求人方法は、求人サイトや求人検索エンジン・SNSなど多岐にわたり、それぞれ特徴が異なります。採用を成功させるために、各求人方法のメリットなどをしっかり把握しましょう。今回は、効果的な求人方法8選や求人方法の選び方、求人の効果を高めるポイントなどを解説します。
1.効果的な求人方法8選
効果的な求人方法として挙げられるのは、以下の8つの方法です。
- 求人サイト・転職サイトにて募集する
- 求人検索エンジンに掲載する
- 求人チラシなどの紙媒体を活用する
- ハローワークに掲載してもらう
- SNSを活用して募集する
- 人材紹介会社に募集してもらう
- スカウトメールなどで直接求職者にアプローチする
- 就職・転職に関するイベントに出展する
各求人方法の特徴やメリットなどを解説します。
1-1.求人サイト・転職サイトにて募集する
求人サイトや転職サイトとは、Web上に出稿する求人広告を指し、求人情報サイトとも呼ばれます。求人サイト・転職サイトのメリットは、以下の3点です。
- 多くの求職者に見てもらえる
- 転職潜在層にもアプローチできる
- 掲載できる情報量が多い
求人サイトや転職サイトを利用するユーザーが多いため、求人を掲載すれば、多くの求職者に閲覧してもらえる可能性が高い点が最大のメリットです。求人への応募も、24時間いつでも可能です。
「今すぐに転職を考えているわけではないが、いずれ転職したい」という転職潜在層にもアプローチできるのも、求人サイトや転職サイトのメリットといえます。このような潜在層は、まず求人サイトなどで情報収集を行うことが多いため、自社の情報を開示して魅力を伝えていくことが大切です。
また、掲載できる情報量が多いため、賃金や採用情報などのほかに、職場の雰囲気や社員へのインタビューなどのバラエティに富んだ情報を掲載することも可能です。職場の雰囲気をわかりやすく伝えやすいため、求職者は自身がその職場で働くイメージを抱きやすく、応募を促す効果があります。
求人サイトへの掲載料は、掲載順位や文章量、写真の数などに応じて変動します。雇用形態によっても異なり、費用相場は月額2万~180万円と幅がある点をおさえておきましょう。
1-2.求人検索エンジンに掲載する
求人検索エンジンとは、 Web上に公開された求人情報を集積して表示するサイトのことです。Google やYahoo!などは、検索エンジンとして知られています。そのような検索エンジンの、求人情報版と考えるとわかりやすいでしょう。希望する職種や勤務地などを入力すると、インターネット上で公開されている情報から希望に合う求人情報が表示されるしくみです。
求人検索エンジンのメリットは、以下のとおりです。
- 幅広い求職者に見てもらえる
- 比較的低コストで求人を掲載できる
- 地方の求職者にもリーチできる
求人検索エンジンは、多くの求人サイトや採用ページの情報を集めているため、幅広い求職者に見てもらえます。求人情報を閲覧する際、サイトへの会員登録やログインの必要がないため、誰でも気軽に見られる点もメリットです。
また、無料で掲載できるサービスが多い点も魅力です。有料プランでも、1クリックごとに料金が加算される「クリック課金型」が主流で、費用の掛け捨てリスクが少ないという特徴があります。
さらに、地方の求人に強いのも、求人検索エンジンのメリットです。求人サイトは首都圏の情報が多く地方の情報が少ない傾向がありますが、求人検索エンジンはインターネット上の求人情報を広く集めるため、地方の求人についても掲載数が豊富です。
1-3.求人チラシなどの紙媒体を活用する
求人の折り込みチラシや求人情報誌、新聞の求人欄などの紙媒体の求人広告は、Web求人広告が主流になる前はもっとも利用されていました。狙うターゲット層や募集エリアによっては、非常に効果的な媒体です。紙媒体の求人広告のメリットは、次のとおりです。
- Web広告が不慣れな層へのアプローチ方法として有効
- エリアを絞って求人情報を届けられる
- 低コストで求人を出せる
紙媒体の求人広告は、インターネットに不慣れな年齢層をターゲットとしている場合や、募集するエリアが限定されている場合は、有効なアプローチ方法といえます。求人広告の原稿のサイズによって掲載料金が決まることが多いため、料金に幅があるものの、掲載コストがあまりかからない点も魅力です。
1-4.ハローワークに掲載する
ハローワークとは、厚生労働省が全国に設置する公共職業安定所のことです。ハローワーク内に求人情報を掲載してもらう方法も、効果があります。希望に応じて、ハローワークインターネットサービスでも求人情報の掲載が可能です。
ハローワークのメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 採用コストがかからない
- 求職者に安心感を与えられる
- 条件によっては助成金を受けられる
ハローワークは、求人の掲載にコストがかかりません。また、厚生労働省が運営する機関であるため、求職者に安心感を与えられる点も強みです。さらに、ハローワークを介して採用した際は、一定の条件を満たしていれば助成金を受けられます。
1-5.SNSを活用して募集する
企業がInstagramやX(Twitter)などのSNSを活用して求人を募集する方法は、「ソーシャルリクルーティング」とも呼ばれます。SNSを活用した採用手法のメリットは、以下のとおりです。
- 情報発信力と拡散力が高い
- 入社後のミスマッチが起きにくい
- 運用コストを抑えられる
ソーシャルリクルーティングは、高い情報発信力と拡散力が強みです。企業が投稿した情報に求職者からの共感を得られた場合、さらに拡散してもらうことが可能です。企業情報が拡散されるにつれて幅広い層にリーチできるため、応募者を集めやすくなります。企業が日々投稿する内容やコミュニケーションによって、採用ターゲットに対するブランディングも行なえます。
入社後のミスマッチが起きにくいことも、SNS採用の利点です。SNSで応募者や内定者との関係性を構築できるため、内定者が入社前に不安や疑問を抱いたような場合に、企業の採用担当者に直接相談できます。また、応募者の内面を知りたいという場合は、SNSで人となりや興味・関心事項をある程度把握できる点も、入社後のミスマッチ防止に効果があります。
さらに、SNSを運用する人件費はかかるものの、各プラットフォームの利用料は無料である点も魅力です。
1-6.人材紹介会社から紹介を受ける
人材紹介会社に条件に合う人材を紹介してもらう方法も、効果的な求人方法の1つです。人材紹介会社を利用して採用を行うメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 初期投資がかからない
- 採用にかかわる業務負荷が軽減される
人材紹介会社が提供するサービスは、そのほとんどが成果報酬型です。入社が確定次第、報酬を支払う形式であるため、採用初期の段階では費用が発生しません。また、企業が求める人材の条件などを伝えれば、人材紹介会社が希望に沿った人材を推薦してくれるため、採用工数を軽減できる点もメリットです。人材紹介会社に支払う費用は、採用した人材の年収の30%~35%前後が相場とされています。
1-7.スカウトメールなどで直接求職者にアプローチする
企業が登録者のデータベースを検索し、スカウトメールなどで直接求職者にアプローチする方法も効果的です。従来は、転職サイトに求人を掲載した後は求職者の応募を待つ、いわゆる「待ち」の採用手法でした。それに対し、企業が登録者のデータベースを検索し、スカウトメールを送付して直接アプローチする方法は「攻め」の手法といえます。スカウトメールなどを利用して求職者に直接アプローチする方法におけるメリットは、以下のとおりです。
- 自社に合う人材に直接アプローチできる
- 求職者と直接やり取りをするため、採用スピードが速い
スカウトメールを送る場合は、企業がデータベースを検索して人材を探すため、自社の条件に合った人材にアプローチできます。また、求職者との直接のやり取りになるため、応募獲得さえできれば採用までのスピードは速い点もメリットです。
スカウトメールの送付をはじめとした、求職者に直接アプローチするダイレクトリクルーティングと呼ばれるサービスの内容は、多岐にわたります。仕組みもそれぞれ異なるため、費用体系や相場もさまざまです。
たとえば、専用のサービスを介さずに、InstagramやX(Twitter)などのプラットフォームから直接、求職者にスカウトメールを送る場合はサービスの利用料金などはかかりません。一方、専用のスカウトサービスなどを利用する場合の料金形態は、主に「定額型」と「成果報酬型」の2種類に分けられます。
1-8.就職・転職に関するイベントに出展する
合同企業説明会などに企業がブースを出展する方法は、以前からある効果的な求人方法の1つです。就職・転職に関するイベントへの出展で得られるメリットには、以下のような点が挙げられます。
- イベントの参加者と直接対話ができる
- 企業の知名度にかかわらず、一定数の求職者と接触できる
イベントの参加者、つまり応募前の求職者と直接対話ができる点が、就職・転職に関するイベントへの出展における大きなメリットです。また、イベント参加者は気になる企業のブースで説明を聞くスタイルが主流であるため、通りがかった参加者に声をかけて着席してもらえれば、自社の存在を知らない求職者にもアピールできます。企業の知名度にかかわらず、一定数の求職者と接触できる点がメリットです。
就職・転職イベントへの参加費用の目安は、30〜200万円程度です。開催地や規模に応じて大きく異なります。
参照元:厚生労働省「ハローワーク」
2.【状況別】効果的な求人方法の選び方
ここからは、状況別の効果的な求人方法の選び方を解説します。自社の置かれた状況を踏まえて、該当する内容を参考にしてください。
2-1.できるだけ早く人材を確保したい場合
できるだけ早く人材を確保したい場合は、特化型の求人サイトや人材紹介を利用するのがおすすめです。いずれも、一定のスキルや能力を持つ人材を確保するのに向いているため、選考にあまり時間をかけずに採用ができます。これらの手法で経験などを重視して採用した人材は、入社後に即戦力として活躍することも期待できます。
また、「待つ」採用を続けるのではなく、「攻め」の求人方法に舵を切ることも検討しましょう。求める人材に直接アプローチを行う、ダイレクトリクルーティングを取り入れてみるのも選択肢の1つです。
2-2.専門性の高い人材を確保したい場合
ITエンジニアや幹部候補などの専門性の高い人材の確保が目的の場合、ダイレクトリクルーティングや人材紹介などの方法が適しています。求めるスキルや専門性に特化したサービス、人材紹介会社を選ぶのがポイントです。
また、従業員の友人や知人を紹介してもらう採用手法であるリファラル採用もおすすめです。求める人物像に近い、専門的なスキルや能力を持つ従業員に紹介を依頼することが、成功のコツといえるでしょう。
2-3.一度の募集で人材を多く確保したい場合
一度の募集で多くの人材を確保したい場合は、求人・転職サイトや求人検索エンジンを選択しましょう。これらのWeb媒体は、幅広く多数の求職者に見てもらえるため、エントリーを集めやすいという特徴があります。そのため、大量採用を計画しているケースでは、求人・転職サイトや求人検索エンジンへの掲載を増やすと効果的です。
競合他社の求人と比べて魅力を感じられる内容になっているかどうか、求職者の視点から自社の掲載をチェックすることも重要です。
2-4.採用コストを抑えて人材を確保したい場合
ハローワークやSNSを活用すると、採用コストを抑えられます。前述のとおり、ハローワーク内あるいはハローワークインターネットサービスに、無料で求人情報を掲載してもらうことが可能です。
また、InstagramやX(Twitter)を利用するSNS採用は、各プラットフォームを利用する際に費用はかかりません。ただし、情報発信や求職者とのやり取りを頻繁に行う必要があり、運営者の負担が大きくなることを考慮しましょう。
3.求人の効果を高めるポイント
求人の効果を高め、自社の求める人材を確保するために押さえておきたいポイントは、次の4点です。
- 自社の状況に必要な人材を明確にする
- 自社の状況に適した求人方法を選ぶ
- 求職者のニーズを考え自社の魅力をアピールする
- カジュアルな面談など気軽に応募しやすい工夫を行う
それぞれ解説していきます。
3-1.自社の状況に必要な人材を明確にする
自社の状況において必要な人材を明確化することは、求人活動の基本です。どのような経験やスキル、能力を持つ人材を確保したいのか、要件を抽出し優先順位を付けましょう。洗い出したすべての項目を必須要件とするのは、現実的ではありません。優先順位の高い必須要件と、あれば望ましいという位置づけの歓迎要件を分けて設定する必要があります。
また、必要な人材像を策定する際、パーソナリティやライフスタイルまで落とし込んだ1人の人物像である、ペルソナ設定を行うことをおすすめします。スキルや経験以外にも、性格や価値観、よく閲覧するメディア、休日の過ごし方などまで絞り込みましょう。ペルソナ設定まで行うことで、選考の基準にブレが生じないようになるだけでなく、掲載する求人媒体も、ある程度決まってきます。
3-2.自社の状況に適した求人方法を選ぶ
策定したペルソナが日頃よく閲覧するメディアなどを考慮して、求人方法を選定しましょう。ただし、ターゲット人材が利用するメディアに絞ってしまうと、思うような結果を得られない可能性があります。
自社が求職者にどの程度認知されている存在か、資金力や時間に余裕があるかといったことを総合的に勘案し、適切な求人方法を選ぶことが重要です。認知度や資金力などがやや低い企業の場合、これらの要素が高い大企業と同じフィールドで競い合っても、母集団形成に苦労することが想定されます。
また、1つの採用媒体に絞り込まず、複数を併用して利用することで、採用活動の効率性が向上します。
3-3.求職者のニーズを考え自社の魅力をアピールする
採用活動を成功させるには、求職者の志望度を高めることが必須です。そのためには、求職者のニーズを深掘りし、自社の魅力をアピールすることが求められます。その際、自社が考える魅力と採用ターゲットのニーズにギャップがあると、魅力をアピールしても採用ターゲットの志望度は上がりません。
はじめに策定したペルソナが、仕事に何を求めるのかといったことを考慮して、自社の魅力と重なる部分をアピールしましょう。
3-4.カジュアルな面談など気軽に応募しやすい工夫を行う
ターゲット人材からの応募数を増やすには、応募のハードルを低くする工夫が必要です。たとえば、カジュアル面談や職場見学会など、求職者が気軽に参加できる機会を設けましょう。
書類選考から始め、一次選考、二次選考と続く従来の選考では身構えてしまう可能性のある求職者も、カジュアルな選考であれば参加率が高まるはずです。カジュアル面談などでは、仕事内容や福利厚生などに関する質問に答えたり、企業の文化や価値観などを積極的に伝えたりする時間を設けましょう。
4.求人広告を出す上での注意点
求人広告で効果を出すためには、求人方法のそれぞれの特徴を理解し、求人方法の選び方を知っておくだけでなく、注意点もおさえておく必要があります。求人広告を出す上での注意点は、以下の3点です。
- 求人にて明示するべき事項を確認する
- 求人を行う際に使ってはならない表現に注意する
- ネガティブな情報も隠さず伝える
順番に解説していきます。
4-1.求人にて明示するべき事項を確認する
基本的に求人の募集要項には、職業安定法で定められた次の項目を明示しなければなりません。
- 業務内容
- 契約期間
- 試用期間
- 就業場所
- 就業時間
- 休憩時間
- 休日
- 時間外労働
- 賃金の額
- 雇用保険、労災保険などの加入保険
- 募集者の氏名または名称
- 雇用形態(※派遣労働者として雇用する場合)
- 受動喫煙防止措置
求人票のスペースの問題で必要な事項を記載できないような場合は、「詳細は面談時にお伝えします」などと書くことで、一部の内容を別途明示することも可能です。ただし原則として、初回の面談など、求職者と企業が最初に接触するタイミングまでにすべての労働条件を明示することが求められています。
また、当初明示していた労働条件を変更した場合は、変更内容も明示しなければなりません。
4-2.求人を行う際に使ってはならない表現に注意する
求人を行う際に、性別や年齢の指定や制限を行うことは法律で認められていません。また、応募者の適性や能力などと関係のない事項で、合否を決めることも許されないことをおさえておきましょう。それぞれの内容を解説します。
4-2-1.性別の指定や制限
基本的に、男女雇用機会均等法によって、男性・女性のどちらかを歓迎したり優遇したりする表現は禁止されています。また、「ウェイトレス」「営業マン」といった、性別が読み取れる職種名の記載も避けなければなりません。
ウェイトレスではなく「ホールスタッフ」に、営業マンと記載する場合は「営業マン(男女)」などと表記しましょう。
4-2-2.年齢の指定や制限
一部の例外を除き、採用に年齢制限を設けることは、改正雇用対策法にて禁止されています。定年年齢を上限とするケースや、長期勤続によるキャリア形成のため若年層を採用するケースなど、例外事由にあてはまるケースでは年齢制限をすることが可能です。
ただし、例外事由に該当するケースであっても、一定の条件を満たさないと募集年齢の制限ができないこともある点に注意が必要です。
4-2-3.応募者の適性・能力とは関係ない事項
労働者の適性や能力とは関係ない事項で合否を決めることは、就職差別につながる可能性があるため避けましょう。たとえば、本籍・出生地や信仰する宗教などが該当します。これらの事項で合否を判断するつもりがなくても、応募用紙への記入を求めたり面接で質問したりして把握すれば、結果的に合否に影響を及ぼす場合があります。
4-3.ネガティブな情報も隠さず伝える
求人広告を出す上では、ネガティブな情報も隠さず伝えるようにしたほうが賢明です。求人広告で自社のよい面ばかりを伝えていると、入社後に「こんなことは聞いていなかった」という気持ちを抱かせることになりかねません。結果的に従業員エンゲージメントの低下を招き、離職の原因になる可能性もあるため、必ずポジティブ・ネガティブの両面を伝えるようにしましょう。
参照元:都道府県労働局「労働者を募集する企業の皆様へ」
参照元:厚生労働省「男女均等な採用選考ルール」
参照元:厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」
参照元:厚生労働省「公正な採用選考の基本」
参照元:厚生労働省「募集情報等提供事業の運営ルールが変わります」
5.状況に応じた効果的な求人方法を選択しよう
求人方法は、求人サイトや求人検索エンジン・求人チラシ・ハローワーク・SNSなど、多岐にわたり、それぞれ特徴が異なります。採用活動を成功させるためには、各求人方法のメリットなどをしっかり把握することが重要です。
なお、状況別に求人方法を選ぶ場合、早く人材を確保したい場合は特化型の求人サイトや人材紹介、一度に多くの人材を確保したい場合は求人サイトや求人検索エンジンがおすすめです。自社の状況やターゲット人材などを踏まえて、効果的な求人方法を選択しましょう。