正確に把握することが重要です。
ここではそのうち掲載課金型の求人サイトを利用すると期待できるメリットについて解説します。
2-1.全国の人を対象に求人を広告できる
Webサイトはフリーペーパーやチラシなどの紙を使うメディアではありません。その一種である求人サイトも、求職者がインターネットに接続すればいつでもどこからでも、さまざまな求人情報を探せます。これは、内容を記載した紙という物体がなくては情報を伝えられないメディアにはないメリットです。
いつどこにいるのかわからない求める人材に対して、居住地を問わず広い範囲に求人広告を届けられるWebサイトは、適切な人材の応募の確率をアップさせられる広告手法だといえます。
2-2.自社にマッチした人材が集まりやすい
求人に応募する人材が、自社の求める人材像とすべての面でマッチすることは決して多くありません。それは求人情報があまりに多く、マッチする人材が求人を見つけにくいためです。
その点求人サイトは、サイト特有の検索機能を使えば、求職者の求める条件に合った企業だけをピックアップし、簡単に比較できます。求職者にとって希望条件に合致した求人を素早く見つけられることはメリットです。結果として応募の質が向上し、企業は採用までの工数や時間を節約できます。
2-3.複数人を採用するとコスパがよい
掲載課金型での求人は、掲載する規模や期間によってかかる費用が決まるため、採用人数がどれだけ増えても追加で費用を請求されることはありません。逆にいえば、より多くの採用ができれば、1人あたりの採用コストを下げることが可能です。
そのため掲載課金型の求人サイトは、1回の求人広告で複数人を採用する場合に適した手法だといえます。
2-4.ポテンシャル採用しやすい
掲載課金型の求人は、ポテンシャル採用がしやすい方法です。ポテンシャル採用では、応募時点のスキルや経験だけで採否を決めるのではなく、人柄や素養など潜在的な能力(ポテンシャル)を重視します。そのためポテンシャル採用は、即戦力ではない新卒や第二新卒の採用に適した手法です。
掲載課金型の求人では、応募条件をゆるくして広範囲に展開することもできます。十分な数の採用を確保するには、掲載課金型のほうがコストの面でも効果的です。
2-5.自社の魅力を伝えやすい
求人サイトは他の媒体と比べて掲載できる情報が多いことが特徴です。写真や文章だけでなく動画や音声を使えば、自社の強みや社内の雰囲気などをよりイメージしやすい形で示すことができます。
さらに掲載課金型の求人サイトは多くの求職者の目に留まりやすく、自社の魅力を広く伝えることにも効果的です。このような情報は、実際に企業で働く状況をイメージしやすくするため、入社後のミスマッチを減らすことも期待できます。
3.掲載課金型求人サイトのデメリット4つ
掲載課金型求人サイトの主なデメリットは、次の4つです。
- 採用できなくても費用がかかる
- 多数の求人があるため埋もれやすい
- コストが割高になる可能性もある
- ネット上での職探しに慣れていない求職者には情報が届きにくい
一つずつ詳しくみてみましょう。
3-1.採用できなくても費用がかかる
掲載課金型の求人サイトにかかる費用は、広告を掲載する枠の大きさや期間など掲載に関する要素で決まります。採用の事実や数には関係ありません。そのため1人も採用できなかった場合でも、当初の契約どおりの費用がかかります。
より効果的な求人広告には、知識やノウハウが必要です。これらの要素が自社になく、リスクを避けたい場合は外部の専門家に外注する、または成果報酬型の求人サイトに切り替えるという方法があります。
3-2.多数の求人があるため埋もれやすい
求人サイトには数多くの企業が掲載され、業種や職種、採用形態や条件もさまざまです。もしも自社の掲載したい求人内容とよく似た求人が多いと、検索結果に表示される企業も多くなり、すべてを詳しく検討できなくなる恐れがあります。これはまさに、自社の求人情報が他に埋もれてしまう状況です。
このような事態を避けるには、意識して他社とは違う自社の魅力を盛り込む必要があります。動画や音声などを使って、より独自性の強い内容になるよう努めましょう。
3-3.コストが割高になる可能性もある
仮に20人の採用を目指して掲載課金型の求人サイトに20万円かけたとしても、1人だけしか採用できない可能性はあります。計画上の採用1人あたりのコストは1万円ですが、結果は20万円と高額です。場合によっては1人も採用できず、コストだけがかかってしまう場合もあるでしょう。
また当初から少人数の採用を見込むなら、掲載課金型の求人はそもそも割高になる可能性があります。このような場合はコストや効率について成果報酬型と比較検討しての決定が必要です。
3-4.ネット上での職探しに慣れていない求職者には情報が届きにくい
求人サイトによる求人広告は、採用する企業側にとってさまざまなメリットがあります。しかし、これはあくまでWebサイトというインターネット上のインフラを使える人に対する手段としてです。ネットを使った職探しにあまりなじみがない求職者には、求人情報が届きにくいというデメリットがあります。
スマートフォンが普及した現在は中高年層のネット利用者が増えているものの、若い世代ほどではありません。求める人材の年齢層によっては、ネット以外のメディアを使ったほうが効果的という場合もあります。
4.掲載課金型で採用を成功させるには?
掲載課金型と成果報酬型をじっくり検討し、適した手法として掲載課金型を選択した後は、より確実に採用を成功させるために、必要なポイントを押さえて準備を進める必要があります。
ここでは掲載課金型求人サイトによる求人を、質・人数の両面で成功させるためのポイントについて考えてみましょう。
4-1.採用したい人材を明確にする
採用活動を始めるにあたってまずやるべきなのは、採用したい人材を明確にすることです。採用したい人材を明確にすれば、効果的な求人広告メディアを選び、適した求人サイトを的確に選べます。この選択を誤ると、応募の質や件数が低下する、対応に想定外の手間がかかる、本来の目的とは異なる人材を採用するといった残念な結果になりかねません。
採用したい人材の明確化は、次のような項目を絞り込むとスムーズです。
- 年齢または年齢層
- 性別
- 経験やスキル
- 性格や人柄
- 雇用形態 など
またさまざまな項目を、必須条件と満たしていることが望まれる希望条件に分けるとさらにわかりやすくなります。この作業は、実際に面接にあたる担当者とのすり合わせにも活用するのがおすすめです。
4-2.求人原稿で差別化を図る
掲載課金型の求人では、広告の内容を表す原稿が重要な役割を果たします。求職者は原稿の内容を吟味して応募するため、具体的で誤解のないように作成し、さらに他社による多種多様な求人の中にあっても際立つよう原稿の内容で差別化を図ることが重要です。
たとえば未経験歓迎としていても、最低限求めるスキルや資格があればはっきりと記載します。多くの応募を集めるために実際とは違う内容に変えたり、誤解させたりするような記載は避けましょう。そのようなことをすれば求める人物像とは違う応募が増えてしまい、無駄な労力がかかってしまいます。
4-3.知名度を上げる
掲載課金型の求人サイトでは大きな枠を確保したり、より高額なプランを利用して上位に表示させたりといった、できるだけ目立つためのある程度のコストが必要です。
知名度の高い大手企業はブランド力があるため、求職者が自分から求人情報を探すことも大いに期待できますが、そうでない企業ではそうはいきません。知名度のあまり高くない企業は、採用コストを抑えるためにも、本業の業績や製品、広告などで知名度を上げることが求められます。
4-4.媒体は自社に合ったものを選ぶ
一口に求人サイトといっても、媒体によってそれぞれ特徴は異なります。業種や職種、雇用形態をはじめ、アルバイトや新卒、中途などの採用種別ごとに適した媒体は違うため、自社に合ったものを選ぶことが大切です。
ほかにも医療・看護や介護職、飲食業というように職種・業種に特化したサイトもあります。求人サイトを効果的に利用するなら、自社が求める人物像やジャンルに合った媒体を選びましょう。
5.求人サイト以外で有効な採用方法
求人サイトの利用を決めても、掲載課金型か成果報酬型かが選べない、つまりいずれも適していない事態もあり得ます。そのときは求人サイトという手法に縛られず、より効果的な求人方法を広く検討しましょう。
ここでは求人サイト以外の求人方法を4つご紹介します。
5-1.企業サイトで求人
すべての求職者というわけではありませんが、最近は何を調べるにしてもまずWeb検索するという人が多いことを考えると、自社の企業サイトに直接求人情報を掲載するのも効果的です。
求職者は希望する業種や職種があれば、求人サイトではなく業界・企業研究のために企業の公式サイトを訪れる可能性があります。その際、企業理念や社風を実際に働く社員のコメントを通して動画や音声の形式でわかりやすく掲載すれば、自社の魅力を存分に伝えることも可能です。
5-2.ハローワークへの掲載
採用コストを抑えたい場合は、ハローワーク(公共職業安定所)の利用もおすすめです。ハローワークは国が運営しており、求人情報の掲載に費用はかかりません。求人の掲載数や掲載期間にも制限がないため、恒常的に人材を募集する企業にはとくに適した方法です。
ただし、掲載手続きをするにはハローワークの窓口に出向く必要があります。利用するときは、企業の所在地を管轄するハローワークがどこにあるのか、きちんと確認しておきましょう。
5-3.求人検索エンジンの活用
求人検索エンジンとは、求人に特化した検索エンジンを指します。求人検索エンジンは掲載にかかる費用が無料なため、コストを抑えることができる点がメリットです。さまざまな職種や雇用形態に対応しているため、求職者が発見しやすい求人方法ともいえるでしょう。
しかし、一方で求人件数が多いため自社の求人情報が他社の情報に埋もれてしまう可能性があり、求職者まで適切に届けるためには運用にある程度の知識が必要という面があります。
求人検索エンジンを活用する際は、運営方法までしっかり計画することが大切です。
5-4.SNSでの発信
自社でSNSを運用していれば、それを使って求人を広告するという方法もあります。アカウントがなくても、採用活動を目的として新たにSNS運用を始めることで、求人広告とは違ったアプローチが可能です。
SNSはアカウント同士の1対1のコミュニケーションが取りやすいため、フォローしてくれたユーザーに対して自社の魅力を伝えたり、個別にコミュニケーションを取ったりするのに適しています。
ただSNSは現実として、採用に結びつくまでに長い時間がかかることも多いようです。採用に活用するなら、長期的な採用活動の一環として、条件に合う人がいたら採用したいといった緊急性の低い求人に適用するとよいでしょう。
5-5.リファラル採用(紹介)
リファラル採用は、自社の社員や従業員などに知人を紹介してもらうという採用手法です。社員と知人の関係の深さにもよりますが、自社の実際の状況をよく知っている社員が仲介するため、ミスマッチが起こりにくく、一度入社すると長続きしやすいというメリットがあります。
紹介してくれた社員に謝礼を渡すことはありますが、その他の採用活動にコストはかかりません。入社後は、2人がともに仕事に取り組みやすいよう配慮する必要があります。
6.掲載課金型求人サイトでの採用は一長一短あり
あらゆる方面へのインターネットの活用が目覚ましい昨今、企業の採用活動では求人サイトの利用が増えています。求人サイトには広告の掲載時にコストが定まる掲載課金型と、採用ごとにコストが発生する成果報酬型の2つのタイプがあるため、自社の採用スタイルや職種などに合った手法を選択することが大切です。
掲載課金型求人サイトは、多くの採用人数を目指す場合、広い範囲に求人情報を届けたい場合に適しています。一方で、採用できなくても費用が発生すること、多数の求人広告の中で埋もれてしまいやすいことなどのデメリットもあります。
採用活動は企業にとって業績を左右する重要な活動です。掲載課金型や成果報酬型の求人サイトだけでなく、自社サイトやハローワークなどを上手に活用し、より効果的な採用ができるよう努めましょう。