企業で人手不足の状態が続き、どうすればいいか悩んでいる方もいるでしょう。「採用活動」「労働条件・福利厚生」「人材育成」などの見直しが求められます。また、業務の外注化やITツールの導入なども有効です。今回は人手不足の企業の特徴や解消方法などを解説します。
1.人手不足の社会的な原因
人手不足の問題に直面し、どうすればいいか悩んでいる企業は少なくありません。人手不足の社会的な原因として挙げられるのは、主に以下の2点です。
- 労働人口が減少している
- 転職市場が活発となり優秀な人材の確保が難しい
順番に解説していきます。
1-1.労働人口が減少している
日本の労働力人口は、減少に転じています。 労働力人口とは、15 歳以上人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた人口のことです。2022年の労働力人口の平均は6902万人と、前年に比べ5万人の減少となりました。
厚生労働省によると、今後の労働力人口についても、女性や高齢者の労働力率が一定の上昇をする前提で試算した場合でも、減少は避けられないとされています。そのため、今後も優秀な人材を取り合う状況が続くことが想定されるため、人手不足に対してどうすればいいか悩む企業は増えていく可能性があります。
1-2.転職市場が活発となり優秀な人材の確保が難しい
転職市場の活発化も、企業で人手不足が起きる原因の一つです。かつては、新卒で入社した会社に定年まで勤め上げるケースが主流でした。しかし現在は、転職を繰り返す労働者も多く、転職市場は活発化しているといえます。 年齢を重ねた労働者であっても、スキルを保有していれば他社から求められる傾向にあることも、転職市場が活発化する一因です。
転職市場の活発化は、企業サイドからすると、労働力の流出につながります。そのため、十分な労働環境や待遇を用意できない企業は、人手不足に陥りやすく、どうすればいいか悩んでしまう状況にあります。
参照元:厚生労働省「令和4年版厚生労働白書 資料編」
2.人手不足につながる企業の問題点
人手不足を招く企業の問題点として挙げられるのは、主に以下の3点です。
1つずつ確認していきましょう。
2-1.採用面の問題
人手不足につながる採用面の問題は、以下のような要因によって起きると考えられます。
採用のミスマッチとは、企業側と求職者側の組み合わせにおいて起きる認識のズレのことを指す言葉です。具体的には、業務内容や給与などの条件、カルチャーなどにおいて、企業の実態と求職者の要望とが合っていない状態のことをいいます。従業員が入社後に、大きなギャップを感じた場合、離職する可能性が高いです。
また、そもそも採用段階において、企業が求める人材を確保できないことも、人手不足の要因といえます。自社が欲しい人材は、他の企業もまた採用したい人材であることが多く、他社にひけを取らない魅力的な条件設定や、コストと手間をかけた採用活動が必須です。
しかし、そもそも慢性的な人手不足に対してどうすればいいか悩んでいる企業は、これらの対応が困難であることがほとんどです。
2-2.職場環境や待遇の問題
職場環境や待遇の問題によって人手不足が起きる可能性もあります。人手不足を引き起こす要因は、主に次の3つです。
- 経営層やマネジメント職の管理能力不足
- 人間関係への不満
- 賃金をはじめとした待遇に魅力がない
- 企業の評判が悪い
管理能力が不足した経営層やマネジメント職がいる職場は、従業員からみると魅力を感じられません。適切なマネジメントが行われないと、特定の従業員に業務負荷がかかったり、計画性に欠ける指示を出されることによって長時間労働が続いたりする可能性があります。
また、マネジメント能力に欠けた上司が行う評価は、精度が低いことも少なくありません。このような状態は、従業員のモチベーションの低下を招き、離職率が高まる要因となります。
離職の原因としては、職場の人間関係への不満も挙げられます。さらに、賃金をはじめとした待遇に魅力を感じられないことや企業の評判が悪いことも、企業に人が集まらず、人手不足が進む要因の一つです。
2-3.業務面の問題
業務面に問題を抱えた企業も、人手不足に対してどうすればいいか悩む傾向にあります。 具体的には、以下の2点が挙げられます。
無駄なルールや必要性の低い長年の慣習のほか、作業効率の悪さも、労働生産性が低い原因です 。労働生産性が低いと、注力する必要のある仕事にかけられる時間が少なくなるため、 企業が業績向上を実現することは困難といえます。 また、長時間労働の原因になり、従業員の過労を招きかねません。
また、人材育成が進まないことも、 人手不足を引き起こす、業務面における問題に該当します。企業として成果を出すには、すでに結果を出している従業員のノウハウを継承し、新しい人材を育成すると効果的です。
しかし、人材育成を進めるには、通常はマニュアル作成や研修が必須です。 すでに人手不足に悩まされている企業は、日常業務に加えてこれらの業務を行うことは、現実的ではありません。結果的に、将来を見据えた人材育成の取り組みを進めることが、困難であると考えられます。
3.人手不足でも雇用を進められない企業の理由
人手不足でも、新たな雇用を行わない企業もあります。代表的な理由は、主に次の2つです。
- 人件費を賄える見込みがない
- 経営層が現場の人手不足を認識できていない
1つずつ確認していきましょう。
3-1.人件費を賄える見込みがない
人件費を賄えるだけの売り上げの見込みがない企業は、人手不足でも採用を行わない場合があります。 人件費は、事業の経費の中で大きな割合を占めるものです。人件費は、給与だけでなく、社会保険料や福利厚生費、交通費なども含みます。
そのうえ、採用には広告費や人材紹介会社への報酬などを含めた採用費が必要であり、こちらもコストがかかります。 業績が思わしくなく人件費や採用費に回せるだけの売上の見込みがない企業は、人手不足で現場はどうすればいいか悩んでいても、新たな雇用を行わないことが珍しくありません。
3-2.経営層が現場の人手不足を認識できていない
人手不足が原因で現場が疲弊していても、新たな採用活動を行わない企業は、経営層が現場の実態を認識できていない可能性が高いです。
人手不足でも、結果的にノルマを達成していたり業務が回っていたりするケースがあります。しかし実際は、人手不足であっても長時間労働をはじめとした無理な働き方を前提に、なんとか成り立っていることがほとんどです。
そして、経営層が表面的にしか物事を評価しないような場合は、「売上ノルマを達成しているから問題ないだろう」と、人手不足の状況を把握していないことが往々にしてあります。そのため、人手不足に対してどうすればいいか悩むこともなく、状況を変えなければいけないという問題意識を持つこともなく、やり過ごしていくことになります。
それ以外にも、ITツールの導入によって人手不足の解消や業務の効率化を図れることから、新規採用よりITシステムやツールの導入を優先している企業も珍しくありません。
4.人手不足が深刻な業界
人手不足は、多くの企業で見られる共通の課題です。 しかし、その深刻度は、業界や業種によって異なります 。 特に、人手不足が深刻とされるのは、以下の4つの業界です。
それぞれの特徴を確認するとともに、その特徴に自社が当てはまっているかどうか、確認しましょう。
4-1.医療業界
医療業界は、人手不足が深刻な業界の一つです。高齢化が進むなか、医療従事者の需要は増す一方ですが、看護師をはじめとした医療従事者として、働く人が少ない状況です。
医療従事者が足りない原因としては、業務量の多さや責任の重さのほか、不規則な勤務形態などが挙げられます。病院勤務の場合、夜勤は避けられないことも少なくありません。
4-2.福祉業界
福祉業界は、人手不足の代表的な業界です。「入浴介助」や「オムツ交換」、「利用者とのコミュニケーション」など、担当者の拘束時間の長さや精神的な負荷の大きさが、人手不足の主な要因とされます。
また、他業界に比べて賃金が低い傾向にあることも、介護の担い手を確保できない要因の一つです。
4-3.運輸・郵便業界
運輸業界も、人手不足が進む業界です。インターネット通販の普及により運送量が増加し、運送を担う人材が追いつかない状況にあります。
さらに、規制緩和の影響で、低単価で仕事を請け負う新規の配送業者が増えたことも影響しています。価格競争に伴い、運輸業界全体の報酬が下がったことが、労働者のモチベーション低下を招いた要因の一つです。郵便業も、ECサイトの普及による物流量の増加を背景に、人手が不足しています。
4-4.建設業界
人手不足が深刻化している業界としては、建設業界も挙げられるでしょう。高齢化が進んでいることに加え、全体的に職人気質の労働者が多く、若手への指導が厳しい傾向にあります。そのため、若手の業界への定着がなかなか進まないことが課題です。
また「きつい」「汚い」「危険」の3Kのイメージも根強く、人手不足が深刻化しています。
5.人手不足が引き起こす企業への影響
人手不足が引き起こす企業への影響は、主に次の2点です。
それぞれの内容を、みていきましょう。
5-1.事業の低迷・縮小につながる
人手不足によって、事業の低迷や縮小が起きる可能性が高まります。 人手不足の状態が続くと、業務に携わる人数が減るため、 対応できる業務量も少なくなるのが一般的です。残された人員がどうすればいいか模索しながら、全力で業務に取り組んだとしても、1人当たりが処理できる業務量には限りがあるためです。そのため人手不足が続く企業は、事業が縮小する事態に陥りやすくなります。
また、人手不足が慢性化した職場で働く従業員は、長時間労働や、1人あたり業務量の増加によってモチベーションが低下することがほとんどです。従業員のモチベーションの低下は、業務の質の低下に直結する可能性が高いです。その結果、売上の低下や業績の悪化を招き、 最悪の場合は、企業の存続さえも危うくする可能性があります。
5-2.労働環境が悪化する
人手不足が続くと、労働環境が悪化しやすくなります。少ない人数で働くため、既存の従業員に負担がかかり、職場の雰囲気が悪くなるだけではなく、労働環境が劣悪ものになりやすいことに注意しましょう。人手不足によって引き起こされる可能性のあるマイナスの事象としては、以下のようなものが挙げられます。
- 残業時間の増加
- 休日の休日取得日数の減少
- 職場の雰囲気の悪化
- 労働災害のリスクの向上
労働環境が劣悪化すると、従業員の生産性が下がり、ミスが多発しやすくなるでしょう。その結果起きた業務上のトラブルに対処するため、ますます残業時間が増えることも懸念されます。
また、場合によっては、業務の負荷が既存の従業員の心身へ影響を及ぼすことで休職者や離職者が増え、さらに人手不足が深刻化する可能性もあります。この段階まできてしまうと、企業がどうすればいいか悩んだとしても、対処法が見つからないことが少なくありません。
6.人手不足が従業員に及ぼす影響
ここまで、人手不足が企業に与える影響を確認してきました。ここからは、人手不足が従業員に及ぼす影響について、解説します。人手不足がもたらす従業員への影響は、主に以下の4点です。
- 一人当たりの業務量が増える
- 従業員の士気が下がる
- 休日出勤が増えたり有給休暇がとれなくなったりする
- 過労により従業員のパフォーマンスが落ちる
自社に当てはまっていないか、チェックしてください。
6-1.一人当たりの業務量が増える
人手不足の状態になると、従業員一人当たりの業務量が増え、負荷も大きくなります。たとえば、これまで7人で行っていた業務を5人で行うようになった場合、単純計算ではこれまでの業務量を1として、それが1.4倍に増えるわけです。
さらに職場の状況によっては、人手が足りないからという理由で、担当外の業務を兼任しなければならないケースもあります。担当業務の量が増えるだけでも負荷が大きいのに、さらに担当外の仕事までカバーすることになった場合、処理するのに相当な時間を要してしまうことがほとんどです。その結果、これまでよりも残業時間が増える可能性が高まります。
このように人手不足が原因で業務量が増え、長時間労働を余儀なくされると、疲労が蓄積され、平常時よりも生産性が下がることが想定されます。結果的にミスや商品・サービスの質の低下を引き起こしかねません。
また、人手不足による従業員の負荷の拡大は、ミスの誘発やサービスの質の低下にとどまらず、心身を疲弊させ、休職や退職に追い込む可能性があることに注意が必要です。
6-2.従業員の士気が下がる
人手不足が続くと、従業員の士気が下がりやすくなります。人手不足の状態なのに欠員補充がなされず、既存の従業員のみでノルマを達成したり、これまでと同じ水準のサービスを提供したりするためには、心身ともに負担が大きくなります。
業務をこなすのに精一杯になるため、仕事に対する楽しさややりがいを感じることは難しくなることがほとんどです。このような状況では、仕事に前向きに取り組めなくなり、従業員のモチベーションが下がってくると、組織全体の士気も下がります。
職場の雰囲気も悪くなるため、離職する従業員がさらに増え人手不足が続くという、負のスパイラルに陥りかねません。
6-3.休日出勤が増えたり有給休暇がとれなくなったりする
職場の人手不足が従業員に与える影響として、休日出勤が増えたり有給休暇が取れなくなったりすることが挙げられます。繰り返しお伝えしてきているように、人手不足が続くと、辞めた人員分の業務も担わなければならなくなり、これまでよりも労働時間が長くなる可能性が高いです。
しかし、労働時間内に終わらせるにはどうすればいいか、従業員が必死に模索したとしても、増えた業務をカバーしつつ規定の労働時間内に終わらせるのは至難の業です。その結果、残業や休日出勤が恒常的になり、さらに有給休暇の申請がしづらい、あるいは申請しても通らないという状況に陥ります。
6-4.過労により従業員のパフォーマンスが落ちる
オーバーワークが原因で従業員のパフォーマンスが落ちることも、人手不足によって引き起こされる事象の一つです。人員が足りないため一人当たりの業務量が増え、最終的には個人のキキャパシティを超えてしまう状況に陥ります。
人手不足が原因であるオーバーワークによって過労が蓄積すると、仕事中の集中力やパフォーマンスが著しく低下します。 それだけでなく、精神的に追い詰められていることがほとんどであるため、人間関係にも悪影響を及ぼす可能性が高いです。
そして疲労が蓄積し、不眠症などのストレスから健康障害を引き起こすケースも珍しくありません。このような状況に陥る前に、どうすればいいか、 企業は対処法を真剣に考える必要があるといえます。
7.人手不足解消のために見直したいこと
人手不足解消のために見直したいことは、以下の6点です。
- 採用活動について見直す
- 労働条件や福利厚生を見直す
- 人材育成について見直す
- 業務の進め方を見直す
- 業務の外注を検討する
- ITツールの導入を検討する
1つずつ解説していきます。職場の人手不足に対してどうすればいいか悩んでいる場合は、参考にできるものがないかチェックしてみてください。
7-1.採用活動について見直す
人手不足を解消するには、採用活動の見直しが効果的です。特に、3年以内の離職率が高い、あるいは従業員の生産性が低いといった場合には、採用のミスマッチが原因である可能性が高いです。
採用のミスマッチは、求人募集の段階での情報開示が不十分であることにより、起きている場合があります。採用要件や労働条件、職場環境などの情報が、応募者に正しく伝わっておらず、入社後に「こんなはずではなかった」と離職するケースが該当します。採用活動で、以下のような点が当てはまる場合は注意しましょう。
- 企業の良い面ばかりを紹介している
- 業務内容や募集要件などが曖昧である
- 採用する人材の要件について、現場とのすり合わせが起きてできていない
そのほか、面接での相互理解の不足も、採用のミスマッチが起きる原因の一つです。企業も応募者も、 相手の良い面ばかりに目がいきがちですが、そのような表面上の相互理解ではなく、できる限り本音でコミュニケーションを取ることが求められます。企業側は自社の企業理念や文化、社風などをしっかりと説明し、それらの内容に共感できる人材を採用することが望ましいでしょう。
また、求める人材像を明確にすることも、 採用ミスマッチを抑制し、離職率を低下させるために有効な手立てです。求める人物像とは、企業が永続的に発展していくために、どのような能力や考え方、行動特性などを持つ人物が必要かを具体化したものです。
求める人材像が明確になっていないと、自社が求める能力を保有していない、あるいは社風や文化に合わない人材を採用してしまう可能性があり、早期離職を招く要因になりかねません。
7-2.労働条件や福利厚生を見直す
労働条件を見直すことも、人手不足に陥らないために有効な方法の一つです。終身雇用の概念が希薄になり、 労働者は自身の能力やスキルを適切に評価し、給与をはじめとした処遇に反映してくれる企業に移っていく傾向があります。 労働条件の見直しを行うために、まずは以下のような内容を確認しましょう。
- 従業員のモチベーション向上につながる、人事評価制度のしくみになっているか
- 公平で透明性のある人事評価制度は、公平で透明性のある形で運用できているか
- 人事評価制度は、給与などの待遇面にしっかりと反映されているか
- 取得しやすい有給休暇の規定となっているか
- 時短勤務制度やフレックスタイム制度など、柔軟な働き方につながる勤務制度があるか
また、福利厚生の見直しも、従業員の定着度を高める効果が期待されます。採用力の強化にもつながるため、企業の長期的な成長にプラスに働くと考えられます。慶弔休暇をはじめとした特別休暇の設定や交通費の支給、健康診断の補助など、従業員のニーズに合わせて検討することが大切です。
7-3.人材育成について見直す
人手不足を解消する、あるいは防ぐためにどうすればいいか、有効な手段を模索している場合は、人材育成の方法を見直すこともおすすめです。社内の人材のスキルや能力を引き出すことで、企業の生産性向上につながるだけでなく、従業員の働く意欲や企業へのエンゲージメントを高められます。
エンゲージメントとは、従業員が企業に対して抱く、愛着心や思い入れなどを指す言葉です。会社に対するエンゲージメントが高いと、従業員は優れたパフォーマンスを発揮しやすくなります。
有効な人材育成方法としては、職場の上司や先輩社員がトレーナーとして業務の指導を行うOJTや、日常的な業務から離れて行うOFFJTなどが代表的です。また、従業員のキャリアアップを支援する制度の充実や、学び直しといわれるリカレント教育なども選択肢として挙げられます。
7-4.業務の進め方を見直す
人手不足に悩み、どうすればいいか悩んでいる場合は、業務の進め方を見直しましょう。現状の業務フローを洗い出し、可視化することで、省略しても問題のない作業や効率化が急がれる業務などが明らかになる場合があります。
また、特定の人物に業務が集中していると、個人のキャパシティを超えてしまい、結果的にその人材の離職を引き起こす可能性があります。そのため、人によって業務量に明らかな違いが生まれる状況を避け、適切に業務を分担することも重要です。
7-5.業務の外注を検討する
人手不足感を解消するために、業務の外注を検討することも、選択肢の一つです。人手不足に陥った場合、新しく雇用するだけが対処法ではありません。業務の外注化は、必要な労働力を補う手段として注目を集めています。業務を外注することで、必要性の高い業務に、限られたリソースを注力することが可能になります。
業務を外注する対象は、主に以下の3つです。
- BPO:「ビジネス・プロセス・アウトソーシング」の略語で、人事・総務・経理などのバックオフィス業務を外部業者へ委託すること
- KPO:「ナレッジ・プロセス・アウトソーシング」の略語で、医療品の開発やビジネスにおける市場調査など、高度な専門性を要する業務を外部業者へ委託すること
- ITO:「インフォメーション・プロセス・アウトソーシング」の略語で、コンピューターや各種アプリケーションの開発など、情報システムに関する業務を外部業者へ委託すること
かつては、一部の事務処理などを外部に委託するケースが一般的でした。しかし、昨今は情報システム開発や営業など、専門技術や独自のノウハウを有する業務を委託するケースも増えています。
7-6.ITツールの導入を検討する
ITツールやシステムの導入も、人手不足の解消に有効な手立てといえます。IT化を進めることで 、新規採用をすることなく、業務の効率化や従業員の作業負担の軽減が実現します。具体的には、「RPA」や「AI」などの導入が代表的です。RPAとは、「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略語で、PC上で行う業務をロボットで自動化するテクノロジーのことです。またAIは、人工知能ともいわれ、人間の知能をコンピュータによって再現する技術を指します。
たとえば、RPAを導入することで、これまで手作業で行ってきた請求書発行の作業を、自動化で行うことが可能です。 請求書発行の業務を担当する人材を採用する必要がなく、業務の自動化によって短縮できた時間を、企画業務など、注力する必要のある業務に充てることが可能になります。
人手不足を解消し、業務効率を向上させるために、具体的にどうすればいいか分からない場合は、専門のコンサルティング会社に相談することもおすすめです。
8.人手不足解消に向けて企業として取り組もう
人手不足の状態が続くと、事業の低迷や縮小、労働環境の悪化につながります 。 しかし、人手不足に悩みどうしたらいいか悩んでいる場合でも、人件費を賄える見込みがない場合、新たな採用活動を行わないケースも散見されます。また、経営層が現場の人手不足を認識していないケースも少なくありません。
人手不足の防止や解消には、「採用活動」「労働条件・福利厚生」「人材育成」などの見直しが求められます。また、業務の進め方の改善や、業務の外注化やITツールを導入なども有効です。この機会に、人手不足の解消に向けた取り組みを行いましょう。