多種多様な採用手法が存在するなかで、どれを選べばよいか悩んでいる採用担当者は多いでしょう。採用トレンドや採用手法ごとのメリット・デメリットを理解し、自社の採用課題を解決できる方法を選ぶことが大切です。今回は、採用手法14選をはじめ、新卒・中途採用における採用手法のトレンド、選び方のポイントなどを解説します。
1.採用手法の最新トレンドとは
さまざまな採用手法がある現在、求める人材を確保できる効果的な採用手法を選択する必要があります。そのためには、採用手法の種類を把握するだけでなく、採用手法のトレンドや競合の状況について理解することが大切です。
採用手法のトレンドは、新卒採用と中途採用で異なります。ここでは、それぞれのトレンドについて解説します。
1-1.新卒採用のトレンド
新卒採用で押さえておきたいトレンドは、以下のとおりです。
- マス型採用と個別採用を取り入れる企業が増えている
- ダイレクトリクルーティングが進んでいる
- SNSを活用して就活の情報を収集する学生が増えている
マス型採用とは、求人サイトに求人情報を掲載して、多くの求職者にアプローチする採用手法です。近年の新卒採用では、マス型採用に加えて、求職者それぞれに合わせた採用手法を実践する個別採用を取り入れる企業が増えています。個別採用の例は、企業の魅力を伝える採用ピッチ資料の活用や採用オウンドメディアでの情報発信、ダイレクトリクルーティングやカジュアル面談などです。
なかでも、ダイレクトリクルーティングの導入が進んでいます。ダイレクトリクルーティングとは、求人サイトや人材紹介会社などを介さず、企業が直接求職者にアプローチする採用手法のことです。新型コロナウイルス感染症の影響で、対面での採用イベントが次々と中止となりました。その結果、求職者からの応募を待つ受け身的な採用ではなく、企業側が積極的にアプローチするダイレクトリクルーティングが浸透しました。
求職者の動向も変化しています。知名度が高く興味のある企業については、求人サイトや企業のサイト経由で自ら応募し、そうでない企業については、ダイレクトスカウトサービスを利用して企業からのスカウトを待つ、というスタイルが定着しつつあるのが現状です。
このように、マス型採用と個別採用を取り入れる企業が増えており、特にダイレクトリクルーティングが注目されている点は押さえておきましょう。
さらに、SNSを使って情報収集を行う学生が増えている点もポイントです。多くの学生に自社をアピールするために、SNSを活用して採用活動を進める企業が増えていくことが予想されます。
1-2.中途採用のトレンド
中途採用で押さえておきたいトレンドは、以下のとおりです。
- 個別採用が重視されている
- リファラル採用を実施する企業が増えている
- アルムナイ採用の実施も進んでいる
中途採用でも、新卒採用と同様に個別採用を導入する企業が増えています。その背景には、即戦力となる人材を求める傾向が強まっていることや、人材定着率の向上が重要視されていることが挙げられます。
具体的な採用手法として、リファラル採用やアルムナイ採用を実施する企業が増えていることもポイントです。リファラル採用とは、社員の人脈を活用して、自社に適した人材を紹介してもらう方法です。社員の紹介による採用手法であるため、即戦力となる人材と出会いやすいというメリットがあります。採用コストの削減につながることも魅力です。
アルムナイ採用とは、過去に企業に在籍しており、すでに退職した人材を再び雇用する採用手法です。人となりがわかっており、業務についても理解していることから、即戦力となることが期待できます。
このように、自社にマッチした優秀な人材を確保するため、リファラル採用やアルムナイ採用といった個別採用が注目されている点を押さえましょう。
2.採用手法のトレンドが変わってきている理由
採用手法のトレンドは、移り変わってきています。変化に敏感になり、トレンドを踏まえて採用手法を選ばなければなりません。
採用手法のトレンドが変化している理由は、以下のとおりです。
- 採用活動のオンライン化が進んでいる
- アフターコロナで売り手市場に変化している
- 少子高齢化に伴い労働人口が減少している
ここでは、それぞれの理由について解説します。
2-1.採用活動のオンライン化が進んでいる
新型コロナウイルス感染症の影響で、オンラインでの会社説明会やWeb面談など、オンラインで採用活動を行う企業が増えました。
採用活動のオンライン化が進んだことにより、多くの企業が「遠方の学生のエントリーが増加した」「総エントリー数が増加した」「採用にかかる費用を削減できた」などのメリットを実感しているのが現状です。多くの学生に出会え、採用活動を効率化できるオンライン化は、今後も浸透していくと考えられます。
2-2.アフターコロナで売り手市場に変化している
新型コロナウイルス感染症が落ち着き、採用市場において売り手市場に変化していることも大きなポイントです。コロナ禍で一時は経済活動が縮小しておりましたが、経済が好転し始めており、全国で有効求人倍率が上昇しています。
有効求人倍率とは、厚生労働省が毎月公表している求人数の倍率です。求人の数÷求職者の数で算出されます。有効求人倍率が高いということは、求人の数に対して求職者の数が少ないということです。厚生労働省によると、2023年1月の有効求人倍率は1.35倍でした。2021年1月は1.08倍、2022年1月は1.2倍であったことから、有効求人倍率が上昇していることがわかります。
つまり、採用市場は求職者に有利な売り手市場に変化しているのです。そのため、企業が積極的にアプローチしなければ、必要な人材を確保することが難しくなっています。特に、DXを推進する企業が増えているため、IT人材の不足が深刻化しています。
このように、アフターコロナで売り手市場に変化している現在、人材を確保するためには採用手法の見直しや工夫が必要です。
参照元:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年1月分)について」
参照元:独立行政法人労働政策研究・研修機構「国内統計:有効求人倍率」
2-3.少子高齢化に伴い労働人口が減少している
少子高齢化に伴う労働人口の減少も、採用手法のトレンドに大きな影響を与えています。日本における少子高齢化問題は深刻化しており、厚生労働省によると、2065年には総人口が9,000万人を下回り、高齢化率は38%台になると予想されているほどです。2020年は59.5%であった生産年齢人口(15〜64歳)の割合は、2065年には51.4%と、人口の約半分まで減少することが見込まれます。
このような状況では、自社にマッチした優秀な人材が減少してしまう可能性が高いです。人材確保をめぐって、企業間での争いが熾烈化することが考えられます。そのため、効果的な採用手法を見極めたり、多様な採用手法を組み合わせたりする重要性が高まっています。
参照元:厚生労働省「我が国の人口について」
3.人事担当者が押さえておきたい採用手法14選
採用手法が多様化している現在、具体的にどのような採用手法が存在するのでしょうか。ここでは、人事担当者が押さえておきたい14種類の採用手法をご紹介します。
- 求人サイト
- 求人検索エンジン
- 紙媒体
- 就職・転職イベント
- 人材紹介
- 人材派遣
- オウンドメディア
- ダイレクトリクルーティング
- ヘッドハンティング
- ミートアップ
- インターンシップ
- リファラル採用
- アルムナイ採用
- SNS採用
それぞれの概要とメリット・デメリットのほか、効果的に実施するためのポイントについても解説しているため、採用手法の検討時に活用してください。
3-1.求人サイト
求人サイトは、採用募集を実施している企業が求人情報を掲載できるサイトのことです。幅広い企業に利用されている代表的な採用手法であり、求職者の多くが求人サイトを利用しています。
求人サイトには、以下の2つがあります。
総合型求人サイトとは、業種・職種問わず幅広い求人情報を掲載している求人サイトのことです。多くの求職者に見てもらいたい場合は、総合型求人サイトを利用しましょう。
一方、特化型求人サイトには、特定の業種や職種、地域などの求人情報が掲載されています。母集団が少なくなる可能性が高いですが、ターゲットに求人情報を見てもらいやすく、興味を持ってもらいやすいのが魅力です。
求人サイトのなかには、スカウトメール機能を搭載しており、応募を受け身的に待つだけでなく、採用したい人材に企業からアプローチできるものもあります。
求人サイトの料金体系は、以下の2つに分類できます。
掲載課金型とは、求人情報の掲載に対して費用が発生する料金体系です。成果が出ても出なくても、情報を掲載する期間や掲載する量などに応じて費用が発生します。
成果報酬型は、その名のとおり成果に対して費用が発生する料金体系です。掲載するだけでは費用はかからず、応募や採用につながった場合に報酬を支払います。
多くの求人サイトが、掲載課金型を採用しているのが特徴です。
求人サイトのメリット・デメリットをまとめると、以下のようになります。
<メリット>
- 利用者が多い
- 就職・転職意欲が高い求職者に見てもらいやすい
- 機能によっては、企業から直接アプローチも可能
<デメリット>
- ほかの求人情報に埋もれてしまう可能性がある
- 採用につながらなくても掲載料が発生する場合が多い
- 掲載できる内容や掲載期間などに制限がある
求人サイトは、ほかの採用手法に比べると、自社で働く魅力を伝えにくいのが難点です。そのため、求人サイトを活用する場合は、面接のような場でアピールするようにしましょう。
3-2.求人検索エンジン
求人検索エンジンとは、求人情報に特化した検索エンジンのことです。職種や勤務地などのキーワードを入力すると、条件に合った求人情報が表示されます。
求人検索エンジンは、インターネット上の求人情報をクローラーというロボット型検索エンジンが収集し、データベースを作成して表示する仕組みです。サイトに直接求人情報を入力し、投稿もできます。必要情報を入力するだけで、簡単に求人情報を掲載できるのが特徴です。
求人検索エンジンのメリット・デメリットは以下のとおりです。
<メリット>
- 多くの求職者に利用されている
- 掲載に費用がかからない場合が多い
- 条件を細かく設定して検索できるため、ミスマッチを防げる
- 地方での採用に強い
- 配信ターゲットや時期を柔軟に調整できる
<デメリット>
- ほかの求人情報に埋もれてしまう可能性がある
- 直接投稿しない場合は、クローリングされる条件を満たさなければならない
- 求人情報を定期的に更新する必要がある
求人検索エンジンを活用する際は、求人情報を上位表示させ、多くの求職者に見てもらえるようにしましょう。そのために、SEO(検索エンジン最適化)を徹底する必要があります。また、コストはかかりますが、有料プランを契約して上位に表示されるようにすることも効果的です。
3-3.紙媒体
新聞の折込チラシや求人情報誌などの紙媒体に求人広告を掲載することも、代表的な採用手法です。以前から多くの企業に利用されており、馴染みのある方も多い方法です。
紙媒体は、特定の地域をターゲットに配布できるため、地方で採用活動を進めたい場合に適しています。また、インターネットやSNSをあまり利用しないシニア層、チラシを目にする機会が多い主婦・主夫を採用したい場合にもおすすめです。
紙媒体に求人広告を掲載するメリット・デメリットは、以下のとおりです。
<メリット>
- 地方での採用活動に強い
- シニア層や主婦・主夫層にアプローチしやすい
<デメリット>
- 数万円程度の採用コストが発生する
- 若者を採用したい場合には適していない
- 効果検証が難しい
- ターゲットに応じて掲載媒体を使い分ける必要がある
成果を出すためには、採用したいターゲットがよく目にする媒体は何かを分析し、ターゲットに応じて掲載媒体を選定しましょう。
3-4.就職・転職イベント
学生や転職希望者を対象に実施される就職・転職イベントは、求職者に直接アプローチできる絶好の機会です。複数企業が集まって合同で実施するケースが一般的で、多くの参加者が集まります。
就職や転職を前向きに検討している熱意の高い求職者に出会いやすく、もともと自社に興味がなかった求職者にもアプローチできます。
イベントによっては、説明会だけでなく、その場で面談や1次面接を実施できることが魅力です。
就職・転職イベントに参加するメリット・デメリットは、以下のとおりです。
<メリット>
- 熱意の高い求職者と多く接点を持てる
- 自社に興味を持っていなかった層にもアプローチできる
<デメリット>
- 出展費用が高い
- 出展準備が必要で、採用担当者に負担がかかる
- 地方で開催される可能性が低い
就職・転職イベントには、特定の業種や職種に特化したものや、多くの企業が集う大規模なものなど、さまざまな種類があります。十分な費用対効果を得られるよう、採用課題やターゲットに応じて、適切なイベントを選びましょう。
3-5.人材紹介
人材紹介会社を活用することで、ニーズに合った人材をスムーズに紹介してもらえます。希望する採用要件を人材紹介会社に伝えると、登録されている求職者のなかから、採用要件に合致する人材を紹介してくれる仕組みです。
料金体系は成功報酬型が多く、採用に至った場合、採用した人材の推定年収に応じて費用が発生します。
人材紹介を活用するメリット・デメリットは、以下のとおりです。
<メリット>
- 自社が求める人材を紹介してもらえる可能性が高い
- 採用に至らなかった場合、費用が発生しないことが多い
- 人材紹介会社の方でスクリーニングしたうえで人材を紹介してもらえるため、採用担当者の負担が少ない
<デメリット>
- 採用コストが高い
- 社内に採用ノウハウが蓄積されないリスクがある
人材紹介を利用する場合は、求める人物像を明確化し、人材紹介会社に共有することが大切です。自社ならではの魅力も伝えられると、エージェントが転職希望者に自社を薦めてくれる可能性が高まります。親身になって採用に協力してもらえるよう、エージェントとは良好な関係を構築しましょう。
3-6.人材派遣
人材派遣とは、人材派遣会社が雇用する人材を、必要に応じて自社に派遣してくれるサービスのことです。雇用契約期間が決まっているため、人材をスポット的に確保したい場合に適しています。たとえば、急な退職で穴埋めが必要になった、繁忙期に向けて一時的に増員したい、などのニーズに柔軟な対応が可能です。
人材を派遣してもらっている期間、派遣料金を支払います。専門性が高い人材の派遣を依頼すると、その分料金が高くなる仕組みです。
人材派遣を活用するメリット・デメリットは、以下のとおりです。
<メリット>
- 求めるスキルを持った人材を一定期間確保できる
- 即戦力となる可能性が高い
- 採用・育成にかかるコストを削減できる
<デメリット>
- 派遣される人材を自社で選べない
- 就業期間は原則3年と、限界がある
- 派遣禁止業務については依頼できない
- 契約以外の業務は依頼できない
- 社員の育成にはつながらない
人材派遣ばかりに頼っていると、自社の社員の育成にはつながりません。組織力を高めるためには、人材派遣を上手に活用しながら、ほかの採用手法も組み合わせて取り入れることが大切です。
3-7.オウンドメディア
オウンドメディアは、自社の採用サイトのことで、企業のホームページとは別に作られるものです。募集要項や選考スケジュールなど、採用情報の発信に特化しています。
求人に応募する際、企業のホームページや採用サイトを事前に確認する求職者は多いです。ただし、情報が更新されていなければ「本当に採用を実施しているのか」「採用に力を入れていないのでは」と心配され、敬遠されてしまうリスクがあります。
求職者に信頼してもらい、自社の魅力を伝えるために、採用オウンドメディアの整備が重要です。
オウンドメディアを活用するメリット・デメリットは、以下のとおりです。
<メリット>
- 自社にマッチした人材を採用しやすい
- 自社で働く魅力を自由に伝えやすく、他社と差別化できる
<デメリット>
- 求職者への直接的なアプローチには適していない
- 即効性が低く、中長期的な運用が必要
- SEOを徹底する必要がある
オウンドメディアで多くの求職者にアピールするためには、定期的に情報を更新し、求職者にとって魅力的なコンテンツを充実させることがポイントです。求人サイトに載っているような内容を掲載するだけでは、求職者には刺さりません。社風や就労環境が伝わる動画を載せたり、求職者の心を動かすインタビュー記事を掲載したりなど、オウンドメディアだからこそ発信できるコンテンツの作成にこだわりましょう。
そして、3~4日に1記事は更新できるよう、運用担当者を確保することが重要です。
3-8.ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、企業から求職者に対して積極的にアプローチしていく採用手法のことです。ダイレクトリクルーティングが指す範囲は広く、リファラル採用やヘッドハンティング、ミートアップ、SNS採用なども、厳密にはダイレクトリクルーティングに該当します。
ここでは、ダイレクトリクルーティングサービスに限定して、メリットやデメリット、活用のポイントなどを解説します。
ダイレクトリクルーティングサービスとは、求職者が登録した経歴やスキルなどの情報をもとに、企業がマッチする人材を探し、スカウトメールを送信できる採用プラットフォームです。
ダイレクトリクルーティングサービスを活用するメリット・デメリットは以下のとおりです。
<メリット>
- 求職者に直接アプローチできる
- 自社にマッチする優秀な人材に絞ってアプローチでき、スクリーニングの手間が省ける
<デメリット>
- スカウトメールを送ったからといって、求職者が興味を持ってくれるとは限らない
ダイレクトリクルーティングサービスを利用する際は、スカウトした人材に興味を持ってもらえるよう、スカウトメールの書き方を工夫しましょう。テンプレートのまま送信すると、「手当たり次第に送っている」という印象を抱かれるリスクがあります。相手のどこに興味を持ったかを具体的に記載し、送信相手に合わせてメールの文面を工夫することがポイントです。
3-9.ヘッドハンティング
ヘッドハンティングは、ダイレクトリクルーティングの一つで、外部で活躍している優秀な人材をスカウトし、自社に迎え入れる採用手法です。引き抜きと似ていますが、ヘッドハンティングの方が、経営幹部層をスカウトする意味合いが強いです。
ヘッドハンティングは、職業紹介事業者やスカウターなどのヘッドハンターが行います。ヘッドハンティング会社に依頼して行うのが一般的で、あらゆるネットワークを活用し、自社が求めるスキルや実務経験を有した優秀な人材を探し出してくれることが魅力です。
料金体系は、成功報酬型が一般的です。業者によっては、採用に成功した段階以外にも、手数料が発生することがあります。
ヘッドハンティングのメリット・デメリットは以下のとおりです。
<メリット>
- 企業が求める優秀な人材を採用できる
- 採用が難しい経営幹部層の獲得に効果的
<デメリット>
多くのヘッドハンティング会社が存在するため、実績や料金などを比較検討し、信頼できる会社に依頼できるようにしましょう。
3-10.ミートアップ
ミートアップとは、求職者をオフィスに招待し、社員との交流を通じて企業の魅力や雰囲気を知ってもらうイベントのことです。もともとは、共通の目的・テーマを持った方々が集まる交流会形式のイベントを意味します。
10~20人程度の少人数で開催されるのが一般的で、リラックスした雰囲気で行われる、フランクなイベントです。
ミートアップのメリット・デメリットは、以下のとおりです。
<メリット>
- 求職者に直接魅力をアピールできる
- 企業や社員について理解してもらえるため、ミスマッチを防げる
- コストがあまりかからない
- ブランディングにもつながる
<デメリット>
- 集客を工夫する必要がある
- 必ず採用につながるとは限らない
- 人手が必要
ミートアップを開催するときは、さまざまな媒体で集客しましょう。また、アットホームな雰囲気で交流できるよう、小規模なミートアップを複数回実施することも成功の鍵です。
3-11.インターンシップ
インターンシップは、新卒採用の一環として行われるもので、学生に実際の業務を体験してもらう制度です。インターンシップに参加してから本選考に進む学生も多く、採用手法として浸透しつつあります。
インターンシップには、1日で終わるものから2〜3日ほどかかるもの、1ヵ月以上の長期にわたって実施するものまで、多くの種類があります。内容も、企業説明やオフィス見学、ワークショップなど、企業によってさまざまです。
なかには、インターンシップに参加した学生やインターンシップで成果を出した優秀な学生を対象に、選考の一部を免除したり、早期選考を設けたりしている企業も存在します。
インターンシップのメリット・デメリットは、以下のとおりです。
<メリット>
- 優秀な学生と早い段階から接点を持つことができる
- 業界や企業について理解してもらえ、ミスマッチを防ぎやすい
<デメリット>
- 学生の満足度が低いと、選考に進んでもらえないリスクがある
- 準備の手間やコストがかかる
インターンシップを設計する際は、参加する学生のニーズを考え、有意義なプログラムになるよう工夫しましょう。
3-12.リファラル採用
リファラル採用とは、自社の社員に人材を紹介してもらう採用手法です。人柄や能力などのポイントから、自社で活躍できると社員が判断した人材を紹介してもらうことで、ある程度信頼できる人材と出会いやすいのが特徴です。
紹介される側も、会社の雰囲気や仕事内容などについて、社員から直接話を聞いたうえで採用に参加するため、ミスマッチが起こりにくいというメリットがあります。
リファラル採用のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
<メリット>
- 求職者の人柄や能力について、事前に把握できる
- 自社にマッチし、活躍できる人材を確保しやすい
- インセンティブを用意しない場合は、採用コストを大幅に抑えることができる
- ミスマッチが起こりにくく、離職率を低減できる
<デメリット>
- 社員に協力してもらう必要がある
- 母集団形成が難しい
- 採用に至らなかった場合、社員と紹介された側の人間関係が悪化するリスクがある
リファラル採用に成功するためには、社員に協力してもらえるよう、リファラル採用の目的や求める人物像といった情報を積極的に発信しましょう。紹介のモチベーションを高めるために、インセンティブを用意するのも効果的です。
3-13.アルムナイ採用
アルムナイ採用とは、過去に自社に所属しており、退職した人材を再度雇用する方法です。アルムナイは「卒業生」という意味の単語で、アルムナイ採用は「ジョブリターン制度」や「カムバック制度」とも呼ばれます。
終身雇用制度が根強い日本では、アルムナイ採用に馴染みがない企業も多いです。しかし、外資系企業や海外では積極的に実践されています。
アルムナイ採用の大きな特徴は、自社での働き方や業務について精通している人材を確保できる点です。アルムナイは、即戦力として期待できます。
アルムナイ採用のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
<メリット>
- 性格や能力を理解している人材を雇用できる
- 即戦力として期待できる
- 教育コストを抑えられる
<デメリット>
- 円満に退職した人材でないと再雇用が難しい
- 社内の理解を得るのが大変な場合がある
- 人間関係に配慮が必要
- 給与や待遇が不公平にならないよう注意が必要
アルムナイ採用を成功させるためには、制度について社内に理解してもらうことが大きなポイントです。既存の社員がアルムナイを友好的に受け入れられるよう、制度の目的や概要についてきちんと共有しましょう。また、アルムナイと既存の社員がともに不満を抱かないよう、再雇用時の給与や待遇など、雇用条件を整備する必要があります。
3-14.SNS採用
SNS採用とは、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSを活用して、採用情報を発信する方法です。ソーシャルリクルーティングとも呼ばれます。
SNS採用では、さまざまな求職者とSNS上で直接コミュニケーションをとれることが特徴です。また、現在就職や転職を考えていない層に対してもアプローチでき、自社のブランディングや認知度向上につながります。無料で始められるため、気軽に取り組みやすい採用手法です。
SNS採用のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
<メリット>
- コストをかけずに始められる
- 求職者とSNS上でつながれる
- 就職・転職潜在層にアプローチできる
<デメリット>
- SNSを利用しない層にはアプローチできない
- 即効性は低い
- 継続的な更新・運用が必要
- SNSを更新するための人材を確保しなければならない
SNS採用を成功させるためには、ターゲットに合ったSNSを選定する必要があります。また、SNSを活用する目的を明らかにし、コンテンツを企画することが重要です。さらに、定期的に更新できるようリソースを確保し、中長期的に運用しましょう。
4.企業が採用手法を選ぶ際のポイント
企業の採用課題や方針などによって、適切な採用手法は異なります。採用手法には、前述のようにトレンドがありますが、トレンドの手法が必ずしも自社にマッチしているとは限りません。
多種多様な採用手法から、自社に合ったものを選定するためには、以下のポイントを押さえましょう。
- 自社の採用課題の把握
- 採用したい人材の人物像の明確化
- 採用コストの確認
- 緊急性の確認
- 複数の採用手法を活用
- 採用サービスを活用
ここでは、企業が採用手法を選ぶ際のポイントについて解説します。
4-1.自社の採用課題の把握
まずは、自社の採用課題を把握しましょう。企業が抱える採用課題は、以下のようにさまざまです。
- 採用コストを削減したい
- 自社の認知度を向上させ、応募者数を増やしたい
- 企業風土にマッチし、即戦力となる優秀な人材を獲得したい
- 工数を減らして採用担当者にかかる負担を軽減したい
採用課題によって、適切な採用手法は異なります。たとえば、とにかく応募者数を増やしたい場合は、マス型採用を強化することが必要です。一方、優秀な人材を獲得したい場合は、質の高い母集団を形成できるよう、ターゲットを絞って採用を進める必要があります。
採用課題を明確化するためには、母集団形成から選考、入社までの一連の流れのなかで、どこがボトルネックとなっているかを分析することがポイントです。
自社の採用課題をしっかり把握したうえで採用戦略を立て、課題を解決できる採用手法を選択しましょう。
4-2.採用したい人材の人物像の明確化
採用したい人材の人物像を明確にすることも、重要なポイントです。ターゲットに刺さる効果的な採用手法を選択しましょう。
ターゲットの人物像を整理するためには、求める条件を洗い出し、採用要件について検討しましょう。年齢や資格、実務経験といったハード面と、性格や価値観のようなソフト面の双方について、どのような条件を満たしているのが望ましいかを書き出します。
次に、「これだけは必ず持っていてほしい」という条件は必須条件、「持っていたら嬉しい」という条件は歓迎条件、「この条件を満たす人材は合わない」という条件はNG条件、というように採用要件を分類し、優先順位をつけてください。
必須条件が多くなってしまう場合が多いですが、条件を絞りすぎると求職者を集めにくくなってしまいます。どうしても譲れない条件のみを必須条件とし、入社後にフォローできる部分は歓迎条件にすることがポイントです。
採用要件を明確化したら、ペルソナを設定しましょう。ペルソナとは、ターゲット設定の一部であり、ターゲットをさらに具体的な人物モデルに落とし込んだものです。年齢や実務経験など、細かい部分までモデルを設定することで、ターゲットに訴求できる効果的な採用手法を検討しやすくなります。
4-3.採用コストの確認
採用手法を選定する際は、コストも大事な判断基準となります。たとえば、求人サイトへの掲載には一定の掲載料がかかる一方、オウンドメディアやSNSでの発信には掲載料がかかりません。採用コストが高くなりすぎると、費用対効果が見込めなくなってしまいます。
一方で、コストがかからない採用手法が良いとは限りません。成果が出なければ意味がないため、コストと期待できる成果について分析することが必要です。
特に、外部のサービスを活用する場合は、同じようなサービスでも料金体系や金額は異なります。複数のサービスを比較検討しましょう。
4-4.緊急性の確認
採用をどのくらい急いでいるかという緊急性も、選ぶべき採用手法を左右するポイントです。
たとえば、社員の退職によって空いてしまったポジションを至急埋めなければならない場合は、人材紹介サービスの利用が適しています。採用までまだ時間があり、自社の認知度を着実に高めていきたいなら、オウンドメディアやSNSを活用して、情報を継続的に発信する方法が考えられます。
採用の緊急性を確認し、時間を無駄にすることなく適切な採用手法を選びましょう。緊急性を把握するためには、現場の声も参考にしてください。
4-5.複数の採用手法を活用
採用手法には、前述のとおりそれぞれにメリット・デメリットがあります。1つの手法にこだわりすぎると、期待した成果につながらない可能性があるため、複数の採用手法を組み合わせることがポイントです。
特にダイレクトリクルーティングは、採用担当者のスキルによって結果が左右される傾向にあります。たとえば、リファラル採用は効果的な手法ですが、社員からの協力を得られなければ人材を紹介してもらえません。
母集団形成のためには、1つの採用手法に固執せず、複数の採用手法を組み合わせて、互いのデメリットを補完しあえるようにしましょう。
4-6.採用サービスを活用
外部の採用サービスを活用することも、選択肢の一つです。採用課題や自社の状況によっては、求人サイトの上位プランを契約して自社の求人情報を上位に表示させたり、ヘッドハンティングサービスや人材紹介サービスを活用したりする方法も検討しましょう。
最近では、採用活動の上流から下流までを代行してくれる採用代行サービスや、採用戦略の立案をサポートしてくれる採用コンサルティングサービスが注目されています。
外部サービスの利用にはコストがかかりますが、プロの力を借りて、採用課題を解決できる可能性が高いです。特に、採用課題を自社で解決するためのリソースが不足しており、なかなか実行に移せていない場合は、外部サービスの活用も検討してみてはいかがでしょうか。
5.効果的な採用手法の組み合わせ例
前述のとおり、採用手法を複数組み合わせることで、期待した成果をあげられる可能性が高いです。どのように組み合わせるべきかは、企業の採用課題やニーズに応じて異なります。
ここでは、以下のケースごとに、採用手法の組み合わせ例をご紹介します。採用手法の選択に悩んでいる採用担当者は必見です。
- 採用コストを抑えたい場合
- 採用担当者の負担を軽減したい場合
- 地方で求人したい場合
- 高いスキルを持った人材を採用したい場合
- すぐに人材を採用したい場合
5-1.採用コストを抑えたい場合
とにかく採用コストを抑えたい場合は、求人検索エンジンを活用しつつ、採用オウンドメディアやSNSで情報を発信したり、リファラル採用を実施したりすることがおすすめです。
求人検索エンジンは、無料で求人情報を掲載できる場合が多く、コストを抑えながら、多くの求職者に求人情報を認知してもらえる採用手法です。そこに、フォーマットにとらわれず自由に自社の情報を発信できる採用オウンドメディアやSNSを組み合わせることで、低コストかつ効果的な採用の実現が期待できます。さらに、自社にマッチした人材を確保するため、リファラル採用にも取り組むとよいでしょう。
ただし、採用コストを抑えられる採用手法は、成果が出るまで時間がかかるケースも多いです。急いで採用したいポジションについてはコストをかけ、それ以外はコストがかからない方法を選択するなど、柔軟に使い分けましょう。
5-2.採用担当者の負担を軽減したい場合
採用にかかる工数を減らし、採用担当者の負担を軽減したい場合は、求人サイトの利用と採用オウンドメディアの活用がおすすめです。求人サイトは掲載料がかかるケースが多いですが、1回求人情報を登録すれば、あとは応募を待つだけで済みます。サイトの運営は求人サイトの運営会社に任せられるため、採用担当者の負担が少ない方法です。
さらに、多くの求職者が応募前に企業のホームページや採用オウンドメディアを確認する傾向にあるため、自社サイトの整備も欠かせません。
予算に余裕がある場合は、採用代行サービスや採用コンサルティングサービスのような外部サービスも活用し、自社サイトの運用や応募者管理などを積極的にアウトソーシングすると、より負担を軽減できます。
5-3.地方で求人したい場合
地方で採用活動を進めたい場合は、紙媒体に求人広告を掲載するほか、ハローワークに求人情報を登録したり、求人検索エンジンを活用したりすることがおすすめです。
新聞の折込チラシやフリーペーパーのような紙媒体は、自社の周辺地域に絞って情報を発信できるため、地方採用で高い効果を発揮します。
また、求人検索エンジンは、キーワードに勤務地を入力して情報を検索できるため、自社の地域で働きたい求職者にアプローチできる方法です。
そのほか、余力があればオウンドメディアも活用し、自社やその地域で働く魅力を訴求する方法も考えられます。
5-4.高いスキルを持った人材を採用したい場合
エンジニアや経営層のように、高度なスキルを持った人材を採用したい場合は、ダイレクトリクルーティングやアルムナイ採用に、人材紹介サービスを組み合わせると効果が見込めます。
ヘッドハンティングやリファラル採用、ミートアップのようなダイレクトリクルーティングを取り入れることで、自社にマッチした人材のみに効率的にアプローチできます。
さらに、即戦力となる人材を獲得するためには、アルムナイ採用も有効です。
しかし、ダイレクトリクルーティングやアルムナイ採用のみでは、母集団形成が難しくなってしまいます。採用担当者にかかる負担も大きく、母集団形成の量・質の双方を改善するためには、人材紹介サービスの活用がおすすめです。人材紹介サービスを活用することで、求める要件を満たした人材に出会える可能性が高まります。
5-5.すぐに人材を採用したい場合
採用の緊急性が高く、すぐに人材を採用したい場合は、人材紹介サービスを中心に利用し、そのほかの採用手法を適宜組み合わせましょう。
人材紹介サービスは、採用要件を満たす人材をすぐに紹介してくれるため、即効性が高いです。しかし、その分コストがかかります。そのため、求人検索エンジンや採用オウンドメディア、SNSなど、採用コストがあまりかからない方法と組み合わせるのがおすすめです。
正社員の確保が難しい場合は、業務委託でフリーランスの力を借りるという方法もあります。高いスキルや専門性を有した人材に、スポット的に依頼できることがメリットです。
6.自社に合った採用手法で採用活動を行おう!
自社が求める人材を確保するためには、数ある採用手法のなかから、適切なものを見極めることが大切です。採用手法を選択する際は、採用トレンドを理解することも重要ですが、何よりも自社の採用課題や現状を正しく把握し、課題を解決できるものを選ぶ必要があります。
そのためには、採用手法ごとの特徴やメリット・デメリットを理解しましょう。十分な費用対効果をあげられるよう、複数の採用手法を組み合わせることも効果的です。
今回の記事を参考に、まずは自社の採用課題を明確化し、自社に合った採用手法を見極めてください。